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ネクソン、「アラド戦記 10周年感謝祭」開催
まさかの番狂わせがおきた大会! キャラクターボイス変更情報も
2016年10月3日 00:00
ネクソンは10月1日、東京お台場のTFTホールにてWindows向けMMORPG「アラド戦記」のオフラインイベント「アラド戦記 10周年感謝祭」が開催された。
「アラド戦記」はベルトスクロール型アクションゲームのゲーム性をもったMMORPGとして韓国でネオプルによって開発され、日本では2006年にハンゲームからサービスが開始された。その後多彩な職業やフィールドを追加するアップデートをくり返し、運営もネクソンに移管されついに10周年を迎えた。
イベントでは予選を勝ち抜いた猛者による全国大会の決勝戦や、今後のアップデート情報、来日した開発者による質疑応答などが行なわれた。10周年を迎えた本イベントを紹介していこう。
3対3の対戦やギルドアジト、さらにはモバイル版の制作も発表
「アラド戦記 10周年感謝祭」では、ネクソンの運営スタッフによって今後のアップデート情報が発表された。実装時期は未定だが、様々な要素の追加が明らかになった。
最初に明らかになったのは「決闘場 総力戦モード」の追加。「アラド戦記」はPvPを行なう「決闘場」が大きなメインコンテンツとなっている。「総力戦モード」はアカウント内のキャラクターを3人まで呼び出せるモード。3対3での対戦が行なえるようになる。SNKプレイモアの格闘ゲーム「ザ・キング・オブ・ファイターズ」のような戦いができるようになるのだ。
プレーヤー達のギルド用の建物「ギルドアジト」が、他のギルドアジトを攻撃したり、自分の味とを守るモードが追加される。アジトは飾り付けも楽しめるという。キャラクターバランスの変更、システムの追加も明らかになった。エフェクトを追加する「オーラ」がアバター要素も追加され、機能とアバターをわけることができるようになり、技を試せる「修練の部屋」も追加される。モンスターをダウン状態で固定するなど、様々な状態にできるのがウリだ。
これまで20人揃えないと挑めなかった「アントンレイド」を、4人1組の1パーティで楽しめるように調整された「覚醒アントン」が追加される。ここではアントンレイドでしか入手できなかった装備も入手できるようになるという。そして「ダークナイト」、「クリエイター」の新規スキルの追加もアナウンスされた。新ストーリー「SEASON5.魔界」も実装予定。
複雑なクエストなどが削除され、通常よりレベルが上げられる「シーズンサーバー」の実装も行なわれる。男メイジ向けの新職業「ブラッドメイジ」、「スイフトマスター」、「ディメンションウォーカー」も実装予定だ。そして話題を集めたのが「キャラクターボイスリニューアル」。鬼剣士(男)に古川慎さん、格闘家(女)に井上麻里奈さん、ガンナー(男)に諏訪部順一さん、メイジ(女)に悠木碧さん、ダークナイトに安元洋貴さん、クリエイターに水橋かおりさんが起用される。
アップデートの他に開発者への質問コーナーも用意された。「アバターの再販売は年末などに行なう可能性はある。ただし、コラボレーションアイテムはできない」。「開発者間では女ガンナー、シーフ、格闘家が人気」。「新アバターは韓国のみならず、中国や日本のユーザーを意識して作ってる。ユーザーから寄せられたアイディアも大いに参考にしている」と言ったことが明らかになり、アバターのデザインの手法なども紹介された。
開発のリーダーであるオム・ジョンソン氏は最後に「『アラド戦記』は10年を迎えられました。これは本当にすごいことだと思います。10年前、誰も予想できなかったんじゃないでしょうか。これも支えてくださった皆さんのおかげです。プレイしてくださっている皆さんも、もちろん私達開発者も、この先20周年が迎えられると思ってくださっていると思います。これからも応援お願いします」と会場に語りかけた。
そして発表された大きな情報として「アラド戦記モバイル版(仮)」がある。スマホ向けになるアラド戦記で、会場ではPVが流された。2017年サービス予定だという。詳細は10月3日に発表されるという。
下馬評を覆しての決勝戦! ダンジョンタイムアタックはボスをワンパン!
