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【A 5th Of BitSummit】インディからメジャーへ! パブリッシャーから見たBitSummitレポート

若者が多く集う、貴重な発展するゲームイベントに!

5月20日~21日 開催

会場:京都市勧業館「みやこめっせ」

開場前に形成される行列も年々長くなっているように思える

 GAME Watch読者の皆さんお久しぶりです。コーラス・ワールドワイドの大柳と申します。5月20日と21日の両日、京都市勧業舘(みやこめっせ)で開催されたインディゲームのイベント「A 5th of BitSummit(以下BitSummit)」に参加してきました。

 主要な出展タイトルや催しの内容はすでに多数の記事でフォローされていますので、今回はタイトル供給側の視点からレポートしてみたいと思います。

 BitSummitは、今回で5回目を迎えました。筆者は零細ゲームパブリッシャーの一員として、3回目から参加していますが今年は自社出展がかなわず任天堂ブースに最新タイトルNintendo Switch版「デ・マンボ」を展示する形での参加となりました。

 「デ・マンボ」の詳細は紹介記事を参照していただくとして、本作はオフライン対戦に特化したゲームなので、展示にあたってはプレイ方法の説明と係員常時アテンド(あるいは接待プレイ)が重要になる訳ですが、結果的に任天堂さんの見事な対応のおかげでSwitch用対戦ゲームとしてゲームファンからの認知を一層高めることに成功したと思います。この場を借りてお礼申し上げます。

今年は任天堂ブースでSwitch版「デ・マンボ」を出展することができた

 さて、BitSummitはここしばらく真夏の開催でしたが、今年は5月に設定されたことで前週に同じくインディゲームのイベントである「東京サンドボックス(Tokyo SandBox)」が東京であり、連休明けからなかなか忙しい2週間になりました。

 これは海外の出展者(社)が2度来日する手間を省くためと、6月はE3という欧米最大のゲームイベントが控えているためではないかと思いますが、イベントの連チャンはなかなか骨が折れます。来年は少し期間離して欲しいなあ……とも。

 内容としては毎年開催してきた効果が今年は特に現われていました。日本のインディゲームイベントの要として、国内の意欲的なタイトルが数多く揃い、ソニー・インタラクティブエンタテインメントや任天堂といったプラットフォーマーのブースや、Indie Megabooth (http://indiemegabooth.com/)との協力によって魅力的な海外タイトルが多数出展されるなど「継続は力」を実証するものでした。

今年はプラットフォーマーブースの盛り上がりが目立っていた

 BitSummitにしろTokyo SandBoxにしろ「インディゲーム」というくくりが本当に適切なものかどうかはさておき、来場者に関西におけるメジャーゲームイベントとしての風格をしっかりと印象づけた内容でした。業界的にも「こんなイベントもあるんだ」という認識から「毎年見に行かなくちゃ」の方向に見方が変わってきているのではないでしょうか。

 個人的な視点として、BitSummitが尊いなあと思うのは、なんと言っても客層でしょう。京都という場所柄がそうさせるのか、運営側の努力の結果なのか、このイベントにくるお客さんは若い方が多いように思います。そして友達連れや女性や家族連れの参加者も目立つ点が、何よりも素晴らしいところで、大きな魅力といえるでしょう。

 私も20年以上業界に身を置いていますが、やはりゲーム市場を支えてくれているファンの方々、特にコアなファンは年季が入ってきており、東京ゲームショウなどは、おじさん率がかなり高いのです。若い人たちがゲームを楽しんでいる光景を見られたり、彼らからの意見を聞けることは大変貴重な機会ではないでしょうか。

 全体的な傾向としては、今年は最新ハードであることや、任天堂自身が力を入れていることもありNintendo Switch向けのタイトルが存在感を見せていました。現在PCやモバイルなどで開発中のタイトルもSwitch向けの移植を検討しているものも何本かあり、今年後半以降はラインナップもかなりの充実しているはず。

 Nintendo Switchは今回自前でもタイトルの発売を進めているため注目していますが、Nintendo Switchと「インディ」の相性は抜群です。特に面白いのはモバイルからの移植が比較的容易なことで、同時展開も十分視野に入れられることから、モバイルゲームファンとコンソールゲームファンを結びつけてくれるハードになってくれるかもしれません。

 はたしてお客さんがついてきてくれるのか、という懸念はありますが今もっとも可能性を秘めた存在であることは間違いないでしょう。

 一方でライバル(?)PS4もさすがの風格をみせており、また出展ラインナップもややコアゲーマーよりのものを揃えて、Nintendo Switch勢とのすみ分けをしっかりとおこなっていました。これは非常にわかりやすい差がついており、来場者も両プラットフォームの特性への理解を深めることができたはず。

 タマ数的に物足りなさを感じるのはモバイルで、国内外の注目作は数タイトルありましたがPC、コンソール勢と比較すると目立ちにくい状況なのは残念なところです。

会場でしか体験できない意欲作もあり。モバイルは数は少ないものの、前作は小島秀夫監督もイチ押しした「FRAMED 2」をはじめ国内外の良質タイトルがそろっていた。また「Kingdom」などNintendo Switchへの展開を視野にいれたタイトルもちらほらとあり、今年後半以降が楽しみだ

 モバイルは競争の激しさや売上的な厳しさばかりが強調されやすいものの、参入の容易さ・プレーヤー層の幅広さは他プラットフォームに比べると圧倒的なものを持っていますので、本来は自分がつくりたいものをつくる「インディ」に最も向いています。

 出展タイトル全般が「コントローラで遊ぶゲーム」に縛られすぎているのでは? という点がモバイルを主戦場にしている私からすると、強く感じるところでした。

 BitSummitは回を重ねるごとに大きく成長しているのを実感します。きっと来年も京都で国内外を問わず様々な意欲作に触れることができるでしょう。

5回目を迎えてコアゲーマーから家族連れまで、様々なゲームファンをとりこむBitSummitは、今後も夏の風物詩として親しまれていくだろう