インタビュー

【E3 2014】「新生FFXIV」プロデューサー吉田直樹氏E3 2014インタビュー

E3で初公開された新蛮神「シヴァ」、そして「ラムウ」。今後のストーリー展開について

E3で初公開された新蛮神「シヴァ」、そして「ラムウ」。今後のストーリー展開について

シヴァについて語る吉田氏
これまででもっとも人型に近い蛮神「シヴァ」
こちらはパッチ2.3で実装される蛮神「ラムウ」

―― 今回パッチ2.3でラムウが実装されることが明らかになり、さらにシヴァも発表されましたが、今後も蛮神はちょくちょく出していくことになっていくのでしょうか?

吉田氏: やはり召喚獣―「新生FFXIV」の世界では蛮神と呼んでいますが―は「FF」の華だと思っていて、まだまだ数え切れないくらい「ファイナルファンタジー」シリーズには蛮神(召喚獣)がいるので、いろんな形で彼らの活躍の場所を作っていきたいです。リヴァイアサンまでは、わりと蛮族たちの人間を滅ぼして欲しいという願いに引きずられて、その思いのままに出てきていますけれど、ここからはもう一段深い話になってきたりします。ラムウ辺りからその兆候が見えてくると思うのですが、蛮神には蛮神の考えがあって、召喚する側の思想との微妙なズレなども期待していただきつつ。ただ、だいたいシヴァまででひととおり超有名な召喚獣は出たと思うので、その後はだんだん予想が難しくなってくると思います。

 「FF」シリーズの最新作としてようやくメジャーどころの召喚獣は揃いつつあります。さあここから何が来るかというところは皆さんが色々とご想像していただければ。2.3では、パッチ2.0シリーズのちょうど分岐点というか、いろいろな思惑が出てきます。みんなエオルゼアを守ろうとはするものの、割とそれぞれのエゴみたいなものも絡み合って、守るはずがかえって混乱を生んでいる?という側面もあります。そこに蛮神がどう絡まってくるのか、そこで暁がどう対応するのか。一方、また新しい勢力が出て、2.0シリーズの役者が全部揃う感じです。ここからのストーリーは激しく動くので、ぜひそちらにも注目していただきたいです。

―― シヴァについてお伺いしたいのですが、日本だとラムウがこれから盛り上がるタイミングでシヴァはまだちょっと早いかなと。ただ海外向けにシヴァが求められたということはこの前おっしゃっていましたが、それ以外に今シヴァを出した理由はなにかあるのでしょうか?

吉田氏: 2.3のストーリーをお楽しみに、ということになってしまうのですが……。現状3つの勢力がそれぞれ蛮神問題を抱えていますが、まだプレーヤーが「旧FFXIV」の頃から行けていない4つの目の地域が存在します。シヴァが氷の蛮神だと言うことも含めて、ここからどう物語が北へ進んでいくのか、その辺りを見ていただければこのタイミングでシヴァが出てくる意味も分かってもらえると思います。今回2.2のラストから新ジョブが来たように、シナリオの中に物語性を持たせてそれに合わせてゲームが進んでいくみたいなところをすごく意識して作っているので、今回も楽しみにしてくださると嬉しいです。

―― シヴァはこれまでのキャラクターと毛色が違っていて、蛮神でもあって通常の女性キャラクターとして登場するとかそういうことはあるのですか?

吉田氏: それイエスもノーもどっちもいえないじゃないですか(笑)。

―― シヴァが蛮神戦が実装されるのは、イシュガルドが実装されるタイミングになるのですか?

吉田氏: そうとは限らないです。まだ2.0のストーリーのなかで、光の戦士達と関わりはしたものの、キチンと語っていない一団があったりするので、伏線をいま徐々に回収していっているところです。

―― 2.3で少しずつ見えてくると?

吉田氏: そうですね。見えてきたところもあれば、更に分裂するところもありといろいろあります。

―― これでリヴァイアサン、ラムウ、シヴァと3体揃うわけですが、この3体を倒すと週に1回武器がもらえたりしないのですか?

吉田氏: 今回は入れてないです。また別の機会で考えます。もう十分アイテムレベル50から70、90、100というルートができあがっているので、これ以上同じレベル帯の武器を増やしても、あまり意味がなくなってくるので、そこはいまのところは考えていないです。

―― ラムウのビジュアルがすごく好きなのですが、アメリカのPRチームから「ラムウはないんじゃないか」という話だったと聞きました。実際ユーザーからの反応はどうですか?

吉田氏: 今回E3で、ここにラムウがいたのですが(と壁のE3用CGアートワークを指さす)、ラムウはモジャモジャしたヒゲが特徴なのですが顔は小さいでしょう? この蛮神集合の真ん中にラムウはやっぱりムサいなあ、と。E3会場の入り口のメインバナーに貼ることが決まっていたので、北米チームの意見を尊重しました。北米チームが「E3の舞台で華がないのは本当に勘弁してください」というので、「じゃあシヴァで行こうかね」ということになりました。この蛮神の配置意図も、色々とご想像いただけたらなと。

―― ラムウがPRチームにそういう風にいわれたことは吉田さんとしてどう思いました?

