インタビュー

「トゥームレイダー」ゲームディレクターダニエル・ビッソン氏インタビュー

旧作ファンからも賞賛され、握手を求められた新生「トゥームレイダー」

2月収録

 こちらでは「トゥームレイダー」のゲームディレクターを務める。CRYSTAL DYNAMICSのダニエル・ビッソン氏へのインタビューを紹介したい。

 ダニエル氏は今作のためにチームに参加したスタッフの1人であり、「トゥームレイダー」シリーズに新しい要素を盛り込むために参加した。主にゲームプレイを担当し、特に戦闘部分に力を入れたという。インタビューでは“再生”した「トゥームレイダー」への想いや、ゲームプレイ部分での気になった点などを質問した。

これまでの感触を受け継ぎながら進化した「トゥームレイダー」

本作のゲームディレクターを務める。CRYSTAL DYNAMICSのダニエル・ビッソン氏
複雑な地形でもなめらかに動き、ララの動きに合わせて対応してくる敵
ララに向かって様々なものが牙をむく。ララは苦難を乗り越えながら成長していく

――「トゥームレイダー」の開発状況を教えてください。発売を目前にしてどのような感想を持ってますか?

ビッソン氏: 現在、「トゥームレイダー」は完成しており、販売を待つだけの段階です。完成への感想は、ものすごく誇りに思っています。このタイトルは今まで私が手がけたものの中で最大のものとなりました。私は血と汗と涙……この作品にすべてを注ぎ込みましたね。

 「トゥームレイダー」は全てが新しくなったように見えますが、ゲームエンジンそのものは、CRYSTAL DYNAMICSオリジナルのもので、前作の「アンダーワールド」でも使っていたものなんです。今回新たなスタッフにより様々な改良が加えられましたが、前作から受け継がれたものです。同じエンジンを使いながら、これまでの作品と全く違う作品のように見える。だからこそスタッフ達がどれだけ力を入れてたかを感じて欲しいと思っています。

――2012年のE3で取材した際、「実はゲームはもう完成しているんだ」と言われたことがあります。そこでゲーム部分が完成したというならば、この1年間は何をしていたのでしょうか?

ビッソン氏: ゲームの基礎は確かに2012年5月の時点である程度の要素は完成していましたが、そこから全体を現在まで作り込んで行きました。例えばE3のバージョンでは敵は障害物に引っかかりまくり、ララも快適とはほど遠い操作性でした。こういった所を快適にするために本当に力を入れて作り込んでいったのです。正直、「本当に完成できのか」という不安と戦いながら1つ1つ問題点を克服していきました。

 ある問題の時は、成功した時思わずスタッフ達で歓声を上げて大喜びしたけれども、そこから検証作業をしてみるとうまくいくのは15回に1回くらいといったこともあった。これを100%成功できるように持って行くのは非常に大変でした。こういった苦労を重ねながら、開発を進めていきついに完成を迎えることができました。私自身も、これまでゲーム開発で温めていたアイディアを本作に注ぎ込めました。

――“弱々しく未熟なララ”は衝撃でした。「ララの最初の冒険」を描くにあたり、新しいララ像を提示するというのは、非常に大きな冒険だったのではないでしょうか?

ビッソン氏: 最初は特にこれまでのファンからは不評でした。一方でこれまでシリーズを“難しい”と感じ避けていた人達からは「私たちにもプレイできそうな“トゥーム”だ!」という好意的な声もありました。

 「トゥームレイダー」シリーズのコアファンでもあるゲームジャーナリストと会ったときは、最初に「なぜララを変えてしまったんだ!」とくってかかる勢いで詰め寄られたこともありました(笑)。しかし、いざゲームをプレイしてもらうとその記者は私に握手を求め、「ありがとう」と言ったのです。彼はプレイすることで「昔の『トゥームレイダー』をきちんと感じることができ、そして現在のアクションゲームの“スタンダード”に達している」と評価してくれました。

 欧米のゲームマスコミは「トゥームレイダー」シリーズのファンが多く、もう1人のゲームディレクターのノア・ヒューズは古参スタッフのため受けはよかったのですが、私への反応は「なんだこの“俺たちのトゥーム”を壊そうとするやつは」という冷ややかなものでしたね(笑)。もちろん、ゲームの具体的な姿が見えてくるにつれ、次第に受け入れられてくれました。

何ができるか、どういったアプローチをしていくかどう楽しむのも自由

隠された宝物。やり込み要素も多彩だ
ララはゲームが進むと多彩なアクションが可能となる。島の探索範囲も増えていく

――ゲーム部分の質問をします。今作はキャンプを拠点にフィールドを探索していくゲームデザインになっていますね。「トゥームレイダー」シリーズはステージクリア型で色々な場所を巡るという印象があったのですが、キャンプを拠点にした探索型デザインにしたのはどうしてでしょうか?

ビッソン氏: 実は最初期の「トゥームレイダー」シリーズを意識したんです。シリーズ1作目はベースキャンプを起点として探索していったんですよ。こうしたのは、これまで進化してきたシリーズでなくしてきた部分をあえて復活させたという意図もあります。またこの構造は、プレーヤーが現時点で何ができるか、自分の力量を試していくプレイスタイルを生むんです。

――今作のクリアまでの時間はどのくらいですか?

ビッソン氏: もちろん人によって異なりますが、最も短くて15時間ほど、たっぷり探索を楽しみスキルを育てていくなら30時間以上は楽しめます。「トゥームレイダー」には20〜30ものマップがあり、チャレンジや、アイテム収集などの隠し要素も用意されています。中盤以降は島全体を歩けるようになり、ゲームが進むごとに新しい探索部分が現われる形となっています。隠しダンジョンもより複雑になっていきます。

――隠し要素を見つけるにはかなりのアクションの技量が必要となりますか?

ビッソン氏: そういったものはありません。マップを細かく観察、探索することで探し出せます。経験を積むことでゲームの特徴を把握し、気づくことができれば見つけることができるでしょう。探索を“愛して”くれれば、すべての要素は見つけられると思います。

 テストプレイで面白かったのは、ユーザーは本当にいろんな人がいると言うことでした。戦闘が好きな人は、ランタンを撃ったり、攻撃ルートを工夫したり戦いには本当にいろんなことを試すけど、探索はあまりせずに先に進んでしまう。逆に探索好きの人は本当にいろいろな場所に行こうとする。ひたすらパズルに取り組む人もいる。今作はそういった自由度を持ったゲームなのです。

――最後にユーザーへのメッセージを。

ビッソン氏: 開発者達は本当にがんばりました。今回私達が成し遂げたことを、日本のユーザーの皆さんも感じでいただければと思います。このゲームを皆さんが気に入っていただければうれしいです。

――ありがとうございました。

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(勝田哲也)