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【特別企画】「英雄クロニクル」幾多の歴史を紡ぎ続けて5周年!

「英雄クロニクル」が宿すロールプレイの魅力を実演レポート!

【第3回】広がり続ける創造と冒険の世界に飛び込もう!

 「英雄クロニクル」ならではのユニークな魅力要素を、TRPGファンの目線から切り出してみようという特集企画の第3弾。今回は「週末戦」や「英雄戦」といったイベントを紹介しながら、TRPGにも通じるキャラクター・ロールプレイ(通称キャラロール)やコミュニケーションの面白さにスポットを当ててみたい。

 「英雄クロニクル」もTRPGも、攻略(クリアー)重視、キャラロール重視、会話重視など様々な遊びかたができるが、初心者や未経験者が外から見たときに、いちばん面白さが伝わりにくいのがキャラロールの部分ではないかと思う。

 なぜ「英雄クロニクル」が単なる“戦略シミュレーションRPG”などではなく、“創造系”と銘打たれているのか? その実際の理由が、今回の企画を通して多少とも伝われば幸いである。

[注釈]
今回の連載での舞台設定は、当連載における“アシュラナータ”のキャラクターのオリジナル設定です。こういったユーザー独自の世界観を使ったオリジナル設定も許されているのが「英雄クロニクル」の楽しめる点です!

戦場の歩き方

 好きなことと得意なことは異なるものである。

 魔導技師に憧れていた青年・アシュラナータは、周囲に見出された才能や資質に従い、否応なく戦略魔術師としての道を歩み始めた。

 ヴァルトリエ帝国で出会った旅の剣士・ヤシュミナからは、いくつかの戦地を渡り歩く中で、とくに多くのことを学んだ。

ヤシュミナ「最初は誰だって右も左もわからないものさ。俺も駆け出しの頃は、無鉄砲に戦地へ飛び出しては、半ば放棄されたような敵の拠点を潰して調子に乗ったり、たったひとりの敵兵を相手に部隊を撤退したりを繰り返していてね。そんなとき、ある集団戦に参加したんだ」

【アシュラナータ】「どんな戦いだったのですか?」

【ヤシュミナ】「ヴァルトリエとマッカの局地戦さ。マッカに潜入していた部隊が包囲されてね、救援に傭兵が駆り出されたんだ。俺が入った部隊も、じつに個性的な面子ばかりだったよ」

【アシュラナータ】「結果は……?」

【ヤシュミナ】「ここでこうして話しているから、生き残ったさ。ただ、戦いが始まると俺は周りのことなんて気にかけちゃいなかった。それが味方の足を引っ張っていることも知らずにね。部隊の総合力では、負けるはずのない戦いだったんだが……」

 ヤシュミナの表情が曇った。

 それさえも、今のヤシュミナを作っている戦場のひとつということなのだろう。
(自分なら、そのようなときどう動けるだろう……?)とアシュラナータは考えてみた。

【解説「ランダム部隊で戦う『週末戦』」】

「週末戦」は、文字通り週末にだけ発生する特殊な遠征イベントです。週末戦では、各陣営内で自動的にマッチング編成された専用部隊どうしが激突。参加プレーヤーそれぞれが、自部隊のキャラクター含む10名編成の遠征チームを操作し、指定された敵の拠点へと遠征を行ないます。

世界観や陣営の設定は、ログイン前のトップページでもまとめられています

 週末戦は、ランダムに編成された急造チームで戦うところが面白いポイントです。TRPG的にロールプレイを楽しむならば、「あの戦場でともに戦った仲間」的な一期一会の設定にもできますし、後日、傭兵としてあらためて絆を結べば「出会いのきっかけ」としても週末戦が機能します。ランダム要素というゲームシステムが、よい感じに「運命」を演出してくれるわけです。

 また週末戦では、同じ遠征チームで戦った他のプレーヤーの戦闘ログ(棋譜)を見て、攻略の参考にしたり、感想戦を行なったりできます。これも週末戦ならではのロールプレイを楽しむために利用できると思います。

選ばれし者たちの戦い

 その日、傭兵たちが集まる酒場はある話題で持ち切りだった。皇帝の勅旨を受け、帝都で英雄と讃えられる者たちが一堂に集結、セフィド本陣に攻め入ったというのである。

 興奮した口調で語り合う酔客たちの話は、次第に独特の熱と臨場感とを帯び始め、誰もが実際にその戦場に立ち会ってきたかのような気分になっている。極限まで張り詰めた決戦場の緊張感。それを打ち破るように響く剣戟の音。人外としか思えない者たちが繰り出す秘術の数々――

 アシュラナータは、その戦場を夢想する。

(僕には遥かに遠い戦場だけど……いつかはそのような場所に立つ日が来るのだろうか? そのときは、せめて英雄の皆さんたちの役に立てる存在にはなりたい、かも……)

