インタビュー

「MARVEL VS. CAPCOM: INFINITE」、プロ選手も認めた簡単と奥深さの融合

弱パンチだけで空中コンボ! プロデューサーに制作過程を聞く

6月13日~15日開催

会場:Los Angeles Convention Center

左から、本作プロデューサーのMichael Evans氏、アソシエイトプロデューサーのPeter Rosas氏

 E3 2017の期間中にストーリデモの配信が開始され、発売日も9月21日と決定したプレイステーション 4/Xbox One/PC用ファイティングアクション「MARVEL VS. CAPCOM: INFINITE」。E3 2017の会場では2人プレイの対戦モードがプレイできたほか、プロゲーマーを呼んで対戦イベントを実施するなど、カプコンブースの大きなスペースを使ってゲームの仕上がりをアピールしていた。

 対戦格闘としての特徴を振り返ってみると、弱攻撃ボタンを連打するだけで地上→空中→フィニッシュと繋がる「オートコンボ」、前作の3on3から2on2へと変更されたチーム人数、そして攻撃特性を付与できる「インフィニティ・ストーン」といった辺りが大きな特徴となっている。

 今回はそんな本作について、E3 2017の会場でインタビューができた。インタビューを受けてくれたのは、本作プロデューサーのMichael Evans氏と、アソシエイトプロデューサーのPeter Rosas氏だ。

【MARVEL VS. CAPCOM: INFINITE - ゲームプレイトレーラー3】

新キャラまだまだ登場予定! 選定基準は「触って面白い」こと

キャラクターの知名度などに関わらず、「触って面白い」ことが選定の基準になっているという

――シリーズの伝統としてキャラクターが多く登場しますが、気を付けた点はありますか?

Peter氏: 今作については、すべてのキャラクターについて「触って面白い」という部分を大事にしています。キャラクターごとに好きなプレーヤーは絶対にいるので、触って面白いのか、その上で操作に慣れればある程度は勝てるようになるのかは注意しています。

 過去シリーズの分析で、各キャラクターの弱点をもとに何を補強するべきかはわかっています。たとえばハルクで言えば、動きが遅いのが弱点ですが、それを補うために今回は三角飛びができるようになっています。

Michael氏: 弱点を補うという点では、インフィニティ・ストーンの存在があります。これを追加すると、そのキャラクターがもともと使えないはずの能力が付与されます。

 たとえば「Reality」というインフィニティ・ストーンがあるのですが、これは飛び道具が使えるようになるものです。過去シリーズはそもそも飛び道具を持っていないこと自体が弱点だったので、インフィニティ・ストーンはこの状況に新たな戦略性を追加することになるのです。今公開されているインフィニティ・ストーンは4つですが、全部で6つあるので、こちらは情報公開をお待ち下さい。

――マーベル側のキャラクターのチョイスですが、マーベル映画群(Marvel Cinematic Universe)のキャラクターが多い印象も受けますが、どういう基準で選出されているのでしょうか?

Michael氏: 映画の成功のおかげで、特にアベンジャーズのメンバーなどは人気がありますね。前作「MARVEL VS. CAPCOM 3」の時点ではMCUが始動する前でしたから、今とは知名度が全然違っています。

 しかし、登場するキャラクターに関しては、マーベルからこれという指示はありません。選定については、先程お話した、ゲームにおいて「触って面白いかどうか」という基準が優先となっています。

 ただマーベルが今後展開するコミックや映画などのプランの情報のやり取りはしていて、我々としてもそうした展開とはシナジーを作りたい意図はあります。なのでMCUとはあまり関連させてはいませんが、最初はカプコンから提案して、マーベルからはそのキャラクターは今後どういう展開があるかという話があって、最終的には2社で決めています。

 わかりやすいところで言うと、(パッケージキャラクターでもある)キャプテン・マーベルは日本では知名度はありませんが、今後はどんどん彼女が活躍する予定で、2019年には映画公開も決まっています。今発表されているキャラクターは22体ですが、今後も増えていきますので、期待していてください。

2019年に映画化も決定しているキャプテン・マーベル

2on2に人数を絞りつつ、インフィニティ・ストーンとアクティブスイッチという2大システムで奥深さを実現している

――今作の操作は「簡単」なのでしょうか?

Michael氏: わりと簡単になっているはずです。シリーズには空中に打ち上げるエアコンボという特徴がありますが、一連のコンボを出す技術がないとなかなか難しいものでした。

 そこで今作は弱パンチだけで打ち上げからフィニッシャーまで繋げられる「シンプルコンボ」が導入されていますし、強パンチと強キック同時押しで簡単に超必殺技「ハイパーコンボ」が発動します(イージーハイパーコンボ)。

 ただ「シンプルコンボ」のコンボは初歩的なものになっているので、しっかり操作すればより強力がコンボが可能です。また「イージーハイパーコンボ」ではハイパーコンボが1種類しか発動できませんが、各キャラクターは3つのハイパーコンボを持っていますので、コマンド操作であれば状況に合わせて使い分けられます。

 「シンプルコンボ」や「イージーハイパーコンボ」は初心者が触って楽しいものですが、あくまで入り口という位置づけです。

――今作の対戦モードは3on3ではなく、2on2になりました。

Michael氏: 覚えている方がいれば、実は「マーヴル・スーパーヒーローズ VS. ストリートファイター」の時代に戻ったということなのですが(笑)、今回はパートナーシップをどう活かせるか、という方向性です。

 本作ではR1を押すことで発動する「アクティブスイッチ」というシステムがあり、これは発動したらいつでも交代できるというものです。制約なしに発動できるので、「アクティブスイッチ」を踏まえたパートナーシップ、そしてインフィニティ・ストーンとの組み合わせで自由度が出てきます。

――開発で苦労した点はありますか?

Peter氏: 細かいところでは、クリス(・レッドフィールド)です。銃器がメイン武器なので、遠距離に居座られるだけでとても強い。インフィニティ・ストーンの「Time」は瞬間移動できるので、近づいたら逃げたりもできます。そういった点を気にしながらクリスならではの面白さを出し、バランスを取るのは面白かったです。

――物語は2つの世界が融合する面白いものになっていますね。

Michael氏: 世界そのものが融合されてしまった、という設定です。実はステージの背景もカプコンとマーベル世界が融合していて、たとえば「ノーム」という場所は「ストライダー飛竜」のザ・サードムーンと、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のノーウェアが融合した場所です。

――プロ選手の反応はいかがでしょうか?

Peter氏: 反応はとても良いです。当初はネット上で不安の声が上がったりもして、プロプレーヤーも同様に不安がっていましたが、実際に触れてみると「やっぱり面白い」と言っています。

 プレイの奥深さは過去の「VS.」シリーズと変わらないし、インフィニティ・ストーンとアクティブスイッチの使い方は今作ならではの面白いところ、という反応でした。

――9月の発売までに何か展開を予定していますか?

Michael氏: あります。新キャラクターの発表もありますし、ストーリーについても発表していきたいと思います。

――そちらも期待しています。ありがとうございました。