インタビュー

【ゆく年くる年特別企画】「アラド戦記」新春運営インタビュー

新コンテンツ「魔界」実装前に、いきなり最強レベルになるキャンペーン開催!?

1月24日アップデート予定

 ネクソンはWindows向けアクションMORPG「アラド戦記」において、1月24日にアップデート「Season5 魔界」を実装する。「Season5 魔界」ではレベルキャップが開放され、これまで設定で語られていた「魔界」がプレーヤー達の前に現われるという。レベルキャップも引き上げられ、さらなる上級者への道が提示される。

 今回は「年始特別企画インタビュー」として、「アラド戦記」の運営スタッフであるGMフォルテ氏、GMかにかま氏に昨年の「アラド戦記」を振り返ってもらうと共に、今年の「アラド戦記」そして、現時点で明らかになっている「Season5 魔界」の要素を語ってもらった。

謎に包まれた最強地域「魔界」登場。声優達による豪華な演出も見所

 やはりまず気になるのは「Season5 魔界」だ。これが実装されることでレベルキャップが86から90になる。「アラド戦記」は2013年に85までレベルキャップが引き上げられ、2015年に86になった。今回は一気にキャップが引き上げられる。今回は新スキルの導入や上位職の実装はなく、バランス調整が行なわれる。

「魔界」のイメージイラスト
魔界のダンジョンはおどろおどろしい雰囲気だ
魔界にも街は存在する

 目玉となるのは新地域「魔界」である。新しいフィールド、そして複数のダンジョンが実装される。「アラド戦記」ではこれまで魔界の存在は示唆されており、大きな目的として「魔界へ行く」というものがあったのだが、プレーヤー達の前に現われることはなかった。今回、ようやくその姿を現わすのである。

 実際は先行実装されている韓国の情報があるが、GMの2人もまだ体験できてないという。GMフォルテ氏はテストサーバーで実際にクエストを進めているのだが、いきなり魔界にたどり着けるという訳ではない。魔界へ行くためのクエストを受けてから、複数の新ダンジョンをクリアしなくてはならず、簡単には魔界に到達できない。しかも魔界でもいくつもの新ダンジョンが待ち構えているというのだ。

 GMフォルテ氏が特に印象に残ったのは死者の城地域のダンジョンに出てきた「ベッキー」という少女のボスキャラクター。フォルテ氏は「彼女が再登場するクエストがあります。ちょっぴり可哀相な彼女のお話を見てあげて欲しいです」と語った。

 さらにフォルテ氏は「今回のストーリーは、スゴイです。ストーリーに注目していたファンならば、グッとくると思います。楽しみにしてください」と言葉を続けた。シナリオを見ていたGMフォルテ氏は仕事中にもかかわらず驚きで大きな声を上げてしまったとのことだ。

 もう1つアップデートの目玉が「声優の起用」だ。「Season5 魔界」実装と同時に既存のキャラクターボイスも日本の声優によるものになる。声の演出による“リッチさ”は今回のアップデートの目玉となるとのことだ。

 魔界に到達するには最高レベルであるレベル86までキャラクターを鍛えて欲しいとGMフォルテ氏は語る。そのためのレベルアップの支援イベントも準備中だ。こちらは1月11日から予定している。今回のイベントは「1アカウントで1キャラクターだけ、いきなりレベル80にできる」というかなり思い切ったものになる。このキャンペーンは1月24日までだ。

 「アラド戦記」はサービスが続いているMORPGだけにレベリングにフォローが入り、1週間ほどのプレイでもレベル50に到達できるほどのバランスになっている。しかし今回のイベントはそこからさらにスケールが大きい。その気になれば最高レベルまでも到達できる。これは「できるだけ多くの人、多くのキャラクターに新コンテンツである魔界に到達して欲しい」という想いから考えられたイベントだとGMかにかま氏は語った。

