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PS4「Horizon Zero Dawn」先行体験プレイレポート(ガッツリムービー付き!)
自然と機械のコントラストが冒険心をかきたてる、ハイクオリティなオープンワールド・アクションRPG
2017年2月17日 08:09
「KILL ZONE」シリーズを手がけたGuerrilla Gamesが開発する最新作であり、世界中の注目が集まるオープンワールドRPG「Horizon Zero Dawn」。3月2日にいよいよ発売となる本作のメディア向け先行体験会が行なわれたので、そこで実際にプレイしての手応えをお伝えしていこう。
本稿にはその時のプレイ動画を掲載しているほか、Guerrilla Gamesのゲームディレクターであるマタイス・デ・ヨン(Mathijs de Jonge)氏へのインタビューも掲載しているので、そちらもぜひご覧頂きたい。
圧巻の物量、密度、自然と機械のコントラストが効いた美しい世界で描かれる「Horizon Zero Dawn」をプレイ
この日の体験会では、チュートリアルにあたるプレイ序盤のシーンと、その後に本作の要素を自由に触れるようになってからのシーンにわけ、合計で約2時間半ほどプレイした。
プレイを開始してまず目を見張ったのは、なんといってもそのグラフィックス。モデリングやデザインなどはアニメ調をベースにしつつも質感は全てフォトリアル路線にしたような、独特な味わいのあるグラフィックスとなっている。
広がる自然豊かな光景も圧倒されるものがある。なんといっても画面中の物量が多くて、本作の世界は遥か昔に滅んだ旧文明の機会や建造物が点在しつつも、それを飲み込み包んでいる原始的な自然がメインとなっているのだが、豊かな地形の起伏、自然物ならではの不規則な形状をした岩や木々、そしておびただしく茂っている地面の草があり、風が吹けば大量の木々や草花がそれぞれに揺れている。細かなところを見れば見るほど、驚かされるものがあった。
陽の光の表現や、燃えている炎の揺らめきとそれによる明るさ、月明かりが頼りの夜闇など、ライティングもクオリティが高い。特に陽の光の表現には見とれてしまう。また、霧などの表現による空気感の表現も豊かだ。
本作は、そうしたフィールドがどこまでも遠くまで繋がっているオープンワールドの世界。今回はプレイした範囲がまだまだ序盤だけなので世界の広さについては言及できないが、プレイ中に施設を見つけたりクエストなりが発生した距離感や間隔で言うと、密度が高めに感じられた。
なお、フレームレートは安定して高く滑らかだった。ちなみにこの日のプレイに使用されていた本体はPS4 ProではなくPS4だったのだが、この物量とグラフィックスのクオリティにも関わらず、フレームレートが高く維持されていること、それを通常のPS4でも充分に実現していることには驚かされる。
主人公のアーロイのアクションの感触はというと、こちらも良好。移動スピード、各種アクションともに、ほどよい重量感を感じさせるものになっているが、そのぶんモーションの滑らかさと豊かさが際立っている。少し重めの手触りかなと感じたものの、操作との一体感は良くてプレイしやすい。
ハンターのアーロイのメインとなる武器は「弓」と「槍」。この他にも、プレイが進むに連れて様々な武器やトラップなどのツールを使えるようになっていく。
地球を実質的に支配しているという「機械獸」との戦いは、まさに“狩り”。背の高い草むらのなかにしゃがんで身を隠し、機械獸をスキャンして弱点を探り、弱点を狙って矢を放つ。矢を射られた機械獸の群れは、数匹がアーロイに向かってきつつ、他は群れで一斉に逃げていく。向かってきた数匹を槍で倒し、逃げていった群れを追う。機械獸のリアルな反応が、本作の狩りの楽しさを高めている。
そんな機械獸に対して、アーロイは背後から忍び寄ってのステルスキルや、逃げる機械獸をダッシュで追いかけスライディングしながら矢を放つなど、スタイリッシュなアクションで獸を狩っていく。スキルポイントを使い、さらに新しいアクションも獲得していける。
電流が流れるロープを張る武器を使ってみると、そこに獸を追い込んで機械獸が痺れているところをトドメを刺すという狩りも楽しめた。武器やスキルが増えるほどに狩りの自由度が高まり、面白みが増していきそうだ。
