BFG 2011レポート
「The Elder Scrolls V: Skyrim」エグゼクティブプロデューサーTodd Howard氏インタビュー
ドラゴンが棲むファンタジー世界でなりたい自分になれるRPG
「BFG 2011」でもっとも高い注目を集めた「The Elder Scrolls V: Skyrim」。今回の会場も「Skyrim」の世界を実感して貰うためにわざわざ雪原地帯を選んだほどで、「Skyrim」の開発総指揮を執るBethesda Game StudiosのスタークリエイターTodd Howard氏には常にメディアが張り付き、様々な質問をぶつけていた。
Howard氏へのインタビューは、「Fallout 3」に続いて2度目だが、北米のゲームクリエイターとしては比較的小柄な体つきながら、ほとばしる才気と鋭いまなざしが印象的だったが、今回はBethesdaを代表するクリエイターとして落ち着いた面持ちでインタビューに応じてくれた。
インタビューは、非常に限られた時間で、しかも合同という厳しいコンディションだったが、いくつか聞きたい質問を織り交ぜることができた。また、「Skyrim」のプレゼンテーションではQ&Aセッションがかなり盛り上がり、貴重な質問がいくつも出されていたので、こちらもできる限り収録している。今回聞けなかった部分は、E3等の機会でまた改めて聞いてみたい。ひとまず本インタビューで「Skyrim」の魅力の片鱗を感じ取ってもらえればと思う。
■ 「Oblivion」から200年後のドラゴンボーン(龍族)の物語
「The Elder Scrolls V: Skyrim」エグゼクティブプロデューサーTodd Howard氏 |
「Skyrim」のストーリーで重要な役割を果たすドラゴン。空から突然襲われることもあるようだ |
「Khajiit Temple」と名付けられたスクリーンショット。今回も主人公は数多くの種族から選択可能になるようだ |
Q: 「Skyrim」のストーリーについて教えてください。
A: ストーリーについてはまだ話せませんが、AIのほうは「Oblivion」から変っていないです。今回サイドクエストやミニクエストは自動生成されるようになっています。あるクエストでは、男の人を殺してしまっても、女の人が男の人の役割を果たしてくれるようになったり、今まではクエストを与えてくれる人が死んでしまうと、そのクエストが無くなってしまう要因になっていたのを、今回はこういうクエストを与えたいという条件設定だけしてあれば、それに当てはまる人がやってくれます。
Q: 主人公のようなドラゴンボーン(Dragonborn、龍族)が世界に何人いるのですか?
A: 主人公1人だけです。
Q: ストーリーの年代は「Oblivion」の200年後とのことですが、200年後にした理由は何ですか?
A: 新しい時代に設定するために、ある程度時間をあけなくてはならなかった。200年という期間は頃合的に「Oblivion」との世界をある程度関係なくさせることが必要でした。
Q: 例えば「Oblivion」に登場したキャラクターの子孫が登場するなど、人的な繋がりはありますか?
A: ありません。「Oblivion」で登場したこちらの世界と地獄の世界を繋ぐゲートもありません。
Q: 「Skyrim」ではドラゴンというものが大きなファクターになっていますが、ドラゴンは「Skyrim」の中でどういった存在なのでしょうか。
A: ドラゴンボーンというのは、ドラゴンスレイヤーの役割になります。ただ1人のドラゴンスレイヤーの主人公に対して、世界の人々はドラゴンの問題を解決してもらうように願っています。
Q: ドラゴンを仲間にすることはできるのでしょうか。
A: すべてのドラゴンが必ずしも敵ではないのですが、仲間になるかとははっきり言えません。
Q: 「Oblivion」では、Oblivion Gateを大量に閉める必要があり、多少「繰り返し感」がありましたが、今回は改善されていますか? また「繰り返し」Dragonを殺す、みたいな事は無いですよね? メインストーリーは面白くなっていますか?
A: もちろんです。いま正に色々とバランスを取っている所ですが、我々は今回のストーリーに満足しています。DragonとGateでちょっと違うのは、Gateは固定物なのでそこに有るだけなのに対し、Dragonはダイナミックに動き回るので、何時、何処に現われるのか判らないところです。ゲーム中、しばらくDragonに遭遇していないと判断した場合、出すように設計されています。
Q: 「Oblivion」から仕様を引き継いでいる物はどの程度ありますか?(Skill等)
A: 毎回新規タイトルとして考え、制作をしています。とは言っても、シリーズなのでSkillや魔法など引き継いでいる物は多くあります。
Q: 今回もOblivion Gateの向こうには行けますか?
A: ノーコメント。ですがOblivionとは異次元の世界で、このシリーズでは毎回何らかの形でそこに触れています。今回もそうです。但し、皆さんが想像している様な形では無いと思いますが。
Q: 「Skyrim」において、「経済」はどの程度の重要性を持っていますか?
A: まだ調整中です。例えば、製材工場を破壊した際に、矢の価格が上昇するのか、または入手自体が困難になるのか、と言った感じで色々と試しています。
Q: 政治的要素はありますか?
A: 物語には前作よりも色濃く「政治」が絡んできます。Skyrimには9つのHold(地方)があり、それらにはJarl(首長)が存在。序盤ではJarlの1人が帝国からの離脱を訴えています。深くは語れませんが、実は序盤で、帝国側に付くか、謀反側に付くかの選択もできます。そう言った意味で、「政治」は大きな意味を持ちますが、プレーヤーがJarlになる等、直接的に「政治を行なう」事はありません。
Q: 善悪の判断の扱いは?
