ゲームロフト日本法人社長アレクシー・グレゾヴィアック氏インタビュー
“リッチゲーム化”戦略の背景を聞く。E3で発表された新作タイトルも紹介!


6月30日

ゲームロフト本社


 ゲームロフト株式会社は、オンライン配信型ゲームの開発・配信を行なっているフランス大手Gameloftの日本法人だ。特にここ数年は「リッチゲーム化」という戦略のもとに、スマートフォンやiPad、コンソール向けのダウンロードコンテンツに力を入れてきており、ダウンロード型ゲームの開発・配信における世界的リーディングカンパニーとして、その存在感を高めている。

 同社が言う“リッチゲーム”とは、スマートフォンや家庭用ゲーム機のダウンロードコンテンツに向けたハイクオリティなゲームの総称だ。6月にロサンゼルスで開催されたE3には「Dungeon Hunter 2」(日本語タイトル:「Dark Quest 2」)や「Hero of Sparta 2」などのiPad用ゲームを発表。他にもPlayStation Network(PSN)専用のダウンロードコンテンツ「Dungeon Hunter: Alliance」(日本語タイトル「ダーククエスト:アライアンス(仮)」)を秋に発売すると発表した。国内では、auのAndroid搭載スマートフォン「IS01」向けに、同社が開発したレースゲーム「アスファルト 5」とゴルフゲーム「レッツ!ゴルフ」の配信を開始している。

 今回、E3でiPhone/iPod touch/iPad向けのゲームを取材するとともに、日本で日本法人の代表取締役社長アレクシー・グレゾヴィアック氏に日本市場の現状やゲームロフトの今後の戦略などについて話を聞くことができた。




■ 全世界に向けたiPhone/iPod touch/iPad用の新作を発表

E3会場に登場した、Gameloftの専用バス
PS3用ダウンロードコンテンツ「Dungeon Hunter: Alliance」

 グレゾヴィアック氏へのインタビューに入る前に、まずは新作タイトルの紹介をしておきたい。Gameloftはフランス、パリに本社を置くダウンロード型ゲームの開発・配信における世界的リーディングカンパニーである。独自開発を数多く手がけるほか、フランス最大手のUbisoftを主要なパートナーとし、Ubisoftの人気シリーズのモバイルゲームを数多く手掛け、世界中に配信している。

 今年Gameloftは、E3会場には出展せず、会場入り口付近に停車したバスの中でゲームの試遊を行なうという形でのお披露目を行なった。また、試遊はできなかったものの、PSN専用コンテンツとして「ダーククエスト:アライアンス(仮)」を発表。こちらは3Dの見下ろし画像で遊ぶ「Diablo」風のアクションRPGで、同社の人気シリーズ最新作となる。

 今回試遊できたのは、アクションゲーム「ULTIMATE Spider-Man TOTAL MAYHEM」、アクションRPG「Dark Quest 2」と「Hero of Sparta 2」、パズルゲーム「Blokus」、ゴルフゲーム「Let's Golf 2」、戦略・都市建設シミュレーション「The Settlers」、人気アクションゲーム「Splinter Cell Conviction HD」と「Prince of Persia Warrior Within HD」など。すべて6カ国語に対応しており、日本版があるものは日本支社でローカライズして配信される。

 iPad向けのゲームはiPhone/iPod touchのヒット作をiPad向け新作としてリニューアルしたタイトルが多い。その際、ポリゴンを増やしたり、画面の解像度を上げたりとiPadの大画面で楽しめるよう、特にグラフィックスと音に関してはかなり力を入れて最適化が図られている。また、手の小さな女性でもプレイしやすいようにUIの位置を変更できたりといった、iPadならではの機能も追加されている。それぞれのゲームの概要は以下の通りだ。

・「ULTIMATE Spider-Man TOTAL MAYHEM」

 iPhone/iPod touch向けのアクションゲーム「ULTIMATE Spider-Man TOTAL MAYHEM」は、スパイダーネットを使って街を自由自在に移動するアクションゲーム。敵への攻撃でコンボを決めるとスパイダーネットを広げた特殊攻撃を出す。ミッションはストーリー仕立てになっていて、ステージごとに違ったアクションを楽しめる。配信開始は夏の終わりごろの予定。


