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「FFXIV」サウンドディレクターの祖堅正慶氏らが開発に参加。ゲーミングネックスピーカー「SC-GN01」を試してきた

【SC-GN01】

10月22日 発売予定

価格:オープン

想定価格:22,000円(税込)前後

ゲーミングネックスピーカー「SC-GN01」。10月22日発売予定、価格はオープン(想定価格は税込22,000円)

 パナソニックは10月22日発売予定の新作ゲーミングネックスピーカー「SC-GN01」の発表会を本社で開催した。

 このネックスピーカーの大きな特徴は、ゲームサウンド特化のチューニングがされており、首に掛けるだけで7.1chでゲームサウンドを楽しめるように、4つのスピーカーを搭載している点。

 また「SC-GN01」の開発にはスクウェア・エニックスで「FINAL FANTASY XIV」(以下、「FFXIV」)にてサウンドディレクターを務めている祖堅正慶氏と同サウンドデザイナーの絹谷剛氏らが関わっており、「FFXIV」のようなRPGに最適な「RPGモード」を始め、より正確な足音などが聴き取りやすい「FPSモード」や、シナリオの音声などをじっくり楽しみたい時に役立つ「ボイスモード」など、「ゲーマーが欲しい」と思うような様々な工夫が凝らされている。

 この発表会にはオンラインで祖堅氏、絹谷氏らも登壇し、製品の魅力を熱く語ってくれた。ネックスピーカーを実際に体験してきたレポートを合わせて、本製品の特長をお届けする。

「SC-GN01」装着イメージ

自分の首に掛けるだけで、7.1chでゲームサウンドを楽しめる!

 現在のゲームは、5.1chや7.1chで楽しめるものが増えている。一方で、限られた空間の中で5.1chや7.1ch環境を作り上げるのは難しい。また、ヘッドフォンなどのヘッドセットを使用していると、頭の締め付けや蒸れに悩まされたり、家族からの呼び掛けが聴こえないといった不都合も生じる。こういったゲームとゲーマー特有の悩みに寄り添った製品が、この「SC-GN01」。

 現在発売されているネックスピーカーの多くはバーチャルサラウンドで、擬似的に5.1chや7.1chのサラウンドを実現するものだが、「SC-GN01」ではシアタースピーカーの特性を取り入れ、首回りを囲むようにレイアウトされた4つのスピーカーが、ゲームフィールドに入り込んだかのような没入感を実現。「TRUE MAGESS」と名付けた技術により、独自のデジタル処理とゲームサウンドに最適なチューニングで、4つのスピーカーがオブジェクトの位置や移動をクリアに再現する。左右2chのステレオサウンドも、4chへと自動的にアップコンバートされ、奥行きのあるサラウンド環境でゲームを楽しむことができる。

 通常のヘッドセットの場合、耳の中に直接音を届けるが、ネックスピーカーの場合は頭の外で鳴っている音を耳で拾うため、ヘッドセットとは全く異なる音の広がりを感じられるのだ。

 更に、低域部分を仮想再生する「H.BASS」技術によって、本来小型スピーカーでは再生するのは困難だった80Hz以下の低音を、疑似的に知覚できるように再現。ゲームプレイに充分な低音を再生することに、成功した。

 また、「FFXIV」サウンドチームとの共同開発による、ゲームならではのこだわりの仕様・音質を実現。ジャンルに合わせて、ゲームの世界にいるかのような臨場感と迫力が楽しめる「RPGモード」、正確な音の定位が得られ足音などが聴き取りやすい「FPSモード」、人の声を聞き取りやすくする「ボイス強調モード」、立体的な迫力を満喫できる「Cinemaモード」や、拡がり感のあるサウンドを再現する「Musicモード」などを搭載。

 これらの設定は「SC-GN01」についているサウンドモード切替ボタンを押すだけで簡単に変更が可能で、ゲーム中にいちいちボタンを確認する必要なく、その時に必要なモードに切り替えられる。モード切替時に音声ガイドで現在のモードを知らせてくれる親切設計のほか、音量調整やマイク・サウンドのオンオフも本体のボタンで簡単に調整できる。

