インタビュー

「ファイナルファンタジーXIV」×「モンスターハンター:ワールド」コラボ決定記念インタビュー

吉田P&辻本P「日本の開発者もこんなに馬鹿なことをする人がいるということを世界に見せつけたい」

6月13日収録

会場:Los Angeles Convention Center

 E3 2018で電撃発表となった「ファイナルファンタジーXIV」と「モンスターハンター:ワールド」のコラボレーション。いずれも日本を代表するオンラインゲームであり、かつグローバルに打って出ている数少ないタイトル。まさに夢の共演となる。

 今回は、本コラボの“首謀者”である「ファイナルファンタジーXIV」プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏と、「モンスターハンター:ワールド」プロデューサーの辻本良三氏のおふたりに、コラボの経緯や2人の関係性について突っ込んだ話を聞くことができた。肝心のコラボの内容については、これから実装の夏に向けて順次発表していくとしている。まずはこのインタビューで、本コラボのガチっぷりと、2人の結びつきの強さを感じていただければと思う。

【仲の良い2人】
「ファイナルファンタジーXIV」プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏(右)と、「モンスターハンター:ワールド」プロデューサーの辻本良三氏(左)。常に笑顔のインタビューとなった

【FINAL FANTASY XIV x MONSTER HUNTER: WORLD Collaboration Teaser Trailer】

【『モンスターハンター:ワールド』無料アップデート第4弾 ティザー映像】

7年前からスタートしたコラボ企画。お互いのタイミングが合いついに実現へ

「ファイナルファンタジーXIV」プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏
「モンスターハンター:ワールド」プロデューサーの辻本良三氏

――コラボの経緯を教えて下さい。リリースによれば7年前から話が始まったということですが、今回、コラボ実施に至った経緯を教えて下さい。

吉田直樹氏: プロデューサーレターライブでも触れましたが、7年前、もう約8年前になるんですけど、僕が「FFXIV」を担当するというアナウンスが出た翌日にたまたまイベントで帰り際に、辻本さんが「吉田さん!」と声を掛けてくれて「(発表を)見たけど、何考えてるの?」と言われて(笑)、「まあ、でも、もう決めたから」と返したら、放送では触れませんでしたが、実はあの時、辻本さんから、「モンハン作って欲しかったのに」と言われていて、「でもやるっと決めたらやるんだろうから、(「FFXIV」が)ダメだったら『モンハン』造りに来て。うまくいったら、うまくいった実績を持って『モンハン』造りにきて」とまで言ってくれたんです。

 さらに辻本さんには「立て直すために何でもやるんだろうから、『モンハン』の力を貸せるなら、なんでもできるから言って」と言って貰えたのはかなり僕の中で力になっていて、「FFXIV」はもの凄い状況をひっくり返さないといけなかったので、有名無名に関係なく、自分という人間を応援してくれる人がいるのは、思い切ってチャレンジする上で勇気づけられたコメントでした。でも、だからこそ「FFXIV」が「モンハン」に並べる位置まで行ってからじゃないと、コラボをしても「モンハン」に助けられるだけになってしまうので、「そこまでいくまで頑張るよ」という話をさせていただきました。

 1番最初のきっかけは、「モンスターハンター:ワールド」を発表する全然前に、藤岡(要氏、「モンスターハンター」シリーズのクリエイター)さんと2人で飯を食いに行った時に、世界を舞台に「モンハン」で勝負させて欲しいと伝えて、ではどうやって「FFXIV」で世界と戦っているのという話をして、当時は新作が「ワールド」とは聞いていませんでしたが、今こそ新作で何かと言って貰ってて、ちょうど1年前ぐらいに、正式に「どうですか?」と言って貰えたので、ではうちを大分頑張ったので「満を持して」と。

 日本国内で新しいお客様を生み出してきたのは「モンハン」だと思っています。「モンハン」は日本一のタイトルだと思っていて、これはお世辞ではなくて、皆さんのほうがご存じだと思いますが、アクションベースのゲーム体験の代表格として「モンハン」で育った人ばかりなので、そういう人たちに対して「モンハン」の力を借りて、MMO体験を伝えたいし、逆に「FFXIV」をプレイしているお客様に「モンハン」の凄さを伝えたい。今が1番良いタイミングなので、うちも本気で行くので本気でお願いしますというのが基本的な経緯になります。

