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Tango Gameworksエグゼクティブプロデューサー三上真司氏インタビュー

新作プロジェクト「Zwei」を肴にサバイバルホラー談義!


5月収録

会場:Tango Gameworks本社



 ゴールデンウィーク直前の4月26日、ZeniMaxグループ傘下のゲームスタジオTango Gameworksが、初の新作タイトルとなるプロジェクト「Zwei」を正式発表した。ゲームタイトルはあくまで開発コードネームで、同時に公開された背景コンセプトアートも、複数のイメージをコラージュしたものとなっており、いずれも作品の具体的な内容を表すものではないということだが、突然の発表に期待を膨らませたゲームファンも多かったのではないか。

 「Zwei」は、2013年以降の完成を予定しており、現在、日本発の大型サバイバルホラー作品を共に開発してくれるクリエイターの募集を行なっている。中途採用のほか、2013年4月卒の新卒の募集も行なわれており、職種はプログラマー、アニメーター、UIデザイナー、サウンドデザイナーなど7職種と実に幅広い。我こそはと思うクリエイター、クリエイター志望者は応募を検討してみてはいかがだろうか。

 今回は、ゲームについては一切話せないということだったが、コンセプト的な部分に関しては多少話せるということだったので、Tango Gameworksエグゼクティブプロデューサーで、プロジェクト「Zwei」のディレクターを務める三上真司氏に、「Zwei」と、そのジャンルである“サバイバルホラー”について話を伺った。


【Tango Gameworks】
Tangoはお台場のベイエリアにあるオフィスビルに入居している。サッカーコートを模した会議スペースがあり、モーションキャプチャスタジオとしても使われているという




■ プロジェクト「Zwei」発表の経緯について

「Zwei」のディレクターの三上真司氏

――プロジェクト「Zwei」発表おめでとうございます。人材募集と同時というあまりない形での発表となりましたが、発表の感想を聞かせて下さい。

三上真司氏:発表と言うよりはTango Gameworksという開発スタジオが一体どのようなゲームを作っているのかを他のクリエイターにアピールしたかったのです。人を募集するのに、我々が何を作ってるのかわからん。どういうジャンルのゲームを作っているのかすらわからんようなスタジオに入社するのは難しいですよね? このままではちょっと求人は難しいだろうってことで、ここらでジャンルだけでも発表しようということになりました。ただ、具体的なゲームの情報は意図的にまだ出してません。そこは大きな発表をしてから出していこうという方針に変わりはありません。

――“「バイオ」の三上がサバイバルホラーを作る”というのは、ゲーム業界にとってはインパクトのある発表になったわけですが、海外含めて世間の反応はいかがでしたか?

三上氏:小ネタはいくつか聞きました。期待通り。やっときた。海外では主語がBethesdaで、Bethesdaが三上を使って王道のサバイバルホラーをやる、みたいなところですね。

――三上さんにとっては久々のサバイバルホラーということになるわけですが、逆になぜ今まで封印していたのでしょう?

三上氏:封印していたわけでは無いんですけど、作る気にならなかったんです。あとは、ほかに作りたいモノがあってそっちを優先していただけで、作らないとか、作れないとかそういう話ではないんです。

――なるほど。それではご自身ではクリエイターの属性として、何を得意としたクリエイターだという認識でいますか?

三上氏:ゲームを遊んだときにインタラクティブなやりとりがおもしろいねって言って貰えるような、遊んだときの安定したおもしろさというところですね。

――「Zwei」について質問していきますが、まず「Zwei」というコードネームの意図、想いはどのようなものですか?

三上氏:単純に「格好いいな」(笑)。僕らの感覚でZweiって言葉の響きがいいなと思っていたんです。

――正式タイトルのイメージはもうできているのですか?

三上氏:短めがいいなと。「〜of〜」は好きじゃないんです。近頃、何かと略しがちじゃないですか。想像もできないような短縮のされかたをされるので長い名前は好きじゃないんです。海外でも「God of War」と「Gears of War」はどっちも略称が「GoW」でわかりにくいですよね。

――今回、三上さんのサバイバルホラーが復活するわけですけど、なぜ、今サバイバルホラーなのでしょう?

