インタビュー

【E3 2014】「新生FFXIV」プロデューサー吉田直樹氏E3 2014インタビュー

“引退ユーザー”に対する施策。吉田氏「戻ってきやすいゲームを目指す」

“引退ユーザー”に対する施策。吉田氏「戻ってきやすいゲームを目指す」

引退予備軍に対するこの一見冷徹に見える基本スタンスは、実は就任初期から変わっていない。そのかわり、復帰する際のハードルをできるだけ下げることに力を注ぐ。これは非常に正しい施策だと思う

――結構ネガティブな話になってしまうのですが、僕の周りのプレーヤーが結構休止していたりとか、離れているプレーヤーが結構いて、昨日まで廃人のようにやりこんでいたプレーヤーが突然、ちょっともういいかなとバハムートの固定パーティ疲れたと、そんな風に辞めたり離れたりするプレーヤーに対して戻ってきてもらうようなアピールがあれば。

吉田氏: 難しいのですが、足踏みをしている方はおそらくクリアできないものがあったり、どうしていいのかわからないという事がポイントだったりするので、そちらに関しては昨日(6月11日)放送した「スクエニChan!」でも触れましたけどもう一段コンテンツの緩和を考えています。やはり極タイタンで詰まっている方がいらっしゃいます。いま極タイタンがキーになってその先のコンテンツがオープンしないということがあるので、コンテンツの緩和やフラグの制限を緩めていこうという話はしています。

 他方、先頭を突っ走りすぎて疲れてしまった方は、正直にいえば続けていただきたいですが、お休みするのもひとつの選択肢だと思っています。これは今回の「E3」で、色々な海外のメディアさんとも話をしていたのですが、「新生FFXIV」は“戻ってきやすいゲーム”を目指している部分もあります。

 例えば「クラフターが作った武器こそ最強にしたほうが、ゲーム内経済が回るのでは無いか?」など、色々なMMORPGをやっている方とはディスカッションになるのですが、「新生FFXIV」の場合、クラフターはパッチの直後に大きな商機があり、パッチが進むとプレーヤーの皆さんの平均アイテムレベルが上がり、それに伴って市場価値が下がります。その後、新たなパッチがリリースされ、アイテムレベルが上昇し、新たに追加されたクラフトレシピの価値が上がる……。つまり、経済を回すのではなく、波を作って行くのが「新生FFXIV」のサイクルです。

 これまでの第1世代のMMORPGにあったような、価値を維持するタイプのゲームの場合、価値が閉じられている分だけ、経済は回るようになりますが、システムから排出されるギルが常に市場に投下されることになってきます。つまり、ゲームによって異なりますが、緩やか、もしくは急激にせよ、運営を続けていく限り、経済はどうあがいてもインフレーションしていきます。これはシステムから延々と通貨が発行されることが原因です。ギルの排出をとめたり、デノミを行なわない限り止まりません。でもギルを貯めるのも遊びの大きなモチベーションのひとつですから、これを止めてしまうことはやはりあり得ないと思います。

 その状況でずっとプレイを続けてくれているAさんは、仮にコツコツプレイだとしても、常にギルはプラス方向へたまり続けます。市場に人気のアイテムがあれば、それは全プレーヤーのギルが増える以上、やはり市場取引価格は上昇していきます。他方、前回のメジャーアップデートのあと、3カ月休止して他のゲームをプレイしていたBさんが、次の大型アップデートにあわせてゲームに復帰しようとした際、大きな復帰障壁として「経済力」が立ちはだかります。

 最新の装備を整えて前線に復帰したいけれど、手持ちのギルは3カ月前のもので、かつ市場は3カ月前より高騰してしまっている。とても仲の良いコミュニティが待っていてくれ、相当支援をして貰えれば別ですが、前線に復帰するためには相当な「復帰のためのプレイ時間」が必要になります。かつてRMT業者の儲け口はこの点にあったと思います。

