ガマニア、「ルーセントハート」開発・運営スタッフインタビュー
「Fortis」、「ペットレース」、「幻影術士(仮)」の詳細を聞く
株式会社ガマニアデジタルエンターテインメントは、2周年を迎えたWindows用MMORPG「ルーセントハート」の今後のアップデート計画を発表した。
「ルーセントハート」は台湾のPlayCooが開発したMMORPG。「ほしとも」や「ダンスシステム」など独自のコミュニティシステムが特徴的だ。
8月1日には、2周年を祝うオフラインのファンイベント「2nd Anniversary User Conference」が開催され、そこで8月に実装される連続大型クエスト「Fortis」と11月に実装される「ペットレース」、新職業「幻影術士(仮称)」のスクリーンショットやイメージイラストが公開された。
イベントに先立つインタビューで、ゲストとして来日したPlayCooのプレジデントJoyce Chang氏のほか、「ルーセントハート」に開発当初から関わっているシニアゲームデザイナーのRock Lin氏、日本のガマニアオンライン事業本部本部長の中島秀樹氏と、運営ディレクターの廣田一億氏からも8月と11月のアップデートについてより詳しい話を聞くことができた。
■ ユーザー同士のコミュニケーションをさらに強化していきたい
PlayCooプレジデント Joyce Chang氏 |
PlayCoo「ルーセントハート」シニアゲームデザイナー Rock Lin氏 |
編: 「ルーセントハート」が日本でサービスを開始して2周年になりました。2周年を迎えた感想を聞かせてください。
Joyce Chang氏: この2年間、日本の運営側とコミュニケーションを重ねてきました。開発側としても日本の市場をとても重要視しています。「ルーセントハート」を日本の市場に出すことができるのはチャンスなので、慎重に臨んでいます。
編: 「ルーセントハート」が日本で人気を博した理由はどういった要素にあると思いますか?
Chang氏: 個人的に、ゲームデザインやゲーム性が日本のユーザーさんに合っているのではないかと考えています。それと、コミュニティシステムなどは日本のユーザーさんに向けて開発している部分もあります。
編: 例えばどういった部分が日本のユーザー向けに作られているのですか?
Chang氏: 例を挙げますと「ほしとも」の部分ですね。ただマッチングをするだけではなくて、さらにコミュニケーションができるような仕組みを入れていますので、シャイな人でもコミュニケーションを取りやすいのです。そういった部分が日本人のユーザーさんに受けているのではないかと思います。
編: 「ほしとも」は確かにコミュニティを作るのが苦手な日本向けのシステムですね。「ルーセントハート」は当初からコミュニケーション寄りのゲームとして設計されいたのでしょうか?
Rock Lin氏: 最初は確かにユーザーが結ばれるような仕組み作りをしていました。運営されるうちに、ユーザーのコミュニティはある程度できていた感じがあるので、次はさらにユーザー同士で一緒になにかをやれるような方向で強化していきたいと思っています。
編: 「ダンスシステム」などはその方向に添ったものになるわけですか
Lin氏: そうです。「ダンスシステム」はコンセプト通りにいきました。
■ 日本の運営がストーリーを手掛けた長編クエスト「Fortis」
ガマニア オンライン事業本部本部長 中島秀樹氏 |
PlayCoo「ルーセントハート」運営ディレクター 廣田一億氏 |
「Fortis」のストーリーは「ほしとも恋愛マニュアル」の読み切り漫画とリンクしている |
日本で作った女神「テイア」と女神「カデナ」がついにゲーム内に登場する |
編: 8月のアップデート「Fortis」のコンセプトを教えてください。
Lin氏: 「Fortis」は「ルーセントハート」には今までなかった連続大型クエストです。主に中盤以降のレベルのプレーヤー向けです。「テイア」と「カデナ」という2人の女神のうち「カデナ」の側近が敵になるというもので、そこに重点を置いています。今までの「ルーセントハート」にはなかった強い敵と戦うことになります。
廣田一億氏: 少し補足しますと、今まで「ルーセントハート」の立ち上げ当初から「テイア」と「カデナ」という2人の女神を押し出してきたのですが、ゲーム内には登場していなかったのです。
そこで今回日本の運営チームから要望を出させていただいて、実装することになりました。今年だした「ほしとも恋愛マニュアル」という本があるのですが、その中の漫画で「ルーセントハート」の世界であるアカディアができるまでの話を掲載しています。「Fortis」はそのストーリーにリンクした話になっています。
編: どのようなストーリーなのですか?
