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「トリカエシノツカナイコトヲ……」。ハロが話す“濃すぎるガンダム話”

バンダイナムコグループ、CEATECに多彩なロボを出展

10月3日~10月6日開催



入場料:
一般 1,000円(税込)
学生 500円(税込)

 データ駆動、情報活用という“新しい社会”の到来へ向けたモノ・サービス・テクノロジーが一堂に会するCEATEC JAPAN。バンダイナムコグループは今回「BN・Bot PROJECT」として初出展を行なった。

 バンダイナムコグループはこれまで他の企業とコラボレーションや協力で出展したことはあるが、単独での出展は初めてだ。「BN・Bot PROJECT」は、バンダイやバンダイナムコ エンターテイメントやバンダイナムコスタジオ、wizといったグループでのロボット関連研究を1つのプロジェクトに集約していく場になるという。

 今回の「BN・Bot PROJECT」の出展では様々なロボットプロジェクトが明らかになった。この出展の大きな特徴は「玩具化・商品化」を前提としているところだ。「ガンシェルジュ・ハロ」のように商品としての形そのものを提示しているものもあれば、様々な玩具に活用できそうなシステムをアピールしているモノもあった。本稿では「BN・Bot PROJECT」の各取り組みを紹介したい。

びっくりするほど濃いセリフ引用。「ガンシェルジュ・ハロ」の楽しさ

 今回の目玉といえるのが「ガンシェルジュ・ハロ」である。ハロは「ガンダム」シリーズのマスコットと言えるロボットで「機動戦士ガンダム」から様々な作品に登場している。「ガンシェルジュ・ハロ」のデザインは、アニメ「機動戦士ガンダム」に登場したハロをモデルとしており、大きさは直径19cm、劇中のハロより小さめのサイズだ。現在は価格、発売日未定。

「ガンシェルジュ・ハロ」は直径19cm、劇中のハロより小さめのサイズだ
手足は差し替えパーツが用意されており、ディスプレイすることも可能

 この「ガンシェルジュ・ハロ」は“会話”が得意だ。そしてその会話はとんでもなく濃い。「アムロについて教えて」、「アムロ……トリカエシノツカナイコトヲシテシマッタ……」。「アムロ……ヒカリトヒトノウズガ……ト、トケテイク」。などなど、コアなガンダムの台詞を話していく。ハロの声優は「劇場版Zガンダム」でハロを担当した新井里美さん。無機質な調子で濃いガンダムの台詞が流れるその雰囲気が楽しい。

 会場では「アムロについて教えて」などの言葉に反応し何パターンもの言葉を返してくる上、「ガンキャノンについて話そう」など話題を振ってくる。話しかけてくるこちらの単語に反応するだけでなく、自分から会話を促しガンダムの会話を楽しむことができる。

 さらに“動き”も特徴だ。ゆらゆら左右に揺れ、目や口を光らすことで表情、感情を主張する。ユーザーの顔を認識し、体を振ってユーザーの方に向く機能も搭載されている。またふたを開けて手足を取り付けることで固定し飾ることも可能だ。

 担当者に話を聞いてみたのだが、今後商品化を行なう際はWi-Fiで繋がり膨大なデータベースから会話が楽しめるという方向で開発が進められている。Wi-Fi環境があればPCやスマホがなくても独立して機能するが、スマホとの連動機能も持たせており、スマホを使って目覚まし時間を設定するとハロがしゃべり出したり、Bluetoothのスピーカーとしても機能するとのことだ。

 本商品はやはり“濃さ”が楽しい。「コレガウンメイナラ……ヒドスギルワ」など、ハロがいきなりヘビーなセリフを話す。コアなガンダムファンはこのキーワードだけで「ガンダム」の記憶の奔流に巻き込まれ、作品世界に入り込んでしまう。何のセリフを話すか予測できず、思わぬセリフで心が動揺し、そのセリフのバックストーリーがあふれかえってくる。

 「会話ロボット」はこれまでもいくつか販売されているが、「ガンシェルジュ・ハロ」は、「ガンダム」を濃く楽しむツールとしてコミュニケーションロボットの新たな方向性を提示する商品だと感じた。会話が通じなくても、その言葉を発する風景そのものがエンターテイメントなのである。

【「ガンシェルジュ・ハロ」、会話デモ】

【「ガンシェルジュ・ハロ」、アクションデモ】

そのキモさがカッコイイ! アニメのような多脚型ロボ「メカモン」

 「メカモン」は、4足歩行のロボット。4つの足をガシガシ動かして歩く姿はかなり生物的で、大きな虫が動いているかのようなちょっとした気持ち悪さもある。その無骨なスタイルが「機械生命体」を思わせて、独特のかっこよさを生み出している。