 もちろん初心者がいきなり強いキャラクターを手に入れても、使いこなすのは難しい。スキルは膨大だし、どう割り振っていいかもわからないだろう。上級者とは装備や資産で大きな差があり、初めてすぐにゲームの楽しさの本質に初心者が到達できるものではない。しかしこれがきっかけとなりユーザーの交流や、ゲーム内の活性化が成し遂げられて欲しいところだ。

 今回のアップデートや、イベントの詳細は今後明らかになる。1月は「アラド戦記」において大きな変化がもたらされる時期になりそうだ。今後の発表に注目して欲しい。

【Season5 魔界】
死者の城追加ダンジョン。魔界には追加ダンジョンをクリアしていくことで行けるようになる
魔界ダンジョンは人型のボスが待ち受ける
魔界の街も気になる場所だ

初心者オススメの職業とは? 「アラド戦記」はまだ大きな変化が来るかも!

 インタビューでは新要素に加え、2016年を振り返ってもらった。2016年はまず、1月に大きなシステム改変があり、これの反響はかなり大きかったという。バランス調整もあったのだが、ユーザーに喜ばれたのは「シナリオダンジョン」。この「シナリオダンジョン」はクエストをクリアしていくだけでレベルがどんどん上がるので、レベル上げが止まっていた中級ユーザーに特に喜ばれた。

ナイトの2次覚醒実装
新職業「魔槍士」
人気の「覚醒アントン」
初心者オススメの職業の1つ。戦いやすい「女鬼剣士」

 「カイン」、「ディレジエ」の2つのサーバーがダンジョンなどで一緒になれる「統合システム」もユーザーに喜ばれた。ダンジョンでパーティプレイがしたいときに参加者が集めやすくなったり、取引もサーバーの垣根を越えてできるようになった。

 「男メイジ」、「女鬼剣士」、「ナイト」の2次覚醒実装により、現行のキャラクターすべてに2次覚醒が実装されたところもユーザーに歓迎された。また新職業「魔槍士」もユーザーに喜ばれたとのことだ。

 2016年11月22日には「覚醒アントン」が実装された。これは最大20人でプレイする「アントンレイド」を4~1人でプレイできるようになったダンジョンで、アントンレイドでしか手に入らない装備を求めるユーザーに大いに喜ばれた。「異界ダンジョン」もプレイしやすく改変され、全体的に難易度が下がった。

 これらの多くの要素はキャラクターをより強くし、装備を充実させるものが多かった。こういった数々の要素でキャラクターが底上げされたところで、「Season5 魔界」が実装されることになるのだ。GMフォルテ氏は、「魔界の戦いはかなりきつくなると思います。その戦いに備えて、力を増す期間だったと思います」と語った。

 GMかにかま氏は特に「魔槍士」が印象的だったという。2014年の「ナイト」以来の新職業であり、ユーザーがかなり喜んでいるのが伝わってきたという。攻撃にリーチもあり、使いやすかったとのこと。また10周年を記念した「エピック武器」が入手しやすいイベントでのユーザーの盛り上がりも楽しかったとのことだ。他にも、11月の改変により「異界ダンジョン」が最近賑わっているのが印象的 とGMかにかま氏は語った。

 「アントンレイド」で入手できるのは武器、アクセサリー、特殊装備 と多岐にわたる。「覚醒アントン」を1人で回れるようになっても全部位をそろえるにはかなりの時間が必要だ。コアプレーヤーの戦いはまだまだ終わらない。

 ユーザーが行なっているイベントではやはり決闘が熱い。10周年のオフラインイベントでは、有名選手達へ盛んに声援を送るユーザーも見られた。強豪選手は独特のファンを得ており「アラド戦記」ならではのコミュニティも形成している。特に決闘は統合チャンネル実装前からサーバーを超えて戦えていたため人気も高い。他にもアバターコンテストなどを告知しているプレーヤーもいるという。

