【第24幕】
Report / manga:ジョン・カミナリ
logo design:フランチェスコ・アッカッターティス

電遊。辞書に載っていない造語である。電気的な遊び。いわゆる、テレビゲーム。道。その道を、自分の価値観だけを信じて最後まで歩むのが、侍精神である。電遊道は、妥協を許さないサムライゲーマーが歩むべき道。他人に影響されることなく、自分のゲーマーとしての信念を貫き通せばいい。たとえ、ゲームが別の道に進んでも、自分の好きな道をずっと信じ続けるのみ。たとえ、“これこそがゲームの未来形だ!”と言われても、自分の好きなゲームライフを思う存分楽しむのみ。

 この連載記事では、毎月1回、僕のゲーマーとしての物語、そしてゲーマーとしての哲学や信念を独特なスタイルで紹介していきたいと思う。日本のゲームに大きく影響を受けた僕のゲーマー人生を、イタリア人としての個性を生かして面白く語りたいと思う。あるときは、話題沸騰中のニュースについて掲載ギリギリのところまで正直な感想を書いたり、またあるときは、今でも心に大切にしまっている過去の作品を振り返ってみたいと思う。

 1番注目して欲しいのは、「イタヲタのレトロなゲームライフ」というコーナー。僕のオタクとしての青春を文章と漫画を交えて懐かしく振り返りたいと思う。連載の途中で新しいコーナーも生まれるのかもしれない。回を追う毎に中身が変わったり増えたりするのかもしれない。とにかく、サプライズたっぷりの連載を目指しているので、末永くこのページの中で付き合って欲しい!

ジョン・カミナリ(芸名)
国籍:イタリア 年齢:36歳
職業:俳優、声優、タレント、テレビゲーム評論家
趣味:テレビゲーム、映画鑑賞、読書(山田悠介)、カラオケ
主な出演作品:銀幕版スシ王子!(ペぺロンチーノ役、デビュー作)、大好き!五つ子(アンソニー・ジャクソン役)、侍戦隊シンケンジャー(リチャード・ブラウン役)、ピラメキーノ(テレビ東京、月曜~金曜 18時30分~19時放送中)
ブログ:ジョン・カミナリの、秘密の撮影日記
Facebook:http://www.facebook.com/johnkaminari
 イタリアで6年間テレビゲーム雑誌の編集部員として働いたあと、新しい刺激を求めて2005年に大好きな日本へ。子供の頃から夢見ていた役者の仕事を本格的に始める。堤幸彦監督の「銀幕版スシ王子!」で個性的なマフィアのボス、ぺぺロンチーノを熱演。現在もTVドラマやTVゲームなどで、俳優・声優として活躍中。日本語を勉強し始めたのは23歳のとき。理由は「ファイナルファンタジーVII」や「ゼノギアス」などのRPGの文章を理解するため。好きなジャンルはRPGと音楽ゲーム。「リモココロン」のような個性的なゲームも大歓迎。お気に入りのゲームは「ゲームセンターCX」と「ワンダと巨像」。芸名はイタリア人の友達に、本人が雷のように予想不可能なタイミングで現われるからという理由で付けられた。将来の夢は、「侍戦隊シンケンジャー」に出演した時から大好きになった戦隊モノにまた出演すること



【もくじ】
一刀両断~話題のゲームニュースについて鋭くコメントしちゃうぞ!~
傑作の如く~期待している新作TOP5~
過去の宝物~こよなく愛した過去の思い出の作品をピックアップ!~
イタヲタのレトロなゲームライフ~ハプニング満載のオタク人生~



■ 一刀両断 ~話題のゲームニュースについて鋭くコメントしちゃうぞ!~

話題のニュースや注目のテーマをピックアップして僕の率直なコメントを載せたいと思う。また、現在のゲームが抱えている問題を解決するアイデアや提案も、このコーナーを通じて考えてみたいと思う。ゲーマーの皆が納得できる未来の為に!

