「Fallout 3」のDLC第2弾「The Pitt」5月29日発売
ゲーム実況動画で知られる“えどふみ”さんが重要人物を熱演

4月28日開催




 ベセスダ・ソフトワークスは4月28日、東京都の文京シビックセンターで行なわれた「スタジオえどふみ 設立記者発表会」において、Xbox 360版「Fallout 3」のダウンロードコンテンツ第2弾「The Pitt」を5月29日に発売することを発表した。「The Pitt」はダウンロードによる販売で、価格は800マイクロソフトポイントを予定している。

 「The Pitt」はワシントンDCで展開していた「Fallout 3」からかつてピッツバーグと呼ばれていたThe Pittで物語が進行する。購入すれば中級レベルから挑戦可能だという。The Pittではレイダーが街を支配しており、プレーヤーはレイダーと彼らが支配している奴隷との対立に巻き込まれることになる。

 「スタジオえどふみ」は、ニコニコ動画の“ゲーム実況動画”で好評を博した「えどさん」こと江戸清仁氏と、「ふみいち」こと近藤史一氏の2人が設立する「ゲーム実況動画制作プロダクション」。ゲームメーカーの依頼を受ける形で実況動画を作り、ゲームの楽しさを伝えるコンテンツとしてCMやWeb放送などに展開するビジネスモデルを掲げていくという。発表会では彼らの活動や本の出版について語られた。



■ 鋼鉄の街「The Pitt」。奴隷と支配者の対立の中で主人公が果たす役割は?

「Fallout 3」のプロデューサーを務めるベセスダソフトワークスの岩本けい氏
工場がもくもくと煙を上げているThe Pittの街。ワシントンDCのように完膚無きまでに破壊されている、というわけではなさそうだ

 「The Pitt」は「Operation:Anchorage」に続く「Fallout 3」のダウンロードコンテンツ(DLC)第2弾だ。このコンテンツでは新しい街“The Pitt”が舞台となる。モチーフとなったピッツバーグはかつて鉄鋼の街として栄え、現在はハイテク産業の盛んな場所となっている。「Fallout 3」のThe Pittもまた製鉄の盛んな街になっているようだ。スクリーンショットを見る限り、工場の煙突はもくもくと煙を上げて稼働している。核攻撃の前にほとんどの機能を失ったワシントンDC周辺とは違った光景を見ることができそうだ。

 しかし、The Pittもまた平和な世界ではない。この街は無法者達、レイダーが支配し過酷な奴隷制を敷いている。奴隷達はミュータント化の危険にもさらされており、ボスのレイダーからミュータント化を抑える薬を手に入れる、というのが最終的な目的になるという。DLC第1弾の「Operation:Anchorage」は戦闘に特化した内容だったが、今作は探索や冒険要素が中心になった構成になっているという。

 ボスに近付くために、武器を使って強引に進むだけでなく、奴隷に化けるかなどいくつもの解法がある。また、奴隷側につくか、レイダー側になるかでも展開が変わってくるという「Fallout 3」らしい展開が分岐していく自由度の高いシナリオが楽しめる。また、芝刈り機のような強力な接近戦武器Auto Axe等の新武器、レベルアップ時に得ることができる特殊技能Perksが増えるなど、様々な新要素も追加されている。

 今回、「Fallout 3」のプロデューサーを務める岩本けい氏に話を聞くことができた。「The Pitt」はレベル7程度から挑戦可能だという。戦闘はプレーヤーの努力次第でかなり避けることもできる。今回の装備はユニークで強力だが、癖が強く使い方が限られるアイテムが多いとのことだ。

 展開するストーリーは「Fallout 3」らしくダークなテイストで、プレーヤーはその中でどのような役割を果たしていくのか考えさせられることになる。1プレイで6~8時間のボリュームがあり、複数の分岐点が用意されているため、事前にセーブして違う展開も楽しめる。また、やりこみ要素による報酬も用意されているという。シナリオとして終わってしまっても、再び訪れることも可能だ。

 ちなみにえどふみの2人は声優として「The Pitt」に登場するという。えどさんがThe Pittから脱出してきた奴隷「ワーナー」、そしてふみいちがThe Pittを牛耳るレイダーのボス「アッシャー」を演じる。2人は元々俳優で、岩本氏は知り合ってから彼らと仕事をしたいと思っていて、とんとん拍子で事が進んだという。今回のイベントではえどさんと、ふみいちの2人の発表が中心だが、彼らを応援したいと言うこともあって、今回発売日の発表となったという。

 岩本氏によれば、えどさんはガラガラな声で実況を行なっているが、実際演じるときれいな声で驚かされ、現場でキャラクタの方向性を少しアレンジしたという。ふみいちは年を取った演技をしてもらうというハードルの高い要求をこなし、かっこよく演じたという。この2人がシナリオでどんな運命をたどっていくかを注目して欲しいと、岩本氏は語った。

