東京ゲームショウ2010レポート

iPhone/iPod touch/iPadステージ「i Love iPhone × Game」

ゲームメーカー9社が新作やアップデートを続々発表


9月16日~9月19日 開催(16日、17日はビジネスデイ)

会場:幕張メッセ

入場料:1,000円(一般/前売り)、1,200円(一般/当日)、小学生以下は入場無料



 「東京ゲームショウ2010」ではビジネスデイ2日目の9月17日、昨年同様にイベントステージにおいて「ゲーム機として進化するiPhone ~i Love iPhone × Game」と題したイベントが開催された。iPhone&iPadコーナーに出展している9つのゲームメーカーなどが登壇し、これまでの取り組みや新作タイトルの発表を行なった。




■ カプコン

MC営業戦略チーム チーム長 道口正人氏

 株式会社カプコンは「ストリートファイターIV」を事例に、ユーザーレビューがコンテンツを育てる事例を発表。「ストリートファイターIV」の配信直後は、登場キャラクターが少ないと批判したレビューもあったが、その声を受けてバージョンアップによってキャラクターを追加したところ、レビューが高評価に繋がり、その影響でダウンロード数が増えたという。そして、新キャラクターの「クリムゾン・ヴァイパー」と「エドモンド本田」が追加されるバージョンアップが17日から配信されたことを紹介した。

 今後は、新コンテンツとしてカプコンが過去に出してきたアーケード版の名作ゲームを数多く配信していくことを公表した。





■ ハドソン

スマートフォン事業本部本部長 柴田真人氏

 株式会社ハドソンは「ハドソンの決意と『思い』についての独白」と題して、この2年間で30数タイトルのアプリをリリースしてきたことや今後の方向性について語った。最近リリースしたAR空間にいるモンスターを退治していくRPG「ARモンスター」では、アプリ本体を無料でダウンロードする形にして、追加課金方式でゲーム内のガチャガチャができる仕組みにしたところ好評で、「iPhoneはオンラインゲームの課金モデルに近い」とも語った。

 そして、iPhoneでカジュアルゲームを配信していることで知られるRucKyGAMESとコラボレーションした「僕とちくわと鉄アレイ」を発表。本作は忍者が鉄アレイ目掛けてちくわを飛ばしていく一風変わったゲーム。忍者と鉄アレイとちくわと言う組み合わせで、しかも発表時に流れていたBGMからもファミコン用「忍者ハットリくん」を意識したもののようだ。本作はゲームショウのiPhone&iPadブースでプレイできたが、すでにゲームショウの初日に配信されておりダウンロードして遊べる。

 今後のハドソンとしては、「既存のゲームの考え方を捨て、ユーザーとの連携を取りながらゲームと言うものを新しいステージに持って行きたい」と語った。またハドソンのiPhone/iPod touch/iPad用ホームページを10月中旬にリニューアルし、ユーザーと連携を図っていきたいと明かした。





■ タイトー

タイトー ON!AIR事業本部 開発部 ディレクター 石田礼輔氏

 株式会社タイトーは現在好評配信中のシューティングゲーム「スペースインベーダー インフィニティジーン」が横画面に対応したことや、「ダライアス」、「メタルブラック」などの自機の追加課金購入などによって進化してきたことを紹介。さらに近日配信が予定されているVer.3.5のアップデートでは、iPhone 4や新型iPod touchのRetinaディスプレイ対応やユニバーサル化してiPad用に対応することを公表。さらに新モードとして、サバイバルモードが追加され、1面ずつしか遊べなかったエクストラステージや追加ダウンロードで購入するステージを連続してプレイできるようになる。また、「ダライアス」のようにステージを分岐してプレーヤーが遊ぶステージのルートを選べるような形式で遊べて、エンディングもいくつか用意するという。

 さらに近日リリースが予定されているiPhone用「バブルボブルダブル」も発表された。往年の名作「バブルボブル」を一新した完全オリジナルのアクションゲームで、主人公のバブリンに向かってくる敵をタップして作った泡に閉じ込めて、再びタップして破裂させて倒していく。また、「バブルボブルダブル」には、オリジナル作の「バブルボブル」も収録されていることも明らかにされた。