其ノ一:「FOX ENGINE」で小島氏が世界に挑む

プレゼンテーション中は、デモの映像の写真や動画が一切禁止となっていた。まさに「METAL GEAR SOLID」に出てくる警備員のように、スタッフが報道陣の行動を監視していたようだ
小島氏は誇りを持って、「METAL GEAR SOLID GROUND ZEROES」のコンセプトをジャーナリスト達に説明した。今までできなかったというロードがないオープンワールドいう特長をアピールした
シネマティックシーンで確認できた躍動感溢れるリアルなグラフィックスは、実際のゲームパートでもスムーズに展開するのだろうか。これから小島氏は所々に手を加えつつ、グラフィックスレベルが安定するように実際のゲームを調整していきたいという

 「METAL GEAR」シリーズの25周年を記念する「METAL GEAR 25th ANNIVERSARY PARTY」で、待ちに待った新作が公開された! KONAMI開発の新ゲームエンジン「FOX ENGINE」を使用する「METAL GEAR SOLID GROUND ZEROES」が、欧米のゲームサイトでも注目を集めている。僕もKONAMIがリリースしたデモ映像を観て、「FOX ENGINE」による映画のようなその素晴らしい特殊効果やダイナミックな演出に圧倒されてしまった。

 小島秀夫氏(以下、小島氏)は、発表会の冒頭で「世界に対し、技術力、熱量で劣勢を強いられている」と、現在の日本ゲーム産業が世界に負けていることを認め、そして「FOX ENGINE」の導入で、「なんとかもう1度世界に勝ちたい!」という抱負を語った。「FOX ENGINE」の導入でゲームメーカー間の競争が活発になり、ゲーム市場が全体的に盛り上がり、日本のゲームがまた欧米でも大活躍するような未来に繋がることを僕は強く願っている。

 小島氏によると本作は、これまでの作品で見られた自由度を増し、ローディングなしのオープンワールド系アクションゲームに仕上げたいという。弊誌でも報道されたように、今回は敵の基地に侵入するルートが増え、ジープやヘリコプターなどの乗り物も利用できるようになり、プレーヤーに提供された可能性は大きく増加した。開発者達によって用意されたバーチャルワールドの中でどう生き残っていくかはプレーヤーの選択次第というわけだ。

 欧米サイトのユーザーコメントをチェックしてみたが、面白いメッセージが沢山寄せられていた。ストーリーはまだ公開されていないが、動画で見られたキャラクターたちの正体について、ユーザー達は様々な推測を交換している。

「あの子供はもしかしてスネークか、それとも、ライデンか?」
「重度のやけどで顔が変貌した男はビッグボスか、それともサイコマンティスか?」

 謎めいたトレーラーを公開するのはいつも小島氏のスタイルで、そのおかげで世界的に注目度が増すいっぽうだ。

 「FOX ENGINE」自体に関してはやはり、プレイステーション 3やXbox 360で本当に公開されたグラフィックスがそのまま展開できるかという疑問が多い。プレゼンテーションで公開されたデモは高性能なPCを用いていたが、家庭用ゲーム機でもそのまま動けるようにグラフィックスレベルは調整されていたという。

 とはいえ、ユーザー達は製品版でもそのレベルのグラフィックスが、安定した速さ、かつ同じ特殊効果で実現することをまだ完全に信じられないようだ。正直に言って、僕もこういうグラフィックスが次世代機用のものではないかと一瞬疑ってしまったが、小島氏の言葉を信じて、たとえ少し解像度やフレームレートが落ちても、いつものようなレベルの高いゲーム体験が実現することを願っている。

 グラフィックスに関しての疑問は残っているが、欧米人はほぼ一斉に小島氏のことを世界最高のゲームデザイナーとして褒め称えている。例えば、イタリアのゲームサイトでは以下のような意見が多かった。

「信じていることを貫き通すゲームクリエーターって、小島氏しかいないかな?」
「最近ゲームシーンから消えていたのは、1つのゲームを一生懸命に開発していたからだと思う。小島さんは本当に働き者だ!」
「小島氏が100人、いや1,000人いれば、今のゲーム市場はもっともっと面白くなるだろうな」
「昨今のゲームは60ユーロに値しないと思う。しかし本作の為なら喜んで払うよ!」

