Electronic Entertainment Expo 2009現地レポート

THQブースレポート

ショッキングな設定の「HOME FRONT」など4タイトルを紹介


6月2~4日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center



THQブース

 THQは、北米地区では発売されたばかりの「RED FACTION GUERRILLA」を前面に押し出したブース展示を展開していた。

 「Red Faction Guerrilla」は昨年のE3や東京ゲームショウで深く紹介済みであり、日本でも今夏発売予定となっており、今回のE3 2009のレポートでは、この作品以外の目玉タイトルを4つ、ピックアップして紹介する。




■ 「HOME FRONT」
  アメリカ合衆国、北朝鮮に占領される!

ブースの様子

 今年のTHQのイチオシタイトルは間違いなく、この「HOME FRONT」ということになるだろう。

 まず、設定がユニークかつショッキング。舞台となるのは20年後の未来。エネルギー問題と不況の行く末にアメリカ合衆国は国力が弱体化。一方、兵力(予算ではなく兵数)世界第4位の北朝鮮はこの時代、核兵器を保有しており、アメリカ合衆国に宣戦布告後、瞬く間にアメリカ本拠地を占領下に収めてしまう。

 政府を壊滅させられ、軍事解体させられてしまったアメリカ国民は、地下で激しいレジスタンス活動を行なうようになる。

 本作「HOME FRONT」は、この戦況下の物語で、プレーヤーは1レジスタンス要員に扮し、仲間とともに北朝鮮の正規軍にゲリラ戦を仕掛けていく。

 ストーリー構成は、映画「地獄の黙示録」の脚本家として知られるJohn Milius氏が担当していることから、突拍子もない設定ながら、確かなリアリズムが感じられる内容となっている。

 特設シアター内ブースでは、実際に動作するデモ版での実プレイ映像が公開されていた。その内容は下で示している予告編映像のシーンとほぼ同じだ。

 デモは北朝鮮軍に察知されたレジスタンスのアジトが引っ越し準備をしているさなか、北朝鮮軍が攻め入ってくるところからスタート。圧倒的な火力を持つ北朝鮮兵の前に次々に同士達が倒れていくが、レジスタンス側の新兵器の六輪タンク「ゴライア」が颯爽と現われてから形勢逆転……という内容。

 美しいまま残されたアメリカのホームタウンの町並みが、そのまま戦場に変わり、ダイナミックに壊れていく表現がとてもユニークだ。

 ゴライアはプレーヤーが乗って操作するのではなく、プレーヤーがラジコンのように操るというのが特徴的なゲーム要素になる。

 プレーヤーがビーコンを照射するとその位置に移動したり、あるいはそこに向かって攻撃を仕掛けてくれる。これは地味に思えるが実は本作ならではの独特なゲーム性を生み出している。

 まず、このラジコンシステムのおかけで、ゴライアと並行して銃撃が行なえる。背面などのプレーヤーの死角エリアへの攻撃をゴライアに任せて、プレーヤーは正面へ攻撃を集中したり、または、ゴライアと同じ方向に攻撃して正面突破をやりやすくできたりする。

 もう1つはゴライアをラジコン移動させているときに自分もこれを盾にして移動できるという点。遮蔽物のない戦場をゴライアとともに移動することで、敵からの攻撃を回避しつつ、なおかつ反撃しつつ、移動もできてしまうのだ。なんというか、これは喩えるならば、ちょうど「R-TYPE」のフォースのような使い勝手と言ったところだろうか。

 開発はTHQニューヨーク、KAOSスタジオが担当。ゲームエンジンはEPIC GAMESの「Unreal Engine3」(UE3)をベースとしているが、KAOSスタジオが独自にヘビーカスタマイズして使用している。このチューンドUE3は、KAOSスタジオでは別名「DRAMAエンジン」として呼称しているとのこと。そのカスタマイズ部分は物理シミュレーション部分、モーションブラー、HDRレンダリングエンジン部分など、多岐に及ぶという。UE3のカスタマイズは、「EPIC GAMESからライセンスを受けてからすぐにとりかかった」と振り返っており、ゲーム開発期間は約3年半に及ぶという。

 プラットフォームはXbox 360、PS3、PC。発売時期は未定。

【スクリーンショット】

【ティザームービー】



■ 「MX vs ATV REFLEX」
  轍に注意せよ。右スティックでトリックを決めろ!

