インタビュー

Android/iOS「幻塔戦記グリフォン」 Aiming・椎葉社長&開発スタッフインタビュー!

「幻塔戦記グリフォン」の今後について。そして話は意外な方向へ……

「幻塔戦記グリフォン」の今後について。
そして話は意外な方向へ……

――8月16日の大型アップデートで、上級職パラディンが追加されました。公式サイトで公開されている2013年のロードマップでは、他にも「ウォーロック」と「アサシン」の追加が発表されていますが、それぞれどんな職業になるのでしょうか?

國井氏:「ウォーロック」は王道の遠距離火力職です。元々「ウィザード」と「ウォーロック」は、どちらを先に入れようか悩んだんですよ。「ウィザード」はオンラインゲームでいうイニシエーターという役割で、相手を凍らせたり、打ち上げたりしてチャンスを作る職業です。「ウォーロック」は王道の魔法使いですね。今「戦士」をやっている人たちが震え上がる職業になります(笑)。

※「戦士」の上級職は「ソードマスター」と「パラディン」。「格闘家」の上級職が「モンク」と「アサシン」。「魔法使い」の上級職が「ウィザード」と「ウォーロック」。対戦においては、戦士系は格闘家系に強く、格闘家系は魔法使い系に強く、魔法使い系は戦士系に強いという3すくみが発生する。

――「ウォーロック」はかなり火力が高そうですね。続いて「アサシン」について教えてください。

國井氏:名前の通りの殺し屋でして、3すくみにおける魔法使いに対しての殺し屋というイメージです。中距離からの素早い攻撃が可能になっています。すくみに強い相手にはスーパーアーマーを無視するというのが本作には入っています。魔法を後出ししても「アサシン」はスキルでねじこめるんです。そのため、「アサシン」がいると魔法使い系はかなりしんどいと思います。他にも爆弾を仕掛けたり、状態異常を付与するなど、色々な遊びがあり、トリッキーで面白い職業です。

――色々できて面白そうですが、その分扱いは難しそうですね。

國井氏:難しいです。最初にキャラクターを作る際には「戦士は簡単です」とか出るんですが、格闘家系は結構難しいですね。

――作られているキャラクターは扱いやすい「戦士」が1番多いんでしょうか?

國井氏:1度統計を取ったら、割とバランス良く作られていました。開発としても、もっと戦士に偏ると思っていたんですけど。

――他にも新職業が追加されるそうですが、どのような職業なのでしょうか?

國井氏:どんな職業かはまだいえませんが、上級職を3つ追加する予定です。パラディンに回復、壁を作るといった新しい遊びがあるように、新しい遊びができる職業を意識して作っています。また、職業の組み合わせでこんなことができる!と思ってもらえるようにも意識しています。

――今お話いただいた新職業は、さらなる上位職なのでしょうか?それともパラディンやウィザードと同列なのでしょうか?

國井氏:パラディンなどと同列ですね。

――さらなる上位職や3種類ある基本職が追加されることはあるのでしょうか?

國井氏:さらに上は可能性はありますが、基本職に関しては30分程度で上位職につけるので、特に追加は考えていません。

――公式サイトで公開されている「2013年ロードマップ」では「ギルドリーグ戦」や「チャットロビー」など様々な機能追加が明らかになっていますが、いくつかお話いただけますか?

高屋敷氏:次に入れるのは「ギルドリーグ戦」(仮称)です。次回のアップデートで一通り改修されるのですが、これまでギルドの仕組みには不具合が多く、ストレスに繋がっている状況があります。それらが改修された上で、「ギルドリーグ戦」や「ギルドクエスト」といった固定のメンバーで密に連絡をとりながら遊ぶものを実装するのが大きな目的だったんです。「ギルドクエスト」は先日イベントで導入しました。

 本作のアクティブユーザー数は減っていたのですが、「ギルドクエスト」の導入により、盛り返すことができました。ギルドで共通の目的を持って遊ぶのは面白いと感じていただけた結果だと思っています。「ギルドリーグ戦」は、一定期間内で争うギルド対抗のリーグ戦イベントです。報酬も用意しています。今はランキング何位だから何位目指してがんばろうと盛り上がってもらいたいですね。ソーシャルっぽい流れにはなるのですが、いい結果を出しているタイトルにならってやっていきます。

椎葉氏:「チャットロビー」は、チャット専用の部屋ですね。対戦前のブリーフィングや対戦後の反省会といった使われ方がベストだと思っています。複数人の対戦ゲームで最も楽しいのは、対戦が始まる前と終わった後だと思うんですよ。「今のはまずいだろ。敗因はお前だろ?」、「いやいやそんなことないでしょ!」、「じゃーもう1回やろうか!」などと盛り上がるじゃないですか。

――「レアモンスター」は8月27日のアップデートで追加されましたが、評判はいかがですか?

