インタビュー

「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー吉田直樹氏インタビュー(前編)

ソロプレイ御用達コンテンツ「ギルドリーヴ」と「チョコボ育成」の今後の展開

ソロプレイ御用達コンテンツ「ギルドリーヴ」と「チョコボ育成」の今後の展開

吉田氏はディレクターを兼務しているだけあって、ゲームの細かい部分まで良く把握している
ソロでコツコツ楽しめるコンテンツの代表格であるギルドリーヴ。レベル50からは蛮族クエストがその役を担うことになるようだ
ギルドリーヴは、任務そのものもさることながら、賞金首やお宝との遭遇が楽しい

――私は「新生FFXIV」のいろんなコンテンツをプレイさせて頂いていますが、1番のお気に入りが真蛮神戦で、次点としてはギルドリーヴの傭兵稼業がすごく好きなんですよ。現状、かなりマイナーで、低レベルから高レベルまで満遍なくあまり遊ばれていないものですが、実際にはあれはすごく色んなバリエーションがあって、各地の地形や風土を活かした、よく考えられたコンテンツだと思います。レベル調整をしてギリギリを狙えるところもいい。色んなタイプの賞金首がいてジョブの立ち回りも学べるし、本当に担当者とギルドリーヴだけでインタビューしたいなと思うぐらい、実に細かいところまで考えて設計しているじゃないですか。

吉田氏:担当が超喜ぶと思います。

――しかも、実はギルとかアイテムとかも結構美味しいのに、経験値がマズいってだけで、みんなやらないじゃないですか。

吉田氏:F.A.T.E.が楽だからですね(苦笑)。

――そのとおり。F.A.T.E.が楽すぎるから誰もやらないのですよ。今は「おまえ何やってるの?」、「ギルドリーヴだよ」、「はぁ?」みたいな雰囲気がある(笑)。

吉田氏:でも、僕はそうやって、中村さんがコンテンツを真剣にクリアしようと思ってやったから、今、その真蛮神をやっていてもしっかり倒せるんだと思います。

――ええ、まさにその通りだと思っていて、何事もショートカットするのは良くないでしょう。たとえば、F.A.T.E.で育ったキャラって例外なく全然ダメでしょ?

吉田氏:(爆笑)。フォーラムでも、同じ意見がありますね。LIVEに来た質問でも採用はしませんでしたが、「F.A.T.E.で産出されていくジョブたちについて、吉Pはどう思いますか?」って。

――わたしも本当にそう思っていて、フラッシュ連打して育った促成キャラが、レベル50になったらメインジョブで貯めたトークンや蛮神武器を使って、見た目だけはバリバリのアイテムレベルの高いキャラが育つわけですよ。あれってどうなんだろうなと。

吉田氏:うーん、やっぱりこれも「いいんじゃないですか?」になってしまいますね。遊び方、楽しみ方は人それぞれです。キャラクター育成がとても好きな方には、そのクラスやジョブが使いこなせるかどうかは、そこまで重要じゃないと言うことです。確かに真剣にクリアを考えているパーティーに、双方の志向性の違いはあまり良くないので、最低限のコンテンツには挑戦するためのアイテム平均レベルによる縛りが入る、ということになります。

――ちょっとギルドリーヴの話に戻るのですが、今は45までしかないじゃないですか。レベル50向けのリーヴは追加しないのですか? レベル50まで育ったらギルドリーヴはもう卒業なのですか?

吉田氏:そうですね。リーヴは一応終わりのつもりでした。

――私は、レベル50向けのギルドリーヴを用意して、経験値の代わりにトークンが得られたらコツコツ遊ぶ人はいると思うんですよね。一般のユーザーさんは、神話の週300制限をクリアするためにあと何周と考えてプレイされている方が多いと思いますが、私はギルドリーヴのチケットを消費するほうがプライオリティが高い。出張で数日遊べないとたっぷり貯まっているので、今日は10回はやらないとなみたいな(笑)。

吉田氏:社内にも結構、神話の制限までやれるかとか、今週はあと4周しないとだめだ!とかいいますよ。エレベーターに乗っていて、だいたい金曜日になると、ヤバイ今週はノルマ終わってないんだよなみたいな(笑)。

――ギルドリーヴはその点、誰も話題にしてませんし、フォーラムでも誰も質問していないのが寂しいんですが、レベル50用のギルドリーヴがあれば、クリア報酬としてトークンを配布すれば遊びたいという人は結構いるんじゃないでしょうか。少なくとも私はコツコツやります(笑)。

吉田氏:「2.1」からはその役割は蛮族デイリークエストとトレジャーハントが担うことになります。蛮族デイリークエストはまさにお話付きのギルドリーヴかもしれないですね。

――なるほど、それなら私みたいなギルドリーヴファンは、そのままスライドして楽しめそうですね。

吉田氏:そうですね。そっちに注目していただけると嬉しいです。レベル42ぐらいまではギルドリーヴで、その後は蛮族デイリークエストで、という流れで。チケット制と違って、1日に複数のクエストから、好きな物を選んで最大6つこなす。リワードは確実に貰えるから、とても計算しやすいコンテンツだと思います。

――話は変わりますが、先ほどのお話だと、吉田さんは長時間コツコツしんどいのはコンテンツとしてダメだということでしたが、それでいったら「チョコボ育成」って、今めちゃめちゃしんどいじゃないですか。ランク10まで育てるのは、いつまで掛かるんだろうというような味付けだと思うのですが、これはどういう意図なのですか?