 ですので、「新生FFXIV」では、閉じた経済ではなく、概ね2回のメジャーアップデート毎に、ある程度経済がリフレッシュされ、かつアラガントームストーンなど、コツコツプレイを繰り返すことで、戦線に復帰するめどが非常にはっきり見えるようにしています。

 仮に2パッチ分のプレイ期間を休止し、1つアイテムレベルの壁を飛ばしたとしても、復帰した時に、例えばいろいろなコンテンツの難易度が調整されて、コンテンツクリアも追いつきやすくなっている。例えば、今のエキスパートダンジョンなら神話装備があれば余裕でクリアできますし、ダークライトでもクリアできるように調整してあります。おそらく3〜4週間で前線に復帰が可能です。

 それが成功するかどうかは別として、コンテンツの最前線を走ることに疲れてしまった方を、ひたすら引っ張り続ける方向のコンテンツを作ろうとすることは可能だと思います。MMORPGが少なかったころは、それでよかったと思うのです。他に選択肢がないですし、辛いことの繰り返しでも、こんなにすごいゲーム体験がある、ここにしかそれがない、となればやはり続けやすいです。一度置いていかれると、コミュニティについていけなくなる、という恐怖心もかなり強かった時代です。

 しかし今の時代のゲーマーはとても忙しい。ゲーム以外にエンタメも山ほどあり、しかもソーシャルを含めて、ゲームが次々に発売されます。これだけ選択肢がある中で、1つのものをひたすら遊び続けるのは、かなり辛いことでもあると思うのです。しかもそれがMMORPGの最前線であればなおのこと。「LoL」に代表されるMOBA(Multiplayer online battle arena)系にシーズンの波が用意されているのも、やはり同じ理由からだと考えています。

 ですので、僕たちができることは、「旧FFXIV」の頃からずっと同じで、とにかく「面白い、面白そうだ」と思っていただけるパッチやコンテンツ、アップデートを続けていくことが、何よりも大切だと思っています。パッチの度に大々的にPRをさせていただくのも、無料ログインキャンペーンを行なわせていただき、今のエオルゼアをぜひ体験しに来てくださいとご案内するのも、それができることの最大だと思っています。ですので、何かコンテンツ単体で解消するのではなく、ゲーム全体としてきちんとこれらを続けることが、休止している方に戻ってきていただく、最大の努力だと考えています。「あいつらどうしてるかな? かなり先いっちゃってるのかな?」と思って復帰してみたら、アラガントームストーンを集めて装備を調えたら、割とすぐに戦線復帰できた!というサイクルが、今の時代に合っているのかなと。

 もちろん、ずっと継続していただく方が、我々にとっても良いに決まってますし、それを諦めることは絶対にありません。そのために僕らは一生懸命アップデートもパッチも作っています。そして、一度お休みを取っている方にも、僕らは諦めずにきちんと宣伝しますし、新たな動きはメールなどでもお知らせさせていただきます。魅力を伝えるためのPVもがんばって作りますし、メディアの方にお話をして、LIVEもやって「そろそろ復帰しませんか?」という話を常にさせてもらうことが、僕らがやれる最大のことだと思っています。

 あまりゾディアックウェポンみたいな、とにかく走り続けてくださいというコンテンツを沢山いれることが、解決策ではないです。確かに運営や開発側からすると、お客様の離脱は辛いことでもありますし、プレーヤーの方でも、同じコミュニティの中で昨日まで一緒にやってきた人が「引退するわ」と言うのは、とてもショックだし寂しいことだとは思います。僕もMMORPGを長年プレイしてきて、何度も経験がありますし……。

