任天堂、「NINTENDO WORLD 2011」レポート、その3

レベルファイブと「nintendogs + cats」ステージイベントレポート


1月10日 開催

会場:幕張メッセ 9ホール

入場料:無料



本体展示コーナーには同時発売タイトルのパッケージも並べられた
試遊コーナーの待ち時間は少し落ち着いたようだった

 任天堂株式会社が1月8日から10日までの3日間、幕張メッセの展示ホール9において開催した、2月26日発売予定の新型携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」の体験会「NINTENDO WORLD 2011」。

 最終日の10日は、株式会社レベルファイブの日野晃博社長による3Dタイトルのプレゼンテーション、そして、任天堂の紺野秀樹氏による「nintendogs + cats」のプレゼンテーションステージが行なわれた。

 なお、「NINTENDO WORLD 2011」は閉幕したが、1月16日から各地で順次開催される次世代ワールドホビーフェアや、静岡「御殿場プレミアム・アウトレット」、大阪「りんくうプレミアム・アウトレット」でも1月14日から4月3日まで3DSの体験コーナーが設置される。今回チャンスを逃した方は、ぜひ1度体験しに足を運んでみてはいかがだろうか。



■ レベルファイブステージ

日野晃博社長

 「レイトン教授と奇跡の仮面」が本体同時発売されるレベルファイブの日野社長によるプレゼンテーションは、同社の3DSの6タイトルを一気にプレゼンするという内容。タイトルのプロモーション映像を上映し、その後、日野社長による補足コメントという流れで進行した。「この6タイトルはいずれも非常に力が入ったタイトル。3DSのハードの魅力を最大限に活かしていきたい」と日野社長の挨拶でプレゼンはスタートした。

・「レイトン教授と奇跡の仮面」

 まずはやはり「レイトン教授と奇跡の仮面」。5,980円で同時発売されるこのタイトルは、「まさにマスターアップしている最中で、最後のROMを遊んでいるんですけれども、過去最高の『レイトン教授』と言っていいぐらいいい作品になっている」という。ちなみにスタッフは従来のシリーズ作の3倍を動員しているそうだ。

 本作は、「E3で発表したバージョンからほとんどを作り直し、登場人物はすべて3Dで起こされている。背景も立体のものになっており、世界の存在感が伝わるのではないか」と日野社長。ストーリー面では、過去と未来が交錯しながら謎を解いていく形式になっており、現在の奇跡の仮面の謎を解くために、高校生のころのレイトンの物語にそのヒントがあるといった仕掛けになっている。

 テーマ曲は松任谷由美さんの「Mysterious Flower」。この楽曲は松任谷さんが「レイトン」のために作った楽曲ということで、エンディングでこの曲が流れるシーンでは「泣ける」という。

 また、本作では発売日から1年、毎日新しい「ナゾ」を配信していくという。「過去最大ボリュームの『ナゾ』が入っている。

 「きょくげいウサギ」というウサギを育てる新システムも用意。「(『nintendogs + cats』が同時に発売されるので)ぜひウサギを育てていただきたい。イヌと猫と同じぐらい、それ以上にふさふさ感が出ていると思いますので、ご注目ください」と力が入っている。


・ファンタジーライフ

 アドホック通信やすれ違い通信を使って「みんなが1つの世界に参加する」という新しいタイプのRPG。企画・制作はレベルファイブ、開発はブラウニーブラウン、音楽は植松伸夫氏、イメージイラストレーションを天野喜孝氏が手がける豪華なタイトルだ。

 自分の作ったアバターを生活させつつ、他のプレーヤーとコミュニケーションしながら遊ぶタイトルで、PCのオンラインゲームであるかのように他のキャラクターたちが自分の世界に入り込んでいる「出会いのRPG」。


・「キャバ嬢っぴ for Nintendo 3DS」

 ネオ銀座ナンバーワンキャバ嬢を目指す主人公の女の子が、接客をこなしていくうちに世界の危機に関わる大事件に挑むRPG。着せ替えをしたり、部屋を大きくしたり、人間関係を作ったりしながら育てていくタイトルだ。このゲームには、お客としていろんなメジャーなキャラクターたちが絡んでくる。「とんでもないコラボレーション」ということで、「PVには入っていませんが、『ガンダム』に出てきたあのキャラクターも出てきたりとか」とまだまだ登場キャラクターがいるそうだ。


・「イナズマイレブン」最新作

 「イナズマイレブン」シリーズ第4弾は3DSタイトルとなることが正式に発表され、「イナズマイレブン 感謝祭2」でも上映された映像が流された。「1」~「3」とは異なり、新たな主人公「松風天馬」が登場。彼は新入生として雷門中に入学するところからストーリーが始まる。システムも新しいものになるとのことだ。