■ セガ

セガ 第二CS研究開発部 企画セクション 長原俊之氏、宮本裕司氏

 株式会社セガは、今秋にコンシューマー版と同時期に配信予定の2D横スクロールアクションゲーム「ソニック・ザ・ヘッジホッグ4 エピソードI」を発表。デモプレイを行ない、スピード感のある最初のステージを紹介したほか、iPhone/iPod touch用だけの要素として収録されているトロッコのステージも披露した。このステージでは、iPhone/iPod touch本体を傾けてトロッコを走らせ、道中のギミックを乗り越えていく。もちろんソニックならではのスピード感があり、新たな爽快感を味わえそうだ。

 また、本作は他機種からの単純な移植ではなく、iPhone/iPod touchならではのバーチャルパッド操作やステージの仕掛けなど、遊びやすさを重視して調整に時間をかけて開発していることや、iPhone 3Gでもスピード感が損なわれずに楽しめることも明かした。





■ コーエーテクモゲームス

ネットワーク本部ネットワーク4部 シニアマネジャー天野幸芳氏、ネットワーク本部ネットワーク3部 マネジャー松本秀氏

 株式会社コーエーテクモゲームスは、配信中の壊れたゾンビを再生していくアクションパズルゲーム「Zombie Recycling Inc. : Moldy Green」や、英語で入力した文字を感じにして楽しむエンターテイメントアプリ「KANJI SHAKER」の実演デモを披露した。

 さらに、iPhone/iPod touch向けに2010年配信予定の「三國志2」を紹介。今作では、計略と外交が充実され戦略の幅が広がったほか、戦闘モードでも一騎打ちや寝返りで駆け引きの幅が広がったという。また350人以上の武将に加え、オリジナルの武将が作れるようになる。





■ KONAMI

株式会社コナミデジタルエンタテインメント KDE-J セールス&マーケティング本部 ネットセールス&マーケティング部 マーケティンググループ 五島章氏

 株式会社コナミデジタルエンタテインメントは、ゲームショウ1日目にも展示していなかった2本のタイトル「麻雀格闘倶楽部touch」と「jubeat plus」をイベントで電撃発表し、初お披露目した。

 「麻雀格闘倶楽部touch」は、2002年に登場したアーケード用通信対戦麻雀「麻雀格闘倶楽部」からの移植。プロ雀士とのCPU対戦、Wi-Fiや3Gによるオンライン4人対局、アーケード版からのデータ引き継ぎやデータの参照なども可能となっている。2010年の秋に配信予定で、iPhone/iPod touch/iPadのユニバーサル対応になるという。

 「jubeat plus」は2008年にアーケードに登場した音楽シミュレーションゲーム「jubeat」の移植作で、音楽に合わせて光るパネルを次々にタップしてリズムを奏でていく。こちらはGame Centerに対応予定。2010年秋にiPad版が配信予定で、2010年冬にはiPhone/iPod touch用にユニバーサル対応するという。





■ バンダイナムコゲームス

バンダイナムコゲームス NE事業本部 第1コンテンツディビジョン NE事業推進部 グローバル推進課 山田大輔氏

 株式会社バンダイナムコゲームスは、約60タイトルを配信してきたこれまでの取り組みや、そこから導き出されたビジネスモデルや開発方法、クオリティなどの話を発表しながら配信予定の新作を紹介していった。

 iPhone/iPod touchのビジネスモデルは従量型から運営型に移行していると語り、音楽ゲーム「太鼓の達人プラス」ではアプリを無料配信して多くの方にダウンロードをしてもらい、有料課金で楽曲を配信することで成功しているという。その「太鼓の達人プラス」には、今秋に対戦モードを搭載予定であることを明かした。

 また、市場はまだまだ成長段階で、短期間でのスピード開発が必要で、一気に作り上げたら、従来の売り切り型ではなく、継続していく運営型にシフトしていくのがいいとも述べた。