「アラド戦記 10周年感謝祭」ではさらにPvPと、ダンジョンタイムアタックの全国大会の決勝戦も行なわれた。特に激戦になったのは「天下一決定戦2016」。昨年に続き開催されたPvP全国大会で、予選を勝ち抜いた8人のプレーヤーがぶつかった。
感心したのは会場のシステム。対戦は1対1で行なわれるのだが、なんと8台のPCを用意し、1人に専用のPCを割り当てたのだ。PCゲームではユーザーは細かく操作をカスタマイズする。アラド戦記は様々なショートカットを駆使するゲームであり、その設定が活かせなければ戦いは難しい。今回の機材はドスパラの「GALLERIA」を使用しているが、この協力と運営スタッフの経験あってこそのものだろう。オフライン大会はユーザーの普段の実力が出しにくい場ではあるが、スタッフの大会への理解と気配りは大きく評価したいところだ。
そして改めて「アラド戦記」の対戦は熱いと感じた。長く続いたMMORPGは技もスキルも細分化しすぎてコアプレーヤーでなければ何が起きてるかわからないが、「アラド戦記」のスキルは派手で見応えがある。プレーヤー達は一瞬の隙を見逃さず敵のダウンを拾い上げ、空中でコンボを繰り出す。
遠距離攻撃をかわす方法、敵の行動を読み切って釘付けにするための攻撃……スキルにはクールタイムがあるのでいつ出すかも重要だ。スキルの範囲を読み切る“感覚”を微妙にずらして当てるなどの読み合いも息が詰まるような緊張感を伝えてくる。
試合の流れも劇的で面白かった。公式ページで事前予想も行なわれ、出場選手ははっきりと人気がわかれていた。一番人気は梢.選手。昨年の大会の優勝者で、現在もユーザーの間で高い人気を保っている。今回は使用キャラクターを変えて大会に臨んだ。他の様々な大会で上位に立つ選手が多い中、最も人気が低かったのがレバリー選手だ。しかしだからこそ大会への気合いはものすごく、その思いの強さは見ているだけでも伝わってきた。
その気合いが影響したか、大会ではレバリー選手が大奮戦した。“格上”とされる選手達を次々と破っていった。会場でも対戦選手に声援が上がるなど、雰囲気もアウェイ感がある中、レバリー選手は健闘していった。そして決勝戦の相手になったのが梢.選手だ。1回戦で少し押された感はあったものの、さすがの強さを見せつけ、ここまで勝ち進んできた。決勝戦は事前予想の1位と最下位がぶつかるという、劇的な展開となった。
決勝戦は3本勝負だが、1本目レバリー選手はすさまじい集中力を見せた。梢.選手の攻撃を見切ったように動き、翻弄し、ダメージを与えていきついには勝利したのだ。しかしこの勝ちが梢.選手をキレさせた。彼の表情は一変し無表情になり、画面を食い入るように見つめて試合に臨み、そしてレバリー選手の動きを“完封”した。その鬼気迫る攻撃は激しく、レバリー選手は反撃もできずに負けてしまい、梢.選手が2連覇を果たした。
そしてもう1つ、「タイムアタック大会」も全国大会の決勝戦が行なわれた。こちらはプレーヤーの“日常”であるダンジョン攻略、いわゆる“狩り”にフォーカスした大会。実況を務めたGMポテ夫氏が30分以上かかるというダンジョンを3分でクリアしていくのだ。スキル選択やテクニックはもちろん、どこまで装備を吟味し、強化していくかも重要な要素となる。
何しろ強力なザコは一瞬で溶け、強力なボスすら一撃で倒してしまうのだ。最高難易度の超強力な敵が画面で表示されるまもなく消えていく。この凄さもまたプレーヤーでなくては真の理解は難しいが、究極までゲームをやり込んでいる人の姿を見ることができたと感じた。演出たっぷりで出てくる最強の敵が、まさに“ワンパン”で倒されるのが面白い。
優勝したのは妖怪退散っ選手。2位の選手が一瞬もたついてしまった部分も一気にクリアし、30秒近く差をつけての勝利だった。もたついたといっても普通のプレイでは充分どころでなく早いと感じさせられる。やり込みプレーヤーのゲームプレイ風景は全く異なるんだというのを実感させてくれた大会だった。
10年前に比べ、MMORPGの人気は落ち着いてしまった印象がある。ゲームジャンルとして確固たる人気は得ているものの、“流行”からは少し外れてしまっている。だからこそ個のジャンルでしか実現できない楽しさ、面白さは今もユーザーを魅了している。そしてやはり頂点を求めるプレーヤー達は熱い。こういったユーザーの熱意はずっと続いて欲しいし、メーカーは応え続けて欲しい。