だが一方で、狩りには危険もつきもの。まだプレイ序盤だったこともあるのかもしれないが、結構、機械獸からのダメージが大きくて、どう猛な機械獸を相手にしたときには数発の攻撃で死んでしまうこともあった。ローリング回避などで獸の攻撃を回避するのだが、獸は瞬間的な動きが速くて油断するとやられてしまう。
そんなところから「槍」よりも「弓」を重視してのプレイをしたのだが、武器の持ち替え(矢の種類の持ち替えもある)や、矢が尽きてしまって手持ちの材料から矢を作成するという操作中は、ゲームスピードがスローモーションになってくれるのがありがたいところ。スリリングであっても理不尽にはならない工夫がなされていた。
機械獸に気づかれないように近づいて「オーバーライド」すれば、機械獸をこちらの味方にしたり乗れるようにすることもできる。
今回プレイした範囲だと、ストライダーという機械獸をオーバーライドすると、それに乗って操縦し、走るよりも速いスピードでの移動ができた。乗ったままストライダーに体当たりのような攻撃をさせることも可能だ。
機械獸によって乗れるものと乗れないものがあるようで、「ウォッチャー」をオーバーライドすると、近くの別の機械獸に襲いかかっていった。こちらの味方にできるというわけだ。ただ、その他の機械獸は、レベル不足なのかスキル不足なのか、オーバーライドすることができなかった。どうやらプレイを進めないとオーバーライドできないようだ。
最後にストーリーや、その描写、演出について。本作はシングルプレイのゲームであり、特に「オープンワールドの中で楽しむストーリー」に力を入れているという。
今回プレイした範囲だと、アーロイがまだ幼い頃から物語が始まっていき、世界観やアーロイが置かれている環境、そこからいかにしてハンターとなり、成長していくのかが、丁寧かつテンポ良く描かれている。
謎に満ちた世界も魅力的だ。原始的な生活を送る人々、大自然の中に棲息する機械獸。今では朽ちてしまっているが、かつては高い文明を誇っていたと思われるものの跡。高度な文明そのものと思える機械獸と、原始的な生命というコントラスト。冒険という言葉がハマる世界だ。
今回はその冒頭と、ほんの少しを覗いただけではあるが、このコントラストが効いた世界がオープンワールドで広がっていて、そこでシナリオを特に重視したという物語が展開されていくというのは、かなり刺激的。発売が楽しみになった体験プレイとなった。
最後に、この日の体験プレイの動画を掲載しているので、こちらもぜひご覧頂きたい。
Guerrilla Gamesのゲームディレクターであるマタイス・デ・ヨン氏へのインタビュー
ここからは、体験プレイ後に行なわれたGuerrilla Gamesのゲームディレクターであるマタイス・デ・ヨン(Mathijs de Jonge)氏への合同インタビューの模様をお届けしよう。
なお、本作の日本語ローカライズについての質問では、ソニー・インタラクティブエンタテインメント ワールドワイドスタジオのローカライズプロデューサーである浦野氏やローカライズスペシャリスト谷口新菜氏にお答え頂いている。
――主人公を女性にしたのはなぜでしょうか?
マタイス・デ・ヨン氏:私たちは「KILLZONE」シリーズを作っていましたが、あちらはダークな環境であり、主人公も男性でした。今回の「Horizon Zero Dawn」はその逆方向で、美しい映像であり、コンセプトを新鮮なものにしています。その新鮮な方向へという考えから、主人公も女性にしています。
――アーロイはかわいらしくもありますが、どちらかと言うと力強い女性ですね
マタイス・デ・ヨン氏:いろいろなインスピレーションがありましたが、キャラクターとしてはたくましい女性を描きたいという思いがありました。映画でも「ターミネーター」シリーズのサラ・コナーであったり、「エイリアン」シリーズのリプリーであり、たくましい女性という成功例がありますよね。アーロイは、たくましいだけでなく、自分の存在や機械の文明、世界への好奇心というものを持っています。
――日本のゲームやコミックなどが好きというお話を伺ったのですが、「Horizon Zero Dawn」にインスピレーションを与えた作品もあったのでしょうか?
マタイス・デ・ヨン氏:インスピレーションを受けたというと、好きなものはジブリ作品で、「風の谷のナウシカ」や「もののけ姫」です。「風の谷のナウシカ」は主人公が女性なところが近いですよね。テーマとしても、主人公が自分のいる部族に反した行動を取るというところも。インスピレーションを受けているのかなと思います。
――機械獸のデザインはどのような発想から生まれていったのでしょうか?