 そして、現時点でバンダイナムコゲームスに求められているのは、コンシューマーゲームやアーケードゲーム並みのクオリティだと語り、iPhone/iPod touch用ガンシューティングゲーム「TIME CRISIS STRIKE」シリーズの「TIME CRISIS 2ND STRIKE」を東京ゲームショウの初日に配信したことを明かした。

 またバンダイナムコゲームスと言えばキャラクターもので、iPhoneの登場以来多くのユーザーに求められていた「ガンダム」シリーズのアプリを、今冬に一気に4タイトル配信予定だということも明らかにした。4タイトルの内容は、シミュレーションゲームの「SDガンダム Gジェネレーション タッチ(仮)」、モビルスーツ同士が闘いを繰り広げる格闘ゲームの「ガンダム ファイティングスピリッツ(仮)」、「RX-78-2ガンダム」をモチーフにしたツールアプリ「GUNDAM Tool Box - RX-78-2 COCKPIT ver. -(仮)」および「GUNDAM Tool Box - RX-78-2 simple icons ver. -(仮)」となっている。





■ ゲームロフト

ゲームロフト ビジネス部 PRマネージャー 稲葉芳恵氏

 ゲームロフトは、これまでワールドワイドで圧倒的なラインナップで世界中に配信している実績やプロモーション展開とともに、世界各国に持つスタジオに1,000人以上の開発者がいることを明かした。さらに有料アプリのみで累計2,000万ダウンロードを突破し、今年も今後新たに15タイトル以上の配信を予定しているという。

 今回は、新作タイトルとして近日配信予定のFPS「モダンコンバット2: Black Pegasus」と、アクションRPG「ダーククエストII」を初公開した。

 「モダンコンバット2: Black Pegasus」は、紛争地域を舞台にしたミリタリーFPS「モダンコンバット: サンドストーム」の続編で、迫力の銃撃戦を楽しめる。さらにジャイロスコープ対応で、本体を上下左右に動かすと、それに合わせてゲームの動くようになっている。本作では中東・東欧・南米を舞台に豊富なミッションで楽しめるほか、対戦モードも用意されている。

 「ダーククエストII」は、ファンタジーな世界を舞台に、1人の勇者になって冒険を繰り広げるアクションRPG。情報を集めて様々なクエストをクリアしてストーリーを進めていく。今作から最大3人までのマルチプレイに対応し、仲間と協力しながら冒険が楽しめる。またGame Centerにも対応する。





■ Parrot

パロット AR.Drone プロダクトマネージャー ミカエル・パストー氏(右)
広報 望月奈津子氏

 4枚の羽根で飛ぶ“クアッドリコプター”を、iPhone/iPod touchをコントローラーにしてラジコンのように操作する「AR.Drone」を開発した仏Parrotも登壇。近日配信予定の「AR.FlyingAce」を使って2台のクアッドリコプターを飛ばし、iPhoneの画面を見ながら相手のクアッドリコプターを撃ち落とす対戦シューティングゲームが実演された。

 「AR.FlyingAce」にはクアッドリコプターに搭載したカメラの映像がリアルタイムで表示され、それにアプリで合成したビームなどの映像を合わせることで、AR(拡張現実)のシューティングが楽しめる。なお「AR.Drone」のクアッドリコプター本体は9月16日に43,800円で発売されている。





■ アプリヤ

アプリヤ 新城健一氏

 最後にイベントの司会を務めたアプリヤ株式会社の新城健一氏が、iPhone 3G国内販売直後から最近までのiPhoneアプリのゲームランキングの変遷について紹介した。ランキング20位までに入ってきたゲームアプリを集計し、メーカーが国内か海外かを分けたものを発表し、iPhone 3G国内販売直後は海外メーカーのゲームアプリが主流だったものが、徐々に国内メーカーのものが増えていき、現在は割合が逆転して国内大手メーカーの時代になっていると語った。そして、今後も国内ゲームメーカーの勢いや国内の市場は増え続け、発展していくだろうと締めくくった。



(2010年 9月 19日)

[Reported by 川村和弘]