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MSI、崑山工場でノートPCの生産ラインを公開! 次々とできあがっていく様子は見ているだけでとても楽しい!!

6月1日 取材

場所:MSI崑山工場

 5月30日~6月3日に台湾・台北市で開催されている「COMPUTEX 2017」に合わせて、MSIが世界中のプレスを集め、中華人民共和国江蘇省崑山市にある同社の工場見学を実施した。GAME Watchではこれに参加することができたので、その様子をご紹介しよう。

 集まったプレスのメンツはさまざま。西はイギリス、オランダに始まり、カナダ、チリなど。アジア圏では筆者を始め、韓国、台湾、フィリピン、タイ、シンガポール、イランといった様子。これほどさまざまな国から集まるとは思っていなかったので、交流会はとても楽しく過ごすことができた。

 それはさておき工場である。崑山市は上海の南に位置しており、高速鉄道である和諧号を使うと20分足らずでついてしまうという。我々の場合は市内から延ばすツアーだったので、およそ3時間ほどかかることとなった。ちなみにMSIはここ以外に、中国・深センに工場を持っているほか、台湾にも工場がある。

 崑山工場の総面積は27万2000平方メートル。よく言われる「東京ドームで」で換算すると約6個分という広さとなる。2003年に完成し、それから稼働している。我々はまずR&Dセンターでレクチャーを受けた後、A棟とB棟を訪れたのだが、1番離れたB棟から戻ってきたときには、歩いて大体5分くらいかかった。

MSIが持つ工場拠点の一覧
工場内のレイアウト
まずはR&Dセンターに入る
すごくきれいな受付
レクチャーと工場を案内してくれた、崑山工場の工場長、イーサン・ヤン氏。40歳代という若さ
工場に到着したら中をクリーンに保つために帽子と上着、シューズカバーを装着する

 見学できたのは、マザーボードを製造している「PCBAプロセス」ラインと、実際にノートPCをアッセンブリーする「ASSYプロセス」ラインの2つだ。まずはA棟にあるPCBAプロセスからご紹介していこう。

PCBAプロセスラインの概要
ASSYプロセスラインの概要

自動化されているマザーボード製造工程

 マザーボードを製造するPCBAプロセスラインでは、製造機械の中を次々とマザーボード基板が通過していくだけで作り上げられるという、自動化された製造工程となっている。所々に人が立っていたり、ラインに座っていたりするが、それは製造機械がちゃんと動いているか監視しているのと、できあがったマザーボードをチェックししているだけだ。製造工程のほとんどを自動化したおかげで、昔は100人くらいで作っていたのが、今では20名程度に削減できたという。ラインの流れだがとてもゆっくり。感覚値で言うと大体秒速2センチくらいだろうか。

 それぞれの部品のはんだ付けだが、当然ながら、ホビーで電子工作をするときによくあるように、はんだごてでチクチクとつけていくわけではない。ペースト状のはんだをマザーボードに塗り、その上に部品を載せて熱して取り付けるというもの。電子工作の時にチップ抵抗などを取り付ける作業をしたことがある人ならわかるかもしれない。

製造ラインに配置されている機械。メーカーは写真に写っているHGTECHのほか、日本の富士機械製造のものが入っていた
ライン全体を眺めたところ。立っている人が機械を監視している
まずはチップ抵抗やコンデンサが取り付けられていく
工程から出てきたマザーボードをチェックする
そして次の製造工程へ
再びチェックが行なわれる
次々と送られていくマザーボード
人の目で監視するほか、機械でも製造工程をチェックしている
次の部品が取り付けられていく
次の工程では、USB端子やコネクタなどの大物を取り付ける
できあがりの最終確認を行なう
機械による確認
各部署の導通を確認する工程
1枚1枚を取り出して機械にセットし、測定する
端子などをマスキングする工程
ディスプレイにつないで起動するのかを最終チェックする