三上氏:前々から、より多くの人たちの期待に応えられるような作品を作りたいという気持ちが僕の中にありました。そこで、自分がもっとも得意としていて、かつ素材としてもチャレンジしがいのあるサバイバルホラーを選ぶことにしました。あとは、僕にサバイバルホラーを作って欲しいという声を海外の開発の方から聞くうちにその気になった感じです。でも、今回は少しテイストの異なるものにしたいという気持ちはあります。

「イイイイッ」を身体で説明する三上氏

――テイストの異なるものとは?

三上氏:うーーん、なんでしょうね。常に、こう、狭いところで「イイイイッ」というだけの感じじゃないもの(笑)。

――「バイオ」は初期のコンセプトからすると大きく変わりましたよね。ジャンルがサバイバルシューターになっていたり、サバイバルホラーではありますが、ずいぶんシューター寄りになってきている印象があります。

三上氏:「バイオ」がサバイバルシューターになったってのは初耳ですが、僕にとってシューターかそうでないかってのは大きな問題ではないんです。「バイオ」の側面って、ゾンビと銃なんですよね。




■ 三上氏のゲーム観。「日本で生まれたお家芸が、日本からではなく海外から出たことが驚き」

三上氏が高く評価するサバイバルホラーゲーム「Dead Space」

――なるほど。ここ数年で三上さんがプレイして高く評価しているサバイバルホラーゲームは何ですか?

三上氏:「Dead Space」です。昔の「バイオ」の延長線上にしっかり乗ってるゲームだと思います。初代「バイオ」の延長線上にあるサバイバルホラー。それを日本のクリエイターではなく、海外のクリエイターが作った、しかも非常にクオリティが高い。「バイオ」のエッセンスをもっとも踏襲している。

――遊んでみてやられたなと思いましたか?

三上氏:いや、やられたとは思っていません。むしろ、ショックというか驚きだったのは、日本で生まれたお家芸が、日本からではなく海外から出たことですよね。これは「Dead Space」だけじゃなくて、たとえば、日本のクリエイターが育ててきたお家芸的なもの、それを活かした温故知新的なアクションゲームって何だというと、日本のゲームではなくて「God of War」だったりするわけです。日本のゲームを遊んで育った次世代のクリエイターが日本のことをよく吸収しているなと思いましたよね。アクションゲームなら「God of War」だし、サバイバルホラーなら「Dead Space」かな。

――そうした中で「Zwei」はサバイバルホラーとしてどのようなゲームになりそうですか?

三上氏:サバイバルホラーというジャンルに関して、僕は狭い定義の仕方をしていません。そこに怖さ、恐怖があって、それを自分でぶっつぶしていけるという要素があればサバイバルホラーじゃないかという見方をしています(笑)。あんまり狭い定義にしてしまうと窮屈になってしまうんですね。ゾンビ、銃がなきゃいけないし、現代じゃなきゃいけないし、主人公は特殊部隊の一員で、製薬会社が出てこなくちゃいけなくて、そうじゃなきゃ「バイオ」じゃないんだよっていうことになる。でも、それやったらパクリですよね(笑)。

――サバイバルホラーという視点で見ると、「DeadSpace」以外にも、「Alan Wake」、「Left 4 Dead」、「Dead Island」、「Bioshock」など、新世代のサバイバルホラーが続々生まれつつありますよね。

三上氏:どれもそれなりにおもしろいと思いますよ。

――そのほかに、ここ数年で高く評価しているゲームはありますか?

三上氏:「F1 2010」です。昔レースゲームを作ろうとしたことがあって、その時の理想を超えた素晴らしいゲームです。ゲームというよりもシミュレーターとして最高のデキです。F1パイロットになれます。ドライブゲームは大体好きなんですけども、特にF1は小学生の頃から好きです。作りたいという想いはありますが、実際に作ることはないと思いますね。というのは今のレースゲームはシミュレーターになってきているので、僕の出番がないんですよ。

【「Zwei」コンセプトアート】
インタビュー用に高解像度バージョンを用意していただいた。ぜひディテールまでじっくり鑑賞していただきたい




■ 発表されたコンセプトアートの秘密、Tangoの開発体制は“ゴウマン制”

開発体制について語る三上氏。かなり独特の開発スタイルだ

――コンセプトアートを公開されましたが、これはどなたが描かれたものですか?

