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【特別企画】100人バトロワで“ドン勝”だ! 話題の「PUBG」徹底解説
「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」サバイバルガイド~基礎編~
2017年6月8日 07:00
いま、PCゲーム界でバトルロワイヤル系ゲームの大旋風が吹き荒れている。その中でも今まさに台風の目となっているのがこちら、最大100人が孤島に降り立ち、最後の1人になるまで殺し合う「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」。略称は「PUBG」だが、プレーヤーからは“ドン勝”なる、意味不明なパワーワードで親しまれている。理由は後述。
さて、この「PUBG」、3月24日にSteamでアーリーアクセスの配信を開始してからというもの、1週間もかからずにセールス100万本を突破。その後も猛烈な勢いでプレーヤーを増やし続け、いまでは同時プレイユーザー数がピーク時20万人以上と、Steam上で別格の「Dota2」、「CS:GO」に続く3番手のタイトルとなっている。Valve以外のタイトルとしてはもちろんダントツトップだ。
その人気は早々にYouTubeやニコニコ動画などにも拡散し、ほとんど全部のプロ配信者が「PUBG」の実況プレイに手を付けているほど。リリース前にはちょっと想像できなかったレベルの状況になっていると言っていい。
というわけで本稿では、激アツタイトルである本作、「PUBG」のマスターを目指し、解説をお届けしよう。
猛烈!「PUBG」人気の理由って?
冒頭でも紹介したように、まだアーリーアクセス中であるにもかかわらず、爆発的な人気を獲得した「PUBG」。その人気の秘密のひとつは、PCゲーム界隈で長くくすぶり続けていたバトロワ系ゲームのアクセシビリティをグンと引き上げ、隠れていたエネルギーにタイミングよく火を付けたところにあるだろう。その火種は2012年にブームを引き起こした「Arma II: DayZ Mod」(以下、DayZ)まで遡る。
「DayZ」は無数のクローンゲームを生み出したが、その中に、「PUBG」の直系先祖となる「H1Z1」というのもある。この作品は2年以上前から展開しており(関連記事)、当初は「DayZ」ファンを中心に知る人ぞ知るという感じでプレイされていたが、オマケ的に実装された短期決戦型バトロワモードのほうがじわじわと流行。バトロワモードが「H1Z1: King of the Kill」として独立してからは、10万人を超える同時接続数を現在まで維持している。
というわけで時系列的にいうと「H1Z1」がバトロワブームの本家なのだが、その初期バージョンが完全に「DayZ」クローンで、複雑性の高いシステムと多くのバグがあったことから、コア向けというイメージが浸透し、ライト層は敬遠したようだ。そのため、「H1Z1: King of the Kill」のヒットを経ても、このジャンルにはまだまだ火が燃え広がる余地は残っていたわけである。
そこで颯爽と登場したのが本作だ。、最初から短期決戦型バトロワゲームとしてコンセプトを絞って開発された本作は、「H1Z1」等が「DayZ」クローンとして引きずっていたややこしさを完全に排除し、1セッション30分で終わる100人の殺し合いゲームとして1から構築。その結果、非常にはじめやすく、遊びやすいゲームになった。
ちなみに本作の開発は、NCSOFTとも関係の深い韓国のBlueholeというスタジオが行なっているが、その開発をクリエイティブ・ディレクターとして主導したのは、「Arma3」のMODや「H1Z1」の一部としてバトルロワイヤルモードの開発に携わったゲームデザイナー、PLAYERUNKNOWN氏である。「H1Z1」がくすぶっていた頃にその主要開発者に韓国資本が目をつけ、開発部隊を与えてフリーハンドで作らせたら大成功したという形のようだ。
その経緯でいうと、本作の内容に韓国デベロッパーのクセや色みたいなものがほとんど見えない点にも注目したい。アップデート等の情報配信も第一言語は英語であり、欧米デベロッパーのゲームにしか見えない。これは、PLAYERUNKOWNブランドを全面に押し出し、グローバルでのヒットを狙うために意識したところではないだろうか。こういったヒット成立の経緯にも学ぶべき点が多そうである。
1プレイであっという間にアドレナリン中毒
本作のゲーム的な魅力。それは、バトロワ系特有の、やればやるほどハイになり、アドレナリン中毒になってしまうようなゲーム性が高純度で練り込まれている点だろう。