 ですので、僕らは最大限これからも努力を続けます。むしろ1回スパッとお休みをして、リフレッシュして戻ってきてねと、そういう気楽さも今の時代には大切だと思います。そんな話を昨日、一昨日と、各国のメディアの方としていたところ「まさにそうなんだよね、忙しくて2.1で2カ月休止してたんだけど、2.2を境に戻ってきたら、またどっぷりなんだよね」というMMORPGの大手メディアの方がいて「言ったとおりになっているから、これからもどんどんコンテンツを入れて、どんどん復帰しやすくして欲しい」という話をされました。本当に難しいことではありますが、これからもがんばります。

ゾディアックウェポンシステムの現状認識と今後の展望について

―― ゾディアックウェポンシステムについて、いま3段階目のノウスまで入っていますが、私の周りは私も含めて比較的ライトなユーザーが多いと思うのですが、私を含めて例えば「アートマが出ない」。あるいは「神話集めが大変」と言う声が聞かれる。で、ここが謎なのですが、なぜか彼らは取得を必須だと思っている節があって苦しいツライと言いながらやる。そういうで悪いサイクルが勝手にユーザーの方でできているという風に私は思うのですが、これは吉田さんからみて開発として想定内なのか、それとも少し想定から外れているのか。その辺りをうかがいたいです。

吉田氏: そこはリージョンによって少し違いますね。焦ってないところは焦ってないですし。やはり性格によるのかな……という印象は受けました。

―― 比較的日本人は、しっかり取らないといけないんじゃないかと。今日も6時間でなかったとか。

吉田氏: 本当にF.A.T.E.だけをやっていた6時間なのか、何かの合間にF.A.T.E.に行っていたトータルプレイ時間が6時間なのか、恐らく人によって違いがあるのかな?と思います。確率的に6時間ひたすらF.A.T.E.をやり続けたと仮定し、それが2日、3日続くのは、もちろんありえなくはないですが、相当なレアケースになります。実はアートマのドロップレートは、皆さんが思っているほど低くはないのですが、コンテンツファインダーを併用しながら、その待ち時間にやっている場合、プレイ時間が6時間経過していても、意外とF.A.T.E.の試行回数が少なくなり、結果的に「6時間やっても出なかった」という印象になってしまうこともあります。何を隠そう、僕の最初の1個目が思いっきりそれだったので……。

 だからメリハリも大切で、今日はあまりガツガツしないで、テレビ見ながらF.A.T.E.回してたりするぞーという気持ちだと、意外とボロボロ出たり。アートマ集めに関して、僕の周りでも、やっている人は2本目、3本目とやってますが、やってない人は延々と侵攻編に通っていて、あとでいいや、という人も多いです。まだ3冊目だよ、2冊目だよといいながら、普通に自分のペースでやっていて、神話が貯まったら本を取って、本を取ったら新しい目標ができたから行ってくるわ、みたいな感じでやっているみたいです。僕もまだ4冊目だし、そのくらいの方が、一番多いという気がしています。学生さんか、社会人かで分かれる部分もあると思いますが。

―― 開発側のスタンスとしては、マイペースでいいのではないかと?

吉田氏: はい。ただ、すごく思ったのが、パッチ2.28でこんなにノウスを楽しみにしていた人たちがいたのかと。

―― 凄いですよね。なんだかんだで「みんな取ってるじゃん」と(笑)。

吉田氏: 緊急メンテナンスでご迷惑をおかけしましたが、ログインラッシュになるほどでしたので、凄かったです。プレイ時間が減ってしまい、本当に申し訳ありませんでした。次回からも気をつけます。

―― 今後のパッチで、難易度の緩和とか神話の消費量を少なくするとかは考えていないのですか?