 耳をふさがず肩に乗せるネックスピーカーには重量や硬さの問題もあったが、「SC-GN01」では長時間の使用でも快適に使用できるようにシリコンゴム製のパッドを使用し、本体重量は約244g(ケーブル・USB端子除く)に収めた。人体データ分析に基づいて快適な付け心地を追及しているほか、ネックスピーカーの弱点であったボイスチャットも、ゲームサウンドに干渉されることなく会話できるエコーキャンセルマイクを搭載する。

 接続方法はUSBケーブルによる有線接続。PC(Windows10)やPS4、PS5、Nintendo Switch(TVモード時)にはUSBケーブル1本で接続が可能だ。また、ケーブルの長さは約3メートルあるため、様々な環境でもかなり余裕を持った使用ができるようになっている。ただし、Xbox OneおよびXbox Series X|S、テーブルモードや携帯モードで使用時のNintendo Switchの場合、給電用のUSBケーブルに加えて3.5mmオーディオケーブル(付属)による音声接続が必要となる。

 また、本製品をベースとした「FFXIV」とのコラボレーションモデルが発売予定。「FFXIV」専用デザインの本体とパッケージとなる予定だ。詳細は後日発表予定なので、楽しみに待っていてほしい。

祖堅氏や絹谷氏が、「SC-GN01」共同開発について語った!

 祖堅氏と絹谷氏は、「SC-GN01」の共同開発について「FFXIV」のサウンドに関わる立場からの視点はもちろん、自身らも非常にゲームが好きなため、ゲーマーとしての意見も交えて、開発の初期の頃から協力していたという。そもそも祖堅氏と絹谷氏らは、2019年1月にパナソニックが発売した「FFXIV」推奨サウンドバー「SC-HTB01」でも開発に協力しており、USBケーブルの長さを3メートルにしたのも祖堅氏のアイディアだったことを明かした。

ファイナルファンタジーXIV サウンドディレクター・祖堅正慶氏
ファイナルファンタジーXIV サウンドデザイナー・絹谷剛氏

 ゲームと言っても実に様々な状況があり、バトルのシチュエーション、ドラマチックな演出のストーリー、広大な景色、森などの環境音といった多様なシチュエーションに合うものを目指したそうで、サウンドを作る立場からも交えて「こういった音を聞いてほしい」と思うバランスの調整を行ったという。

 また、祖堅氏と絹谷氏は「オーバーウォッチ」等のFPSゲームでも本製品を使用してチェックしたそうだが、足音などは本当に自身の背後から迫ってくるように感じ、直感的な操作ができたそうだ。

後ろから敵の足音が聞こえた時は、まさに首の後ろが冷たくなるような感覚がしたと、絹谷氏

 ボイスチャットが盛んになってきたからこそ、ネックスピーカー使用時の干渉も気になるところだが、その点も本製品ではかなりクリアにできたとのこと。

 ネックスピーカーの利点である、頭や耳を締め付けない点にも気を配りし、昨今増えている長時間のビデオ会議などに使用しても頭や耳、肩が疲れないのはもちろんのこと、ゲームの長時間使用にも耐えうるデザインになっており、ゲーム用としてだけではなく様々な人に様々なシーンに合わせて使えるようにしているそうだ。

 2人は、このネックスピーカーを使って遊んでほしいゲームはもちろん「FFXIV」と笑いつつも、「足音や相手の息遣いまで聞こえてきそうなFPSやTPSなどの対戦ゲームもすごく遊びやすいですし、ホラーゲームとかもこのスピーカーで遊んだらめちゃくちゃ怖いと思います」と語り、更にはサラウンド対応の音楽なども全然違って聞こえると述べた。そして今後「FFXIV」モデルが出ることにも触れ、ぜひ期待をして待っていてほしいと語った。

「SC-GN01」を実際に体験してみた

 会場には「SC-GN01」の体験コーナーがあり、「SC-GN01」で「「FFXIV」の「暁月のフィナーレ」の公式トレイラーを見たり、実際にゲームを楽しむことができた。ここからはその模様をお届けしよう。