・「タイムトラベラーズ」

 イシイジロウ氏が手がけるアドベンチャー。タイムトラベルがテーマとなっているが、ゲームシステムは新しいものになっている。地下鉄に乗り家路を急ぐ「新道みこと」の背後に「スケルトン」の姿が……しかし、振り返ってみるとそこには誰もいないという緊張感あふれるPVが上映された。


・「レイトン教授 VS逆転裁判」

 カプコンとのコラボレーションで実現したタイトル。「このタイトルは決して『外伝』ではなく、2つの人気シリーズのTVアニメが一緒になって映画になったようなイメージ」という本作は、「2つの作品のスケールを超えた内容になっている」と日野社長は語る。「完全にカプコンと共同制作をしている。それぞれのクリエイターが毎回会議を重ね、それぞれの作品のよさを併せ持ったタイトルになっている。カプコンの巧 舟さんもシナリオ部分に大きく関わっており、シナリオプロットを細かく仕上げてもらっている真っ最中」という進行状況になっている。


 最後に日野社長は、6タイトルのラインナップを振り返りつつ、「3DSというハードを初めて見せてもらったときに、このハードウェアの魅力というか、3Dの表現からくる世界の没頭感というものにほれ込んで、ぜひこのハードに多くのソフトを供給したいと思ってこういった状況になりました。それぞれのタイトル1つ1つに違った良さがあって、“どれがお勧め”ということはないんですけれども、『レイトン教授』は、非常にいい作品になっている。この作品が早くみなさんの手元に届いて、今までシリーズタイトルを遊んでこなかった方にも3DSで初めて“これが『レイトン教授』か”と遊んでもらえれば。今までの反省点もかなり修正されており、パーフェクトな『レイトン教授』になっている」と改めて作品をアピールし、プレゼンは締めくくられた。


(C)LEVEL-5 Inc.
「キャバ嬢っぴ for Nintendo 3DS」:(C)LEVEL-5 Inc. (C)藤子(A)・シンエイ・中央公論新社 (C)本宮ひろ志/ 集英社 (C)モンキー・パンチ/TMS・NTV (C)二ノ宮知子/講談社 (C)板垣恵介/FWDInc. (C)高森朝雄・ちばてつや/講談社 (C)福本伸行/講談社

■ 「nintendogs + cats」

「お手伝い」役として岩田社長が登場すると驚きの声が上がった

 本作のプロデューサーである任天堂の紺野秀樹氏が登壇して始まったプレゼンテーション。冒頭にPVが上映され登場した紺野氏は、「今回のプレゼンがあまりにもハイレベルだったので、私かなり不安になってきました。なので、今日は助っ人を呼んでみようと思っています」ということで登場したのは、ほかならぬ岩田 聡取締役社長!「助っ人の岩田でございます」と現われた岩田社長が今野氏に話を訊く形で進行した。

・DSの「nintendogs」に比べて、登場するイヌやネコのかわいさが向上していることに関して

 前作と大きく違うのはファーの技術を取り入れた毛並の表現。眼球の表現も取り入れた。人と向き合うときにどこを見ているかをコントロールし、DSでは絵で表現していたものを、3DSでは眼球を取り入れることで、キョロキョロ動いたり、目を細めたりする。ネコの眼球も周りの環境などによって光彩の大きさが変化する。これは今までやりたくてもなかなかやれなかったことなので、力を入れている。プロポーションにも違いを持たせた。体格や足の長さ、色や模様などのバリエーションを多く、個性が出るようにした。自慢したくなるような子犬や子猫が飼える。

・紺野氏の役割は、「nintendogs + cats」だけでなく、3DSソフトウェアの全体を考える立場もあったが、「nintendogs + cats」を同時発売タイトルとして選んだ理由は?

 DSでは「ゲーム人口の拡大」というテーマがあった。3DSでも「多くのお客様に楽しんでもらえるソフト」ということで「nintendogs + cats」を開発したが、同時にソフトメーカーの方々にも今回は早いタイミングから多くのソフトを作っていただいている。さまざまなジャンルのゲームがどんどん発売されていくと思いますので、私たちはもう1度「nintendogs + cats」で幅広いお客さんに楽しんでいただけるようにしたいと思っている。

・3D立体視と「nintendogs + cats」の相性はどうですか?

 「nintendogs + cats」だけではないが、立体視で画面の空間、高さや奥行きがすごくわかりやすい。その中に子猫や子犬がいるわけで、自分で言うのもなんだが、本当に臨場感があってかわいらしい感じが出ている。任天堂の社内でも「反則的にかわいい」という声もある。画面の中に生き物がいるように見えるということですごく相性はいい。たとえば、子猫や子犬をなでるとき、奥行きがわかるから、手がちゃんと回りこんでなでてくれるのはすごくうれしい。

・DS「nintendogs」は「すれちがい通信」を初めて導入したタイトルだが、「ドラゴンクエストIX」で「すれちがい通信」が話題になって、紺野氏は世界一くやしい思いをしたのでは?

