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【特別企画】「Logicool G」シリーズ、「PUBG」で“ドン勝”できるマウスはどれ?

ゲーマー4人で触り比べ。みんなが重視するポイントはどこ?

 PCゲーマーにとって「操作デバイス選び」は、ゲームを楽しむうえで重要なテーマの一つだ。ジャンルやタイトルにもよるが、ことPCというプラットフォームの操作デバイスとしては、今でもキーボードとマウスが主流といって差し支えなく、特にRTSやFPS、TPSといったジャンルにおいては、操作の快適さがゲームの成績に繋がりやすい。それだけに、操作デバイスの選び方にこだわりを持つプレーヤーは数多い。

 ゲーム操作デバイスとしてのマウスは、操作キャラクターが視界を動かしたり、敵に狙いを定める役割を果たすことが多い。ゲーミング向けに発売されている製品であれば、普通のマウスよりも多くのボタンを備えていたり、有線と無線を切り替えられたりといった独自の機能を持ち、形状に関しては、プレーヤーの操作を補助する方向性の工夫が施されている。通常のマウスとして見て高いスペックを持つ点も特徴的だ。

 また、持ち方に個人差が大きいのもキーボードとの大きな違い。量販店などでマウスのコーナーに立ち寄ると、様々な機種を試せるようになっているのを見かけるが、それだけ自分に合ったマウスを選ぶことは、多くの人にとって重視されているということだろう。

 ゲーミングマウスを選ぶにあたって重視するポイントは人によって違うが、ではPCゲーマーにとって、具体的にどういった点がマウス選びの決め手になっているのだろうか?本記事ではいくつかのサンプルをもとに、人によって異なるマウス選びの基準について考えてみたい。

 ここでは「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(以下PUBG)での使用シーンを想定して、筆者を含む4人の意見を収集し、マウス選びに関するそれぞれの見解を簡単にまとめてみた。試用したのはロジクール製のゲーミングマウスの中でもTPS/FPS向けの4機種。読者のマウス選びの一助になれば幸いだ。

ハイエンド級最新ゲーミングマウスの現行3機種+ロングセラー1機種

 今回、ロジクールの協力によって試用の機会を得たのは「PRO」、「G903」、「G703」、「G402」の4機種。

 PROは、シンプルな6ボタン構成と83g(ケーブルを含まない)の軽量ボディを有するゲーミングマウス。2013年に発売した「G100s」の左右対称形状路線を引き継ぎ、細かい操作がしやすい小ぶりな本体サイズと重量は、マウス本体を手の中で挟むように持つ、いわゆる「つまみ持ち」に適している。有線のみという割り切った仕様も特徴的だ。

PRO

 G903は、無線/有線両対応のハイエンドマウス。形状は左右対称型で、重量は110g。ボタン数は11個と今回最多。無線充電マウスパッド「POWERPLAY」に対応するほか、設定プロファイルを保存できる内蔵メモリを備えるなど、非常に高機能。バッテリー内蔵の無線マウスとしては比較的軽く、PRO同様、つまみ持ちに適する。

G903

 G703は、G903と同等のセンサーを搭載した無線マウス。ボタン数は6つで、形状は左右非対称だが基本的なスペックと機能はG903に準ずる。重量は107g。マウス全体を握る「かぶせ持ち」と、つまみ持ちの両方がしやすいサイズ感と重量を有する。

G703

 G402は、2014年発売の有線ゲーミングマウス。無線充電など最新の機能には非対応ながら、握りやすいかぶせ持ち向けの形状や、ゲーミングマウスらしい高い性能で今なお強く支持されているロングセラーモデルだ。ボタン数は8、重量は108g(ケーブルを含まない)と、今回試用する4機種の中では最も重い。

G402

重視するポイントは「持ち方」と「サイズ感」

 この4機種を「PUBG」で試用したのは筆者と、本誌編集者の中村、本誌担当営業でベテランPCゲーマーの圓井、カジュアルゲーマーの出雲の4人。それぞれPCゲーマーとしては異なるキャリアと志向を持っており、4機種の試用を通して、各人の視点から最も使いやすいマウスを挙げるのが本記事の主旨となる。

 それぞれのスタンスをもう少し詳しく説明すると、筆者と圓井は2000年代初頭頃からPCゲーム、特に「Battlefield」シリーズや「Team Fortress 2」といったFPSをメインにプレイしてきており、今年に入ってからは「PUBG」をそこそこ程度に遊んでいる。両者ともいわゆる「ドン勝」(1位になること)の回数は数える程度だ。

 出雲は家庭用ハードのタイトルをメインにプレイするカジュアルゲーマーで、最近遊びたいゲームはNintendo Switchの「ゼルダの伝説」。PCゲームの世界に踏み込んだのはここ数年のことで、「PUBG」の平均成績は30~50位の間といったところ。「ドン勝」は未経験とのこと。