アメコミらしいビビッドな色遣いの画面。動きはとても滑らかで、スパイダーマンらしいアクションがそろっている

・「Dungeon Hunter 2」(日本語版タイトル「Dark Quest 2」)

 「Dungeon Hunter 2」は「ダーククエスト」というタイトルで日本でも配信されているアクションRPGの続編。見下ろし型のファンタジーアクションで、4人同時プレイが可能。シングルプレイの時には、コンパニオンキャラクターとパーティーを組んで戦うことになる。iPhone/iPod touch/iPad版とも配信開始日は未定。


派手なアクションの多人数プレイが楽しめる

・「Hero of Sparta 2」

 iPhone/iPod touch/iPad用ゲーム「Hero of Sparta 2」もiPhoneタイトルの続編。スパルタの戦争を題材にしたアクションゲームで、画像と音のクオリティは驚くほど高い。iPadならではの高解像度のムービーも楽しめる。また、本作の前作は日本でもDSiウェア向けのゲームとして7月7日から配信されている。配信開始は今年夏の予定。


神話と史実が入りまじる古代ギリシアが舞台のアクションゲーム。映画のような派手な演出が見どころだ

・「Blokus」

 陣取りゲーム「Blokus」は、格子状に区切られたボードに様々な形のピースを置いてテリトリーを広げていくゲーム。欧米で大ヒットした同名のボードゲームを電子化したもので、4人までの対戦が楽しめる。対戦方式は複数から選択可能で、チーム戦も遊べる。iPhone/iPod touch/iPadともにすでに配信を開始している。


元々が対戦型のボードゲームなので、対戦コンテンツのバリエーションが豊富にそろっている。単純なルールで誰にでも楽しめるパーティー型ゲーム

・「Let's Golf 2」

 ゴルフゲーム「Let's Golf 2」は、iPhone/iPod touch版「Let's Golf」の続編。キャラクターの服や髪型、マイゴルフボールをカスタマイズできる。コースは全部で108ホール、メキシコ、ケニア、イギリス、ギリシアなどの遺跡や自然をバックにゴルフが楽しめる。プラットフォームはiPhone/iPod touch/iPad向けに、7月に配信が開始される。


ボールを打つ力、方角、クラブを選んでショットを決める本格的なゴルフゲーム。コースを取り巻く風景の美しさも魅力だ

・「The Settlers」

 「The Settlers」は街を作っていくシミュレーションゲーム。資源を集めて、ハンターや鍛冶屋、パン屋、戦士などを増やして街を大きく成長させていく。こちらもiPhone版からの移植になるが、細かい部分まで見える大画面のiPadのほうがよりプレイしやすい。iPhone/iPod touch版はすでに配信中で、iPad版の配信開始は今年夏の予定だ。


中世ヨーロッパ風の村を建築していくゲーム。箱庭の中で細かいキャラが動くので、大画面のiPadに向いたゲームだ

・「Prince of Persia Warrior Within」

 「Prince of Persia Warrior Within」は2005年にPS2とXboxで発売された同名のゲーム(日本語版タイトル:「プリンスオブペルシャ センシノココロ」)の移植版。PS2と遜色のない画面で、アクションが楽しめる。配信開始はiPhone/iPod touch版は現在配信中で、iPad版はこの夏の配信予定。


「プリンスオブペルシャ」のアクションを家庭用と同様に楽しめる。家庭用からの移植だけあって、かなりのボリューム感

・「Splinter Cell Conviction」

 「Splinter Cell Conviction」はUbisoftの新作ゲームのiPhone/iPod touch/iPadバージョン。コンソール版と似た操作感で、別の物語を楽しめる。iPhone/iPod touch版はすでに配信済みで、iPad版は夏に配信開始の予定。


コンソール向けのゲームと同じ技も登場する。iPhone/iPod touch/iPad版用の特別ステージも




■ 市場が進化する方向に合わせて、Gameloftも進化していく

ゲームロフト日本法人の代表取締役社長アレクシー・グレゾヴィアック氏

編集部: Gameloftは、携帯電話向けのゲームの開発会社としてスタートしましたが、現在は携帯向けから家庭用据え置き機まで広がりを見せて、もはや携帯ゲームメーカーという印象ではなくなりましたね。

