カプコン、PSP「ラストランカー」
完成記念披露会を開催
株式会社カプコンは、7月15日発売予定のPSP用RPG「ラストランカー」の完成披露会を都内で開催した。会場には「ラストランカー」メールマガジン会員から抽選で招待された100名のファンが来場。出演声優陣による生演奏つきのボイスドラマ、ゲストのトークショーなどが行なわれた。
出演者は、プロデューサーの松川美苗氏、シナリオを担当した野島一成氏、音楽を手がけた下村陽子氏、ジグ役の神谷浩史さん、ファズ役の中村悠一さん。冒頭の挨拶で松川氏は「カプコンがRPGを発売するのは2002年以来のこと。開発当初、開発チームはディレクターの新野と私での、ふたりのスタート。新しいRPG、カプコンらしい、らしくないものを作る。その挑戦に、シナリオの野島さん、ミュージックの下村さん、キャラクターデザインの吉川、その他開発に携わってくれたすべてのスタッフの根気と熱意により『ラストランカー』は完成に至りました。主人公ジグを一緒に作ってくださった神谷さん、親友ファズ役を見事に演じてくださった中村さんをはじめ、多くの方々のお力を頂戴した。本日はみなさまに開発エピソードや完成の喜びをお伝えできればと思います」とコメント。
神谷さん、中村さんによるボイスドラマ。バックの生演奏がさらなる臨場感を生み出す |
上画面右より、下村氏、野島氏、中村さん、神谷さん、松川氏 |
ゲストトークショーには、松川氏、野島氏、下村氏、神谷さん、中村さんが出席。サウンドトラックCDの収録に立ち会いたかったという神谷さんは、今回のイベントでBGMの生演奏を初体験。「それが本番当日とは思わず……(ステージの)後ろでまったく集中することができず危なかった」と笑いながらコメント。作曲した下村さんご自身も「客席で聞きたかった!」というほどで、「ステージ袖できかせていただいたんですけど、凄くカッコ良くて。音楽に色々思い入れがあるんで色々こみ上げてくるものもあったし、おふたりの熱い演技が、もう“キュンキュン”きてました」と生演奏つきボイスドラマを絶賛。なお、下村さんが手がけられた楽曲はトータルで約40曲ほど。最終的には社内の音楽チーム総出でサポートする体制が整えられたという。
ジグとファズの役柄について質問されると、神谷さんは「ジグは、意外と寡黙でクールな人だが、誰よりも熱い心を持っているタイプ。真っ直ぐさゆえに、周りから見たら融通がきかない人と思われるかもしれないが、それも含めて彼の魅力として映ってくれればいいかな、と思ってやらせていただきました」と説明。中村さんは「ジグは服が黒で、江戸っ子風にいうと“裏地が赤”じゃないですか。江戸っ子は見えないところを飾るのが粋ってもんだよ、っていうのが昔からあるんですけど。それを凄くあらわしているな、と思うんですよ。黒髪、レースの服で、ちょっと堅い、暗めかと思いきや、なかは熱い。ファズも見た目で判断しようと思って、1番最初にキャラクターのイラストを見せていただいたときに『青か。じゃぁクールだな』とタカをくくっていたら、そうでもなくて。凄く真っ直ぐで信念があり、そこから外れているものを見ると、真面目すぎるゆえに“許せない”というか、理解できなくなる」と説明。そのまま野島氏に「(解釈)あってますよね?」と確認を求める中村さんだが、野島氏は「いや、もう、あの、できちゃってるので(一同笑)」と冗談めかして返す。
シナリオに関して質問された野島氏は「ぼくにとって大きかったのは、初めてのカプコンさん(の仕事)。カプコンさんのイメージって、ぼくにとってはガーッ! っていう(勢いがある)。ぼくにできるのかなぁ? っていうのは、わりとありました。ドキドキしながらやってました。(役に対する想いは)主役のジグなんですけど、熱さを内に秘めるのか、出すのかが、まず最初にあった。結局は内に秘めることにしたんですけど、最強を目指すストーリーの主人公としては、どうなのかな? って。ガーッ! っていくタイプの人がいいかなと思っていたんですけど、スタッフのみなさんに見ていただいたら『うん、いいよいいよ!』ということだったので、じゃぁコレで。その段階で一安心」と説明。ストーリーは一気に書き上げるのではなく、少しずつ作成して毎週月曜日にメールでカプコンに送信される仕組み。開発チームでは“週刊野島通信”と呼び、みんなで月曜日を楽しみにしていたという。
「ラストランカー」公式小説が6月2日より4週連続で掲載。7月2日からは公式サイトと「超! アニメロ」でボイスドラマが期間限定配信される |
ストーリーが順調に仕上がったこともあり、ボイス録音が始まると野島氏の仕事はほぼ終了。「ぼくの出番は終わり、嬉しくもあり、寂しくもある」ということで、松川氏は「小説を書いていただこう、と決めた」という。6月2日から「ラストランカー」公式サイトで、野島氏の書き下ろし小説「旅立ちの決意」が4週連続で掲載される。主人公ジグが故郷を旅立つ決意を固めるまでの経緯を描くもので、ゲーム本編のストーリー冒頭へとつながっていく。