吉田氏: 神話の排出量は、増やす方向に行くと思います。2.28でも少し調整しましたし、2.3でもまた調整が入るので、どんどん取りやすくはなっていくのではないかと思います。たぶんアートマを12個揃えるハードルの方が高くなっていくのではないかと。それも、いまノウスまで来ました。その次、さらにその次となったとき、後発の人があまりにもキツイので、そうなった時には他のコンテンツと同じように、キチンと押し上げて行く努力は当然してきます。

 パッチ2.1があって、2.2があって、コンテンツの大緩和があって超える力があって。とにかくだんだんクリアしやすくしますからというところが、他の要素にはまだ伝わりきれてないと感じました。それはコンテンツだけではなく、復帰しやすさも含めてです。だからもし、今走ることや、取り残されることに焦っている方には、もう少し安心していただけるように、コンテンツの配置を調整していきたいと考えています。

 突っ走り続けると、やはり疲れてしまうと思ので、ゆっくりやっていただきたいなと思います。「FFXI」の全盛期では、パーティプレイの面白さが最大化されていたと同時に、離されるとついて行けなくなってパーティを組めなくなるという側面もありました。まだ全体的にその印象が残っている部分もあるような気がしています。これらは、先ほどのお話と同じで、地道なアップデートと情報発信で、しっかりお伝えしていきたいと考えています。

―― PS4版についてPS Vitaのリモートプレイについて評判などはいかがですか?

吉田氏: 今回E3でLAに到着した日のことですが、僕がかつて遊んでいた「Dark Age of Camelot」というMMORPGのレベルデザインを担当していた方と食事をしました。彼は「FFXI」と「新生FFXIV」のヘビーユーザーで、よく海外で一緒に飲んだりするのです。その彼が「PS4のリモートプレイをとても気に入っている。会社はPCだけど、自宅のプレイ環境をPCからPS4に切り替えた」と言ってました。PS4版に乗り換えたところ、奥さんとモニターの奪い合いで喧嘩になるらしく(笑)、「いい加減寝なさい」と言われて、「分かった」と引き下がるらしいんですが、その後、自分の部屋からリモートプレイを開始して「うちのワイフはまさかPS4が動いているとは思うまい。あれがたまらなく素晴らしいんだ」と、大笑いしてましたね。

 他にもPC版でPS4をバインドしておいて、寝る前とか外に出るときにリモートプレイをしている方は結構多いですね。僕の友達にも何人かいて、一緒にプレイしているとLSのチャットで「そろそろ布団にいってリモートにする、チャット反応しないのでよろしくw」みたいな。そのまま寝るのが気持ちいいんだそうです(笑)。使いこなせていただいている方には、非常に便利に使っていただいています。後は最近、侵攻編2層まであれでクリアしたという人にも出会いました。

―― 猛者ですね(笑)。

吉田氏: やれる人はやれるんだなぁ……と。

―― 以前に海外のDPS計測ツールが話題になりましたが、アドオンの開発はどうなっていますか?

吉田氏: アドオンツールは今作っているので、まずはスキン替えとか表示を増やしてみたりということはやってもらって構わないと思っています。導入するかどうかは自己責任なので。我々はあくまで個人で楽しむ範疇のためにスキンを替えられたりするツールをリリースするだけであって、どなたかが作ったものをインストールしてプレイするのは自己責任。これくらいにしておいてください。ここまで言うのが精一杯です。

――最後に「新生FFXIV」を遊んでいる皆さんに向けてメッセージをお願いします。

吉田氏: 我々は現在色んな方向……、たとえばゾディアックウェポンの継続強化や、大迷宮バハムートで一発ドロップに期待をかける方向、戦記での底上げにアイテムを加えた改造など、アイテム強化ルートをいくつか作って、とにかくこれからも、いろいろと強くなる方法を用意させていただこうと思っています。パッチ2.3で実装される「シルクスの塔」も同じです。あとはエンドコンテンツを24人のものから、今回の「フロントライン」のように72人のお祭り対戦をするものまで、今後も物理的限界はあるにしろ、ありとあらゆる層の人に1つずつ着実に遊びをお届けしていくつもりです。

 冒頭でお話したとおり、世界中1人でも多くの方に遊んでもらうために、これからもひたすら走り続けます。これからの動向もそうですし、ゲーム内でもぜひご声援いただけたらなと思います。本日はありがとうございました。

(中村聖司)