アレクシー・グレゾヴィアック氏: 当社は実は2009年の段階で海外ではニンテンドーDSi向けのゲームを展開していました。日本でもWiiウェアについては2008年から進出をしています。ですから、携帯ゲーム以外も今始まったという訳ではなく、以前から展開していてそれが今後も続いていくということです。ただ始めた当時は市場が小さかったので、テストのような形でゲームを配信していました。ダウンロードの市場が大きくなるにつれて、我々もダウンロード市場にかける割合を大きくするような形で動いています。元々はモバイルゲームのリーディングカンパニーと自らを位置づけていたのですが、現在ではダウンロードゲームのリーディングカンパニーとして歩み続けています。

 2007年以前にはモバイルというところにしか市場がありませんでしたが、現在では大きく3つに分かれています。1つめは元々存在していたモバイルの市場、2つめは例えばアップルのような革新的な企業が展開するiPhoneやiPadのような新しいプラットフォーム、3つめはDSiウェア、Wiiウェア、PlayStation Network、Xbox LIVEアーケードのような家庭用のプラットフォームです。ただこの3つが今後ずっと変わらないと思っている訳ではなく、当社の会長ミシェル・ギユモも申しておりますが、当社は市場の進化に併せて会社もずっと進化し続けていくというスタンスを持ち続けています。

 例えば市場の拡大という点を挙げますと、iPadのリリースにより、その他のHTCやサムスンやDELLといったメーカーが次世代型の端末を出そうとしたりと市場の競争自体もかなり激化しておりますので、そういったところでも今後リッチゲームの台頭が予想できます。そうなれば技術面でもビジネスモデルの面でもかなり早い速度で市場は進化を続けていくと思います。もともとモバイルゲームでは容量が1MB程度だったものが、今では100MB以上が必要になっています。実際に当社のゲームにも500MBを越えるものが出てきています。これを私たちはリッチゲーム化と呼んでいます。

編: E3ではニンテンドー3DSにもローンチタイトルを提供することが発表されましたね

グレゾヴィアック氏: 3DSのローンチタイトルとして「アスファルト」を発表しております。任天堂さんとも、今回が初めてというわけではなく、DSiウェアやWiiウェアとして配信しているゲームがたくさんあります。特にDSiウェアに関してはほとんどリーディングカンパニーという位置づけになっています。ですから当社が3DSのローンチに合わせてゲームを配信するのは当然の事でもありますし、大変喜ばしいことでもあります。

 同じようにSCEさんとも良いパートナーシップを築いておりまして、今度出るPlayStation Move(以下、PS Move)にも関心を持っています。こちらもローンチに合わせてゲームを配信する予定です。

3DSのローンチタイトルとして配信される、レースゲーム「アスファルト」。こちらはauの新端末「IS01」用の「アスファルト 5」Android版

編: 3D立体視用のソフトの技術開発は、携帯ゲームとは随分違いますが、そういった難しさはないのですか?

グレゾヴィアック氏: 当社では、もう数年前から技術の革新というところに意識を置いているつもりでおりまして、新しいプラットフォームに向けて、きちんと必要な人材を確保してきていると思っています。各社とも自社の家庭用プラットフォームに向け、最高品質かつ手頃な価格でのゲームを求めています。これはまさに、Gameloftのビジョンでもありますから、市場の技術革新に対し事前に準備し、世界中の4,000人ほどの人材が素早く対応することで、各プラットフォームのローンチ時から、コンテンツを提供しています。モバイル端末と3D向けのプログラムは全く質の違うものになりますが、3Dへの対応も今驚いて対応したわけではなく、例えば3D映画「アバター」の成功を見ておりますので、それがゲームへ進出してくるのは当然だと思っていました。

 ミシェル・ギユモが1999年にGameloftを創設したときには、海外ではモバイルの市場は今ほど大きくなっておらず、誰もビジネスがうまくいくとは思っていなかったのです。そんな時に彼は数年後にモバイル市場が大きくなっていくだろうと考えて、動き出しました。この考え方を当社は今でも引き継いでいて、常に新しい進化に向けてあらかじめ準備をしています。

編: 今まではモバイル向けのゲームがライバルだったわけですが、今後は全てのゲームメーカーがライバルということになるわけですか?