デザイン、動作にこだわりが感じられる「メカモン」。青い突起が頭で頭がついている方が“前”となる
会場にはよりアニメっぽいアレンジデザインも展示

 「メカモン」はBluetoothを通じてスマホの専用アプリで操作できる。前進後退、左右旋回など、バーチャルスティックを使ってラジコンのように操作するだけでなく、動きをプログラムしショートカットに登録させることで様々なアクションをさせることが可能だ。

 2体での「相撲」のような対戦ゲームもできるし、赤外線センサーで周囲の状態も認識できる。アプリと連動することでARゲームもプレイ可能。敵弾をかわしながら敵の陣地へ進行する、といったゲームを遊ぶこともできる。

 さらにボディのカスタマイズ、アレンジも視野に入れている。今回提示されたのは装甲板に覆われたタイプで「パトレイバー」のレイバーのようにも、ガードロボットのような雰囲気にも感じられた。メカデザイナーによるデザインボディなどはかなり人気を集めそうだ。

【ちょっとキモイ動作も魅力。対戦も可能な「メカモン」】

他にも様々なロボットを展示し、ロボット玩具の未来を提示

 参考出展だが「学習型会話エンジン キューシロー」は、おなかについたクリスタルと頭に着けたダイヤル型スイッチに特徴があるロボット。ロボット単体ではなく、それを駆動させている会話エンジンこそが商品である。

「学習型会話エンジン キューシロー」を搭載したデモロボット。お腹のクリスタルを入れ替えることで得意な話題が変わる
気に入ったフレーズを話したときは頭のダイヤルをなでる問うに回してやると、そのフレーズの頻度が上がる。好もしくないと思ったときはダイヤルを叩くと頻度が下がる。この時ダイヤルは青く発光する

 「キューシロー」は覚え込んだ会話を分解し喋る「Aは赤い」、「Bは白い」など言葉を覚えさせると「Aは白い」といった組み合わせを話し始める。このアクションに対しユーザーは好もしい言葉と思えば額のダイヤルを頭をなでるように回す。好ましくないと思えばダイヤルを軽くたたくようにする。

 こうすると好もしいと思った言葉の組み合わせを頻繁に話し、たたかれた言葉を減らす。こうしてデーターの優先度を設定することで、より楽しい会話をしよう、というのが「キューシロー」の狙いだ。

 さらに胸のクリスタルで会話のジャンルを設定できる。ユーザーが緑のクリスタルをキューシローに着けているときはゲームの単語や情報を覚えさせる。青のクリスタルの時はスポーツ関連を話す、というように言葉のジャンルを設定することで、クリスタルを付け替えると全く違う反応を示すようになる。

 会話データそのものは本体に蓄積されていくが、クリスタルによって「性格付け」を可能にしたところに新しさがある。そして頭の評価システムで使用頻度を設定することで会話を面白くしていく、というのが「キューシロー」の目指すところなのだ。

 会場ではさらに「NABACOM」と、「ほんわりロボットシリーズ」という2つのロボット技術が出展されていたので、こちらはキャプションで紹介したい。「BN・Bot PROJECT」の面白さは“玩具化”を前提にしているところだ。遊んでどう楽しいか、ユーザーをワクワクさせられるか、そして、“安価”で提供できるか、というところにバンダイナムコグループならではの挑戦がある。

 全ての商品に高度で多彩な機能を持たせるのではなく、機能を絞り割り切った特性、遊び方を実現させるという方向もきちんと模索しているところが面白い。「BN・Bot PROJECT」が今後のロボット玩具ビジネスにどうアプローチしていくか、注目したいところだ。

【NABACOM】
「NABACOM」は様々な玩具に新しい楽しさを加えるシステム。LEDの色やサーボの動作をパラメーターで制御できるため、プログラム言語を覚えず直感的に様々な機器を制御可能にする“マイコンシステム”。デモでは「ユニコーンガンダム」の各部のLEDの色を制御したり、ボタンを押してからの反応時間や、首のサーボの動きを設定できた。「原作と違う光り方もできるので撮影不可」とのことなので、光ってない状態を許可を得て撮影した

【ほんわりロボットシリーズ】
じわじわと動くそのゆっくりした動作が魅力のロボット。「ノロボ/パンダ・ナマケモノ」は8時間かけて12cmの距離を動くという、見ているだけでは動いているのがわからないほどの動作をするロボット。会場では5分で12cmを動くという「タイマーモード」でのデモを行なっていた
「オテントロン」は植木鉢を載せることを前提としたロボットで、光センサーを搭載しており、日なたを求めてゆっくりと動く