辻本良三氏:(吉田さんが)全部言っちゃったんですけど(笑)、僕らが初めて会ったのは10年前で、それからちょくちょく会っていて、(吉田さんは)ディレクターとして凄く才能があると認めていたので、いつか一緒に仕事したいなと、一緒にゲーム作りたいなと、会ったらそういう話もしていたんですね。そんなときに急に「FFXIV」の担当になるとニュースが出て、「ちょっと待て」と「マジか」と、その直後に会ったので、「本当にやるの?」と。

吉田氏:(笑)。

辻本氏:めっちゃ大変なことだし、正直、このディレクターだったら、新作でも作れるし、どんなゲームでも作れるのに、「ここやるか?」って感じで、いや、そんな言い方したら申し訳ないですけど(笑)。

吉田氏:いや、失敗する確率の方が誰がどう見ても高かったので。そもそもメディアの皆さんも「新生FFXIV」という発表をしたら「は?」っていう反応だったわけで。

辻本氏:やるとなったら何もいうこと聞かないのはわかっていたので、それやったら応援させて貰いたいし、凄く真剣にやるのはわかってたので、どっかのタイミングでという話をしたんですね。

 逆に言ったら、お互いが本当に具体的にコラボの話を、「モンスターハンター:ワールド」まで一切しなかったんです。吉田さんはさっきああ言ってましたけど、「モンハン」側から言うと、日本でしかまだそんなに知名度が高くないので、ここでコラボしてもワールドワイドで行った時に逆にこちらが迷惑をかけるかもしれないので、ワールドワイドで展開できるタイミングでやりたかったんですね。「モンスターハンター:ワールド」は、展開自体はワールドワイドで、しかもまだアップデートもしてる状態で、もちろん「FFXIV」はずっとアップデートを続けながら運営しているタイトルで、こんなベストなタイミングはないんで、お話しさせて貰って、そこからは結構スムーズに行った感じですね。

――今回のコラボでは、リオレウスとベヒーモスという人気モンスターが登場して、アイルーやサボテンダーといったキャラクターが登場することも発表されていますが、企画はどのように詰めていったのですか?

辻本氏:お互いに企画を出し合った感じですね。仲が良いのもありますし、僕も「FFXIV」のチームを信用していますし、吉田さんもうちのチームを信用してくれていたので、結構任せてくれたし、こちらも任せましたし、お互いのタイトルをリスペクトする関係ができていると、アイデアもやっぱりしっかりしたものが出てきますし、結構スムーズに行きましたね。

吉田氏:早かったですよね。お互い企画書1発ずつで、特に差し戻しもなく、「やるなら思いきって料理して下さい」というぐらい。やはり、それぞれの開発チームにそれぞれのプレーヤーがいるのは大きくて、うちのチームにも僕も含めて「モンハン」のガチ勢がいたので、預かるとなったらフルでやりますし、これはスクエニからカプコンさんへの挑戦でもある。思う存分やっていただいて構いませんのでと言ってベヒーモスを渡したら、「本当にここまでやるの?」というところまでやっていただきましたからね(笑)。

辻本氏:それはこちらも同じで「ここまでやるんですか?」と。しかも、「そんなに(コラボイベント参加)条件厳しいんですか?」みたいな(笑)。

――「FFXIV」側はリオレウス、「モンハン:ワールド」側はベヒーモスですが、その選定理由は何ですか?

吉田氏:僕は「モンハン」は無印からプレイしてるので、初めてプレイした時はマルチではなくシングルプレイでしたけど、リオレウスと戦った時に「どうすんだとこれ?」と思ったんです。あんなシビアな、サシのアクションゲームってなかったので、コンセプト通りだなと。ドラゴンに人間が勝てるわけないじゃんというところで、でも動きを見極めて、アイテムを使いつつ、まさにモンスターの生態を追っていくと倒すところまで追い込んでいけるのを目の当たりにして、リオレウスは「モンハン」を象徴する、ずっとパッケージを飾ってきたのと、世界にリオレウスの存在を教えるというのもコラボの意味のひとつだと思ったので、これ以外あまり選択肢がなくて、「代表でリオレウスいただけませんか?」とお願いしたら、辻本さんからは「いいよいいよ」と(笑)。

辻本氏:うちはシンボル的なモンスターが大前提なんですけど、アクションゲームとして他のモンスターと同じようではダメなので、アクションとして“らしいアイデア”と、“らしい遊び”を入れた上で、アクションゲームとしてちゃんと入ってくるとなると、ベヒーモスを検証してこれは行けるなということで決めました。実物を見ればわかりますけど、他のモンスターとは全然違う形に仕上がっている。そこも選定の理由のひとつになっています。

【「ファイナルファンタジーXIV」にはリオレウスやアイルーが登場】

――ティザートレーラーではメテオとか出てきましたが、あの辺も期待していいんでしょうか?