「日本でも、今後数年の間にリッチゲームの市場が大きくなるだろう」とグレゾヴィアック氏

グレゾヴィアック氏: 今、ゲーム市場はいくつかのカテゴリに分かれてきています。ソーシャルゲーム、家庭用ゲーム、モバイルゲーム、PC向けゲームなどは全く別のカテゴリに入ると思います。それぞれにおいてビジネスモデルは異なっていて、ゲームをする動機の部分も違っていると思います。1つ言えるのは、どのカテゴリでも、それぞれ市場が大きくなるように動いているということで、新しいゲーム、新しいビジネスモデルを求めて進化しています。

 ですので、競合となる会社はカテゴリによって変わってくると言えます。PC用のMMORPGなどはまったくユーザー層が違いますし、基本無料のソーシャルゲームなども全く違う市場だと認識しています。ただし、それは今の話であって、現在当社がリーディングカンパニーとして位置づけている市場が、モバイルであり、スマートフォンやiPadであり、家庭用ゲーム機のダウンロード市場であるということです。

編: その中でも現在特に力を入れているのが、スマートフォンということですね

グレゾヴィアック氏: スマートフォン端末では、高品質のゲームを提供することができます。我々はずっと、あらゆる端末において、最良のゲームを提供することを目指してきています。新世代のスマートフォン上では、操作性に優れたタッチスクリーンと充実したゲームプレイを実現できる高品質なゲームの組み合わせにより、内容の濃い、没頭できるゲーム体験をユーザーに提供することができます。また、スマートフォンの強力な処理能力によって、複雑な内容を提供することが可能になり、プレイヤーをゲームの世界に引き込みやすくなっています。

 先ほども申し上げましたが、高品質のゲームを、手頃な価格であらゆるプラットフォームに対して提供していくのが、Gameloftのビジョンです。実際に、スマートフォンを通じては、家庭用ゲーム機レベルの品質のゲームを、良心的な価格でお届けすることができています。従来の携帯電話端末のユーザーの3%がアプリケーションをダウンロードしているのに対し、スマートフォンのユーザーでは、10%がダウンロードしているといわれています。

 家庭用ゲーム機でも、ダウンロードの市場は大きくなる一方だと言われています。市場の成熟にかかる期間は数年から10年と意見が違いますが、今後ダウンロードコンテンツの市場が大きくなっていくというところに関しては皆さんの意見が一致しています。

 例えば15年前にはインターネットはなかったですし、10年前にはブロードバンドはありませんでした。今となってはいつでもどこでも容易にエンターテイメントコンテンツへのアクセスが可能になりました。しかし可能性が広がるということは、一方で、全てを観ることができなくなると言うことです。各自がその中から選択していくことになります。昔であれば7,000円のパッケージゲームを50時間かけて遊びたいと思っていたゲーマーがいたとしても、今はアクセスできるエンターテイメントの量が多くなっているので、どちらかと言えば10ドルで10時間できれば良いと思っているゲーマーが多くなっていると考えています。ですから、そういった方々に対応できるよう高品質なものを手頃な価格で提供できるようにしたいと思っています。

編: 現状ではソーシャルゲームのような基本料無料のビジネスモデルに参入の予定はないのですか?

グレゾヴィアック氏: 当社は、素晴らしいゲーム体験を提供できるあらゆる市場の可能性を検討しています。ソーシャルゲーム市場とその考え方は、どちらも我々が現在重きを置いている市場のそれとは全く異なるものだと考えています。

編: 今回E3で発表されたiPhone/iPod touch/iPad向けのゲームは、今後他のプラットフォームでも展開していくのでしょうか?

グレゾヴィアック氏: マルチプラットフォーム化については、今後各ハードウェアに合わせた技術的な特徴に対応しながら行なっていく必要があると考えています。例えばレーシングゲームの「アスファルト」1つとっても、iPhone/iPod touchとiPad向けではすでに操作性やグラフィックスが違ってきますので、プラットフォームに合わせた形にしていきます。

PS3専用のダウンロードコンテンツとして配信される「ダーククエスト:アライアンス(仮)」

 例えば「ダーククエスト」をPS3で出そうと思ったのは、PS3のユーザーが「ダーククエスト」のようなゲームを好むと考えたからです。また3DSに対して「アスファルト」を配信するのは、もちろん「アスファルト」が当社の中でもブランド力があるゲームであるということもありますが、3Dのゲームということで道の奥行きであったり、一緒に走っている車の迫力であったりといった、このゲームの要素がすべて3Dにすることで引き立てられると考えた結果です。

編: 今までは携帯電話向けのゲームが主軸となっていたわけですが、今後はどのプラットフォームを主軸にしていくのでしょうか?