マタイス・デ・ヨン氏:最初にコンセプトとしてデザインしていたのは、サソリやクモでした。それをデザインしているときにわかったのは、ボディが細くなり過ぎたり、黒くて怖い獸になりすぎるということでした。
そこで方向性を変え、動物をモチーフにしていきました。そこからデザインを進化させ、パーツも取れるようにしたり。そうしてできあがっていきました。
――機械獸はだいたい何種類ぐらいが登場するのでしょう?
マタイス・デ・ヨン氏:だいたい25種類ぐらいです。ですが、武器が違っていたりと、ひとつひとつにも種類があります。
――そのうちオーバーライドすることで乗れるようになる機械獸はどれぐらいいるのでしょう?
マタイス・デ・ヨン氏:オーバーライド自体は全ての機械獸にできますが、乗り物にできる機械獸は全てではないです。また、オーバーライドは最初からどの機械獸にもできるというわけではなく、ストーリーを進め、アーロイを成長させることでオーバーライドできる種類が増えていったりします。
乗り物にできる機械獸については、アーロイが乗ったときのアニメーションなどを作る必要もありますし、開発の時期や期間も考えて、乗れるものは全てではなく限らせた数にさせてもらいました。
――サイドクエストはひとつあたりどれぐらいの長さになるのでしょう? 長いものもあるのでしょうか?
マタイス・デ・ヨン氏:サイドクエストは短いもので20分程度、長いものだと1時間以上かかるものもあります。
――機械たちがどのように進化したのか、成長したのかが気になります。それはゲームをプレイすることで知っていくことができるのでしょうか?
マタイス・デ・ヨン氏:機械の誕生や、どこからやってきたのか。それはストーリーの謎であり、ネタバレになってしまうので、お答えすることはできませんが、最後までプレイしログファイルなどもみていくと、細かなところがわかっていくかもしれません。
――「Horizon Zero Dawn」というタイトルの由来をお聞かせ頂けますか?
マタイス・デ・ヨン氏:本作は、コンセプト段階から「Horizon」というタイトル名で呼ばれていました。そこからの流れです。「Zero Dawn」は……機械の誕生にも関係がある……、これ以上はお話できません。
――オンライン要素はあるのでしょうか?
マタイス・デ・ヨン氏:オンラインのモードなどはありません。シングルプレイのストーリーを重視したゲームにするという考えが最初からあって、開発期間をそちらに集中させました。
――日本語ローカライズに関してですが、苦労されたのはどのようなところでしょうか。ローカライズについてGuerrilla Gamesからのオーダーなどはあったのでしょうか?
谷口氏:オープンワールドのアクションRPGということで、かなりのボリュームがありました。そこが1番苦労したところですね。あとはやはり、世界観。Guerrilla Gamesからいろんな資料を頂いたり、意見を聞いたりしながら、日本のユーザーさんに受け入れやすい表現にしていくのかが大変でした。
――日本語ローカライズボイスを担当された声優さんを起用した理由などをお聞かせ頂けますでしょうか
谷口氏:今回は結構な人数の声優さんに来てもらってオーディションを行ないました。アーロイは強さや荒削りさがありつつも、ちょっと弱さも見せられるような。そういう人を探していて、オーディションをした結果、高垣彩陽さんにお願いすることに決まりました。
ロストの声優は立木文彦さんに担当してもらっているのですが、ロストは厳しさを持ちつつも、ほんのちょっと親心を見せられるような、ただ強いだけのお父さんではない人にと考えていて、立木文彦さんにお願いしました。
――「Horizon Zero Dawn」の開発に使われているゲームエンジンである「DECIMAエンジン」ですが、どのような経緯、どのような設計思想で作られたのでしょうか?
マタイス・デ・ヨン氏:「DECIMAエンジン」はもともと「KILLZONE」シリーズに使っていて、どんどんと進化させていたもので、それに最近になって「DECIMA」という名前が付けられました。「DECIMAエンジン」はエンジンそのものだけでなく、Guerrilla Games全体で使っている開発ツールも含まれているものです。ご覧の通りパワフルなエンジンなのですが、インゲーム中にも編集が可能だったりと、開発しやすいものになっています。
「DECIMAエンジン」はコジマプロダクションとコラボレーションしていますが、そこからもさらに進化していくと思います。
――ありがとうございました。
©Sony Interactive Entertainment Europe. Published by Sony Interactive Entertainment Inc. Developed by Guerrilla.