【ヤシュミナ】「目指していれば、いつか俺たちだってそこに立てるかもしれない。いや、この世界に生まれたからには、そこは目指すべき場所だ!」

 珍しく前向きなアシュラナータの心情を読んだかのように、上機嫌で呑んでいたヤシュミナが声を上げた。それをきっかけに、周りにいた傭兵と思しき酔客たちが「そうだ! いつかは俺だって!」、「私も私も!」と唱和を始め、酒場は大宴会に突入した。

【解説「『中盤戦』と『英雄戦』」】

 各シーズンの中間に?なわれる「中盤戦」、終盤に?なわれる「英雄戦」は、いわば五大陣営間の代表戦です。陣営内から選出された精鋭の指揮を執るのは「英雄」の階級を有するキャラクターのみ。各陣営の猛者が一堂に会する戦場には、各国の主要NPCも姿を現わ
し、さながら「英雄クロニクル」における頂上戦争! 的な様相を呈します。

 中盤戦、英雄戦ともに参加者は限られますが、その戦闘ログは「陣営インフォメーション」のページで誰でも閲覧することができます。英雄になった者、英雄と共に戦った者、英雄に憧れる者、端から興味がない者……等々、キャラクターにも様々なタイプがあると思います。そのいずれの場合も、"英雄"というキーワードを軸に置くことで、そのキャラクターだけのロールプレイが楽しめると思います。

 言うまでもなく、アシュラナータや筆者は“英雄”から非常に縁遠いポジションにありますが、それでも英雄たちの戦いを楽しみ、キャラロールに利用することはできます。それを抜きにしても、とりわけクライマックス感あふれるボーカル曲をBGMに繰り広げられる「英雄戦」は一見の価値あり! ですよ。

休日の朝

 アシュラナータの朝は早い。低血圧そうなイメージゆえに周囲から驚かれることも多いが、毎朝誰よりも早く常駐宿の食堂兼酒場に姿を現し、しっかりと朝食も取る。

【アシュラナータ】「──ごちそうさまでした」

 両手を合わせ、きちんとおじぎまでする。意外に礼儀正しい。

 一方、ヤシュミナは朝がやや苦手なようで、いつもアシュラナータが朝食が終える頃に大きなあくびをしながら食堂に下りてくる。

【ヤシュミナ】「相変わらず起きるの早いな……余程眠りが浅いんじゃないか? と勘繰ってしまうよ」

【アシュラナータ】「夢の中で悩んだりすることは結構ありますよ……夢から覚めて、ああ、夢でよかったと一瞬安心するんですけど、何も悩み事は解決してないことに気づいて、そこでがっかりするんです……」

【ヤシュミナ】「あまり気持ちいい目覚めかたではなそうだな(苦笑)。君らしいと言えば君らしいが」

【アシュラナータ】「ヤシュミナさんはまだ寝足りない顔ですね。また遅くまで酒盛りですか?」

【ヤシュミナ】「それもあるが……今、ある書き物をまとめていてね……」

 冷めたトーストにかじりつきながら話すヤシュミナの目は、まだ半分ほどしか開いていない。

【ヤシュミナ】「ある悩める青年の話を下敷きにした、冒険の手引書のようなものなんだが……」

【アシュラナータ】「それは興味深いですね。というか、それって……!?」

【ヤシュミナ】「…………」

 気づくとヤシュミナの目が閉じていた。右手でしっかりトーストを握ったまま――

【解説「掲示板を利用したロールプレイ」】

 「英雄クロニクル」では、とくにキャラロールが活きる場所がふたつあると思います。ひとつは、前回の記事で紹介した「遠征」時です。自分で戦うときだけでなく、他のプレーヤーに雇われた傭兵(NPC)として戦場に立つ場合も、設定しておいた“演出”がロールプレイになることはすでに述べた通りです。

 もうひとつは、「陣営掲示板」や「部隊掲示板」など、各種掲示板を使っての他キャラクターとの掛け合いです。遠征が基本的に戦場での出来事となるのに対し、掲示板でのロールプレイにシチュエーション的な制限はありません。

 たとえば、自分のキャラクターの「日常」や「休日の様子」は、初心者でも入りやすく、楽しいキャラロールのひとつです。「戦っていないとき、このキャラクターはどんな風に過ごしているのかな?」などと想像し、その様子やセリフを書き込むだけで、キャラクターの“語られていない幕間”を演出できます。

 書き込みの形式は、各スレッドの流れや雰囲気に合わせるのがマナーですが、基本的には自由でいいと思います。キャラクターのセリフ(=ロールプレイ:RP)だけでは伝わらないと思ったら、プレーヤーとしてのコメント(=ノンロールプレイ:NRP)を添えるのもいいでしょう。他のプレーヤーが状況をイメージしやすく、できればリアクションしやすいように書き込めれば理想的です。

 ふとしたやり取りの中から、自分のキャラクターの新たな設定ができ上がったりする瞬間もあると思います(場合によっては、勝手に作られてしまうことも! 笑)。

 ちなみに本作の掲示板にはダイス機能が実装されており、やろうと思えばよりTRPG風の遊びかたやテキストアドベンチャー的なこともできてしまうという心憎い仕様になっています。それらの敷居は決して低くないですが、初心者の方は、まず多くのいろいろな掲示板を覗いてみてください。きっと何かしらワクワクする場所に出会えるはずです。