廣田氏: 漫画は女神テイア、カデナが出てくる昔話が主なストーリーになっています。その中で女神テイアの元に集う12人の守護者たちが、クエストの軸ともいえる登場人物になっています。そして漫画にも登場したカデナの2人の側近が、中ボスと大ボスとして登場します。さらにテイアとカデナはNPCではなく、プレーヤーを応援するアイテムとして登場することになります。
編: 漫画のストーリーも日本で作ったものなのですか?
廣田氏: そうです。
編: どういった形で内容を煮詰めていったのですか?
Lin氏: まず日本側の提案を台湾の社内で検討しました。その上で、ユーザーのことは運営の方が理解しているだろうということで、運営側のアイデアを基に考えました。
編: ストーリーをゲームのクエストにしていくうえで、台湾側から出したアイデアはありますか?
Lin氏: 開発側は、日本側から提案されたクエストのストーリーの内容を気に入っています。ですから特に意見はなく、製作に専念しました。特に最後に出てくるボスの登場の仕方に力を入れて製作しました。
編: 「Fortis」はほかの国にも実装されるのですか?
Lin氏: まずは日本のユーザーにプレイしていただきたいと考えています。
■ 新エリア「忘れられし星界」、そして気になるクエストの報酬は?
ボスとして登場する「カデナ」の側近「ルシル」(左)と「デウクス」(右) |
デイリークエストでもらえるアイテムを使うと、女神「テイア」か「カデナ」に会える |
中ボス「ルシル」の真の姿。HPが少なくなると特殊な魔法を使ってくる |
大ボスの「デウクス」は戦闘中に2段階姿を変える |
編: 「Fortis」には新しいエリアの実装はないのですか?
廣田氏: 「星界」というプレーヤーが最初に降り立つマップがあるのですが、そこに似た「忘れられし星界」というインスタンスエリアが追加されます。外見は普通の「星界」とそれほど変わらないのですが、NPCが一切いないことと、通常マップとは違うインスタンスダンジョンになっています。
編: どのように入場するのですか?
廣田氏: 入場は「ラビリンス」というダンジョンと同じように、クエストを受けるとここに入るためのアイテムがもらえるので、それを使用すると入場可能になります。
編: 毎日受けられるデイリークエストのようなものもあるということですが
廣田氏: 12星座のストーリークエストに関しては長期的な段階ごとのクエストになっていますが、女神がアイテムとして受け取れるクエストに関しては、12星座のストーリークエストの間であれば毎日受け取ることができます。
編: そのアイテムにはどのような効果があるのですか?
廣田氏: ストーリークエストを受けているプレーヤーを補助するようなもので、キャラクターを強化するバフ効果があります。ほとんどは「テイア」ですが、ごく稀に「カデナ」がもらえることがあります。バフの効果に差はありますが、強さにはそれほど差はありません。「カデナ」は見られたらラッキーというオマケ要素的なものです。
編: ストックはできるのですか?
廣田氏: できません。持っている間は新しいアイテムをもらうことができないようになっています。
編: 「Fortis」はどのくらいのボリュームがあるのですか?
廣田氏: レベル37から60までの期間はレベルが上がるごとに新しい連続クエストを受けられるのでかなり長く遊べるようになっています。この期間は3次転職が終わった後に、目的がなくなったプレーヤーの皆さんが中だるみしてしまう時期があるので、そこのモチベーションを上げるという意味もあります。普段はクエストを読み飛ばしている方も、じっくりと説明文を読んでどんなストーリーなのかをしっかり見ていただければ楽しめると思います。
編: クエストはパーティー単位になるのですか?
廣田氏: 1人でも進められますが、モンスターの討伐やボス討伐はパーティーを組むことが前提としています。
編: これだけ長期のクエストですから、クリアするとそれなりにいいものが手に入るのでしょうか?
廣田氏: 今まではとは違うものをということで、能力が付いた羽のアバターが手に入ります。2種類あって、それぞれ能力値が異なっています。
■ 11月の大型アップデート「ペットレース」は騎乗ペットを使ったレースゲーム
「ペットレース」もユーザー同士のコミュニティー強化の一環として導入される |
騎乗ペットに育成要素を入れて、レースでプレーヤー同士のコミュニケーションを強化するという狙いも |
編: 「ペットレース」はどういったコンテンツですか?