ブースの様子
右スティックで車両とは独立した形で搭乗者を制御できる

 モトクロス(MX:motocross)と4輪バギー(ATV:all-terrain vehicle)を題材にしたレーシングゲーム。

 当然、舞台はダートコース。泥だらけのマッドコースから、新雪とシャーベットが混ざり合った雪原コースまでのバリエーションを持つ。また、実在のレースイベントにインスパイアされたコースもあり、コースバリエーションは豊富に用意される。

 プレーヤーは2輪車のMX、4輪車のATVのいずれかを選択して出走可能。登場車種は実在のものと架空のものまでを取りそろえる。レースイベントによっては車種限定のものもあり。

 車両制御は新開発の内製車両物理エンジンによる。ダートコースの走破シミュレーションに際しては、専用のリアルタイム地形変形エンジンを会わせて開発することで実現している。

 走行した際にできる轍(わだち)は、見栄えだけでなく、実際のジオメトリレベルの凹凸としてリアルタイムに生成され、しかもゲームが終了するまで残り続ける。また、この轍は、実際のダートレースでもそうであるように、その後の走行に対して直接的に影響が出るようになっている。

 たとえば轍に前輪がはまっている場合はコーナリングが、轍がレール的な役割を果たしてしまうことで、ニュートラルステアからズレを生じてしまったりする。轍に対して垂直に走行した場合は、明らかに凹凸障害としてサスペンションに入力されて直進安定性に影響を及ぼす。

 こうしたダート系レーシングゲームの轍生成システムの実装はPS3の「MOTOR STORM」以降は標準的に実装されるようになってきているようだ。

 ゲーム性は、この手のダートレーシングゲームにしては珍しくシミュレーター系の印象だが、ファン・トゥ・プレイを好むカジュアルプレーヤーにも十分楽しめる内容になっている……としている。

 操作系は左スティックでステアリング、トリガでアクセルとブレーキを操作することになるが、右スティックは乗っている人間キャラクターの重心移動や姿勢制御に割り当てられている。ステアリングを切ることによる方向転換だけでなく、乗っている人間キャラクターの姿勢制御によって車両の挙動をコントロールできる仕組みを搭載しているのだ。

 二輪MXのアクロバット競技モードでは、この右スティックによる搭乗者コントロールは、走破のコントロールではなく、様々なトリックアクションを決めるための操作系として利用することになる。トリックの難度を競う競技モードでは、右スティックの操作コマンドの入力で華麗なトリックの連続技(ウィリーからの逆立ちなど)を決めることが高得点へとつながるようになっている。

 登場する人間のレーサーキャラクターには実在人物も起用されるという。

 オンライン対戦モードも完備。オンラインプレイはシングルプレイ状態からの乱入にも対応しているため、対戦ロビーで無駄にボーっと待っている必要がないのが嬉しい。

 プラットフォームはPS3、Xbox 360。PCはなし。またゲーム性は異なるがPSP版、DS版もリリースされる。発売時期は2009年末を予定。

右スティックでトリックを決めている様子

【スクリーンショット】

【プロモーションムービー】



■ 「DARKSIDERS」
  半神半魔の黙示録騎士ヒーローが悪魔達をぼっこぼこ!

ブースの様子
人類滅亡後の世界観設定と、そのビジュアルの面白さが本作の特徴。「天使と悪魔」の捉え方もユニーク

 天使と悪魔の戦いにより地球上の人類は滅亡。その悪魔軍勢の闇の騎士Horsemanは、その力があまりにも強大だったがために、彼に恐れをなした魔王はHorsemanの魔力の全てを奪い、彼を魔界の奥底に封印してしまう。この裏切りによって絶望にうちひしがれるHorsemanだったが、その絶望は怒りに変わり、怒りは彼の闘志に火を付けることとなる。「天使に追われ、悪魔にも嫌われたダークヒーロー」Horsemanは魔王を呪い、魔界の奥底からこの世の全てに復讐するために立ち上がることとなる。

 「DARKSIDERS」は、人類滅亡後の世界を舞台にしたユニークな黙示録的世界観を題材にした3人称視点のアクションゲームだ。

 同種のアクションゲームが数ある中で、この作品が、なぜか引きつけられてしまうのは、やはり、その独特なアートセンスだろう。世界観設定とストーリー構成、キャラクターデザインを「X-Men」、「Battle Chasers」、「The Ultimates」などの人気のアメリカンコミックの作家として知られるJoe Madureira氏が担当しているのだ。

 ゲームシステムは後方視点を基本とした「God of War」ライクなアクションゲームシステムを採用。ファンタジックなビジュアルではあるがRPGというよりは、ストーリーベースで紡がれるアクションアドベンチャーの体裁となっている。

 各エリアに巧妙に仕掛けられたトラップを回避し、エリアを守るガーディアン的な中ボスを倒しつつゴールを目指す。エリアによってはアクションパズルを解き明かす必要もあり。パズルはマップ内に仕掛けられたスイッチの上げ下げのような基本的なものから、エリアに隠された謎を、与えられた武器の剣、銃、手裏剣を駆使して解き明かしていく高度なものまでが用意されている。

