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【スマホアプリ今日の1本】「バカハザ」 かつてないコラボバカゲー爆誕!
笑えるけど怖い! 初代「バイオ」と「バカボン」が融合した異形サイバイバルホラー
2016年11月25日 00:00
「バカハザ ~少年バカボン × バイオハザード~」の3大ポイント
・「笑い」と「恐怖」を1つにしたナンセンスの妙
・本来は怖いはずのシーンで炸裂する赤塚ギャグ
・「バイオハザード」ならではの緊張感は健在
「天才バカボン」を生んだ漫画家・赤塚不二夫氏の生誕80周年を記念して生まれた漫画作品「少年バカボン」。1996年に1作目が登場して以来、今日までにリリースされた新作・移植・派生作が100を超えるサバイバルホラーの雄「バイオハザード」。笑わせることと怖がらせることという、まったく逆の目的を持った2つの作品が奇跡のコラボレーションを果たした。誕生したのは、一見してバカゲーだとわかるAndroid/iOS用アクションアドベンチャーゲーム「バカハザ」。今回は、この異形のタイトルをご紹介したい。
舞台は20X6年7月、バカボンたちはオリエンテーリングでアークサイ山地を訪れた。道に迷った末、無残な姿になったレレレのおじさんの死体を発見した彼らは、奇妙なウナギイヌの群れに遭遇する。襲い掛かってくるウナギイヌから必死に逃げたバカボンたちがたどり着いたのは、森の奥にたたずむ大きな洋館だった。
本作は「バイオハザード」と異なり、見下ろし型の2Dマップを探索していくアクションAVG。移動方法は2種類あり、タップ移動はいきたい場所をタップすると、そこに向かってオートで移動する。スワイプ移動は、画面をタッチし、表示される方向キーを移動したい方向へスワイプすればOK。どちらの方法も、斜めに移動することはできない。
攻撃は、敵をタップ操作でターゲットし、再度タップ操作すると攻撃してくれる。また、画面をどこかタッチしている状態でもう1カ所をタップすると「バカボンが向いている方向」へ攻撃を行なう。操作としては辛い部分もあるのだが、初代「バイオハザード」でも感じられた“敵を攻撃したいんだけど、キャラクターがいうことを聞いてくれない”というもどかしさを再現している、と考えるとなかなか興味深い味わいが出てくる。
ストーリーは、冒頭でも軽く述べたように、本作は基本的には「バイオハザード」の物語を踏襲している。ただし、ゾンビと戦うのはクリスやジルなどのS.T.A.R.S.のメンバーたちではない。バカボン、アホヤ、アホナといった「少年バカボン」のキャラクターたちが中心人物となる。
これが、(笑えるという意味で)絶妙におもしろい。何が潜んでいるかわからない不気味な森のなかを進むバカボン一行。あまりにも凄惨な死体となって登場するレレレのおじさん。そして、皮膚の一部が腐り落ち、異様な姿になり果てたウナギイヌ。筆者としても数々のバカゲーを見てきたが、それにしてもこれほどシュールな作品は見たことがない(むろん、いい意味で)。
そのほか、洋館の外に置いてきてしまったアホヤのリュックの中身、床の血痕を見つけたバカボンの反応、大食堂の胸像から手に入るキーアイテムなどなど、いたるところにギャグが散りばめられている。ギャグそのものも悪くないのだが、何よりも笑いを誘うのはそのナンセンスさ。「バイオハザード」という本来は恐怖に満ちているはずの空間で、まるでコントか漫才のような光景がくり広げられるのだ。笑うまいとしても、笑わずにはいられない内容となっている。また、バカボンたちのドット絵がやたらと可愛いのも、お笑い要素に一役買っていると言えよう。
そしてゲーム部分だが、これが意外にも(というと失礼だが)よくできている。スマホアプリのゲームでありながら、アクション部分にしろ謎解き要素にしろ、むやみに簡単な仕様にはしていない。洋館のあちこちにはゾンビが徘徊しており、探索するのも一苦労。かつての「バイオ」シリーズに見られた「いつ敵が襲ってくるかわからない恐怖」、「すぐそばの物陰に何かが潜んでいるかもしれない不安」などが、確かに息づいているのだ。
セーブできる回数が「手に入れたインクリボンの個数」というのも、初期の「バイオハザード」らしくていい。回数が限られているのだから、こまかくセーブしながらゲームを進めていくような“安全を買うプレイ”はできない。結果として、ゲームを進めるうちに「息をするのもはばかられるような緊張感のあるプレイ」を楽しめることだろう。
日本が誇る“バカ”が探索する、凄惨を極める不気味な洋館。そして、そんな極限のサバイバル空間で炸裂する赤塚ギャグ。このコラボレーションによるおもしろさは、想像を超えるものだった。バカボンのファンも十二分に楽しめると思うが、何よりプレイしてほしいのは初代「バイオハザード」の経験者たち。「バカボン」と「バイオ」が織りなす笑いと恐怖のコラボレーションを、ぜひとも堪能していただきたい。