辻本氏:そうですね(笑)。やはり、うちのモンスターにはないことを。

――検証で他のモンスター候補はあったんですか?

辻本氏:ないです。ベヒーモスに絞っていました。

【「モンスターハンター:ワールド」はベヒーモスやサボテンダーが登場】

――おふたりのそれぞれコラボタイトルのプレイ歴を教えていただけますか?

辻本氏:実は僕は「FFXIV」をほとんどやってなくて、今回のコラボ参加条件は僕に向けた挑戦だと思っています。

――ではこれからプレイしようと考えているわけですか?

辻本氏:そうですね、やらないと怒られると思うので。

――では、これからレベル70にして、「紅蓮のリベレーター」をクリアするところまでやろうと考えているのですか?

辻本氏:意気込みは(笑)。

吉田氏:でも、「モンハン」チームは、ガチ光の戦士が明らかに何人かいるのは明らかで、ベヒーモスはちょっと異常です(笑)。そういう意味では良三さんが、仮に「FFXIV」を挫折したとしても、あまりあるぐらい“光の戦士力”があるチームです。

 僕は、良三さんや、藤岡さんと飯に行ったのも、スクエニの別の人間の紹介だったのですが、僕がガチの「モンハン」プレーヤーだったことも大きくて、一番やったのは「P2G」(「モンスターハンターポータブル 2nd G」)で、1,200時間ぐらいやっています。全クエスト、全ダウンロードコンテンツ、武器1種でソロ全クリなので、僕たぶんちょっとイっちゃってます(笑)。最後は飛んでくるリオレウスを後ろ凪で落とすのを趣味にしていたぐらいです。あの当時動画配信をやっていたらもうちょっと有名になっていたかもしれません(笑)。

辻本氏: 初めての出会いも、「2nd G」をやって、4人で集まって、カプコン側が2、スクエニさんが2で、その1人は僕と吉田さんなんですけど、「2nd G」をみんなやってるという話だったので、僕らPSP持ってますよ、プレイしましょうかといってやってみたら、まさかカプコン側が3オチという(笑)。やっちまったぁという。

吉田氏:2人で「生命の粉塵」ゼロになるまで使いましたからね(笑)。ちょうどそのときにラージャン2頭が配信されてて、「これはやりましょう」といって、スゲー「生命の粉塵」使いましたから。最初のうちはまだ笑っていたんですけど、それぞれ1回ずつ落ちて、次死んだら終わりですけど、「まさかカプコン3オチないっすよね?」といったら、「え、マジで?」っていう(笑)。懐かしい想い出です。

辻本氏: ああやって人って仲良くなっていくんですね(笑)。

――「モンスターハンター:ワールド」には生態系など独自の仕組みがありますが、ベヒーモスを実装するにあたって設定の落とし込みはどうやったのですか?

辻本氏: やり過ぎると、あくまでコラボモンスターなので、らしさを出す必要があると思いますし、「モンハン:ワールド」は発売して何カ月か経っているので、遊んでいる人がどれだけワクワクしてくれるかを大事にしました。期待して欲しいですし、本当にド派手なことをしてきますし、遊んだ時の楽しさもかなりあると思います。やっぱりアクション部分を楽しんで貰うというのが1番の醍醐味で、そこに重点を置いています。でも、違和感があることは絶対ないと思います。

吉田氏:僕も監修させていただきましたが、テキストから出現理由まで、プレイすれば誰もがちゃんと納得いく、しかも「FF」と繋がっているところまでキチンと落とし込んでいただいているので、それは確かめていただきたいですね。僕らも完全監修させていただいていますので。

――ベヒーモスの二つ名は何になりますか?

吉田氏:単純に魔獣ベヒーモスですよね。

――では魔獣の角や魔獣の皮が素材として得られる?