吉田氏:現状はちょっとキツすぎるなと思いますが、もともと最終的にハウジングのアップデートで機能の拡張を予定しています。チョコボ厩舎、雛から育てるものと合流させようと。

――なるほど、今はまだ仮というか暫定的な仕様という感じですか。

吉田氏:にしても、キツめではありますね。

――厩舎のチョコボ育成って、今やっているチョコボ育成とはまったく別物なのですか?

吉田氏:雛から育てるものを予定しているので、今のとはちょっと違います。

――つまり、厩舎では2匹目のチョコボが持てて、さらに育てられると思ってもいいのですか?

吉田氏:はい。ただ2匹目は育ちきったチョコボからじゃなくて、雛から育ててくださいという感じです。

――チョコボを雛から育てれば2匹どころか、3匹、4匹持てるようになると?

吉田氏:セーブ領域を食い過ぎるとデータベースへの書き込みがしんどくなるので、あまり増やさないと思います。

――とりあえず現在の1匹と、雛から育てる1匹の2匹で、今回どれに乗りますか? どっちを育てますかとか。

吉田氏:そんな感じを想定しています。

――1匹目はヒーラーにしたので、2匹目はファイターにしようとか。

吉田氏:ああ、それは可能にしようと思っています。

――チョコボ育成のポイント振り直しを希望する声が出ていますが、振り直しは可能になりますか?

吉田氏:そんなに拒絶するつもりはないので、何かの報酬で入れましょうという話になっています。

あらゆるレベル帯の冒険者が参加して活況を呈したライトニングコラボイベント
「ドラゴンクエストX」からは3種類のゴーレムが参戦する
「ファイナルファンタジーXI」からはあのシャントットが参戦。「FFXI」のビジュアルのままデカくなっているのがおもしろい

――現在開催中のライトニングコラボ、低レベルから高レベルまで人が集まって面白いですね。

吉田氏:ありがとうございます。僕、ポジティブシンキングなのかもしれないですが、あれだけ人が大量に集まって、バーッとやるのはMMOらしくて良かったなと思っていて。確かに「もっと歯ごたえのある、インスタンスコンテンツでやりたかった」というお声も理解できるのですが、コラボである以上、「広く誰でも、コラボ先の熱心なプレーヤーでも、「新生FFXIV」をプレイ開始してから、ある程度すぐに体験できる」のも重要だと思っているので、インスタンス数が足りなくて行列になってしまうとか、後発が誰もプレイできない、ではうやはり意味がないことになってしまいます。

――今後予定されている「FFXI」や「ドラクエX」とのコラボは、どちらもF.A.T.E.での実装が予定されていますが、内容的には今回のコラボのようなイメージでいいのですか?

吉田氏:今の延長線上だと思ってもらえれば。それぞれに、それぞれのシナリオがあって、それぞれの報酬があると思ってもらえれば良いです。最初はどうしてもすごい参加人数になってしまうと思いますが、参加期間も長めにとっていますし、もう少しゆっくりご参加下さい。いずれご要望に添った、コンテンツ的にもっと凝ったものも、検討させていただこうと思います。そういえば、ライトニングコラボの低レベルF.A.T.E.で、ホーリー連発している方が複数いて「それ報酬はいらないから、せめて落ち着いてレベルシンクしましょうよ」と思って(笑)。あれはちょっと面白かったですね。

――オンラインゲームは好きだけど、「ファイナルファンタジーXIII」をあまり知らないような層にとっては、今回のコラボイベントで「何だ何だ?」って感じにはなったでしょうね。

吉田氏:そうですね。イベント開始した日にTwitterで「ライトニングさん」がトレンドになったくらいなので。

――これが今後、他の自社IP、例えば「ロマサガ」や「キングダムハーツ」などとコラボするような可能性はあるんですか?

吉田氏:どうでしょうね。「FFXI」は同じ「FF」シリーズでMMOということでやっているのと、「ドラクエ」はやっぱりMMOジャンルで3本そろいたったのでやりましょうということでやりましたが、ある意味ちょっとイレギュラーなので。

――すべてのフランチャイズに広げるようなことはない?

吉田氏:僕は「サガ」と「FF」どっちも好きですけど、両者は違うなあとは思うんです。なんか、戻れない良さ、「取り返しが付かない感」が僕は「サガ」にあると思っていて、選択したら戻れない。それは甘受して受けろという。

――イトケン(伊藤賢治氏、『サガ』シリーズコンポーザー)さんの曲で、真蛮神戦みたいなイメージで、真サルーインと8人でやったら絶対に盛り上がりますよね。

吉田氏:あはは、それは確かに面白そうです(笑)。

――社内コラボを広げるより、むしろ外部、そろそろ吉田さんも好きな「モンハン」シリーズとのコラボとかがおもしろいかもしれませんね。

吉田氏:「モンハン」は僕が好きなので、やれるんだったらメーカーガチンコ勝負の方が面白いなと思っちゃいますね……。「新生FFXIV」はまだまだコンテンツが足りないので、もう少し足していくのが先だと思いますので、まずは足元から。

――それにしても今回のイベントは、ゲームファンの皆さんが、こういう異次元コラボを許容する時代になったんだなと遊び手の受け取り方の変化を感じましたね。

吉田氏:でも、公表した瞬間の拒絶も凄かったですよ(笑)。結果としてはやってみてよかったですね。

(後編に続く)

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(中村聖司)