Lin氏: 企画のきっかけは、日本のアクションレースゲームです。開発の中で流行っていて、皆遊んでいるのです。これをゲーム内の既存の要素と結びつけられないかということで、既存のペットを使用したレースを考えました。この「ペットレース」によって、既存のペットに特別な能力をつけられるようにしています。
編: プレーヤーがペットを操作するのですか?
Lin氏: プレーヤーが騎乗ペットに乗って操作します。今まではペットを育てるという要素がなかったのですが、このペットレースの中でペットの能力や装備を強化することができるようになります。
編: どういった部分が強化されるのですか?
Lin氏: 外見は変わらないのですが、能力がプラスされていきます。今までペットにはなかったステータスの重量や回転性能などです。例えば重量で言うと、重量の重いペットと軽いペットがぶつかれば、軽いペットを吹っ飛ばせるという効果があります。しかし重量が重いと遅くなってしまいます。
編: ペットを持っていれば誰でも参加できるのですか?
Lin氏: そうです。
編: マッチングはどうなるのですか?
Lin氏: プレーヤー同士のみで、申し込むとシステムによって自動的にマッチングされます。参加できるのは最大で12人です。
編: レースに勝つとどんな報酬が手に入るのですか?
Lin氏: レースに勝つとポイントが貯まります。その貯まったポイントは今後専用のアイテムと交換できるようになります。基本的にはレース場で使えるアイテムになると思いますが、キャラクターを強化するようなものも考えています。
編: コースの数は?
Lin氏: 最初に公開する予定は3つのマップです。スクリーンショットにあるのは草原のマップですが、ほかの2つはまた違う風景に仕上げています。
編: 観戦はできるのですか?
Lin氏: 観戦はできません。なぜ観戦を入れていないかというと、レースをユーザー同士のコミュニケーションの手段として積極的に参加して欲しいからです。
■ 新職業「幻影術士」は、パーティーを助ける補助的なクラス
見た目ほどはごつくない「戦士タイプ」 |
男性キャラクターもこの姿になる「魔術師タイプ」 |
回復、補助魔法を使う「補助タイプ」 |
移動専用の「移動タイプ」 |
編: 11月のアップデートで入る新しい職業のコンセプトを教えてください
廣田氏: 新しい職業をそろそろ追加しようということで考案されました。大きな特徴としては「戦闘タイプ」、「魔術師タイプ」、「回復・補助職タイプ」、「移動タイプ」の4つのタイプに分かれていて、プレーヤーが好きなタイミングで役割を切り替えることができます。
編: 新職業はなんという名前なのですか?
廣田氏: 現在、台湾の開発では「幻影術士」という仮称で呼ばれています。日本に実装する際には別の名称に変わると思います。
編: 役割を変えるために必要なアイテムなどはあるのですか?
廣田氏: MPを消費するだけで役割を変更することができます。外見も男女どちらのキャラクターでもこの外見になってしまいます。
編: 装備はどうなりますか?
廣田氏: 現在「ルーセントハート」には重装備、軽装備、ローブの3種類があるのですが、「幻影術士」は軽装備しか装備することができないのです。そのため普通の前衛職よりも防御力やHPが低かったりというデメリットが存在します。その部分では、ユーザーさんが今まで育てたキャラクターとかぶらないような調整はしてあります。
編: 戦士系はごつそうな姿にも関わらず、意外と柔らかいわけですね?
廣田氏: そうですね(笑)。そして、変身している間は騎乗ペットに乗れなくなってしまうので、そのデメリットをカバーするために「移動タイプ」が存在します。この4タイプのほかに、通常の姿となるデフォルトのキャラクターがあります。
編: 「幻影術士」はどういった形で実装されるのですか?
廣田氏: 全く新しい路線として入りますので、キャラクター作成の段階で選ぶことができます。ですので新規でキャラクターを作る場合は、現在ある「ビギナー」と「幻影術士」の2つの路線から選べます。「ビギナー」を選ぶと従来の転職をしていく路線になりますが、「幻影術士」はずっと「幻影術士」のままになります。
編: スキルはどうなるのですか?
廣田氏: スキルの習得に関しては、現在ある職業と同じようにNPCから習得するという予定です。それぞれのタイプごとに固有のスキルを持っていて、そのタイプ以外では使えなくなります。
編: たくさんのスキルを使い分けることになるわけですか?
