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ドスパラ札幌店、PCとゲームとVRをテーマにした前衛的なショップにリニューアル

目玉は水槽式油冷PC! PC、VR、パーツを触って試せる愉快な空間に

12月9日リニューアルオープン

会場:ドスパラ札幌店

 ドスパラは、北海道札幌市にあるPCショップドスパラ札幌店を12月9日にリニューアルオープンする。前日の12月8日、報道関係者に向けてリニューアルされた店舗のお披露目が行なわれた。GAME Watchでも取材してきたのでさっそくその模様をお届けしよう。

GALLERIAの文字が大きくクローズアップされたドスパラ札幌店
すぐ近くにはヨドバシカメラ札幌店があり、一帯がPCショップエリアとなっている
新店長の小林寛史氏。秋葉原のパーツ館店長からの栄転となる
新しいフロア図

 ドスパラ札幌店は、札幌駅北側の出口を出てすぐの所にあるPCパーツショップ。周囲にはヨドバシカメラ札幌店をはじめ、PCパーツを扱うショップがひしめいており、家電街の一角を成している。

 今回のリニューアルのきっかけとなったのは、意外にもユーザーの声だという。2009年に同地にドスパラ札幌店がオープンしたときは、4フロア構成となっていたが、売上の低下と共に直近では1フロアに縮小しており、北海道のPCユーザーからはドスパラ撤退の噂まで立っていたという。そこでドスパラは、北海道を関東や関西などと共に重要な商圏のひとつとして重視する姿勢を見せるために、オープン時よりさらに大きくなる5フロア構成でリニューアルすることにした。

 リニューアルにあたっては、従来のドスパラで扱っているPCブランド「Diginnos」、「GALLERIA」、そしてサードパーティーのPCパーツ、上海問屋のガジェットパーツのみならず、ドスパラが本社を置く東京秋葉原で相次いでオープンし話題となっているGALLERIAに特化したアンテナショップ「GALLERIA LOUNGE」や、VRに特化した体験施設「VR パラダイス」をショップインショップとして入れ込み、さらに売り場面積が数倍になることから、スペースを活かした実験的な試みをいくつも取り入れている。

 実際に足を踏み入れてみると、まだ設営中で設営用の部材やこれから展示されるパネルやパーツが散乱している状態だったが、ドスパラ秋葉原本店に、「GALLERIA LOUNGE」と「VR パラダイス」をくっつけたような、“ビックロ”(ビックカメラとユニクロのコラボ店)的な空間になっていて、PCユーザーにとってはまずそれだけで楽しい空間になっている。

 1階から順番に紹介していこう。1階はPC本体を扱うエリアで、奥には新設された「GALLERIA LOUNGE」がある。広さの面では1階と地下の2フロア構成の秋葉原店に一歩譲るものの、デザインや商品の並べ方など基本コンセプトは同一で、特にマウスやキーボード、ヘッドセット、スピーカーなど各種ゲーミングデバイスの品揃えは間違いなく北海道随一だという。北海道在住のPCゲーマーはぜひ定期的に立ち寄りたいスポットだ。

【GALLERIA LOUNGE】
天井が高く、明かりが多いため、秋葉原のGALLERIA LOUNGEほど、ゴチャゴチャ感はないが、その分見通しがよく、入り口から見えるゲーミングデバイスがズラリと並んだ風景はまさに壮観だ

 2階はドスパラの主力商品であるPCパーツを扱っているが、前衛的な取り組みがいくつもあり、個人的にはもっとも楽しめたエリアだった。2階に上がって最初に目に付くのは“むき出しのパーツ群”だ。マザーボード、ビデオカード、PCファンが、パネルボードに固定される形で並べられている。もちろん手にとって大きさや重量、ディテールの確認を行なうことができるほか、実際にPCに接続して試すことができる。

【パーツエリア】
むき出しのパーツ群にギョッとする2階のパーツエリア。すべて手にとって確認することができる

 そのためのスペースが「ドスパラボ」と名付けられたラボエリアだ。中央に作業用の大きなテーブルがあり、その周囲にドライバーなどの工具、CPU殻割機やHDD破砕機、サーモグラフィ、オシロスコープといったプロ用の機材が置かれている。このドスパラボでは、PCを持ち込んで買ったパーツをその場で組み込むこともできる。先述の工具や機材はレンタル可能で、ドスパラ会員なら工具は無料、機材も半額で使うことができる。

