ネクソン、「マビノギ英雄伝」開発・運用インタビュー
今後の予定や、日本独自サービスの方向性は? 気になる“これから”


2月10日収録




 株式会社ネクソンは、MOアクションRPG「マビノギ英雄伝」において、2月22日に新キャラクター「カロック」を実装する。この先行体験会に合わせ、来日した韓国NEXONの「マビノギ英雄伝」開発者にインタビューを行なった。

 話を聞いたのは、韓国NEXONマビノギ英雄伝日本LIVE Managerのキム・ソンアン氏、マビノギ英雄伝LIVE2チーム企画パート長のイ・キュドン氏、ローカライゼーション2チーム長&日本マビノギ英雄伝Project Managerのイ・ミギョン氏、さらに日本ネクソン運用本部ゲーム運用チームの杉本誉幸氏。

 「マビノギ英雄伝」は、「1カ月に一度大型アップデート行なう」という宣言通り、12月にはレイドボスが、1月にはパラディンとダークナイトが実装され、2月についに新キャラクター「カロック」が追加される。この速いペースのアップデートは、今後も続くのだろうか。また、今後は、どのような要素が入るのだろうか。特に日本オリジナル要素は気になるところだ。

 「マビノギ英雄伝」のスタッフインタビューは今回が初めてとなる。そこで、これまでの運営の感触を聞くと共に、また韓国の「マビノギ英雄伝」が目指す方向性、そして日本版で入れようとしているオリジナル要素など、様々な質問をぶつけてみた。企画パート長のイ・キュドン氏にはカロックを担当したということで、彼のカロックへの想いも聞いた。


■  新キャラクターカロックは、ドラゴンの攻撃さえ受け止めるパワーを持つ。一方、人気は“イヴィ”が集める

韓国NEXONマビノギ英雄伝日本LIVE Managerのキム・ソンアン氏
マビノギ英雄伝LIVE2チーム企画パート長のイ・キュドン氏
ローカライゼーション2チーム長&日本マビノギ英雄伝Project Managerのイ・ミギョン氏
日本ネクソン運用本部ゲーム運用チームの杉本誉幸氏

――: 最初に、これまでの日本運営の手応えを教えてください。

杉本氏: プレーヤーの皆様から多くの声が寄せられており、非常に良い手応えを感じています。ただし、高難易度ダンジョンに関しては、少しコアプレーヤー向けの傾向があるようです。多少ハードルを感じる部分があり、ここが、新規プレーヤー獲得への課題のひとつであると思っています。ただ、間口そのものは広い作品ですので、改善することでライトプレーヤーの方にも楽しんでもらえるようになると考えております。

キム・ソンアン氏: 韓国では1年前から「マビノギ英雄伝」はサービスされていますが、韓国ではサービス開始時、操作方法に関する意見が多かったのですが、日本ではそういった声は上がっていません。最初、このゲームのインターフェイスに慣れてもらえるか不安を持っていたのですが、その心配は杞憂でした。

 一方で、「人気」という部分では、期待値より少し低かったですね。ここから面白いコンテンツをどんどん投入して、もっと大きな人気を得ていきたいです。

――: 予想より人気が得られなかった部分というのは、どの部分だと分析していますか。

キム氏: 「マビノギ英雄伝」は韓国、北米、日本、ヨーロッパ、中国でサービスが行なわれていますが、日本は北米以上にプレーヤーの好みに合うだろうと強い期待をしていたのです。その期待値に比べると少なかったというところですね。今後はもっと、日本市場も意識したコンテンツを足していく予定です。

イ・ミギョン氏: 逆に北米は、期待をそれほど持っていなかったのですが、予想以上の反応がありました。

――: 今回追加される「カロック」は、北米プレーヤーを意識したコンテンツだと思いますが、北米での反応はどうだったでしょうか。

イ・キュドン氏: カロックは「グローバルな魅力を持つゲームを作ろう」という意識で作られたキャラクターです。力強く、豪快な、北米プレーヤーが好みそうな特徴を入れました。

イ・ミギョン氏: こちらの予想していた通りの好意的な反応が得られましたね。ただ、北米プレーヤーも、韓国同様、一番人気は「イヴィ」で、日本でもイヴィが人気が高いですね。

――: なぜそんなにイヴィの人気が高いのでしょうか。

キム氏: かわいいからです(笑)。

イ・キュドン氏: 「マビノギ英雄伝」は男性プレーヤーが多く、かわいいキャラクターを好む傾向があると思います。そして“強さ”です。イヴィは他のキャラクターと比べると性能が高めなのが人気の理由ですね。

――: 「マビノギ英雄伝」はリアルでハードな世界を目指しているという印象を受けましたが、かわいらしいキャラクターが人気になってしまうというのは、予想外ではないですか?

キム氏: そんなことはないですね。かわいらしさも大事な要素として持たせつつ、リアルな世界も追求しています。服装などでかわいらしいラインを追求しています。かわいらしさとハードな世界の両立を目指しています。

――: 開発側から現在のコンテンツで「特にこれを見て欲しい」というコンテンツは何でしょうか?

