NVIDIA Desktop GPU Unit GMのDrew Henry氏キーノート&インタビュー

「NVIDIAは“3D”の分野において世界をリードする」


4月10~11日(現地時間) 開催

会場:上海正大廣場 9階

入場料:前売30元(約400円)、当日50元(約700円)



Drew Henry氏

 「GEFORCE LAN / NVIDIA GAME FESTIVAL 2010(NGF 2010)」の開催に合わせて、NVIDIAでDesktop GPU UnitのGeneral Managerを務めるDrew Henry氏が上海を訪れた。

 Henry氏は「NGF 2010」のオープニングでGeForce GTX 480/470について紹介するとともに、メディアへの合同インタビューも開催。GeForce GTX 480/470の魅力をさまざまな角度から語った。




■ GeForce GTX 480で中国産ゲームがより快適になるとアピール

GeForce GTX 480を手に登壇したHenry氏

 まずキーノートでは、GeForce GTX 480/470の強みであるテッセレーションについて紹介された。Henry氏はGeForce GTX 480を「テッセレーションモンスター」と呼び、Radeon HD 5870と比較してテッセレーション性能が8倍、DirectX 11のゲームの実効速度でも2倍になるとした。また「NVIDIA 3D Vision」やインタラクティブレイトレーシング、NVIDIA PhysXといった要素についても、デモを交えながら説明した。


水面と髪の表現のデモ
Henry氏が同じ映像をあえて2回見せた自信のデモ「Stone Golem」
橋が一気に崩れ落ちるPhysXのデモ

 次にHenry氏は、中国産の既存タイトルの中でNVIDIAの機能を使ったオンラインゲームを紹介した。まず中国KINGSOFTのMMORPG「剣侠情縁III Online(JX Online 3)」では、植物が風に揺れる様子や、キャラクターが植物に触れると枝が押されて曲がったりする表現に、NVIDIA PhysXとCUDAを利用している。またキャラクター同士のインタラクトについても、CUDAを使って実現している。これらの処理能力が、Radeon HD 5870との比較で2倍になるとした。

 中国Object Software開発のFPS「Metal Knight Zero Online(MKZ)」では、オブジェクトの破壊表現や武器のエフェクト、旗など布地が揺れる表現にNVIDIA PhysXを採用。この処理においてはRadeon HD 5870の5倍高速だとしている。

 紹介の内容そのものは、「NVIDIA PhysXやCUDAも高速化している」というだけの話だ。ただ、GeForce GTX 480の強みを語る上で、DirectX 11のゲームでの速さをひたすらに語るのではなく、地元中国産のゲームタイトルにおいてもメリットが得られるという説明は、DirectX 9のオンラインゲームが主流であるアジア地域では何より理解が得られそうだ。


【剣侠情縁III Online】
NVIDIA PhysXとCUDAを使い、ゲーム内のオブジェクトやキャラクターをよりリッチに仕上げている

【Metal Knight Zero Online】
戦車やヘリなどの乗り物はもちろん、建築物まで破壊できるリアリティが売りのゲーム。その破壊表現にNVIDIA PhysXが使われている



■ 3D Visionは今後の最重要ポイント

インタビューは中国語圏以外のメディアを集めて合同で行なわれた。そのため質問内容が散ってしまっているがご容赦いただきたい

 続いて行なわれた合同インタビューでは、Henry氏がGeForce GTX 480はもちろんのこと、今後のNVIDIAの考え方や今後の方針についても答えた。

――今回「NGF 2010」を開催されましたが、一般ユーザーとはどう接していこうと考えていますか?

Henry氏: もちろん、ユーザーを第1に考えている。まずQA(品質管理)をしっかりしなくてはいけないので、NVIDIAは非常に巨大なQA部門を有している。またGeForce GTX 480のローンチにおいて、GDDR5などさまざまな新技術を採用しているが、それよりもテッセレーションやNVIDIA 3D Visionなどのサービスを説明し、ユーザーにわかりやすい説明に努めてきた。

――テッセレーションなどの新しいテクノロジをユーザーにどうやって伝えていくつもりですか?

Henry氏: 素晴らしいゲームが出てくるだけでいい。ソフトに実装されてユーザーが楽しめるというビジョンは、今日のデモで見せたつもりだ。

――テッセレーションについて、ゲームデベロッパーから開発が難しいというような声は聞こえますか?

Henry氏: 私は難しくないと思っている。「Stone Giant」のデモは1~2カ月で制作したものだし、ハリウッドでは以前からテッセレーションを使っていてノウハウもあればツールも存在する。デベロッパーにとっても簡単に扱えるものだと考えており、この先5年でゲームがどうなるかが楽しみだ。

――映画や家庭用テレビ、プレイステーション 3などにも3D化の波が来ていますが、これらについてどう思いますか?

Drew Henry氏: 3Dテレビには「NVIDIA 3DTV Play」というソフトを使えば、PCの映像を3Dでテレビに出力できる。また映画「AVATAR」はQuadroでレンダリングされている。NVIDIAは、5年先を考えて物を作っている。NVIDIA 3D Visionは4年間ずっと作ってきたもので、今後最も大切なプロダクトの1つだと考えている。SamsungやLG Electronicsなどから対応モニターやプロジェクターも発売・発表されており、NVIDIAは3Dにおいて世界的なリーダーになっていけるのではないかと思う。

――複数台のモニターを使った3Dシステム「3Dサラウンド」を展開されていますが、複数台のモニターを使うというトレンドは生まれていますか?

Henry氏: 1枚のビデオカードで3台のモニターに3Dを表示するというのは、グラフィックスのバンド的にとても難しいことをしている。またモニターへの接続についてはDVIだけでなく、DisplayPortにも対応できるので、そういった部分のサポートで広まっていくと思っている。

――欧米とアジアではユーザーの特性が異なります。アジア地域ではGeForce GTX 480の何を訴えていきたいですか?


オープニングセレモニーでは中国の華やかな衣装も着用

Henry氏: いくつかあるが、まずはNVIDIA 3D Visionだ。これにはほとんどのゲームが対応できるので、1つの魅力となるだろう。もう1つは、アジアのゲームは美しく、ディテールにこだわって作っているということにある。例えば私が今日着たようなコスチュームをゲームで作るならば、テッセレーションが要るのではないだろうか。またNVIDIA PhysXも使い道があるだろう。

――GeForce GTX 480の消費電力や発熱についてはどう考えていますか?

Henry氏: 8倍のテッセレーション性能を持つ製品なので、消費電力や発熱もある程度増大するのは事実だ。ただ実際の製品を見る限り、発熱はそれほどでもないと感じている。

――コストパフォーマンスについては?

Henry氏: GeForce GTX 470でも7倍のテッセレーション性能だ。そちらをお選びいただきたい(笑)。

――「NGF 2010」のようなイベントは来年も開催するつもりですか? また日本など他の地域で開催したいと思いますか?

Henry氏: NVIDIAのイベントは全世界でやっていて、中には25人程度の小規模なものもある。これだけ大規模なものはなかなかないが、こういったイベントを開催することは大切だと思っている。(日本のNVIDIAスタッフに向けて)日本でもやればいいのでは?(笑)。


(2010年 4月 11日)

[Reported by 石田賀津男]