吉田氏: 僕も実際配置したラムウを見て、「これはないな」と思いました(笑)。確かに華やかさがなかった……。おじいさんキャラは大好きだし、ラムウの設定はよくできていて、ラムウの存在も設定も気に入ってはいるのですが、やはり多くの人にPRするには、デザイン的に不向きだと思うのでそこは致し方ないかなと。1人でも多くの方にプレイしてもらって、ラムウの良さをゲームで知ってもらいたいですね。

クリスタルタワー「シルクスの塔」について

E3で公開されたクリスタルタワー「シルクスの塔」

―― 新たなクリスタルタワーとして「シルクスの塔」が公開されましたが、ユーザーさんの反応で、「項目が7個ある」というのがあったと思いますが、ユーザーさんはやはり所要時間を気にしていて、ドロップの件もありましたけれど、途中離脱するプレーヤーをどうするのかとか、そういったことを気にしていると思うのです。今回のクリスタルタワーでなにか対策がありますか?

吉田氏: うーん、特に何か禁止行為のために専用処理などはしていないです。

―― 補充のシステムもあるし、そのシステムを使って補充して欲しいということですか?

吉田氏: そうですね、仮に途中抜けしてしまった人がいたとしても、今週魔だドロップを確保していない僕が、別に途中参加でもいいから欲しい物が当たるまで遊びたいという方もいます。ダンジョンだと経験値が少なくなるとか、クリアが難しそうだから、アラガントームストーンが減るからなどの理由で、途中参加OKが少ないかもしれませんが、クリスタルタワーでは途中参加はむしろラッキーな面も大きいです、ですので、極端にそこを気にしてはいません。

 否定的な要素をふさぐためのアップデートをひたすらやっていくのって、あまり前向きじゃないと思うのです。本当に世界のルールを壊してしまうようなものに関しては、今、不正ツール対応も内部的にもう一段対策処理を入れようとしているところで、そっちは徹底すべきだと思っています。

 ひるがえって、ツール使用などではなく、途中抜けのように1割に満たない数%の悪意の人のために、こまごまと窮屈な使用を入れて行くのが、果たして良いことなのだろうかと。システムで塞いでも、本当にISPの都合で回線切断してしまったら、その人と悪意で途中抜けした人の区別はほとんど付きません。それを判別しようとさらに細かい仕様を実装しようとする。下手に不具合を出してしまうと、通常プレイにまで影響が出る可能性もあります。それよりは、前向きに早く24人でのクリスタルタワー挑戦処理を実装するほうが良いと思っています。基本的に僕性善説なので、そういう悪意のある方のプレイがどこまで長続きするのかな?とも思います。

 仮にですが、僕と友達でクリスタルタワーに行ったとします。僕が「今週のアイテム取れたから、めんどくせーし途中で抜けるわ」と他の人のことを考えず、途中離脱した場合、友達は僕のことを「こいつと一緒にプレイしていていいのかな?」とたぶん思います。そういう人のために処理を必死に作り、結果、堅苦しい世界になってしまう方が僕にはつらいです。もちろん、それをよしとしない方もいるとは思うのですが。

―― クリスタルタワーの参加条件は、古代の民の迷宮をクリアしていて、パッチ2.3で新たに入るクエストをこなすことによって参加できるという理解でいいですか?

吉田氏: そうです。古代の民の迷宮を抜けている必要があります。

―― 全体のボリューム感ですが、前回と同じくらいなのですか?

吉田氏: だいたい同じと思っていただければ。

―― 難易度も同じくらいですか?

吉田氏: そうですね。皆さんのアイテムレベルが上がっているのでその分だけモンスターのHPや耐久性は上がっています。その辺りは歯ごたえという意味でちょうど良くしています。ただ、当然ですがギミックは総代わりしているので、「あれはこうじゃない、ああじゃない」と、ワイワイ攻略してみて欲しいです。もちろん、いきなり全員で全滅してみたり、大人数なのでワハハと笑いながらやってみてください。最初の古代の民の迷宮もそうでしたし、Aはこっちいきます、Bはこっちという感じで、すぐクリアしていけると思います。

―― 今度はアイテムレベル100の装備が手に入るので、それに相当する難易度だということですか?

吉田氏: 古代の民の迷宮でドロップする防具が全部IL80なので、それを揃えていってくださいということで、IL80あればクリアできる程度を目指しています。

―― 前回の報酬は「FF」シリーズのデザインをモチーフにしたおしゃれな防具でしたが、今回はどうなのですか?

吉田氏: 楽しみにしてください。クリスタルタワーのボスにちなんだものだと思っていただければ間違いないです(笑)。ですので全身揃えていただいてもいいですし、パーツをミラージュプリズムで使っていただいてもいいですし。

―― この前みたいにロールごとに何種類かあるわけですか?

吉田氏: はい。全部集めようと思えば、またかなりの量になりますね。

(中村聖司)