また、豪華声優陣による本小説のボイスドラマが「超! アニメロ」で7月2日より期間限定で配信される。神谷さんによれば「オープニングにたどり着くまでの話を、切々とやらせていただきました。ゲーム本編の収録はだいぶ前に終わっていて、『オーディオドラマをやります』といわれて台本をいただいたら、ゲームが始まる前の話。それを知ったうえでゲーム本編を演じていたら、キャラクターに対する理解の度合いが変わってきたかもしれない。素晴らしい経験をさせていただいた」とコメント。中村さんは「こっち(ボイスドラマ)にしか出ないキャラクターもいる。ゲームってひとりで録るんですよ。でも、この場で神谷さんや他の人と一緒にお芝居をさせていただいたので、そういう点でも感慨深い」と説明。ただ、ボイスドラマを演じたことで、後のゲーム本編で演じたキャラクターのニュアンスに若干(?)ギャップを感じている中村さんは「先にコレ(ボイスドラマ)があったら! って(笑)」と納得がいっていないご様子。これには松川さんも「もう、都合5回くらい聞かされている気がするので許してください」と完全に白旗モード。このあたり、気になる人は7月2日以降の公式サイトや「超! アニメロ」で演じ方を細かくチェックすると面白いかもしれない。
会場では「ラストランカー」TVCM、主題歌「Ultimate」を担当したアーティスト「UVERworld」のビデオレター、ボイス入りプロモーションビデオが上映された。TVCMを見た神谷さんは「本編のセリフをコラージュして作ってくださっているんですけど、ぼくらは当然ストーリーを知っているわけじゃないですか。だから『へぇ~、このセリフ使うんだ!?』みたいな。驚きですね、どっちかというと。なので、ゲーム本編をプレイされたあとにこのTVCMを見ると『おぉ!!』と思うのでは」とコメント。このあたり、松川氏は「当然、どんな物語か初めて知る人もいらっしゃる。色々詰め込みすぎたかな? とは思ったが、すべてゲームにリンクしていきたい、というところがある。できれば、スタートボタンを押す前にTVCMを見て、エンディングを迎えたあとに再び見ると、また意味合いが違ってくる」と説明する。
UVERworldのビデオレター |
UVERworld書き下ろしの主題歌「Ultimate」について松川氏は「開発資料や色々なものを見ていただいたなかで、主人公ジグと親友ファズの人間関係を色濃く取り入れていただいた曲。開発チームも、何度も何度も聞きながら。開発を支えていただいた曲になった」といい、歌詞にも注目して欲しいという。PVをふまえ、お互いのキャラクタについての印象をきかれた神谷さんは「いや、カッコイイでしょ、ファズ!? なんかズルいなと思って。PVの最後のセリフもファズだったし、ねぇ。なんか、わりとね、美味しい奴なんですよ。見た目もカッコイイし、なんといっても声がね、中村悠一なんで(笑)」とコメント。中村さんは「小説、ドラマをきいていただけるとわかるんですけど、そりゃぁアレですよ。だって、ファズは女がいてですね。彼(ジグ)と決定的な差がある。勝者の余裕かな、みたいな(笑) ドラマをきいていただけると、どうしてこのふたりがこうなっているとか、ジグが村を出ることになる理由が、もう少し深く楽しめる」と説明。
ジグについての印象を改めてきかれると「最初から最後までやると、いいところが見えるなって」とコメント。途中までずっとダメというわけではなく「自分が本当にいいたいことは、なかなか言わないじゃないですか。だから、周りからの理解が得られないけど、それはそれでみたいな“一匹狼”的なところがある。それが……もっと打ち明けようぜ! みたいな、ね。小さい村ですから、もうちょっと人間関係を上手くやって欲しいのになぁ、この都会っ子!(一同笑)。でもそれが実は、ちょっと違うってことが中盤から見え始める。エンディングで、いいんですよ。いいシーンがあるんで、そこで全部許せちゃうかな、みたいな。ネタバレ、しちゃう?」という中村さん。この様子を見て、ついに神谷さんが「こいつは本当にね、危ない奴だなぁ、と。いいですけどね!(笑)」と笑いを堪えられなくなる。中村さんは以前のジャンプフェスタで相当危険なネタバレを無自覚にやらかした前科があるといい、今回の発言もかなりスレスレの領域だった模様だ。
イベントの最後に、発売記念プレゼントキャンペーン情報が明らかにされた。ソフトに同梱されている応募券を送った人のなかから、抽選でそれぞれ10名に、ボイスキャスト17名サイン入りポスター(Aコース)、各ボイスキャスト入りサイン入り台本上下巻セット(Bコース)がプレゼントされる。当日、イベント会場のショーケースに実物が展示されており、多くのファンがケータイのカメラで撮影するとともにじっと見入っていた。ゲームのアフレコ台本は製本されることが滅多になく、そういった意味でも貴重な一品だという。気になる人は、ゲーム本編とあわせてチェックしていただきたい。
7月15日の発売に向けて、さまざまな施策やキャンペーンでゲームを盛り上げる |
会場ロビーに設置されていたプレゼントキャンペーンの実物。まさにファン垂涎のアイテムだ |
「ラストランカー」試遊台も設置され、多くのファンが限定イベントを心行くまで楽しんでいた |
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□カプコンのホームページ
http://game.watch.impress.co.jp/
□「ラストランカー」のページ
http://www.capcom.co.jp/LR/
(2010年 6月 7日)