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特撮ファン必見のVRゲーム! 「Star Child」
巨人の視点を体感できる、目の前のジオラマでキャラクターが動く感触
2017年6月17日 17:34
PS VRコンテンツとして開発されている「Star Child」は非常にユニークなVR表現をしている作品だ。筆者のような“特撮好き”、“ジオラマ好き”の人に、特に注目してもらいたいゲームなのである。
本作はまだ開発中であり、今回はコンセプトの提示に過ぎない。謎の先史文明を探索する女性冒険者、彼女は遺跡を探索しスイッチを作動させることで巨大なロボットを目覚めさせる。冒険者と巨人は運命的な“出会い”を遂げる。
物語としてはこれだけだ。ゲーム性もとてもシンプルで、2Dアクションゲームそのまま、女性冒険者を操作し作動スイッチを探し出し、巨人を起動、全部で5分も満たずに終わってしまうコンテンツである。まだまだ開発中のデモというだけで、本当のゲーム性を盛り込むのはこれから、というところだろう。ゲーム性そのものにも新しさはない。
しかし、その“視点”が良いのだ。VRヘッドセットの中で広がるのは広大な空間、まるで鉄道模型に思いっきり顔を近づけて、動く電車を見ているような感覚で、女冒険者が動いているのを見れるのである。もちろん自分で操作しているのだが、かわいらしい生き物が目の前を動いているような感覚でキャラクターを見れるのだ。
視界はフィールドが広がっているのだが、もし体があったら確実にめり込むような範囲で描画されている。胸のあたりにフィールドの地面があり、丈の長い草が生えている場所などでは視界を下げると女冒険者が草の影に隠れてしまいそうになる。思わず手を伸ばしてフィールドに触りたくなるリアルな存在感が楽しい。博物館などで緻密で大型ジオラマを見ているような感覚に浸れるのだ。
本作の提示するフィールドの描写と見せ方はとても魅力的だ。しかし現在のところ視点が凝ったアクションゲームに過ぎない。これから本作がどう“化けるか”、その鍵はロボットにある。目覚めたロボットにどのようにインタラクトできるか、そこでこのゲームの面白さがわかってくるだろう。
目の前のフィールドをちょこちょこと歩いている女冒険者を見るプレーヤーの視点は巨大なロボそのものだ。現在はロボを外から見ている視点だが、ここからはロボとプレーヤーが一体化し、女冒険者を見守りながら冒険が進んでいくのではないだろうか。しかし現在はプレーヤーの手にコントローラが握られているため、ロボットを動かすための操作法が見えてこない。開発側が“出会い”までで止めているのは、そこからどうゲーム性を昇華するかに迷いがあるからだろう。
それでもフィールドをジオラマとしてVRで表現し、そこで動くキャラクターを見守るというのはVRコンテンツとして非常に面白い。感覚的には「ホロレンズ」のようなAR的なものがスタートではないかと思う。この“ジオラマ感”をうまくゲームとして活用できるか、開発者達の挑戦に大いに期待したい。