 中村は、インプレスに入社する前のアスキー時代からPCゲーム担当で、4人の中ではもっとも長いキャリアを持つ。FPSからRTS、レース、カードゲームまであらゆるジャンルを遊んでいるようだが実力は今ひとつで、「ドン勝」は未だ未経験。マウスの好みは、状況や調子に合わせて持ち方が変えられる柔軟性を備えたモデルが好み。

 上記4名のプレーヤーには、ロジクールの4機種について実際に「PUBG」で使ってもらい、最も使いやすかった機種と、その理由について話してもらった。

圓井

圓井は2000年代中盤頃、Battlefieldシリーズで日本代表に選ばれたこともあるベテランだ

 ぼくはかぶせ持ちとつまみ持ちの中間で、マウスを掴むような持ち方をするので、今回試した4機種の中では、左右対称で重量が軽めの「G903」と「PRO」がしっくりきました。あえてどちらかを選ぶならPROかな。

 マウスの操作では右手の小指をマウスパッドにつける癖があって、手首を軸にしながら薬指と親指でマウスを固定して、指の伸縮で操作をします。マウス感度も高めに設定して細かく動かす使い方なので、マウスの重さはぼくにとって重要度の高い要素です。PROもG903もほぼ同等の使い心地ではあったのですが、長時間プレイするケースを考えるならば、やはり、より軽量なPROの方が疲れにくかったです。

 PUBGは索敵が重要なゲームなので、折を見ては前後左右を素早く見回す必要がありますよね。ぼくの場合はそれを最もやりやすかったのがPROでした。また、銃を構えたときにエイム(狙い)がぶれてしまうことがありますが、それを元の狙いにより素早く戻すのも、PROの方がやりやすかったように思います。

三人称視点のモードでは、前方だけでなく周囲を見回して索敵することも非常に重要となる

 あと細かいところなんですが、掃除がしやすそうな形をしているというのも個人的には良かったです(笑)。ゲーミングマウスって複雑な形をしているモデルが結構あって、凹凸に沿って清掃をするのが大変なのですが、PROの場合は癖のない素直な形をしているので、長く使う場合のメンテナンス性もよさそうですよね。

G903のクリックボタンは独特の形状を有する

出雲

出雲は女性ならではの視点でマウスの使用感を指摘。女性の手のサイズでは使うのが難しい現行機種もあった。

 私は手首をマウスパッドにつけて、どちらかというとかぶせ持ちに近い持ち方をしますし、手もそれほど大きくないので、高さが低く、平坦な形の「G402」が一番使いやすかったです。完全に右手で使う形になっていて握りやすく、親指のポジションが落ち着くのが良かったと感じました。

 G903やG703を使ってみた感じでは、マウス後部の高さがありすぎて、指がクリックボタンに届きにくいように思います。PUBGでは物を拾うときにドラッグ&ドロップをするのですが、クリックをミスして物が掴めないことが何度かありました。

 私は手の大きさからして、小さいマウスでないと指が届かないので、背が低いマウスを好きで使っています。サイズ感的には、PROも使いやすかったです。

4機種の中では平坦な形状をしているG402。一世代前の製品だが今なお高い人気を誇る
マウスの形状やサイズが手の形に合わないと、アイテムルートの時に操作がもたつくこともありうる

関根

筆者。ゲーミングデバイスは「手の一部」のような意識で使えるのが理想と考える

 私はつまみ持ちでマウス感度を下げて、操作量の多い使い方をするので、ゲーム用のマウスとしては軽量な「PRO」を推したいと思います。

 マウス感度が低いとエイムがぶれにくい一方で、方向転換などの視点移動でマウスを激しく振るような操作をします。こうした場合にマウスの重さは長時間使用時の疲労感に直結してくるので「マウスは軽ければ軽いほど良い」と考えています。

 PROを評価したもう一つのポイントは「サイドボタンの位置と形状」です。私はPUBGのキーアサインで、2つのサイドボタンに「しゃがみ」と「伏せ」をそれぞれ割り当てて、とっさに押しやすいようにしているので、サイドボタンの操作感は重視しているポイントの一つでした。

サイドボタン(「PUBG」では「親指ボタン」)にしゃがみと伏せを割り当てているところ。元々割り当てられていたキーアサインはさらに別の操作に割り当てることもできる

 PROのサイドボタン形状はG402と同様に凸型で、指先の感覚だけで思った通りのタイミングで押せる点に魅力を感じました。G703はサイドボタンが平坦な形状をしており、クリック感もPROには及ばない印象を受けます。一方でG903のサイドボタンは左/右クリックボタンとの位置関係から見ても絶妙な配置になっており、こちらは快適に使用できました。

PROのサイドボタンは立体感のある凸型
G703とは明確にボタン形状が異なる

中村

今回話を聞いた中では最年長。古くからのゲーマーとして、デバイスの使いこなしには譲れない一線がある

 “ゲーミングマウス”なんてまだ存在しない、それこそオプティカルセンサーだの、レーザーセンサーだのという遙か前、まだマウスの中にボールが入っている時代からPCゲームが遊んでいた人間としては、今のマウスは、どれも素晴らしい性能を備えていて、触り比べて好みで選んで置けば間違いないとハッキリ断言できると思います。