グレゾヴィアック氏: 今はiPhone/iPod touchに向けたゲームが1番多いですし、やはりそこから選択してどこかのプラットフォームに移すというのがやりやすい方向です。iPhone/iPod touchやiPad、Androidもそうですがタッチスクリーンのゲームは開発しやすいのです。Wiiウェアなどは、コントローラーに別の技術的な要素を加えていかなくてはならないので、専用の開発が必要となります。当社としてはひとところにとどめるのではなく、市場の進化に合わせて進化していくというのが大きなビジョンでもあります。

 1980年代のファミコンから、プレイステーションへの進化や、プレイステーションからPS2への進化、PS2からPS3への進化は技術的に、特にグラフィックスの部分で大きな飛躍が見られましたが、そろそろそういった部分での大幅な進化は難しいのではないかと誰もが考え始めていると思います。ですので任天堂やアップルは、プレイの方法そのものを革新しようとしていると思います。PS MoveやKinectも、グラフィックスそのものよりもやはり操作性のところに重点を置いて、どのように遊ぶかを重視しています。これらによって、もちろんゲームそのものが楽しくなるということもありますが、新しいユーザーを取り込んで市場を大きくしていこうという考え方が見られると思います。当社の使命は、そういった状況の中で、家庭用ゲーム機メーカー、携帯の端末メーカーが出してくるプラットフォームに対して、高品質かつ手頃な価格のゲームを提供し続けるということです。

編: 昨年インタビューさせて頂いた時には、日本で携帯コンテンツを独自開発しているというお話でしたが、現在は独自開発は止めてローカライズが中心になっているというお話しです。独自開発をやめた理由はなんですか?

グレゾヴィアック氏: 簡単に言うと市場の変化ということがあります。市場がリッチゲーム化していく中で、まずは自分たちの良いコンテンツを市場にどんどん提供していくことで、まだリッチゲームの市場が小さい日本で、それを大きくしていくというところに目標を持っています。当社は市場に沿う形で動いておりますので、例えばJAVAゲームの市場が小さくなっていっているのであれば、そこに投資するのではなくこれから大きくなる市場でリーダーシップを発揮するためにそこに力を入れて投資していくのは当然のことだと考えています。

 iPhone/iPod touchやiPadのゲームを見た後にJAVAのゲームを見ると、10年前に戻ったような感覚になります。一度新しいゲームを見た後で、JAVAに戻るのはなかなか難しいのではないでしょうか? 実際、各メディアさんもオピニオンリーダーの皆さんも、新しいリッチゲームへの進化を期待していると感じます。リッチゲームの市場は来年、そして2012年にかけてもっと大きくなっていくと思います。今そこに注力しなければ市場そのものが進化する時に当社が行動できませんから。

編: 今後、日本で独自にiPhone/iPod touchやiPadのゲームを作っていく可能性はありますか?

グレゾヴィアック氏: 現時点ではまだお話ができる状態ではありませんが、もちろん可能性はあると思います。ソフトバンクという1社だけがサポートしている割にはすでに大きな市場がありますが、今後もし他の2社でも対応できるようになればさらに大きくなっていくと思います。例えばフランスではすべてのキャリアがiPhoneをサポートしています。同じようなことが日本でも起これば、同じように活かしていくと思います。

編: 今後下半期の日本への戦略や、ローンチ予定を教えてください

グレゾヴィアック氏: 今後の戦略ですが、当社としては市場を大きくしていくことに注力したいと考えています。具体的に言いますと、例えばコンソール向けには3DSなどの新しいプラットフォームや、PS Moveのような新しいサービスをサポートしていきます。携帯向けにはKDDIの新しい端末をサポートしたように、リッチゲームの市場を大きくしていくことが今後の目標になります。

編: 最後に読者へのメッセージをお願いします

グレゾヴィアック氏: まずは読者の各自がお持ちのプラットフォームで当社のゲームを試して頂ければと思います。というのも、ユーザーの方に市場を理解していただくことで、今後の当社の発展をサポートしていただけると思いますし、当社が目指している高品質で手頃な価格のゲームを、コアゲーマーだけでなくカジュアルゲーマーに向けてグローバルな形で提供していることをおわかり頂けることと思います。

編: ありがとうございました。


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(2010年 7月 14日)

[Reported by 石井聡]