陣営掲示板でのキャラロール例。スレッド名に【RP】などと明記されている場合、そこではロールプレイが推奨されることを意味します

【アシュラナータ】「このままでよいのだろうか……」

 アシュラナータはいつも悩んでいる。悩む状況は様々なれど、その種は自分の存在意義についてだった。

【ヤシュミナ】「また溜め息かい? つい昨夜は酒場でかわいい女の子に助言をもらって随分喜んでいたのに……よくそこまで悩み事が尽きないものだと、逆に少し感心するよ」

【アシュラナータ】「自分で自分に納得できなきゃ、いつまでも悩んじゃいますよ……。僕は一応、アイアンブック(部隊)のリーダーなのに、遠征しても撤退ばかりだし……何ひとつリーダーとして……」

【ヤシュミナ】「君はそればかりだな。……まぁ、確かに君はいろいろ半人前もいいところだ」

【アシュラナータ】「うっ……」

【ヤシュミナ】「実際、戦場でもたいした戦力にはなっていないし、はたから見たら、ただのお飾りにしか見えないかもしれないな」

【アシュラナータ】「うううっ……」

【ヤシュミナ】「でも、君は仲間を生き残らせるために一生懸命じゃないか。それだけで結構心強いぜ」

 アシュラナータの肩を、ヤシュミナが強めに叩く。

【アシュラナータ】「痛っ!……ヤシュミナさんはいつも力が強いんですよ!」

 認めてくれる誰かがいるからこそ、自分の存在がそこに“在る”――ということにアシュラナータが気付くのは、まだ少し先のことである。

 そして――悩める戦略魔術師は今日も戦場に立ち、仲間のために指揮を執る。

【アシュラナータ】「勇気と知略を駆使して、生き残れ!」

【解説「世界は広がっていく!」】

 魅力的な世界観やキャラクター、物語に触れたプレーヤーが、自らのフィールドでその世界を広げていく――「英雄クロニクル」では、そんなゲームから派生した創作活動も盛んに行なわれてます。たとえばpixivなどで検索すれば、イラストや小説などの多くの二次創作作品に出合うことができます。

公式な企画としても、定期的にイラストコンテストなどが開催されています。各サーバーでゲームを開始するときのトップ絵も、このコンテストの受賞作品です
同コンテストには「サブNPC部門」や「NPCカットイン部門」もあり、優秀作品は実際にゲーム内で使用されることもあるとのこと。前述のトップ絵と同様、受賞者だけでなく、その他大勢のプレーヤーにとっても楽しい、じつにひと粒で2度おいしい企画です(笑)

 プレーヤーの創作活動を支援するツールとして、「英雄キャラクタージェネレータ」なるツールも公開されています。これはベースとなるキャラクターを選択し、肌や髪、顔の各部のパーツを選ぶだけで誰でも簡単にキャラクター画像を作成できてしまうという優れもの。しかも、PCにダウンロードした作成画像は「英雄クロニクル」だけでなく、“それ以外”での使用もOKという、何とも太っ腹な仕様(!)となっています。

英雄キャラクタージェネレータ

 「英雄クロニクル」が長く愛されている理由として、ゲームであると同時に、「プレーヤーの創作意欲を刺激してくれる優れたツール」でもあるという点は見逃せないと思います。

 ゲームの各所に詰まった創造力を刺激する仕組みが、思い入れの持てるキャラクターの創作やTRPGにも通じるキャラロールを可能とし、プレーヤーそれぞれの物語を育みます。それはゲーム内でも十分に表現できるのですが、ゲームの枠を超えた創作活動として外に広がることで、まだ「英雄クロニクル」の世界を知らない人にも届き得る可能性を獲得します。

 それぞれのプレーヤーがそれぞれの「創作」を楽しむことで、ゲームの中でも外でも絆が繋がっていく――それも「英雄クロニクル」ならはの魅力と言えるのかもしれません。

【天の声:教えて「英雄クロニクル」の中の人!】

万人向けで間口の広いゲームは他のメーカー様が、良いゲームをたくさん提供して下さっています。

ですので、決して万人向けではなくちょっと尖っているけれども、こんなマニアックなゲームがあってもいいだろうと制作したのが、この「英雄クロニクル」です。

またSRPGとしての内容に手を抜いている訳ではありませんが、語弊を恐れずに言ってしまえば、このゲームのゲーム部分はおまけにすぎません。「英雄クロニクル」の最大の醍醐味は、交流とロールプレイと想像の発露にあります。

ご興味が湧いた方は、ぜひこの紹介記事を参考にブリアティルトへ降り立って頂ければ幸いです。まだ見ぬ友、仲間、強敵たちと、あなただけのキャラクターの歴史を創っていきましょう!

[注釈]
アシュラナータの部隊は、本連載記事の為に用意した部隊となります。連載終了時に削除する予定となっております。また、本部隊への掲示板を含むコンタクトを行なった場合、画像を修正を行なったうえで、本連載に掲載される場合がある事をご了承ください。