三上氏:そこもまだコメントできません(笑)。

――未公開のものも含めてアートまわりは大体出来上がっているような状況ですか?

三上氏:ウチの場合は、実制作と同時平行してアートも準備していきます。絵を描いてはゲームに落とし込んで、絵を描いてはゲームに落とし込んでという感じです。コンセプトアートを全部準備してから制作に入るというスタイルではないんです。

――絵コンテ的なものは三上さんが描いたりするのですか?

三上氏:僕は描きません。ウチのスタッフが描きます。ああしてほしいこうしてほしいと口頭で説明して発注している感じです。コンセプトアートに関してはある程度任せて、上がったものに対して注文を付けることのほうが多いですかね。基本は大まかなイメージを伝えて、あとは専門のスタッフに任せています。僕の想いをすべての面で落とし込んでいくという作り方はしてないんですよ。俺が俺が流ではないし、僕のワンマンでもないですよ。若い頃は超ワンマンでしたけどね(笑)。強いて言えば合議制とワンマンの中間のゴウマン制(笑)。

――ではディレクターとして、上がってきたこのコンセプトアートをどう評価してますか?

三上氏:1点1点とてもいいですよ。満足してます。まだ皆さんに1点ずつお見せできないのが残念ですね。というのもバラで1点1点見せてしまうと、現時点では素材にも限界があり誤解を招くと思います。だからあえて色んなものを混ぜてぐしゃっとして見せたんですね。それでも雰囲気はなんとなく伝わるかなと思っています。ベストなタイミングで、ドカッと出すつもりです。

――わかりました。もう1点だけ。このコラージュされたイメージは、それぞれが異なるステージのイメージという理解でいいのでしょうか?

三上氏:そうではないですね。僕としてはもう「ステージ」という古い捉えられ方をされたくないし、いまの時代ちょっとナンセンスかなと思っています。

――うーむ、なるほど。Bethesdaスタイルのゲームになってるんでしょうかね(笑)。Bethesdaから求められている三上さんへのタスクは?

三上氏:それはどうだろう(笑)。上からあーせいこうせいというのは特にないですね。クリエイターを尊重してくれる会社です。良い物、売れる物を作ってくれ。あと物作りを楽しんでくれ、そんなぐらいですね。

――「Zwei」の対応ハードは?

三上氏:現時点で言えるのは、「ハイエンドの据え置き機」というところまでですね。どのハードかはまだ言えません。

――ここ数年でゲームプラットフォームの枠組みが大きく変化してきていますが、モバイルやソーシャルといった分野に展開していくつもりはありますか?

三上氏:僕はいいゲームを作るだけ。個人的な意見を言うと、僕はソーシャル系は今はないですね。やっぱり、新しく集まった開発スタッフで、1発目はデカイタイトルを作りたい。

――「シャドウ オブ ザ ダムド」で組んだ須田剛一さんら多くのクリエイターがソーシャル系への参入を果たしていますが、三上さんはそこはブレないぞということですか?

三上氏:ソーシャル系をウチは一切やらないよという限定もしないです。僕たちは作りたいモノを作る。それでご飯が食べられればいい。好きな仕事をやり続けて、それでメシが食えたらハッピーだなと。




■ 「サバイバルホラー」着想の原点は「ジョーズ」のラストシーン

米FOXのTVドラマシリーズ「ウォーキング・デッド」

――今回、お伺いしたかったのは「サバイバルホラー」着想の原点なんです。ホラーゲームは私も大好きなゲームジャンルですが、三上さんにとって何が原点になっているのですか?

三上氏:単純にホラーをゲームに落とし込んでも、僕の中では、映画でできることとあんまり変わらなかったんですね。映画だと、客観的に主人公になるけど、思うように敵を倒したりできない。筋書きが決まっていてそのようにしか進展しない。せっかくゲームでやるんだから、敵を自由に倒せてもいいんじゃないかと。映画では何一つ思い通りにならないけど、ゲームだったら敵をやっつけて、恐怖を克服できる。で、恐怖を克服するとホラー度が下がってスカッとするんです。それがサバイバルホラーってことだと思っています。

――インスピレーションを受けた映画はどのあたりですか?

