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「バイオハザード7」の新たな体験版プレイレポート

Gamescom出展の新体験版は“追われる恐ろしさ”にフォーカス

2017年1月26日発売予定

価格:
パッケージ版 7,990円(税別)
DL版 PS4/PC 7,398円(税別)
DL版 Xbox One 7,400円(税別)
プレイ人数:1人

 カプコンより2017年1月26日に発売予定のプレイステーション 4/Xbox One/PC用サバイバルホラー「バイオハザード7 レジデント イービル」(以下、「バイオ7」)。その新たな体験版が、ドイツ・ケルンで開催されている国際ゲーム産業見本市「Gamescom 2016」で限定公開されている。

 今回は、Gamescomの会場で限定されたメディアにのみ公開しているというこの体験版を特別にプレイさせて頂いたので、いかなる内容になっているのか、どのような魅力を感じたかをお伝えしていこう。

ランタンを手にした“狂気”があなたに迫る……!バイオらしさのあるパズル的要素も

 「バイオ7」の体験版と言えば、6月にPS Plus会員向けに配信された「ビギニングアワー」が印象的だ。その謎めいた要素の数々に多くのユーザーが挑み、多くの時間をかけた探求とそれにまつわる議論が交わされることになった。

 ただ、今回の体験版は、「ビギニングアワー」とは方向性の異なるもののようだ。ユーザーへのオンライン配信の予定は今のところないという。

 そうしたところからも、じっくり謎を考察するということよりも、シンプルに“ある魅力”を味わうものになっている。

 カプコン開発陣では、「バイオハザード」に必要な要素として「恐怖」、「探索」、「リソースコントロール(管理)」、「戦闘」という4つを重要視しているという。

 そのなかで今回の体験版では、「恐怖」、特に「追われる恐ろしさ」がフォーカスされている。主人公は女性で、彼女を追う狂気じみた存在から逃げていくなか、少々の探索要素やパズル要素にも挑むいうものになっていた。

 「ビギニングアワー」とは趣向が異なるとはいっても、この体験版にもまた気になる要素がそこら中にある。プレイを開始した直後にカラーバーが現われ、ゲーム画面そのものがビデオ映像であることを思わせるものになっている。

 実際、ゲーム中の画面には終始“モニター画面のようなピクセル感”や“走査線のような表現”が入っている。グラフィックスもあえて映像に見えるような粗めの見せ方にしているようだ。

 主人公である謎の女性は、電話だろうか、誰かに必死な声で何かを伝えつつ、逃げている。周囲は何があるのかも見えないぐらいの漆黒の闇夜のなかで、湖だろうか? その上に建築されているとおぼしき洋館に通じる門を開けようとしている。門から玄関へと至る道には、赤ん坊の人形のようなものがたくさんぶらさげられており、異常さを感じさせる。

主人公の女性は、イーサンという男性に何かを伝えようとしているのか、それも途中のままに、洋館の中へと逃げ込んでいく。だがそこは、入り口まででも赤ん坊の人形のようなものが無数に吊るされていたりと、狂気に満ちた館だ

 その背後に迫る影。手には“ランタン”を持ち、どうやらそれほど大柄な体格でもない。謎の女は中年女性という風貌だ。

 この女性こそが“追われる恐ろしさ”そのもの。プレイ中、中年女性はしつように主人公の女性を追っていく。ゆっくりと歩いて迫ってくる程度ではあるが、じわじわとこちらに迫ってくる恐怖がある。
 歩みこそゆっくりだが、こちらを発見するとすごいスピードで迫り、顔をわしづかみにしてくるように襲いかかり、ゲームオーバーとなってしまう。背後の気配にも敏感で、パッと振り向いてこちらを見るや手を伸ばしてくる動きは、思わず声が出るほどの怖さがある。

