インタビュー

「FFXIV: 新生エオルゼア」吉田直樹氏発売記念インタビュー(後編)

対人戦について。4対4のキッチリバランスの取れた戦いを実現。大規模戦は半年後に実装か

対人戦について。4対4のキッチリバランスの取れた戦いを実現。大規模戦は半年後に実装か

対人戦にもこだわりを持つ吉田氏
コロセウムの中を見せてくれた

――対人系のコンテンツも計画されていますが、開発の進捗はいかがですか?

吉田氏: もう実装されていてマップはお見せできますが、人がいないので対戦はお見せできません。フェーズ4で「旧FFXIV」のレベル30以上のキャラクターをお持ちのプレーヤーは対人戦のテストができます。

――おー、βフェーズ4から、もう体験できるのですか?

吉田氏: はい。僕らはバックエンドでデータをとって、プレーヤー同士が対人戦をしているログを取ろうとしています。今回のβフェーズ4は、PvP専用アビリティがまだ実装されていないバージョンです。基本はモンスター用の戦闘アクションを持って、単に戦うというだけになるのですが。

――本導入はいつくらいのタイミングなのですか?

吉田氏: パッチ2.1です。

――βフェーズ4から遊べるのは対人戦のコロシアムと大規模PvPのフロントラインの両方ですか?

吉田氏: いえ、今回はコロシアムのみです。フロントラインはもっと後です。フロントラインは規模がデカいので、そんなにすぐには公開できないです。コロシアムは「ウルブズジェイル」というコンテンツ名に決まりました。

――前に1度イメージイラストとして公開したものですよね。もう完成していたのですね。

吉田氏: ここはリムサ・ロミンサのモラビー造船廠から船で行きます。

――参加条件は?

吉田氏: レベル30以上です。ランキングボードではPvPのランキングが見られます。ここは、リムサの沖に巨大なクレーターができているのですが、メテオの影響でできたクレーターを利用したコロセウムになっていて、そこに廃船であるこの船を横付けして、受付にしているという状態です。ここの船の中に武器防具やアイテムを売っているショップが並んでいて、PvPの受付があります。3都市のグランドカンパニーが共同で出資をして、それぞれのグランドカンパニーの兵たちを鍛えようという場所なので、3都市の旗がはためいている状態です。1回でもここで参加登録をするとコンテンツファインダーに登録されるので、あとはもうどこからでも参加できます。

――ほー、対人戦もコンテンツファインダーに登録できるのですか?

吉田氏: できますよ。レベル30、レベル40、レベル50というカテゴリがあって、4人対4人で戦います。将来的に8人対8人もやるかもしれませんが、まずは4対4でしっかりバランスを取ります。

――対人戦は1対1はないのですか?

吉田氏: 1対1はどうしてもダメージ計測的な意味合いが強くなるので、今のところ計画していないです。

――ユーザーから「やりたい!」っていうニーズがあっても入れませんか?

吉田氏: それは、なんかハウジングエリアか、どこかに攻撃してこないNPCを立てて、ダメージ計算したり、/duelと打ったら、ここだけはデュエルしてもいいよという風にするのは可能です。が、フロントラインがオープンすれば、ソロでデュエリスト求むみたいなことをやればできるので、そっちでいいかなと。

――コロセウムで勝敗による報酬はありますか?

吉田氏: 勝った側はPvPポイントと経験値が獲得できます。経験値は1クエスト分くらいは入るのかな?

――そのPvPポイントを貯めるとどうなるのですか?

吉田氏: さっきお話したPvP専用のアビリティやPvP専用の装備と交換できます。

――専用装備というのは、コロセウム限定装備みたいなものですか?