辻本氏: それで言うと、まず始めに聞いたのは「部位破壊していいですか?」なんです。そしたら「ガンガンしてください」と(笑)。

吉田氏:折れるモノ壊れるモノは全部壊して下さいと。僕自身もプレーヤーだから、明らかに角は折れないとダメだし、2本あるから1本ずつ折れて欲しいし、ツメも明らかに破壊できるし、背びれもいけるし、尻尾も切れる。全部いってくださいと。

辻本氏:最終的にどうなったかはお楽しみに(笑)。

吉田氏:これでグラフィックスが欠損しなかったから、言われるのは僕らで「これスクエニがダメだと言ったんだな」となってしまう。それは冷めるので、思い切っていっちゃってくださいと。どこまでカプコンさんが料理したかはぜひ確かめて欲しいですね(笑)

辻本氏:こっちからしたら「ええのかな?」と思いますからね。そういった一戦を超えさせて貰える部分で「おもしろかった」と感じて貰えればいいですよね。

吉田氏:確かに人によっては他の会社から借りたものなので、会社をぼろぼろにすると取る人もいますからね。どうしても法務や広報だとそこまでやるとマズいのではないかと思うかもしれませんが、ゲーム体験がしょぼくなってしまうと元も子もなくなってしまうので。

――今回のコラボは辻本さんと吉田さんの関係性を知っているとわかりやすいですけど、そもそも「モンハン」に「FF」のモンスターが出ることが初めてですが、これはチームにどういう風に説明したのですか?

辻本氏:というよりは、「『FFXIV』(とコラボするのは)無理なんですか?」と言われていたぐらいでした。吉田さんと仲がいいので、ほかのシリーズの時も会っていたんですが、お互いが一致するタイミングであることが大事だと思っていたので、時がきたらお願いに行ってみようかという話はチームメンバーとしていました。だから「いよいよ来てくれたか」というぐらいの気持ちだと思いますよ。チームは喜んでますよ、「FFXIV」好きな奴も多いですし、「モンハン」よりも全然歴史の深いタイトルとのコラボなので、ほぼ全員「FF」シリーズの何かはやってますからめっちゃ喜んでましたよ。

――コラボの内容はモンスターだけでなく、装備品もあると期待していいのですか?

辻本氏:それはあります。期待に添えるものが。“世界同時に展開できるこのタイミング”というコンセプトで一致して、E3ではまずコラボ自体を発表させていただいて、詳細についてはもっと丁寧に伝えていきたいので、E3はスタートダッシュとして位置づけさせて貰いました。

――実装は夏ですよね?

辻本氏:そうです。

吉田氏:僕はコミュニティの反応を見ていたら、「カプコンさんとスクエニの夏は噛み合うのか」というものがあって、ちょっとおもしろいなと(笑)。「スクエニは9月も夏だと言ってるし、実は違う月かもしれないぞ」と。

辻本氏:そこはちゃんと両方のプレーヤーが喜んで貰えるタイミングで実装します。

吉田氏:もう少し日があるので詳細は追ってお知らせしますけど、どんなものがもらえるのかとか、どんなストーリーかとか、期待して頂いていいと思います。ここまでお互いガチでやっているものなので、その結果貰えるものもガチだと思っていただいて大丈夫です。

辻本氏:E3から帰ったらテストプレイの時間を取られているんですけど、3時間おさえられているんですよ。無理矢理ボコッと開けられて。

吉田氏:3時間じゃ足りないと思うけど(笑)。僕はいただいた動画で全チェックさせていただいているんですけど、全技、全アクション。相当難しいぞと。だから戦うのが楽しみです、結構むちゃくちゃです。

――それぞれのタイトルにコラボが与える影響は?

吉田氏:僕は全権(プロデューサー兼ディレクター)でやっていますが、僕はそもそもガチゲーマーなのは知ってるので、期待されているのはガチで、「モンハン」だからこそガチでやれると期待していると思うので、期待に応えますよということを示した上で、ゲーム業界でビジネスライクではなく、本当にゲーム好きな同士が2社、世界に打って出て戦っているタイトルでやるというワクワク感とか、お祭り感を楽しんで貰って、結果どっちのゲームも本物だなとというのを再認識して貰えばいいなと思っています。プレーヤーが何人増えるとか売上がどうとかいうのはあまり考えていないです。この2つのタイトルなら面白いことをやって貰えるんじゃないかと思って貰えれば。

辻本氏:僕はやっぱり、両タイトルともオンラインなので、色んな人がゲーム上で繋がることができるので、たとえば、うちのゲームで、「FFXIV」のコミュニティに入っていったりとか、人の繋がり、タイミング作りになったらいいかなと思いますね。