ゲームのルールはごく単純だ。1辺8km程度の広さがある孤島で、最大100人の参加者がパラシュート降下で各所に降り立つ。しばらくすると、生存可能なプレイエリアが段階的に狭まっていき、エリア外に留まったプレーヤーは強制的に死亡。およそ30分でエリアが極小まで縮まり、最後に立っていた1人が勝者となる。
勝利への過程は一切問われないというのもポイントだ。極端な豪運に恵まれれば、一度も戦闘することなく勝利することもできる。とはいえ、降り立った周辺の廃墟で銃・防具・回復アイテムなどを漁り、装備を整えて、身を守ることを本能的なレベルで強いてくるのが100人バトロワという環境だ。殺らなければ、殺られるのである。
本作では数々の「DayZ」クローンが引きずっていたアイテムのクラフトシステムや出血・空腹といった要素はバッサリと排除され、いわば「Battlefield」並のシンプルなUIと操作性でプレイできるようになっている。このおかげで、バトロワゲーム特有の持続的な緊張感や、各場面の一期一会感、意思と偶然が折り重なって生まれるドラマ性といった醍醐味を、極めて純粋に味わえるゲームになっているのだ。
降下直後に殴り合いになって即死しても、最後の10人までで生き残ってから不意の銃撃にやられても、それぞれがユニークな体験として記憶にも残っていく。俄然、これまでの同ジャンルにないプレイしやすさのおかげで1ゲーム目からきちんとプレイできる本作では、そのまま“中毒”になるまでハマる可能性がとても高い。
プレイエリアが極小まで狭まり、たまたま生き残った数人が最後の決戦。最初に降り立った100人のうち、たったひとりの勝者がまもなく決まる。そんなところに居合わせたときの緊張感。心臓は高鳴り、手は震え、脳内にはアドレナリンが吹き出す。こんなのを一度体験してしまったら、もう一度求めずにはいられないのだ。
勝った!勝った!今夜の夕飯はドン勝だ!!
そして、実力なり運なりで最後の一人、つまり勝者になったとしよう。その瞬間にゲームは終了し、勝者の画面にはキル数や報酬の表示とともにこのメッセージが大書される。
「勝った!勝った!今夜の夕飯はドン勝だ!!」
「えっ……ドン勝? は?」という、極限の緊張感の直後に訪れる気の抜けた意味不明ワードである。よくわからないが、とにかく「ドン勝」だそうである。もうこの謎の単語が脳裏にこびりついて離れない。おかげで本作、プレーヤーの間ではもはや正式名称で呼ばれることがほぼなく、そのまま「“ドン勝”やろうぜ」となっている。
どうしてこうなった。本来の翻訳意図はおそらく「とんかつ」のつもりなのだろうが、翻訳を韓国流でスペリングした際に語頭の「トン」が「Dong」といった綴りになって、それをさらに日本語で実装するなどのプロセス上でなんとなくそのまま「ドン勝」となってしまったのであろう。
100人中で1人しか見られない勝利画面。作中でもトップレベルに重要な画面に紛れ込んだしょうもないミス(日本語限定とはいえ)。それが却って忘れようもない強烈なミームを生み出したことで、さらに本作が話題と人気を高めたことも間違いない。
「PUBG」を始めるには?
というわけで、バトロワ系ゲームの決定版として幅広い人々にオススメできる「PUBG」。
ソロでも楽しいし、2人でチームを組むデュオモード、4人1組となるスクワッドモードもそれぞれの面白さがある。筆者はソロで200戦ほどして13勝という成績だったが、最近はもっぱらスクワッドを組んでプレイすることが多い。本作は運の要素が極めて多い性質が在るが、それでも連携の質に比例して勝率が確実に上がっていくのが面白い。
といった本作をはじめるためには、それなりのゲーミング性能をもつPCと、Steamアカウント(PCゲーマーなら全員持ってるね!)、そしてタイトルの購入代金3,300円が必要だ。いまのところアーリーアクセス(開発中)版となっているので、多少の不具合やバグについては情報の検索と試行錯誤で自己解決するメンタリティもあればなおよしだ。
なお、このゲーム、最適化がまだ進みきっていないようで、動作がかなり重い。特に大きな街中などで、大勢のプレーヤーが近くにいると極端にフレームレートが下がる傾向がある。しかも、ハイエンドGPU搭載のゲーミングPCでも関係なしで重くなる。特にグラフィックス描画が重いわけではないようだ。
その動作をよく観察してみると、必要とするのはGPUよりもCPUパワー、CPUパワーよりもメモリ容量という感じなのがわかる。特にメモリ容量は重要だ。メインメモリが8GB程度では極度のパフォーマンス低下に苦しむこともあるので、まずは16GB程度にアップグレードすることを推奨する。幸い、メモリの増設はPCカスタマイズの中でもいちばん安価かつ簡単だ。