 その前提の上で好みを語ると、マウスに関しては割と保守的な方で、とにかくシンプルで使いやすいものが好きです。ただ、ここが重要なところですが、いつも同じ状況でマウスを触れるわけではないので、使い手側の変化に対して柔軟に対応してくれるマウスがお気に入りです。

 たとえば、たまの休みにFPSでも遊ぼうかという時、こういう時は体はやや前傾姿勢、マウスは少しつまみ気味に持ち、少しでもエイミングを素早くしようと努力します(その努力はあまり功を奏さないわけですが)。

マウスの使いこなしはエイミングの精度に直結する

 あるいは今日は気分を変えてじっくりストラテジーゲームでも遊ぼうかという時、こういうときは指で支える“つかみ持ち”がいい感じです。ユニットの細かい単純操作が多いことと、指先の動きだけで操作できるため、最小限のエネルギー消費でゲームが楽しめるからです。

 そして仕事疲れで帰って来て、少しだけ遊ぼうかという時、こういうときは断然かぶせ持ちです。気持ちとしてはどーんとマウスに体を預けている感じ。パフォーマンスは前の2つの持ち方より下がりますが、それでいいんです。何せ疲れているから。

 というわけで、マウスの形状によって持ち方が強制されず、どのような持ち方も可能なある程度の大きさがあり、それでいて軽く、そして常にケーブルの取り回しを気にしなくて済むマウス。選択肢は自ずと「G903」に絞られるかなと思います。

 仕事柄、すべての「Logicool G」シリーズのマウスを触っていますが、どれを触っても、最終的に「G900」に戻ってしまう感じで、公私共々、「G900」シリーズを使っています。「PUBG」でも断然「G900」ですね。

G903は、G703と並んで有線/無線両対応。無線充電機能「POWERPLAY」に対応する点も大きな特徴となる

※G900は現在では廃番だが、後継機として同じ形状の現行モデル「G903」が発売中。

マウス選びは“ゲーム体験の質”を向上させる第一歩

 ゲーミングデバイスとしてのマウスを選ぶ基準は人それぞれだが、共通しているのは、ゲーム体験の質を高めるために、あえてゲーミング用途のグレードを選ぶという点だ。確かに、ゲームを操作するだけであれば、安価な製品でも役割を果たすことはできるだろう。しかし、コンマ一秒の反応がプレーヤーの勝敗を分ける世界では、デバイス側の性能がプレーヤーの反応に追従できなかったばかりに、勝負に負けてしまうこともありうる。

 特にPUBGでは、音を頼りに曲がり角から来る敵をショットガンで狙う、屋内で待ち伏せをして敵がドアを開けた瞬間にアサルトライフルで蜂の巣にする、あるいは木陰から敵がこちらを狙って頭を出した瞬間にスナイパーライフルで撃ち抜く、といった局面に立たされることも多い。レティクルをきちんと狙った場所で止められるか、あらゆる局面の一瞬一瞬でゲーミングデバイスとしての性能が問われる。

 もちろん、デバイスはプレイヤースキルを超えた結果を出すことはできないが、少なくともプレイヤースキルと結果の間でボトルネックになることがあってはならない。ゲーミングデバイスが総じて高スペックなのはそのためでもある。

「PUBG」の操作設定では、スコープ倍率別に感度を設定できる

 とはいえ、PUBGはエイミング以外のプレイヤースキルも勝負を左右しやすい要素であり、ほぼ確実に勝てる時以外はあえて積極的に攻めず、ひたすら家の中や草むらに隠れ続けるプレイも、それはそれで楽しいものだ。

 そうしたスタイルを採る際にも、ボタン形状や配置という面で各ボタンにアクセスしやすいゲーミングマウスがおすすめだ。先述の通り、筆者は「しゃがみ」と「伏せ」を前後のサイドボタンに割り当てており、かなりお世話になっている。これのお陰で勝てた勝負もあると思う。近年のPC用タイトルでサイドボタンへのキーアサインを用意しているのは比較的普通なので、PUBG以外でも快適に使えるだろう。

エイムが得意でなくても、立ち回りで上位に食い込める(こともある)のが「PUBG」のいいところ

 ありていに言って「ゲームを快適にプレイできる」という体験は、実際に良い道具を使わないと味わえないものだ。デバイスの性質にもそれぞれ固有の方向性があるので、一概に高価なものを選ぶのが正しいとも言えない。

 ただ、普通のマウスとゲーミングマウスの違いは実際に触れて、比較してみれば明らかである。PCショップなどの店頭で触れる機会があれば是非とも試してもらいたいし、好みの製品があれば、末永く愛用していただきたい。今回はロジクールの協力を得ることができたが、同社に限らず、多くのゲーミングデバイスは、それなりにお値段がするだけの価値があるカテゴリーの製品なのである。

「PUBG」は敵を先に発見した方が圧倒的に有利。一瞬の判断が生死を分けることも毎度のことだ
良いデバイスと少しの運さえあれば「ドン勝」もそう難しい目標ではない、かも!?