吉田氏: いや、どこでも装備できますが、PvP用のパラメータががっちりついているというもので、PvEでも使えば使えるけど、対モンスターに対しては強くはないです。PvPはそれこそCC(Cloud Control、集団戦による群衆操作、またはその対策)が活きてくるので。無尽蔵に固まって突っ込んでもまとめて全員スリプルされたらさすがにあっという間に負けてしまいます(笑)。

 それを防ぐために眠り耐性を上げる装備をつけることによって、スリプルを食らっても眠っている時間が半減するとかになってくるとすごく効果としては大きいわけです。でもそれってモンスターと戦っている時には、ほぼ必要ない。殴ってくる敵がスリプルなんてしてこないし、パーティーならエスナをかければいい。PvPはやはり必要なパラメータが対モンスター戦とは全然違ってくるので、そういう効果をメインで付けた装備を稼いだポイントで交換する。もちろんマテリアクラフトして、PvPに特化した装備を作るのも狙いのひとつです。だから街で見せて自慢することはいいと思うんですが、ただ、それで通常のモンスターと戦うバトルコンテンツに参加したら「着替えろ」と言われると思いますよ(笑)。

――ここ以外にPvPポイントって何カ所かあるのですか?

吉田氏: あとはフロントラインです。

――フロントラインは現状で見られるものはありますか?

吉田氏: まだ全然データ入れていないです。

――実装時期はいつくらいを考えているのですか?

吉田氏: 今予定はパッチ2.3くらいが目標ですかね。半年から9カ月後先ですね。

――コロセウムは「ウルヴズジェイル」だけですか?

吉田氏: ここだけです。ただこの「ウルヴズジェイル」の中に、戦闘用のマップをいくつか増やして行こうかなと思っています。初期では1つガッチリしたやつを用意します

――実装後に少しずつバリエーションを増やしていくイメージですか?

吉田氏: そうですね。バトルするマップをたとえば、500マップ作っても、それでゲームが面白くなるとは思っていないのであまり数を増やすつもりはないです。やはりレースゲームをプレイしても、タイムアタックして完璧によくできているコースは、たいていが最初の1コース目になります。まずは徹底的にバランスを取った1マップで、徹底的にバトルをしてもらって、徐々にいくつかマップを増やしていくことで、バリエーションの違うバトルを楽しんでもらおうかなと思っています。

――インスタンスダンジョンには色んなギミックを入れたりしていますが、将来敵にPvPのフィールドで何かギミックを入れたりすることはありますか?

吉田氏: 実力以外で勝敗を左右されたら腹立ちませんかね?

――いいところまで追い詰めたのに、トラップに掛かってグサって刺されて死んだらガッカリしますね(笑)

吉田氏: ええ、そうなると、それありきで、トラップを踏ませる戦術が固定化されそうなんですよね。そこはいろんなゲームを見てきたので分かるのですが、プレーヤーは何よりも勝ちたいので、勝てる戦術だとそれ一択になると思うんです。

――そういう意味では「FFXIV」は、やはりアクションゲームではなくてRPGなのですよね。そこは「ギルドウォーズ2」などのアクション性の高いオンラインゲームの影響を受けつつも、それらとは一線を画しているところですよね。

吉田氏: そうですね。だから僕は落ち着いて、ちゃんとロジックを組んで、最低限そのロジックを動かすだけの指裁きがあれば、誰でも遊べるようにしたんです。

――プレーヤースキルが要求されるゲームにはしたくない?

吉田氏: 僕はよく廃人だ、コアゲーマーだと言いますし、言われますが、格ゲーとかやっていると、最初全然ダメですよ(笑)。結局、ひたすら練習してやりこんでいく、オッサンゲーマー型なんです。だから僕も、いきなりバトルチームが作ってきたレベル50の黒魔道士ぽんと渡されて、「はい、吉田さん、DPS出してください」と言われたら全然ダメですもん。

 ちゃんとアビリティ1つずつ見て、自分でテストをし、ローテーションを考えて、理屈で数字計算して、試行錯誤しながらこれがきっとベストルートだと思うけど……、という話をしにいくとバトルチームのスタッフから「正解です」といわれて、後はそれが手になじむまで練習あるのみです。でも、ゲームがうまくなるって、ロジック判断力があがること、判断までの時間が短くなること、だと思うのです。反復こそ最強のトレーニングかなあ、と。そこに指捌き要素が強いと、ギブアップする人の数が絶対的に増えます。「FF」だからこそ、そういうゲームにしたくない。「FF」じゃなかったらチャレンジしてもいいかなと思うのですけど。

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(中村聖司)