あとはタイトル画面でPLAYボタンを押せば、自動的に100人が集まるロビー画面に飛ばされて、ゲームスタートだ。さあ生き残れ。
運ゲー要素を排除せよ!PUBGドン勝サバイバルガイド
本作の基本的なゲームの流れは、上述したようにシンプルだ。輸送機から孤島に降下し、装備を集め、次第に狭まるプレイエリアの範囲外に飲み込まれないように移動しつつ、最後の1人になるまで生き残りを目指す。それだけ。でも、「それだけ」の中にたくさんのノウハウがあるのも事実。ここからは、少しでもドン勝に近づく方法について解説していこう。
まず、本作はとにかく運ゲーである。他人との降下地点のかぶり、アイテムの引き、不意の遭遇、たまたまのラッキーショット。運が悪ければプロでも即死。運が良ければ初プレイでもドン勝。
だが、完全に運任せでは、統計的に言って100戦中1勝するのも難しい。たいていのプレーヤーが運要素を排除するプレイを心がけ、実力での勝負にもっていく術を知っているからだ。したがって、効率的にドン勝を目指すなら、いかに本作に通底する運要素を排除するか、いかに状況に流されることなく、状況を作り出せるようになるかが鍵である。
まずはドン勝へ向かうための基本的な3パターンの戦略を見てみよう。
ドン勝を目指す定番戦略
・パターン1:1キル型ドン勝
撃たず、動かず。敵が殺し合う間はひたすら隠れ、敵が最後の1人になるのをじっと待つ。ドン勝するには弾丸1発あればよい。強運に恵まれれば、最後の敵がエリア縮小に飲み込まれて、結果的に1発も撃つことなく0キルでドン勝できることも。
極めてスマートで、バトロワ系ゲームならではの定番勝利戦略といえるが、なにぶん受動的すぎるし、周囲の状況翻弄されやすく、運要素も強すぎるのが難点。特にエリア縮小にともなって移動が強制される場合など、必要なときには積極交戦する柔軟性もあればさらに勝率を上げられる。
・パターン2:専守防衛型ドン勝
降りかかる火の粉は振り払わなければ生き残れないが、自分から飛んで火に入る夏の虫になる必要もなし。エリア縮小に先んじて移動し、安全な建物等でキャンピングという行動が軸となる。ライバルが近所で交戦していても手を出さず、なるべく様子を見るだけに留める。襲ってくるようなら有利位置に陣取ってから迎撃だ。
そこでポイントとなるのは早め早めの行動。次のエリア縮小がどうなるかを見越して、移動をできるだけ減らし、安全な場所にこもる時間を増やすのが鍵だ。中盤以降で人気の高い“篭り場所”というのもあるため、なるべく先手をとりたい。回復アイテムのような“いくつあっても困らない”系のアイテムを釣り餌にして、侵入者狩りを狙うのもオススメ。徹底すればトップテンまでは高確率でいける。
・パターン3:積極キル型ドン勝
脅威を未然に排除していく戦略。遠距離で狙撃可能な装備が整えば、各種建物の屋上や山の上といった地点から周囲を索敵し、見えた敵を一方的に倒せる。動くものを全部殺せば絶対安全というスタイルだ。背後から襲われる可能性を排除するため、基本的には競技エリアの境界ギリギリに合わせて移動する形になる。
エリア境界を背にすれば、敵のいる方向が限定され、索敵も狙撃もやりやすい。ただし銃声で位置バレするのは必至なので、攻撃後はすぐカバーに入れる位置取りや、こまめなポジションチェンジを意識したい。狙撃で仕留めきれず反撃を受けた場合は、互角の撃ち合いはせず、車を使ってエリア境界沿いに安全なところまで移動する。慣れればこのスタイルが最も高い勝率を得られると考えて、筆者は基本的にこのパターンだ。
死んで覚えろ!というのも酷なので、次回はさらに具体的に掘り下げる
上述した3つのパターンはそれぞれ独立しているわけでもなく、状況によって柔軟に使い分けることも重要だ。ただし、そういった戦略的柔軟性を得るためには、偶然に溢れたこの世界の中でも、可能性をコントロールし、自ら状況を作り出す余地をできるかぎり確保することがカギになる。つまり、運ゲー要素をなくしていく作業だ。
その方法を学ぶためには「とにかくプレイして、死んで覚えよう!」というのも今となっては酷かも。現在では発売から3カ月近くが経過し、バトロワのプロがうようよしている世界なのである。これから始めたい新米サバイバーの皆さんなら、これまで培われてきた経験者のノウハウをまとめてザクッと知って、いっきに差を詰めるのもよいだろう。
というわけで、次回は「攻略編」として、過酷な100人サバイバルで生き残る確率を上げるための具体的なノウハウをお届けする予定だ。 新米サバイバーの皆さんのお役に立てれば幸いである。
それでは皆さん、レッツ・ドン勝!