高屋敷氏:出現率が渋くて実装されたのかわからないという意見があります。出現の情報の共有ができていない所に問題があるんです。そこは反省点です。9月3日のアップデートで出現率が2倍になり、フィードに流れるようになったりするので、もう少し盛り上がると思います。ちなみにレアモンスターからは課金しないと手に入らないようなアイテムが手に入ります。

※取材時点で実装されているレアモンスターは「ガーゴイル」。一部のSPクエストにのみ登場する強力なモンスターだが、倒せば強力な装備を手に入れることができる。

――近日中にスキル調整を予定しているとのことですが、どの程度の調整なのでしょうか?

國井氏:全職業のスキルを調整します。1番大きいのが「モンク」への調整です。仕組み的に「モンク」は魔法使い系に強いのですが、スキルの出がかりを氷結で止められて動けなかったりするんです。そこで魔法使いの魔法を無視して攻撃できるように調整しています。また、格闘家系のスキルはダメージが大きい代わりに出るまでに時間がかかるという点があります。出るまでの間を狭めて使いやすくしています。他にも使いやすいスキルの威力を上げたりもしていますね。

――ずいぶん調整が入るんですね。

國井氏:全体的に3つしかスキルがセットできないので、対戦で人が使っているスキルを見て、強いと思われたスキルばかりが使われているんです。そのため使われていないスキルがあるのですが、それら使われないスキルも強化しています。例えば「モンク」には「剛体」という一定時間魔法を無効化できるスキルがあるんですが、こちらも強化されているので、使ってみてほしいです。

 なお、「パラディン」のみ調整していません。「パラディン」は実装したばかりのため、まだあまり使われていませんし、開発的には強いというスキルが使われていなかったりするんです。個人的にイチオシなのが「ランパート」という壁を出すスキルです。ただ壁を出すだけのスキルなので地雷だと思われているんですが、退路を塞いだり、敵を分断したりとかなり強力なのでもう少し注目してもらいたいですね。

高屋敷氏:次回のアップデートで、スキルリセットアイテムを配布するので、これを期に試してもらいたいですね。

――スキルツリー制は自由で楽しいですが、どうスキルを取っていけばいいか悩ましいですよね。

國井氏:そうですね。スキルは1つの系統を極めると超技が習得できます。そこを一直線に目指すのもいいんですが、中間のスキルは使いやすいものになるように意識して設定しているので、中間のスキルをつまんでいくことで使いやすいキャラクターになるんです。超技は威力が高い分、CT(クールタイム)が長く、使い勝手がよくないんです。なので、CTが短く当てやすい中間のスキルを中心にとっていくのもアリだと思います。

[下側:(スキルツリー画面):上位職ではレベルアップと同時に獲得できるスキルポイントをスキルに割り振ることでスキルを習得する。また、各スキルには威力や属性などの他にCTが設定されている。CTの数値が大きいほど、再使用までに必要な時間が長くなる]

――ロードマップにある「対戦システム拡張、対戦マップ追加」という項目がありますが、対戦システムはどのように拡張されるのでしょうか?

高屋敷氏:対戦中にアイテムが登場するというものがあります。これは取ることで成長できるなどの効果があるため、キャラクターレベルに差があっても、これまでより活躍できるようになります。他にもこれから始めるユーザー向けにチュートリアルやNPC戦を入れたりしますし、プレイを継続しているユーザー向けには茂みで隠れると相手に見えないといった戦略性が上がる要素を入れる予定です。現行の対戦はブラッシュアップしながら、上位のクラス向けの対戦システムは入れていくといったイメージです。

――「レイドボス」に関してもお願いします。

高屋敷氏:「ギルドクエスト」などはギルドベースで遊ぶ仕組みなのですが、「レイドボス」はもう1つ上で、大きくユーザーが3つに分かれる大盗賊団の単位で遊ぶ仕組みを考えています。当然ものすごく強力なモンスターと戦うことになるのですが、単にポコポコ殴るだけでなく、1日に何回か開催されて、他の盗賊団と競い合ってダメージを与えていくものを考えています。お互い邪魔しあったり、そういう仕組みを入れたいです。