装着時はちょうど肩の真上あたりに操作ボタンがくるレイアウト

 まず肩に掛けた時だが、肩凝りの酷い筆者でも全く気にならない重さと装着感だった。そして次はスピーカーから溢れる音に驚いた。まさに“音に包まれている”と言っても過言ではない。モードの切替もボタンひとつで装着したまま行え、切り替える度に音声ガイドの案内が入るので、今どのモードにしているのかがすぐわかる。ボリュームも同じように本体のボタンで手軽に変えられるが、ボリュームを最大まで大きくすると周囲の声はほぼ聴こえないくらいになった。音で作られた密閉空間に、閉じ込められたような感じだ。

本体側面に操作ボタンを配置。左側はマイクミュートとサウンドモードの切替ボタン。3.5mmプラグのジャックも配する

 試しに「RPGモード」や「ボイスモード」などで「暁月のフィナーレ」のトレイラーを楽しんでみたが、RPGモードは音楽がサウンドエフェクトの効果を厚く感じる代わりに、キャラクターのボイスは僅かにボヤけるような感覚があり(とは言っても気になるほどではない)、ボイスモードにすると包囲感は少し減るもののセリフはクリアに聞き取ることができた。「FFXIV」の場合に限って言えば、通常のゲーム内ではテキストと共にボイスが再生されるため、自然とテキストで補正されてボイスを聞くことができるが、トレイラーのように字幕がないセリフの場合は、ボイスモードでも流してみると違った楽しみ方ができそうだ。

【FINAL FANTASY XIV: ENDWALKER Full Trailer】

 他のゲームもプレイさせてもらったが、自分の足音やアイテムを取る時の音なども非常にクリアに聞こえ、こだわりのBGMからサウンドエフェクトまでばっちり味わうことができた。残念ながら今回試遊できたものにホラーゲームはなかったが、確かにこの臨場感でホラーゲームを遊べば、ヘッドフォンプレイとはまた違う、現実味のある音を肌に感じながら遊ぶことができるのではないだろうか。

 ちなみに同行の担当編集にも装着してもらいボリュームを最大にしてもらったが、1メートルほど離れた筆者にも音は届くものの、騒音的な意味では全く気にならなかった。(もちろん、聴こえ方には個人差がある)筆者も最大ボリュームを体験してみたが、最大時だとヘッドフォンで周囲の音を遮断しているような状態に近くなる。

 筆者は、現在マンション住まいで60インチテレビにPS5、サウンドバーという環境でゲームを遊んでおり、大画面と大音響でゲームや映画を楽しむのが趣味なのだが、この環境で問題となるのは、周囲への騒音だ。せっかく環境を整えても、筆者が主にゲームを楽しむ深夜帯はサウンドバーを使用して大音量では楽しめないので、サウンドバーの出番はあまりなくなってしまった。また、筆者は外耳道炎を患っているため、イヤフォンもヘッドフォンの装着もできない。(残念ながら、イヤフォン・ヘッドフォンの多用による耳のトラブルは実際に多いのだ)

 ……というような難問だらけの環境でも、ネックスピーカーならば耳を傷めることなく、細かい音を感じることができる。音量を小さめにしておけば、音を聞きながら周囲との会話も可能なのが嬉しい。

 また前述の通り、筆者は60インチテレビにてゲームをプレイしているため、座る位置は画面から2メートルほど離れているのだが、「SC-GN01」のケーブルは約3メートルほどあるので、楽に遊べる長さだ。「コードレスではないの?」というところに不満を抱く人もいるかもしれないが、ゲームに於いて音の遅延は致命的な問題だ。コードレスでも可能な限り遅延をなくした製品もあるものの、「SC-GN01」はゲーマーに特化した製品だからこその、USBケーブル接続と言えるだろう。また、USBケーブルから電力供給されているため、ゲームの途中でバッテリー切れを起こすことがない。

本体のボタンから手軽にミュート、ボイスチャットのオンオフができるため、急な来客などにも対応しやすい。

 気になる価格は、オープン価格。恐らくは22,000円ほどになるという見通しだが、価格は変動が有り得るため目安程度にしてほしい。発売日は2021年10月22日を予定している。

 今回は「Cinemaモード」や「Music」モードなどの差まで比較できる時間がなかったものの、重さ、装着感、音のサラウンド感など、本当にゲーマーに配慮している製品であることを感じることができた。ゲームや映画が好きならば、ぜひ購入を検討してほしい。