 また、中年女性はこちらを追いつつも、「この家に迎え入れてやったのに、なぜわかってくれない」とか、「お前はあの子に愛されている」、「この力は授かり物だ」など、謎めいたことをヒステリックにわめきちらしている。その雰囲気からは「1980年代のアメリカ映画あたりに出てきそうなオーバーアクション気味のヒステリックママ」……そんな印象を受けた。

ランタンを片手にヒステリックに叫びつつ、こちらを執拗に探し続ける中年女性。その中年女性から隠れてやりすごすのがポイントになる

 逃げ込んだ洋館のなかは、完全に廃墟であり朽ちてしまっているようだ。「ビギニングアワー」の家と雰囲気こそは近いものの、より朽ち果てているし、間取りも異なる。前述のように10分程度で最後までプレイできるものであり、体験できた範囲はそれほど内部は広くない。

 その決して広くはない空間のなか、じわりじわりと追い詰めるように中年女性が迫ってくる。

 主人公の女性ができることは多くない。基本となる移動のほか、少し速めに走れることと、しゃがむこと、あとは発見したアイテムを手に入れること、パズルの謎解きに関わるものを調べること、といったものだ。攻撃などのアクションはない。

 中年女性が迫ってきたときに重要なのは“物陰にしゃがんで隠れ、やり過ごすこと”だ。

 ひたひたと歩いていく中年女性の動きは、とてもいい感じのいやらしさだ。立ち止まったかと思えば振り向いたり、別の部屋へと立ち去るかと思えば振り向いたり。先回りされたのか、予想外なところから現われたり。じわじわと来る緊張感のなか、ドキドキしつつ先へと進むための探索を行なっていく。

 途中にはパズル的な謎解きもあった。これが実に「バイオハザード」らしさを感じさせるもの。「バイオ7」はこれまでのシリーズとは視点の違いからはじまっていろいろと異なるものがあるが、探索や謎解き要素のテイストはお馴染みのものだ。それが感じられる一場面となっている。

朽ちた建物のなか、映写機のようなものが光を照らしている。パズル的な要素も味わうことができる

 さてさて。この日は10分ほどで終わるデモに対して1時間ほどの試遊時間を頂いていたので、時間の限り繰り返しプレイをさせて頂いた。なんと言っても「ビギニングアワー」の存在があったからであり、どんなものが隠れているのかわからない。

 結論から言うと、実はわずかなものなのだが“普通はこうはならない”というものを見つけることができた。とは言っても、そこにまた大きな謎があったり、気になるものが用意されているといった様子ではなかったのだが。工夫すると、ちょっと違ったものが見られたりする……ぐらいのものだ。

 だが、こういうものがあるかもしれないと考えてのプレイが実に面白い。これは「ビギニングアワー」で数々の謎を考察した人ほど伝わるところだと思う。

 気になる箇所があり、自分なりに考えを巡らせ、それを試したときに何かこれまでと違う発見をしたときの興奮は実にゲーム的。強く惹き付けられる魅力だ。

 新たな体験版は、“追われる恐怖”を感じつつ緊張感の高い探索を味わえる内容で、それがとてもわかりやすく、上手く作られている。だが同時に、“ここをこうしたらどうなるの?”という考えがプレイ中に湧き、それを試してみるというゲーム的アプローチの魅力も備えている。

 「ビギニングアワー」でも見られた、こうした裏に潜む謎、特にプレーヤーのゲームプレイと工夫次第で見つかるかもしれない何か、というものが製品版にもあったなら。繰り返し遊びこむ魅力が飛躍的に高まる。そうした魅力にも期待の高まるプレイとなった。これまでのシリーズとはうってかわって謎めいたところの多い本作だが、とにかく今後の展開と発売が楽しみだ。

主人公の女性は、基本的に手ぐらいしか自分の姿が見えない。だが影を見ると髪の長い人のようだった。なぜ追われているのか、ランタンを持つ中年女性は何者なのか? そもそもこの逃げ込んだ建物はなんなのか? 全て謎に包まれている