A: 「Fallout 3」の様に「貴方は善人・悪人」と言う様な判断はしていません。「Oblivion」同様、個々のNPCがプレーヤーに対する好感度を持ったり、Faction単位でプレーヤーに対し好感・敵対します。
Q: 世界のスケール感を教えてください。
A: スケール的には「Oblivion」と同じです。城壁があるような大きな街や、今回見たような大きな街のようなものは全部で12個くらいあります。敵の種類では大きな項目で30~40種類くらいの敵が登場します。
■ 「Oblivion」ファンも納得のディープな質問の数々!
どんな細かい質問にも真摯に答えるHoward氏。作品に対して非常に深くコミットしていることを伺わせてくれた |
主人公が最初に訪れる街リバーウッド。街ではRadiant AIに従って独自の経済活動が行なわれるという |
バトルシーン。バトルは基本的に1人称のほうが戦いやすいが、アニメーションが格段に格好良くなっているため3人称にこだわる人も多そうだ |
Q: 1人称と3人称視点のプレイの違いを教えてください。
A: 基本的にどちらでも同じなのですが、店の中でモノを選ぶときは1人称のほうがやりやすいのではないでしょうか。
Q: グラフィックスクオリティの向上に伴い、ロード時間が長くなることはありませんか?
A: 現在のコンソールはGPUが描画するのでロードタイムはあまり関係ありません。開発に費やした時間としては、どこに書き込みをするかがポイントでした。大きな世界を描くのか、NPCの数を増やすのか、そういった部分を検討しました。
Q: 積雪の処理は動的に行なわれるとの事でしたが、これは天候の変化や加熱により溶けたりするという事ですか?
A: いいえ。単に雪を必要個所に“塗って行く”と言う事です。言われてる事は検討しましたが、パフォーマンスの低下に対して得られる効果を考えると雪が積もり、熱で溶けるの繰り返しは必要ないと考えました。
Q: オートエイム(照準補助機能)はありますか?
A: 一応あります。実際はオン、オフを切り替えて比較しないと判らない程度の物ですが、あります。
Q: シャウトする時に、Manaの様な物を消費しますか?
A: はい。リキャストが回復するまではシャウト後の一定時間、再度Shoutする事はできません。Shoutには3段階のパワーがあり、強ければ強いほど、時間が必要です。
Q: ダンジョンの作り方は変えましたか? 「Oblivion」ではかなり類似したダンジョンが目に付きましたが。
A: はい。実際の「作り方」はさほど変わっていませんが、より多くのスタッフを投入した事や、「部品」の種類を大幅に増やした事等によって、ご指摘の点は改善されています。
Q: 今回もロマンスやコンパニオンシステムはありますか?
A: あります。
Q: 今回はNordの種族をテーマにしていますが、主人公はNordで固定ですか?
A: いいえ。前作同様選べます。
Q: 敵の強さは、プレーヤーのレベルに合わせるのですか?
A: いいえ。「Fallout 3」のような感じになります。
Q: ギルドは?
A: あります。
Q: マルチプレイモードは?
A: ありません。毎回リクエストされるのが、マルチプレイの実装とDragonの実装なんですが、「Skyrim」では片方は入れることができました。
Q: ミニゲーム的な要素はありますか?
A: 検討中です。ひとつ言えるのは、Speechcraftはダイアログの中に入れます。以前の様にミニゲーム的な扱いにはなっていません。
Q: 持ち家は?
A: 複数あります。
Q: コンパニオンを家に待機させることは可能ですか?
A: はい。「ここで待て」と命令する事が可能です。逆に、「どこどこに行け」と命令する事はできません。
Q: スキルの数は?
A: 現在18のスキルが存在し、それぞれに12~20のPerkがあります。総数で確か280のPerkだったと思います。中にはRankの有るPerkも有り、それらは複数のPerkとして数えての数字です。
Q: レベルキャップは?
A: ありません。
Q: 「Oblivion」から進化させたかった個所は?
A: 全てですが、特にNPCに関するAI、キャラクターの顔とモーション、Dragonの追加などです。
Q: 移動方法はどのようなものが用意されているのですか?
A: ファストトラベルは勿論あります。後は馬車を入れました。これは特定のルートを走っている「路線バス」の様な存在です。馬は検討中ですが、確約はできません。
Q: 「Oblivion」の時の様に、NPCはドアの前でいきなり消えますか?
A: 今回はドアに手を伸ばし、ドアを開け、その後に消えます。
Q: 今回も全てのオブジェクトを、ある種「無駄に」拾い、持ち歩く事はできますか?
A: もちろんできます。
Q: 武器のエンチャントはできますか?
A: 可能です。Skillに関係をしますが。エンチャントの武器を作る事も可能です。
Q: プロデューサーとして「Skyrim」の1番の魅力はなんだと考えていますか?
A: 自分がなりたい人物になれて、色々なことがやりたいようにできることです。
【スクリーンショット】 | |
---|---|
The Elder Scrolls V: Skyrim (C) 2011 Bethesda Softworks LLC, a ZeniMax Media company. The Elder Scrolls, Skyrim, Bethesda, Bethesda Game Studios, Bethesda Softworks, ZeniMax and related logos are registered trademarks or trademarks of ZeniMax Media Inc. in the U.S. and/or other countries. All Rights Reserved.
□Bethesda Softworksのホームページ(英語)
http://www.bethsoft.com/
□ゼニマックス・アジアのホームページ
http://www.bethsoft.com/jpn/
□「The Elder Scrolls V: Skyrim」のホームページ
http://www.elderscrolls.com/
(2011年 4月 21日)