【ドスパラボ】
内覧会では明日の開店に向けて準備をしていたため雑然としていたが、実際にこのような感じで店舗内でパーツを開けて実際に組み込んだりすることができる

 そしてこのドスパラボの目玉アイテムが油冷PCだ。ドスパラ札幌店のリニューアルが計画された際、「このドスパラボの目玉になるような展示ができないか」ということで実行されたのが“店舗で購入できるPCパーツを油冷で駆動させる”というアイデアだ。

 油冷そのものは昔から存在するものだが、驚くのはその展示スタイルだ。家庭ではまず見られない規模の水槽にPCをケース無しの剥き身で沈め、あたかも熱帯魚のような雰囲気で展示してあるのだ。しかもわざわざLEDイルミネーションに対応したパーツばかりで構成しており、ロボットの一部を沈めたかのようなサイバー感を醸し出している。そもそも水にしか見えない液体の中でPCがあちこち光りながら駆動し続けているというのが驚きで、一見の価値がある。

 ちなみにこの油冷PC、パーツで15万程度、大きな水槽や150リットル分の高圧絶縁油などの周辺環境の整備に15万程度、合わせて30万ほどで作成できるという。油冷のメリットは、水冷に勝る冷却効率を備えると共に、構造上パーツの酸化がないため腐食を抑えられることからパーツの寿命が長くなる効果が見込めるという。現時点ではまずは油冷環境で安定動作させることを目標に、今後油冷でのクロックアップ駆動にもチャレンジしていきたいという。

 念のために記載しておくと、この油冷PCは売り物ではなく、自作PCに関心を持って貰うための見世物ということだ。あまりに要望が多ければ販売も検討するとのことだが、どうしても油の匂いが出てしまうことと、工業用の高圧絶縁油だけで数万円するなど、コストの面、メンテナンスの面でも大変なため、実用化は難しいということだ。

【ドスパラ札幌店 油冷PCデモ展示】

【水槽式油冷PC】
写真の人物は、この水槽式油冷PCを組んだドスパラDLS事業部の松井崇悦氏。理屈でわかっていても液体の中でPCが動作していることが信じられない

 3階は上海問屋とその奥にVRパラダイスが展開されている。今回、報道関係者はPC/ゲームメディアのみならず、TVや雑誌など一般のメディアも参加していたが、TVクルーの取材先はいずれもこのVRパラダイスだった。女性アナウンサーがHTC VIVEを装着し、「theBlu」などの比較的オーソドックスなVRコンテンツを体験しながら、「うわ、動いた」、「水槽の中にいるみたいです!」などとひっきりなしに感想を語り、その模様を撮るという内容。スタッフに聞いてみると北海道にはまだVRを手軽に体験できる設備がほとんどないということで、VRに特に高い関心を示す北海道のメディアが多いということだ。VRの試遊台は2台あり、いずれも予約、飛び込みのいずれにも対応している。

 VRパラダイスで体験できるVRコンテンツは、秋葉原のVRパラダイスと同様で、Steamで提供されているHTC VIVEの主要コンテンツのほか、「ピナのVR撮影会 Photo session」、「HopStepSing!」、「SERIOUS SAM VR」、「Farnsworth Coaster Prize Rush」、「ポッピンQ」(映像作品)といったドスパラ独占コンテンツも試すことができるため、すでにVRを自宅に導入しているVRユーザーも試す価値がある。北海道在住でVRに関心のある方はぜひ訪れたいスポットだ。

【VRパラダイス】
ドスパラ札幌店の試遊台は2台。専用予約サイトから予約を行なうか、直接行くことで無料で体験できる

 ドスパラ札幌店のオープンは、12月9日11時15分を予定。9日のオープンから週末に掛かる11日まで、ドスパラ恒例の特価品のセールや、ゲームイベント、トークショウなどが予定されている。

 特価品については日替わりでGALLERIA PCをはじめ、様々なPCパーツが日替わりで登場する。ゲームイベントは「Dospara CUP 2016」と称した「Forza Horizon 3」タイムアタックイベントを3日間実施する。また、ドスパラが協力しているドワンゴの「電王戦」で優勝したPONANZA(電王戦バージョン)と対戦できるイベントも実施される。12月11日14時からは、“改造バカ”として知られる高橋敏也氏、日本マイクロソフトXboxゲーミング本部 森洋孝氏、声優の山田悠希さんの3人によるトークショウが行なわれる。各イベントの詳細についてはリニューアル告知ページを参照して欲しい。そのほかにも様々なイベントの実施が予定されているので、ぜひドスパラ札幌店に訪れてみてはいかがだろうか。