三上氏: 「バイオ1」を作る前に、1番インスピレーションを受けたのは「ドーン・オブ・ザ・デッド」、「ジョーズ」、「エイリアン」あたり。「ジョーズ」のラストシーンでジョーズを倒しちゃうじゃないですか? 「え、倒しちゃうの、あんなでっかい敵を?」みたいなところはあるんだけど(笑)、でもスカッとするよねと。そのスカッとするというところでゲーム作りの方法論が色々ひもとけてきたところはありますね。

 当時、「スウィートホーム」のシステムを活かしたホラーゲームを作るというお題がありました。「スウィートホーム」はよくできたゲームで、僕も大好きなんですけど、怖い怖いで逃げ回るだけで爽快感がないのはどうなんだろうという疑問にぶつかりました。それなら映画見てればいいじゃんという。それなら、ゲームならではのエッセンスとして、敵を倒せるようにしようかと思いついたんです。敵は強くて怖い。けど倒すことができる。なんとも矛盾しているんですけどね(笑)。

――でもそこが絶妙におもしろかったわけですよね。

三上氏:そう、そうなんですよね(笑)。

――「Zwei」は“怖い”ゲームになりそうですか?

三上氏:ホラーと付いている限り、怖さについては注力はしていきたいとは思っていますが、サバイバルホラーの怖さは、ホラーの最上位ではないと思ってます。

――というと、ホラーの最上位とはどのようなタイトルになりますか?

三上氏:最高に怖いホラーゲームといったら「クロックタワー」の1とか「零」とかでしょうね。

――なるほど、評価するホラーゲームは意外にも国産タイトルなんですね。

三上氏:純粋なホラーというと、僕の中では、精神的なものというか、自分の頭の中の創造が膨らんでいく怖さ、無限に増幅していく怖さが1番怖いと思っていて、あまり実態化してないほうが恐怖度の最大振幅はでかいのかなと思っています。「バイオ1」の時はまさにそういう発想で作ろうとしていたんですが、典型的なホラー映画の「エクソシスト」のラスト、死んだのか死なないのかわからないけど俺は生き延びたってのはホラー映画では定番ですが、ゲームで10時間一生懸命努力して結局うやむやで終わる。「それってエンターテインメントとしてどうなんや、スカッとするか? あのエンディングで『やったークリアできた』とはならんよな」と思い直して、結局「バイオ1」では実体化した敵をぶっつぶしてスカッとさせるという、それが「ジョーズ」のラストシーンに繋がるわけですが、そうしないと映画とは差別化できないし、ゲームならではの怖さと気持ちよさのシーソーみたいなものが表現できないなと思ったんですね。

――最近でオススメのホラー映画は何かありますか?

三上氏:映画ではないんですが、「ウォーキング・デッド」です。アメリカのドラマシリーズで、新しいことはひとつもないんですが、ひとつひとつのシチュエーションや演出が非常にしっかりできている。だから完成度がもの凄く高い。あとは映画と違って2時間じゃなくてたしか5話だったと思いますが長い尺を使って、キャラクターやシチュエーションに感情移入をさせたり、じわじわ自分たちの生きる選択肢が狭まってくる感じとか、そういうところがキッチリ表現できているんです。だから完成度がもの凄く高い。あとは映画と違って2時間じゃなくてTVシリーズの長い尺を存分に使って、キャラクターやシチュエーションに感情移入をさせたり、じわじわ自分たちの生きる選択肢が狭まってくる感じとかを、キッチリ表現できてる。長い尺によって映画では表現できないところがキッチリ表現できてるかなと思ってます。

――「Zwei」に期待しているユーザーに向けてメッセージをお願いします。

三上氏:現時点で言えるのは僕が現場にべったりついてしっかりサバイバルホラーを作りますので期待して下さい、ということぐらいですね。

――良い作品を期待してます。ありがとうございました。

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(2012年 5月 29日)

[Reported by 中村聖司]