 「nintendogs」は社会現象までにはならなかった。今回3DSの開発に携わって、かなり早い段階で「すれ違い通信」を標準機能にしたいと。DS「nintendogs」では「すれ違い通信」のモードにしてDSを閉じて持ち歩く必要があった。それを今回は標準の機能にしたので、本体の中に1度セーブしておくことで、あとは勝手にいろんなソフトのすれ違い通信ができる。すれ違いの結果はソフトを立ち上げたときに反映される。必ずしもそのソフトを遊んでいる必要はない。お知らせ機能があり、履歴も残る。すれ違いが起こったときは、3DSの右上の緑色のランプが点滅する。社内でテストしているが、すれ違うとうれしい。今、任天堂社内はすれ違いしまくり状態になっている。

 対応ソフトを買っていただけないとすれ違いが楽しめないのはもったいないということで、「すれ違いMii広場」を本体に内蔵した。3DSではMiiを作ることができるが、それを「すれ違いMii広場」にセットしておくと、あとは持ち歩くだけでMiiが広場にやってくる。簡単なメッセージを書くこともできるし、地域の情報や最後に何のソフトを遊んだかといった情報(看板を持っている)を持たせることができる。今後どんなにソフトが増えても、すれ違いは同時にたくさんのソフトで楽しんでいただける。

 「すれ違いMii広場」では、単にMiiを集めるだけではなく、簡単なゲームを遊ぶことができる。「すれ違い伝説」というゲームでは、集まったMiiを使ってちょっとした冒険ができる。

・「nintendogs + cats」は「nintendogs」と何が変わった?

 前作では、マイクを使って子犬に語りかけ、名前を呼んだり芸を覚えさせる、タッチスクリーンで子犬に触れることができるという2つのコミュニケーションを実現したが、「nintendogs + cats」では、カメラを使ったコミュニケーションを追加した。ペットが遊んでくれている人を覚えたり認識したりする。子犬が遊んでくれている人をずっと見ているので、たとえば声をかけなくても、顔を見せるだけで近づいてきてくれるようになる。知らない人が近づくと、警戒しておびえたり威嚇したりすることもある。

 また、ゲーム中、いつでも写真が撮れる。部屋の中でカメラの機能を使ってゲームの写真を立体視の状態で3Dの写真が撮影でき、すれ違い通信で交換することもできる。

・ネコが追加されたのはどうして?

 宮本(茂)さんがガーデニングを始めたら「ピクミン」ができた、子犬を飼い始めたら「nintendogs」ができた。本作を開発中に宮本さんが子猫を飼い始めた。前作の開発が終わってから、「nintencats」はどうだとか、馬やイルカはどうだとかいろんな企画があがってきた。そういう中でネコはイヌと同じぐらいポピュラーだから、当然なにかしら考えてはいたが、単純にイヌが売れたからネコだ、ということではなかった。ただネコを作っても大会はないし気ままが魅力でゲームにならないという話もあった。そういう中で宮本さんが『ネコとイヌが一緒に生活をしていると、いろんな発見があって面白いんだ』と。イヌだけのときより掛け合いが起こって面白いと。そういう話がすごく面白いので、ソフトの中に入ったらすごく面白いのではないかと思った。

 モデルだけネコを作って、モーションは共通でいけるのではと思ったが、考えが甘かった。宮本さんが見れば見るほど「これは違うね」と。結局全部違うものを作っていた。子犬や子猫のかわいらしいしぐさをかなり盛り込んでみた。

 「AR」の機能も入っている。ARカードをおいて覗き込むと、自分が飼っている子犬や子猫が現われる。その子犬は芸をやってくれるし、その場で写真を撮ることもできるようになっている。

・3DS本体に「ARゲームズ」や「顔シューティング」を入れたのはなぜ?

 さまざまな機能があるので、購入していただいたお客様にすぐいろんな機能を体験していただきたいということでジャイロを使った「顔シューティング」、AR機能を使った「ARゲームズ」を入れた。ハードを買った人だけでなく、周りにいる人にも体験してもらいたく「本体に入れちゃいたい」と。できれば友達や知人にもどんどん紹介してもらいたいということが目標としてあった。なるべくみなさんに持ち歩いていただいて、面白さを共有していただきたい。

・最後にひとこと

 もうすぐ3DSが発売されます。立体視はもちろん、すれ違い通信やいつのまに通信といった新しい機能が入った、新しい体験やイノベーションをみなさんに体験していただけるんじゃないかと思いますので、発売までもうしばらくお待ちください。


(C) 2011 Nintendo

(2011年 1月 11日)

[Reported by 佐伯憲司]