椎葉氏:今後追加したい機能として「LoL」のスペックの話が出たのですが、本当はリプレイが1番いいんですよね。

――うまい人がどうプレイしているか見たいですよね。どうすればうまくなるかすぐわかりますし。

椎葉氏:リプレイがあると対戦後も盛り上がるんですよ。「ここ見ればわかるでしょ」、「やっぱこれはないでしょー!」みたいな(笑)。例えば「Age of Empires」の頃は、回線が悪くてチーム戦が成り立たず、基本1対1だったんですね。1人でやってると苦しくなるんですよ。実力差がハッキリでるので。僕としては、どこに限界があるのか知ることはあまり楽しくなかったです。でもチーム戦だと毎日4対4で朝4時まで対戦しても楽しかったんですね。

 また、会話のネタとして、ゲームは大事だと思っています。オンラインゲームで「このゲームチャットソフトだろ」と言われてしまうことがあるのですが、それはある意味褒め言葉だと思っています。ずっとそこにいてチャットをするだけで楽しいと思えるなんて素晴らしいことだと。「レイドボス」にしても「ギルドリーグ戦」にしても、全て会話のネタを生むというか、会話のきっかけとして、オンラインの友達とゲームの中だからこそ付き合っていけるものを作っていきたいんです。

 今起きたことを6時間後に「凄かったらしいね?」と言われるよりも、今この場でみんなと共有して盛り上がった方が楽しいので、リアルタイム制が好きなんです。弊社の大半のプロジェクトでは、リアルタイムの端末であるスマホを使い、リアルタイムでの楽しみを伝えていくことに重きを置いています。

――たしかにゲームそのものだけでなく、そのゲームをネタに話をするのは盛り上がりますね。

椎葉氏:ソーシャルゲームという言葉ができる前からオンラインゲームはソーシャルゲームなんです。ソーシャルゲームという言葉遊びは本当に嫌いなんです。公演を頼まれた時も言葉の定義から話します。「そもそもソーシャルゲームってなんですか?ソーシャルネットワークサービスにのっているゲームがソーシャルゲームなんですが、カジュアルなゲームのことをソーシャルゲームって言うようになりましたよ」と。ソーシャルは社会で、定義上2人以上いれば社会なので、ネットに繋がっていれば全部ソーシャルゲームになる。オンラインゲームと何も変わらない。どう呼んでもいいけれども、僕は「ネットに繋がるゲーム」という言い方をしています(笑)。また、オンラインゲームというとPCオンラインゲーム、ソーシャルゲームというとモバイルゲームと取られてしまったりもします。そもそもソーシャルゲームはFacebookのZyngaのゲームなどが最初です。それをPCで遊ぶので、PCオンラインゲームだとすると定義がおかしくなってしまう。

――そもそも今は家庭用ゲーム機でもなんでも、大半ネットに繋がりますよね。

椎葉氏:そういう話になっちゃうんです。じゃあ、もう家庭用ゲームもソーシャルゲームなのか? と。結局、大半のゲームはオンライン機能があってネットに繋がるものになるので、ソーシャルとかオンラインとかそういう(区別は)はもう(しなくて)よくない? と思います。

 ただ、リアルタイムか、同期性の低い半リアルタイム制のゲームか、という差はあって、リアルタイムのゲームではよりコミュニティを濃くすることができるはずなんです。ギルドの対戦に注力していたりするのは、リアルタイムのネットに繋がるゲームとして、1番楽しい部分だからなんです。こういう所を今1番新しいゲームデバイスであるスマホで提案していきたいですね。提案してもらわなくても結構だと思われるかもしれませんが、スマホはみんな持っていて、オンラインゲームはもっと面白いはずなんです。「大変そう」、「面倒そう」と思われがちですが、ちょっとした隙間の時間でも楽しくできます。ゲームの作り手としてこういった新しい価値提案をしていきたいです。

――スマホをゲーム機として考えた場合、持っている人がとんでもなく多いというのは強味ですね。

椎葉氏:そうですね。毎日PS3やPCでゲームを遊んでいたり、来週発売されるゲームソフトを覚えているような人たちもスマホを持っていて、PS3やPCの前にいない時間があって、隙間の時間があるんです。そういう人たちに私たちのゲームを楽しんでもらいたいと思っています。

――最後に弊誌の読者へ一言お願いします。

椎葉氏:GAME Watchさんの読者さんですと、家庭用ゲーム機やPCゲームのプレーヤーが多くいらっしゃると思います。「スマートフォンって簡単なパズルゲームのようなものばかりなんじゃ?」と思われるかもしれませんが、本作のようにPS2以上のスペックで、ゲーム内容も本当にオンラインゲームって呼べてしまうものがあるんです。ポチっとしたら勝手にダウンロードされるので、遊んでもらって、スマホのゲームでも面白いもの、楽しいものが出ていると思えるきっかけになればと思います。

――ありがとうございました。

(木原卓)