廣田氏: そうなると思います。そこはショートカットの切り替えなどで調整してもらえればと思います。
編: とても便利な職業ですが、「幻影術士」を育ててしまえば、他の職業がいらなくなってしまいませんか?
廣田氏: そうはしないつもりです。「幻影術士」がいればなんとかなるというものではなくて、能力は本職に比べると若干劣るけれど状況に応じて切り替えて、パーティーメンバーを補助することができるというような位置づけになると思います。
編: こういった便利な職業が入るのは、パーティーの組みにくさを解消するためですか?
廣田氏: 「幻影術士」に関しては、全く新しい職業を登場させるというコンセプトのもとに、色々な職業を体験できるという意味合いで生み出されています。パーティーが組みにくいという部分に関しては、別途改善が必要だと考えています。
■ バランス調整のために、ユーザーの意見を聞くためのアンケートを実施予定
「そろそろバランス調整が必要な時期に来ています」と廣田氏 |
編: 今後「ルーセントハート」に実装していきたいと思っているシステムなどを教えてもらえますか?
Lin氏: まだあくまでアイデア段階ですが、コレクションの部分を強化していきたいと考えています。例えばモンスターカードのコレクションも1つの方向性です。もちろんそれだけに絞ってはいません。ユーザーが楽しめるものを入れていきたいです。
編: ほかに将来こんなことをやってみたいということはありますか?
Lin氏: こちらもまだアイデア段階ですが、コミュニティの強化を考えています。今までのユーザーが助け合うというモードから、さらにもっと強い敵を一緒に倒せるような仕組みを考えていきたいと思っています。
編: 現在すでに入っている要素で、改善していく予定の部分はありますか?
中島秀樹氏: 運営の方では、1番強化していかなくてはならない部分は「ほしとも」だとよく話合っています。あの部分は、1番最初に導入されて以来あまり強化されていないので、そういった部分に手をつけていきたいと。
Lin氏: 中島さんがおっしゃった通り、「ほしとも」は今後考えていかなくてはならない部分です。「ほしとも」は2年前に実装してから新しい要素を追加していないので、今後ユーザー同士の交流を強化していきたいと思います。
編: 日本の運営で今後予定があれば教えてください。
廣田氏: 8月27日で2周年なので、そのあたりまではユーザーさんと一緒にお祝いできるような形でキャンペーンを行なっていきます。その後は、2年間運営してきてゲームバランス的に若干調整が必要かなというところに差し掛かってきていると感じています。そこでユーザーさんからもゲームバランスについて、どこを調整すればいいのかをアンケート形式で聞いてみたいと思っています。
編: 2周年のイベント終了後にそういった調整が入ることになるのですか?
廣田氏: 色々と決めなくてはならないところがあるので、まずは情報を吸い上げていくところからですね。ゲームバランスと一言で言っても、それがシステムの部分なのか、キャラクターの強さの部分なのか、モンスターの調整なのかと色々ありますので、まずはどこを調整するか、ユーザーさんになるべく負担の少ない形で情報をいただければベストだと考えています。
編: 最後に読者にメッセージをお願いします。
Chang氏: ユーザーの皆様のおかげでここまでやってきました。今後も「ルーセントハート」を支持していただきたいと思っています。我々も頑張っていきたいです。
Lin氏: 2年間というと短くはない時間です。この長い時間、ここまで支えてくださったユーザーには本当に感謝しています。今後もっと頑張って、楽しめる要素を製作していきたいと思います。頑張らなければJoyceさんから叱られてしまいますから(笑)。
廣田氏: 日ごろ遊んでくれている皆様や運営に意見をくれる皆様のおかげで2周年の節目を迎えることができました。今後は、運営とユーザーさんの距離を詰めていかなくてはならないと思っています。そのためにユーザーさんからの意見をより拾って運営に活かしていきたいです。これからも精いっぱい頑張っていきます。
中島氏: 「ルーセントハート」が始まってもう2年が経ちました。その間、ユーザーさんから叱咤激励をいただきましたが、どちらかというと叱咤のほうが多かったかなと思っています。その部分に関して、ユーザーさんに近い立場で改良して、ユーザーさんの期待に応えられるようなものを作っていきたいと思います。もちろんできる部分もありますが、システム的に難しいところもあるので、そういった情報の開示についてもしっかりしていきつつ、激励をもらえるように頑張っていきたいと思います。
編: ありがとうございました!
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□「ルーセントハート」のホームページ
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(2010年 8月 6日)