 「モンハン」でいうと、コンシューマーシリーズ、アクションのシリーズとして、コラボでモンスターが出てくるのは初めてなので、誰も見たことがないので、どういうことをしてくるんだろうというそういうワクワク感もあると思います。僕と吉田さんはワクワク感を大事にしていて、まず驚いて欲しいし、ワクワクして欲しい、遊んでみたらおもしろい、そういうことをやりたいなと思っています。このコラボの次なんてまったく何も考えていない。夢の実現に全力投球して、そういうところも期待して貰えればと思っています。

吉田氏:僕は勝手に待っててくれたのかな、「モンハン」ではハント前提のモンスターは1度もコラボで出ていなくて、先ほどから出ているように、「モンハン」では生態系を大事にされているので、今回声をかけていただいたとき、「モンスターで行きたい」と言っていただいたのは、とても光栄なことだと思っていて、「FFXIV」がここまで来るのを待っててくれたとポジティブに捉えるようにしているんです。

辻本氏:アクションゲームなので、モンスターって結構追加するのが大変な部分もあるんですが、吉田さんとはそういう歴史があるので、日本のタイトルと全世界同時でコラボをやるならやはりモンスターでやりたいと。

――「FFXIV」でのコラボイベントの参加条件は発表されているが、一方、「モンスターハンター:ワールド」の参加条件はどのような感じになるのですか? やはりある程度のハンターランクは必要になるんですか?

辻本氏:今調整しているところで、「モンハン」ってハンターランクのキャップがあって、下位と上位であんまりキツく差を付けているわけではありません。この辺ならこの辺の装備がないとアクションとしてしんどいよというセッティングです。それ以降は自分の腕と装備で対応して貰うので、正直、ハンターランク500からというのはないです。ある程度の基準のところでやっていくつもりです。

――コラボの実施期間は?

辻本氏:決めていません。うちの配信は基本的に再配信をしますので、そのときだけ、もう一生無いってことはありません。ただ、そこについてはまだ決めていません、クエストの内容であったり、得られる装備とかによっても変わってくると思います。

吉田氏:うちは実施期間をできるだけ長く取らせて下さいというお話はしています。詳細については改めて足並みを揃えて発表する予定ですが、この期間しかやらないから、それまでにレベリングを終えるためにストーリー全部飛ばすぞ! みたいなことはしなくても大丈夫なぐらいの期間は設定するつもりです。

――「FFXIV」のイベント参加条件は、レベル70以上で、「紅蓮のリベレーター」をクリアしていることと、かなりハードルが高いですが、ここまで高くした理由は何ですか?

吉田氏:リオレウスの強さを表現するためにはレベル70で戦って貰わないと表現できないからです。レベル70になっているということは、「紅蓮のリベレーター」のメインシナリオをクリアしておかないと、その先のアラガントームストーン系の装備が取れないじゃないですか? そこを最低条件にしています。うちの社内は、開発チームは何も言いませんでした。「え、条件高くないですか?」といったのは広報チームで、「だいじょうぶ、高くないよ、『モンハン』のハンターなんてガチ勢なんだから、余裕余裕これぐらい」と言って説き伏せました。これは僕らからのハンターへの挑戦状です。

――吉田さんが想定しているクリアに必要なアイテムレベルは?

吉田氏:それ言ったらおもしろくないじゃないですか。ただ、強さはちゃんと感じて貰えるように、現役トッププレーヤーでも手応えを感じて貰えるようにしてあります。それは詳細発表の時にお知らせしようと思います。

――ベヒーモスの種族は?

辻本氏:それは詳細になってきますので、詳細はお待ちください。古龍カテゴリぐらいになるかもしれませんが、攻撃とかバレるから今は言いません。

――それぞれのモンスターについて原作にはない、新しいオリジナルの攻撃方法はありますか?

