インタビュー

「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー吉田直樹氏インタビュー(後編)

今後のアップデート計画やリアルイベントについて。ワールドツアーでは拡張パックを発表か!?

今後のアップデート計画やリアルイベントについて。ワールドツアーでは拡張パックを発表か!?

2014年1月には、大阪で出張版プロデューサーレターLIVEが行なわれる
2014年10月には、海外ユーザーにとっては待望のワールドツアーが挙行される

――今回「2.1」はこれだけのボリュームであるにも関わらず、パッケージ版は出さないのですか?

吉田氏:出さないです。あくまでも単なるパッチなので。

――それは今後も?

吉田氏:はい。「3.0」までは特に考えていないです。ただ、PS4版のマスターは、パッチの差分は最初から入れた状態にします。「2.1」までにするか「2.2」までにするかはわかりませんが。

――ちなみに「2.1」から拡張版の「3.0」までのアップデートサイクルはどのくらいを考えていますか?

吉田氏:2カ月半から3カ月。まだ今のところ、どうせ「2.2」なんて遙か先の話だろう、ということになっていますが、しっかりお届けして信用していただけるように務めます。

――「2.1」が12月なら、「2.2」以降は3月、6月、9月、12月という感じですか。

吉田氏:そうなるようにがんばりたいですね。

――年明けに大阪で出張版のレターLIVEを行なうと発表しましたが、どのような形で実施するのですか?

吉田氏:「公民館でもいいからやりたい」というオーダーを出しました。まあ200人くらいのお客様に来ていただいて実施できればと。

――そこで話すのは時期的にはPS4版とかですか?

吉田氏:PS4は次回第11回レターLIVEで出しますから、時期的に「2.2」のお話ですかね。

――おお! もう「2.2」ですか?

吉田氏:1月に開催予定ですし、「パッチ2.1」いかがですか、楽しんでいただけてますか? もうそろそろ「2.2」の話をしますねと……。

――大阪で「2.2」の発表をした後は、福岡や仙台で、「2.3」以降の話をしていく予定ですか?

吉田氏: 今は、2カ月に1回くらい、1年かけて5都市くらいを回る計画で考えています。札幌、仙台、名古屋、福岡ですね。

――それ以外にワールドツアーも発表されましたが、これは欧米のユーザーにとっては嬉しいニュースですよね。

吉田氏:そうですね。これはどうしてもやらないと。

――開発が日本にあると、どうしても日本偏重になりがちになりますからね。

吉田氏:そうですね。やっぱりそれをやられると海外のユーザーさんは萎えてしまうのでしっかりやりたいと思います。日本のイベントでも、レガシーの方々に首都圏でしかお会いできてないので、日本全国にお礼を言って回りたいと言うことを「旧FFXIV」の時から言っていました。200人ずつでもいいから、皆さんと一緒に楽しめるように、イベント用のコンテンツは用意しておくので、タイタン戦みたいなバトルを、皆さんと一緒にワーワーやって、4、5時間、皆さんと話したり、バトルしたりして、その後公開放送という形で、その場でプロデューサーレターLIVEをやるという形を考えています。

――おー、公開放送だけではなくて、試遊イベント等も行なうとなると、結構長時間イベントになりますね。

吉田氏:そのつもりです。お客さんから見て、半日くらいのイベントをイメージしています。

――それをゲームショウみたいに3日連続でやるわけですか?

吉田氏:いやいや1日です。ムリです。死んでしまいます(笑)。ゲームショウは規模が違うので、やれるのですけど、やはりちょっと難しいですね。

――ワールドツアーはどういうものですか?

吉田氏:それは「FFXI」の「ヴァナフェス」をイメージしていただければ。規模的にはだいたい数千人くらい。日本で「エオルゼアフェスティバル」をやって、それをUS、ヨーロッパで続けてやって締めみたいな。まだ順番をどうするかは決めてないですが。

――「FFXI」ではホテルを会場に一泊二日のイベントをやったりしていましたが、内容的にはそれぐらいのものを想定しているわけですか?

吉田氏:まあそうですね。たぶん、あまり期間を空けたくないので、1日ずつにしかしないと思います。

――「FFXI」では、拡張パックを発表するというのが定番になっていましたが、ワールドツアーの内容は?

吉田氏:だいたいそんなものじゃないかと。そこはご想像にお任せします。

――というと、2014年後半には拡張パックが出るわけですか?

吉田氏:拡張パック自体はそんなに早く出ないですよ(苦笑)。ワールドツアーをするのに、何もネタ無しでやっても、怒られると思いますので、ネタは用意しますという話です。

いよいよリリース日が確定したPS4版
画面構成やUIは、PS3ではなく、PC版と同じ。キーボード/マウスモードも選択可能
さらにPS4版だけの機能としてPS Vitaを使ったリモートプレイも可能。ついに寝転びながら「FFXIV」が可能になるか!?

――ちなみに「2.1」の次にはPS4版、その先にはDirectX 11版が控えていますが、こちらの進捗はいかがですか?

吉田氏:今、PS4版を全力投球というモードで、その区切りが付いたらいよいよですね。まずは次回12月14日の第11回プロデューサーレターLIVEで実機を動かします。

――隣にPS4を置いて、PS4版のデモを行なうイメージですか?