 プライマリ武器は剣。サブ武器に拳、銃、ブーメラン手裏剣があり、これらの武器を切り替えて駆使することでコンボ攻撃が可能。銃撃や手裏剣でひるませて、そこを剣で斬り裂いたり、突き刺したりといったスタイリッシュなバイオレンス・アクションは実に爽快。敵からの攻撃をジャストディフェンスすることでスローモーションに突入するカウンターモードも搭載。カウンターモード時には一方的に相手に多量の攻撃をお見舞い可能。

 サブ武器で特に特徴的なのは手裏剣。狙いを複数ポイントに設定可能で、複数ロックしてから投げると、そのロックポイントを全て経由するように飛行する。複数の敵をスタイリッシュに連続攻撃できるだけでなく、アクションパズルのスイッチ作動にも活用されるので使用頻度は高そう。手裏剣はロックポイントに停滞させることもでき、うまく敵に当てた状態で停滞させれば敵の動きを封じることができる。ここに攻撃を加えればボコボコの連続攻撃が可能だ。

 Horsemanの愛馬RUINは、ゲーム初期状態では敵のとあるボスに奪われてしまっているが、このボスを撃ち倒したあとは随時召還が可能。愛馬入手後は行動範囲も広がり、ボス戦でも乗馬アクションを組み合わせての戦闘が可能になる。馬から下りたり乗ったり、あるいは馬上アクションを決めながらの攻撃も、これまたスタイリッシュで爽快。

 開発スタジオはオースティンに本拠地を置く米Vigil Games。今作のために開発されたゲームエンジンは、Oblivionエンジンと命名されており、その開発には2年以上が費やされている。物理シミュレーションはHAVOKを採用。フレームレート30fps以上を死守。

 プラットフォームはPS3、Xbox 360で、PC版は現時点で予定なし。発売時期は2009年11月10日を予定。日本版のリリースについては前向きに検討中だとのこと。

【スクリーンショット】

【プロモーションムービー】



■ 「Warhammer40,000:SPACE MARINE」
  銀河の彼方で一騎当千なアクションRPG

ブースの様子

 41世紀の宇宙時代をダークなSF観で描いた人気テーブルトークRPG「ウォーハンマー40,000」のアクションRPG化作品が「Warhammer40,000:SPACE MARINE」だ。

 銀河の辺境にある人類の植民惑星に攻撃的な宇宙人ORK族が侵略戦争を仕掛けてきた。現地で苦戦する地球軍に対し、地球軍本部は宇宙海兵隊(SPACE MARINE)の派遣を決断。戦局の転換を狙うのだった。

 同じく「ウォーハンマー40,000」シリーズの世界観をリアルタイムストラテジー(RTS)ゲームで描いた「Warhammer40,000:Dawn of War II」が2009年に既発売となっているが、今作「SAPCE MARINE」は、同一世界観のアクションRPGとなっている。

 主人公は2tの重さの戦闘スーツを着たスキンヘッドの宇宙海兵隊の一員。同じ宇宙海兵隊の仲間とともに、劣勢の地球軍の立て直しを図る。宇宙海兵隊は「Warhammer40,000:Dawn of War II」にも戦闘ユニットとして登場しており、今作はこの戦闘ユニットの主観的な立場の物語となる。

 基本的にはORK族は軍勢で攻め寄ってくる形となり、宇宙海兵隊はこれに対し対等に対抗できる戦力を持つ。有象無象の敵雑魚を簡単なボタン操作だけでドカドカと打ち倒していける一騎当千の感覚は「無双」シリーズを彷彿とさせる。

 アクションRPGということで、「ディアブロ」シリーズのようなネットワーク協力プレイ的な要素を期待してしまうが、担当者によれば前向きに検討中なのだとか。

 その他のゲームの内容についてはまだ、未定の部分が多いとのことで、今回のシアターでの展示は、ムービーのみの公開であった。どうやら、ある意味、シアターでの映像公開は、制作発表の意味合いが強かったと思われる。

 開発は「Warhammer40,000:Dawn of War II」の開発を担当したRelic Entertainment。本作の開発にあたり、ゲームエンジンは新エンジンを起こしており、「Warhammer40,000:Dawn of War II」で用いられたESSENCE ENGINE2.0ではないことが公言された。これは開発チームが別だからだという。グラフィックスエンジンはDeferred Shadingを採用。

 対応プラットフォームはPS3、Xbox 360。PCについては未定。また、発売時期についても具体的なスケジュールは決定していない。

【プロモーションムービー】


(2009年 6月 4日)

[Reported by トライゼット西川善司]