辻本氏:モーションはこっちで作ってるところはありますが、イメージは損なわないようにしています。「ああ~」と言って貰えるようにちゃんと作っています。もちろん、モデルの形状や骨の構造が違うので、まったく同じというわけにはいかないのですが、そこは調整しながらイメージを守るようにしています。

吉田氏:お互い、無理矢理感はなく、なじんでいると思います。「FFXIV」ユーザーが「モンスターハンター:ワールド」のベヒーモスを見ても違和感を感じないですし、逆にをリオレウス見ても、「あ、レウス、レウス!」となるようになっていると思います。

 やはりお互いが現場のリスペクトがあるので、先ほども少しデータの話が出ましたけど、このレベルの会社だと、独特のプラグイン使っているから、データを渡しづらいというところがあると思うんですけど、モデル、テクスチャ、アニメーション、SE、BGM、全部渡しましたから、綺麗に再現していただきました。骨格だけは関節周りだけは調整しないと「モンハン」側のプログラムに乗らないと思うんですが、フォルムはまったく違和感がないので、そこも期待してもらって良いと思います。

辻本氏:レウスなんてまんまレベルじゃないですか?

吉田氏:いやあ、実は1つやりとりでおもしろいことがありまして、「モンハン:ワールド」のレウスって色が浅いんです。「モンハン:ワールド」のシェーダーは、「モンハン:ワールド」に特化したシェーダーになっていて、元テクスチャが薄いんです。「モンハン:ワールド」の色を見ながら色調整をしたんですが、カプコンさんに見て貰ったらフィードバックで「ちょっと薄くないですか?」と。

 僕も最初現場でチェックしたときに「薄くないか? もっと赤いよね」と言ったんですが、「モンハン:ワールド」の環境下で見ると、確かに一緒なんです。だからうちは「モンハン:ワールド」の画面みながら最終調整をしたんですけど、別に作った赤くしたバージョンと見比べて、俺のレウスはこっち(赤い方)なんだけど、「モンハン:ワールド」のレウスはこっち(薄い方)だなということで、薄い方をお渡ししたら、「もう少し赤くしてほしい」とフィードバックが返ってきて、赤くした方に差し替えたんです。「FFXIV」と「モンハン:ワールド」とでは、シェーダーもレンダリング、ライトの当たり方もちがうので、逆に言うとそのあたりまでこだわって作っています。レウスらしい演出に綺麗に仕上がったかなと思っています。

――詳細は今後ということですが、だいたいのコンテンツボリュームを教えて下さい。

吉田氏:両社とも1回クリアしたら終わりというレベルじゃないのは確かです。

辻本氏:現時点ではモンスターにスポットを当てていますけど、ほかにも細かいニヤッとして貰えるようなコンテンツも用意しているので、それもしっかり遊べるようになっています。その辺も追って紹介したいと思います。

吉田氏:その全体ボリュームも含めて、おまえらどんだけやってるんだと思って貰えればいいですね。

――文字通りこの夏ガッツリ遊べるレベルと期待していいですか?

吉田氏:まあ、行けるんじゃないですかね。

――ファンに向けてメッセージをお願いします。

辻本氏:今回、僕は個人的には気持ちは強いコラボでもありますし、いいものができたつもりです。このスクエニとカプコンという違う会社でありながら、こんなにバカなことをこいつらやるんだということを見て貰いたいですし、コラボを通じてできれば両方のゲームを触って貰って反応して貰えたら嬉しいし、オンラインのゲームなので、お互いのコミュニティの輪が広がると僕らも嬉しいですし、ゲームっておもしろいなという人が増えると良いと思っています。期待していて下さい。

吉田氏:良三さんがいま言ったことに近いんですけど、どうしても日本のオンラインゲームって、そう聞いただけでも毛嫌いする人がいて、「モンスターハンター:ワールド」でも、ずっとソロで狩っているという人がいるんですね。

 でも、今回、こういったお話が生まれたのも良三さんや藤岡さんと繋がって、コミュニケーションがあったから生まれたことです。別に1人で遊ぶことが悪いわけではなく、いちいち人と一緒に遊ぶことに理由を付けなくていい時代なので、この2つの、ちょっと前なら考えられないようなタイトルのコラボが人が繋がることで実現するんだから、気負わずに触って貰って、それぞれ良いところが再認識できると思います。

 僕らはユーザーを交換したいわけではなくて、たとえば、「モンスターハンター:ワールド」ユーザーが「FFXIV」をプレイして、「モンハン」の良さを改めて再認識することもあるでしょうし、その逆もあるでしょうし、そういう波及効果が生まれればいいなと思っています。日本の開発者もこんなに馬鹿なことをする人がいるんだよということを世界に見せつけられれば成功だと思います。これから詳細を発表していきますので、楽しみに待っていて貰えると嬉しいです。

――ありがとうございました。