 「アラド戦記」は長い運営を経ているゲームなだけにコアなユーザーが多い。GMイベントで中~初級者向けに決闘イベントを主催しても、上級者がセカンドキャラで入ってきてしまうと言うこともあり、裾野を広げていくことは運営の課題だという。一方、実況文化の盛り上がりは「アラド戦記」にもプラスの効果をもたらしている。

 今回の10周年記念オフラインイベントでは、決闘だけでなく「タイムアタック」の部門もあった。装備やスキル操作で極限まで狩り向けにカスタマイズされたプレーヤーが、普通のプレーヤーではかなり時間がかかる超上級ダンジョンをわずか2~3分でクリアしてしまうのだ。

 装備や能力がすごいのかと思ったが、GMから見ると、スキルやキャラ操作での“熟練”を感じたとのこと。実況文化はこういったプレーヤー達の盛り上がりもアピールできるようになった。コアプレーヤーしかわからない世界を“見ることができる”というのは、現代ならではだ。「アラド戦記」は時代の変化を受けながら独特の進化を続けている。

 今回は特に前例のないレベルアップキャンペーンで初心者の参加が期待できる。GMの2人に初心者へのアドバイスを聞いてみた。GMフォルテ氏は「ギルドに参加することがやはり1番の近道なのでは?」と語った。チャンネル内のプレーヤーに告知できる「メガホン」でメンバーを募集しているギルドも多いという。「お友達が欲しい人はもちろん、人付き合いが苦手な人でも入りやすいステータス目的のギルドなんかもあります」とGMフォルテ氏はコメントした。

 GMかにかま氏の初心者オススメの職業はやはり「男鬼剣士」と「女鬼剣士」。リーチがそこそこあり、スキルも使いやすく、取っつきやすいという。遠距離で戦いたければ「ガンナー」、格闘にこだわりたければ「格闘家」などなど、自分のプレイスタイルを確立していくのも楽しいという。

 GMフォルテ氏は“アクション性が0で楽な職業”として「ナイト」の上級職「カオス」を挙げた。部下を呼び出して、彼らを戦わせるだけでレベルが上がるという異色の職業で、他の職業とは大きく異なるとのことだ。一方、あえてテクニカルな職業に挑戦したいという人には「女メイジ」だ。防御力が低く、スキルは隙が大きいが、当たると強い。また「シーフ」は相手の背後をとる必要があり、他の職業とは大きく違った戦い方を求められるとのことだ。

 運営がこれからも継続的に取り組んでいくのは「休止ユーザーへの呼びかけ」。かつて「アラド戦記」を楽しんだプレーヤーにもう1度帰ってきて欲しいという。GMイベントや、生放送、Twitterなど様々な方法でユーザーの声に耳を傾け、ユーザー達が帰って来たくなる運営を目指したいとGMフォルテ氏は語った。

 10周年イベントで開発者も言及していたが2017年の「アラド戦記」でファンの期待に応える部分としては「ポイントアイテムの再販」にある。今は手に入れられないアバターアイテムなども計画している。GMかにかま氏はこちらも意見を積極的に集めていきたいという。

 ファンへのメッセージとしてGMフォルテ氏は「魔界アップデートを楽しみにしていてください。2017年も皆さんの要望に応えるべく努力していきます。よろしくお願いします」。

 GMかにかま氏は「10年、『アラド戦記』におつきあいいただき、本当にありがとうございます。皆さんとより楽しい世界にしていきたいと思います」と語った。

 「アラド戦記」はコアなイメージを持つMORPGである。かわいらしいキャラクターで生活を楽しむというMMORPGに比べ、キャラクターの能力の先鋭化や、対戦への指向性の傾向が他のゲームより強く、だからこそプレイに熱心な人が多いイメージがある。他のゲームにはない特徴がゲームを支えていると感じるタイトルだ。

 その中で「いきなり最強レベル」というキャンペーンを打ち出す施策は興味深い。現時点では謎だらけの「魔界」も楽しみだ。「アラド戦記」のこれからに注目したい。