吉田氏:テストキットはお見せできないので、基本画面でということになりますが、ただ、たぶんリモートプレイは、僕がPS Vitaで実際にプレイしているところをお見せできると思います。

――PS Vitaのリモートプレイも見られるのは楽しみですね。

吉田氏:はい。なので、嘘偽りなくこれがPS4だとわかると思っています。

――吉田さんからみて、PS4版の仕上がりはいかがですか?

吉田氏:素晴らしいですよ。

――PC版の最高設定のクオリティのものがグリグリ動いていますか?

吉田氏:メモリが多いと言うことは、何よりも嬉しいですね。

――PS3版の方は、PS4にアップグレードしていただければなというところですか?

吉田氏:お客様のプレイスタイルに応じて、選択肢がひとつ増えることにはなります。もちろん、既に発表させていただいた通り、SCEさんと一緒にアップグレードキャンペーンなどもやりますので、ご検討いただければ良いなと思います。

――描画はフルHDの60フレームですか?

吉田氏:いえ、PS4版は60フレームにこだわるよりもキャラクター描画数を重視しました。MMOなので60フレームにしても、特に大きなメリットはないので。

――なるほど。30フレームに抑えてその分、キャラクターの同時表示数を多めにしてMMOとして遊びやすいようにという考え方ですか。

吉田氏:はい。固定30にして、その代わり最大描画を心がけるという方にいってます。

――PS3版のように表示制限は設けず、基本的にすべて表示する形ですか?

吉田氏:PCと同じです。制限をかけずに、いけるところまで全部という考え方ですね。

――PS4版の機能的な制限は、フレームレートだけですか?

吉田氏:これは制限ではないですが、このタイミングからPC版にもPS3版にも、描画表示数のオプションを入れるつもりです。たとえば、キャラクターの表示対数を皆さんが調整できるオプションです。PTメンバーだけ表示されれば良い、みたいなものを入れます。

――一方、PCのグラフィックスアップデート版となるDirectX 11版の開発の進捗はいかがですか?

吉田氏:今はまだPS4にフォーカスしすぎているので、ちょっともやもやしているところです。現時点で何か具体的にこの時期がめどですとは言えない状態です。もちろん開発が続いているのは事実ですし、64bit対応はもう終わりました。

――PCゲームの新しい流れとして、AMDさんが新世代のRadeonに搭載された、Mantleと呼ばれる独自のゲーム用APIの存在が挙げられます。ゲーム側がMantleに対応することで、従来のDirectX版より、さらに高速で動作するというものですが、今後Mantle版やRadeonへの最適化の予定はありますか?

吉田氏:しばらくないです。まだ僕らはゲームをローンチして3カ月しか経っていません。何事も1個ずつ超えないと。目の前に控えている「パッチ2.1」は、嘘偽りなく超が付く大型アップデートです。2月22日からは、新ハードであるPS4での全世界βが始まり、来年には中国版のローンチがあって、台湾、韓国、ロシアなど、多くの地域からお声がけもいただいている状況です。まずは1歩ずつ。

今年7月にChinajoyで公開された中文版「FFXIV: 新生エオルゼア」

――なるほど。来年はいよいよ中国を始めとした新規エリアへの展開が始まるわけですか?

吉田氏:可能性があれば、検討から始めたいと思います。

――それは原則として現地サーバーで行ない、既存サーバー群とはサービスを分ける形ですか?

吉田氏:そうですね。現行のサービスを「グローバル版」とすると、「地域展開版」のような関係でしょうか。これだけ苦労して作ったのでできるだけ多くの方に遊んでいただきたいと思っています。

――「FFXI」とは、海外展開の方針が全然違いますね。

吉田氏:そうですか?

――ええ、「FFXI」は、日本にサーバーを置いて、自社で単一のサービスを行なうというのが絶対方針でしたから、結局アジア展開はしませんでしたよね。

吉田氏:なるほど。でも僕が「FFXIV」を引き継いだ時点で、既に中国展開は決まっていましたし、それからもShanda Gamesさんとはずっと中国版を進めていますよ。

――今後、Shandaが展開する中国語版のみならず、韓国版とか、ロシア語版とか色んなバージョンで出てきそうですね。

吉田氏:中国はマストですね。世界一のオンラインゲーム市場ですから。

――中国語版のβテストは始まっているのですか?

吉田氏:いや、まだ初めてないです。βの時期をShandaさんと詰めているところです。

――内部的にはもうかなりできているわけですか?

吉田氏:基本的にはそうです。翻訳は日本と同時に進めているので、ほぼ違いがないですし。

――中国での正式サービスはいつくらい?

吉田氏:今のところ「来年には」とだけ。

――ビジネスモデルはどうなりそうですか?

吉田氏:まだ最終協議中です。単純なフリーミアムかどうかすらまだ決まっていません。いろいろShandaさんも新しいことを検討されています。中国のお客様も、フリーミアムでちょっと混沌としすぎている状態なので、その流れは変えたいとはお話ししています。

――来年は、4カ国語どころじゃなくて、6カ国語ぐらいになりそうですね。

吉田氏:そんなに簡単にいかないと思います。「WoW」も中国にローンチしたのは運営5年目ですからね。それくらい、その特定の地域で新たに運営を開始するのは大変なのです。まずはグローバル版を最優先にしつつ、3年くらいのスパンで、どう広げていくかを考えたいなと思います。

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(中村聖司)