そしてノートPCを作り上げる「ASSYプロセス」へ

 実際にノートPCを作り上げていくASSYプロセスラインは、別棟のB棟にあった。ラインの流れだが、ディスプレイを組み立てる工程が1つと、できあがったマザーボードをパネルに取り付け、そしてメモリなどの部品を次々と取り付けてふたをして、完成したノートPCをチェック。チェックの終わったものをパッキングしていくという感じだ。こちらは先ほどのPCBAプロセスラインとは異なり人海戦術。人の手でパーツを次々と組み上げ、PCを完成させていく。今回は16インチのノートPCと、15.5インチのノートPCを作成している工程を見ることができた。

液晶ディスプレイを組み立てる工程。こちらのラインは短い
トップパネルを裏返した状態からスタート。まずはキーボードを装着する
裏返して装着状態を確認
必要な箇所をシーリングする
作られるPCはマザーボードを含めてバーコードで管理されており、いつどこで作られたのかトレースできるようになっている。ここでディスプレイを装着
ヒートシンクを取り付けていく
それが終わったらメモリの取り付け
ついに裏パネルが取り付けられる
製品型番などのシールを貼る工程。透明な定規が用意されており、指示された場所に正確に貼り付けていく
こちらはトップパネルのシールを貼る工程。同じように定規に合わせて貼る
液晶ディスプレイがちゃんと取り付けられているか、前後に動かしてその挙動を確認する
ここからは15.5インチのノートPCの作成工程
先ほどと同様に、トップパネルを裏返してキーボードを装着するところからスタート
マザーボードの取り付け。ドライバーはすべてが電動方式
取り付けるネジだが、もちろん数が決まっており、箱の中にあるネジをすべて使う形で組み上げられていく。これが1本残っていたりすると、当然ながら大ごとになり、ラインが止まってしまう。そんなことはないけれども
ヒートパイプの取り付け
液晶ディスプレイを取り付け、裏ぶたをネジ止めしていく
できあがったノートPCをチェックする
電源を入れて内部チェックを開始
次々と流れていくノートPCたち
USB端子に接続してテストプログラムを走らせ、内部の状態を確認していく
ここからは長時間の動作テストが始まる。チェックに大体一晩かかる
こちらはチェックが終了したPC。ここでも製造過程をバーコードでトレース
プログラムによるチェック
検査が終了したものを管理していく
シールやロゴの位置が正しいかチェックする
いよいよパッキングへ。まずはPCをビニール袋に入れる
それぞれのPCに合わせて、梱包する箱を用意する
箱に取っ手を取り付ける作業
一緒に同梱する電源が集められている。ワールドワイドのものすべてがここにあるので、それを間違えずに同梱していく
PCの緩衝材を取り付ける作業
そのほかの同梱物を用意してPCのラインに乗せる
外装箱を準備する
いよいよ最終工程へ
ここでは総重量を計測している。同梱物の重さはわかっているので、少しでも重量が軽い場合は部品が足りないということになる
開口部を自動的にテープ止めする機械
これで移送準備が完了
縦横互い違いに配置されているのは、移送中に箱が崩れないようにするため
生産されているラインが、何時からスタートしてどれくらいの時間がたったのかという稼働状況を表示
現在生産されているラインの生産目標と現在までに生産された数字が表示されている

 なかなか見ることができないPC工場を見学できたのはとても興味深かった。先日の発表会レポート(MSI、最新ゲーミングPCがズラリ! 新技術を搭載した新製品を一挙に発表)でもお届けしたが、生産工程を説明するヤン氏の熱量も高く、同社がノートPCに自信を持っている一端がうかがえた。ちなみにMSIが日本のPCメーカーにOEM供給をしているのはご存じの通りだが、筆者が持っているLAVIEをかばんから取り出すと、それはこの工場で作られているとのことで、工場長に褒められてしまった。実は日本ともかなりなじみ深いMSIだったのであった。