イ・キュドン氏: 私は、カロックを担当しているんです。やっぱりカロックの他のキャラクターにはない強力さを見て欲しいと思いますね。常識に囚われない活躍、特にボスモンスターとの攻防に注目して欲しいんです。カロックは敵の攻撃を受け止めることができ、韓国で実装されたドラゴンの攻撃すら受け止めることができるんです。ドラゴンの攻撃に耐え、他のキャラクターにチャンスをもたらす戦い方を、見てもらいたいですね。

【カロック】
新キャラクターのカロック。敵の攻撃を受け止め、仲間の攻撃の機会を作る
【イヴィ】
かわいらしさが人気のキャラクター。魔法と、鎌を使いこなす

■  韓国では夏にバランス調整を。日本ではアイテム・アバターのオリジナル要素を企画中

――: 話題を変えます。「マビノギ英雄伝」はずっと“コンテンツ不足”という声を受けていて、これは「MOアクション」というジャンルで、その方向のみにコンテンツを足しているから、プレーヤーが求める方向も自ずと同じ方向になってしまっているのじゃないかと思うんです。ゲームの“幅”を広げる方向の予定はありますか。

試着できる装備品。画像はフィオナのもの。細部まで作り込まれてる
課金アイテムのインナー。こちらも作り手のこだわりが感じられる。アーミー風のものから、ボディスーツ風のものもあり、装備と組み合わせると、大きく印象が変わるインナーもある

キム氏: コンテンツ不足は韓国でも指摘されています。ゲームの幅を広げるのは、韓国で2012年夏に実装を予定している「大型アップデート」で解消される予定です。生産要素である「専門技術」がよりパワーアップし、PvP要素も強化されます。

イ・キュドン氏: まだ細かい部分は検討中ですが、現在入ってる「Xマッチ」、敵陣からツボを奪ってくる「Pマッチ」とはまた違った、新しいPvPが実装される予定です。

――: カロックの「ボスクラウビング」を試したところ、シビアすぎる感じがしました。「マビノギ英雄伝」の問題点として、敵の技の前提モーションがわかりにくいなどで、せっかくある駆け引きの要素が活かしきれず、力押しになってしまっている印象があります。

イ・キュドン氏: そういった指摘もプレーヤーから多く、夏の「大型アップデート」で改善される予定です。難易度が高くなっているところなどは、開発が難しくしようと意図したものではない部分もあるので、タイミングなど難易度は下げる予定です。

――: 韓国の「大型アップデート」は非常に楽しみです。一方、日本オリジナルの展開は、今後、いつごろから、どのような形で見えてくるでしょうか。

杉本氏: サービスから2カ月たって、ゲーム自体も安定してきたなという実感はあります。詳細はまだ話せませんが、日本オリジナルの“戦闘”に関する要素や、オリジナルアイテムなど、オリジナル武器など、企画は進行しています。特にキャラクターの装備に関しては、現状のクオリティを維持しつつ、日本のプレーヤーの好みに合うようなものを実装しようと考えています。

 ただ、現在は、まずコンテンツの充実を最優先に考えています。1カ月に1度のアップデートというハイペースで韓国、北米のバージョンを追いかけていますが、ちょうどシーズン1の完了タイミングが日本オリジナルコンテンツ導入に最適であると考えています。現在は先行しているバージョンに近づけ、十分なコンテンツ量を確保することを優先しています。

――: 現在装備要素としては、インナーばかり充実しているのかなという感じですね。

杉本氏: 韓国ではインナーの他に、装備の外見を組み替えるという要素が入っています。1つのアーマーセットの外見を、他のアーマーと交換するというイメージで、多少複雑なため、日本では、既に慣れた形式であるアバターアイテム(見た目装備)アバターアイテムの導入を考えています。

――: 韓国では弓を使う「カイ」が実装されていますが、日本ではいつ頃になるでしょうか。また、韓国での「大型アップデート」の実装はいつになるでしょうか。

杉本氏: カイの登場は夏ぐらいを検討しています。同タイミングで韓国でも「大型アップデート」が予定されています。日本での大型アップデート実装は、秋~年内に実施したいです。

――: 最後にプレーヤーへのメッセージをお願いします。

キム氏: 「マビノギ英雄伝」を引き続き楽しんでください。日本の皆さんに満足してもらえるように、開発を頑張っていきます。

イ・キュドン氏: カロック担当として、皆さんにどう受け止められるか、とても楽しみにしています。ご意見やご要望は検討しますので、ぜひ色々な意見をお寄せください。

イ・ミギョン氏: 日本の皆様に「マビノギ英雄伝」を楽しんでもらえて嬉しいです。これからも新キャラクターや、新エピソードがどんどん追加されますので、期待してください。

杉本氏: 2012年も、公約どおり1カ月に1回のアップデートを実施致します。まずカロック、そしてエピソードを追加し、新キャラクター「カイ」も夏頃を予定しておりますので楽しみにお待ちください。



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(2012年 2月 21日)

[Reported by 勝田哲也]