 異なる勢力の対立、ワシントンDCとは異なったThe Pittという世界、ダークなストーリー……。第1弾の「Operation:Anchorage」はバーチャルシミュレーションと言うこともあり、物語のノリそのものが違ったが、「The Pitt」はより本編に近いテイストがかなり楽しめそうである。どんな展開が待っているか、5月29日の発売日を待ちたい。


左が新武器のAuto Axe。かなり凶悪な接近武器になりそうだ。中央はミュータント化してしまった人間だろうか。できれば出会いたくない怪物だ

最新のスクリーンショットからはThe Pittのダークな雰囲気が伝わってくる。どんなストーリーが展開するのか、早く体験してみたい


■ プロとしてゲームの楽しさを伝える「作品」作りを目指す“ゲーム実況動画制作プロダクション”を設立

「えどさん」こと江戸清仁氏
「ふみいち」こと近藤史一氏

 「スタジオえどふみ 設立記者発表会」では最初にえどさんと、ふみいちのこれまでの活動内容が語られた。最初はニコニコ動画に自分たちの「作品」を発表したいと考え、プレイ動画をアップするようになった。ボケと突っ込みの掛け合いトークを展開したり、「モンスターハンターポータブル2ndG」では、架空の部族「ドルマ族」という設定を作り、ドルマ族として狩りに挑戦する、といった企画が評価され、注目を集めていく。

 ゲーム実況動画の制作者として人気を博したころに主にパチンコやパチスロの情報を提供しているスポニチの情報サイト「7Rush」から依頼が来て、「ゲームラッシュ」というゲーム情報スペースにゲーム実況用の「ゲームクラッシュ」というコーナーを設けてゲーム実況をプロとして担当することになる。「Fallout 3」は単発ではない長期の連載枠として取り上げられており、現在15回を数えているという。

 こうしたノウハウを活かして、えどさんと、ふみいちはゲーム実況動画制作プロダクションを設立した。動画制作にあたり、きちんとゲームメーカーの校正を得た上での配信を行なっている点が他の実況動画制作者と違う点で、今後もゲームメーカーの販促活動の一環として「ゲーム実況」という新しい方式でビジネスを展開していく予定だ。

 発表会ではゲーム実況動画制作の日々や裏話などを描いた4コマ漫画集「えどふみ滅(仮題)」の出版も発表された。コンビ結成から会社設立エピソードなど、様々なストーリーが4コマ漫画で語られ、企画ページなども用意されている。6月24日に書店に並ぶ予定だ。

 えどふみの2人は、自分たちが「役者」であることよりも、ゲームの楽しさを動画で伝えることにフォーカスして動画を作っているという。盛り上がりや落としどころ、流れなどを感じつつ、アドリブと事前の作り方、見せ方を考え「作品」として動画を提供しているという。

 ファーストインプレッションが大事なもの、一度触ってから取り上げる視点を変えて収録するもの、など作品ごとに2人で取り上げ方を相談してから決める。ゲーム実況の経験値を積んだ上で、ゲームの面白さ、特徴、世界観を伝えるための動画を作っているという。ゲームの楽しさを伝える「プロ」として、ユーザーに対する手応えも感じているとのことだ。

 「ゲーム実況動画」というコンテンツはニコニコ動画においてジャンルとして定着した。ただゲームの展開を録画してその場の感想を話す人達や、自分なりのプレイスタイルをアピールする人など様々なスタイルがあるが、「ゲームの面白さを伝える、自分たちの動画そのものを作品としたい」というえどふみ2人の姿勢には、ゲーム情報を扱うものとして筆者も共感を感じた。出版社の企画ではなく、プロダクションとして「スタジオえどふみ」がどんな活躍を見せるのかは注目したいところだ。


左がゲームクラッシュ担当のinfo-Pメディア企画部のマスクド森田氏。中央が「えどふみ滅(仮題)」で4コマ漫画を執筆するクサカベマコト氏。4コマ漫画ではえどふみのこれまでの活動や秘話が語られるという
新しい広告モデルとしてゲーム実況動画をメーカーとユーザーにアピールしていくというビジネスモデル。プロとしてゲームの楽しさを伝えていくことにフォーカスして動画を作っていくという。イベントでは「Fallout 3」のクローンがたくさんいる施設の実況プレイを行なったが、前知識無しに行くことになってしまったため、迷っているうちに終わってしまった。実際の番組は編集を加えるが、「Fallout 3」はこのように迷ってしまう展開も多い。イベント向けと考えると、場所の選択が少し甘かったようだ

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(2009年 4月 30日)

[Reported by 勝田哲也]