 ほとんどのコメントが上記のような内容だったので、僕も「METAL GEAR SOLID」シリーズのファンとして嬉しい気分になった。少数派ではあるが、何人かのユーザーは以下の、ある意味意外なことを指摘していた。

「このゲームは前作のようにPS3の独占的なタイトルであるべきだった!」
「マルチプラットフォームにすることで、ゲーム機の本来のポテンシャルを100%生かせないだろう!」
「KONAMIはマルチ展開のほうが売れると思って、そう決めただろう。それよりクオリティのほうを優先させるべきだった!」

 そういう意見があるのもわからないでもないが、なるべく多くのプレーヤーに遊んでもらうためには、マルチ展開のほうが望ましいと思う。専用タイトルだったら、もちろんそのハード性能を最大限に生かすことができるが、マルチだと、きっと開発の段階で妥協という言葉が出てしまうだろう。でもよく考えれば、これまでの「METAL GEAR SOLID」はグラフィックスに関して期待が外れたことはなかった。だから、今回も希望通りの傑作が生まれると、僕は確信している。

 最後に「FOX ENGINE」自体についてもう一言述べたいと思う。次世代機でも使用されることになる新ゲームエンジンだが、小島氏もイベントで「サイレントヒル」等の他のKONAMIシリーズでも使ってもらいたいという願望を語った。プラチナゲームス開発の「METAL GEAR SOLID REVENGEANCE」もヒットを記録すれば、その続編でも使用されることを願っているようだ。

 そこで僕は思った。社内やKONAMIとパートナー関係にある限られた開発チームだけでなく、せっかく高性能なゲームエンジンを作ったのなら、将来的には全世界のゲームメーカーにも提供するべきだと思う。海外のゲームメーカーに「FOX ENGINE」を使用してもらえれば、小島氏の「世界にもう1度勝ちたい」という抱負に最も適した未来になるのではないだろうか?


(C)Konami Digital Entertainment

□関連情報
【2012年9月3日】KONAMI、「METAL GEAR SOLID GROUND ZEROES」
デモンストレーション映像を配信
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20120903_557229.html




其ノ二:続編の続編、誕生。ライトニングがまたリターンズ!?

本作のコンセプトの1つは造語の「World Driven」だという。「プレーヤーは現実世界のように生きている世界を体験する」という意味だそうだ
新しく作られた世界のイラストを見た瞬間、気持ちいい安心感をおぼえた。久しぶりにこれこそが王道RPGにマッチするような理想的な世界だと思った
交通手段の変化で、よりいっそう刻一刻変化していく世界の中で生きているという感覚を得られるだろう。とても自由度の高いRPGになりそうだ
スタッフの話によると、ライトニングの強さや技を決める多くの武器や衣装が用意されているという。これで戦略性がさらに増したのではないだろうか

 「ファイナルファンタジーXIII」は、1作目において、シリーズファンの期待を裏切った作品として知られている。スクウェア・エニックスがユーザーの指摘を受け止め、ファンが待ち望んでいた要素の入った続編「ファイナルファンタジーXIII-2」を制作するに至った。街がある、ミニゲームがある、広大なフィールドがある、住人との会話がある。よく思えば、RPGの分野において当然の要素が付加価値として追加された。

 一方、「FINAL FANTASY XIII VERSUS」が行方不明に……。その代わり(?)、先日発表されたのは、「ファイナルファンタジー」シリーズにおいて初といえる、ナンバリングタイトルの続編の続編だ。正確に言うと、「XIII-2」ではなく、「ライトニングリターンズ ファイナルファンタジーXIII」という異例のタイトルになっている。そう。ライトニングが帰ってきた!

 前作から何百年後の新しい世界「ノウス=パルトゥス」。森林地帯、山岳地帯、砂漠地帯など公開された世界のイラストを見ると、RPGジャンルの典型的なロケーションが凝縮された、王道のファンタジー世界になっている。首都もあって、ゴシックな建築物もあれば、現代的な建物もあるし、貧民が住居にしているスラム街も存在する。これまでRPGで見てきたロケーションを1つの街に密集させたという印象だ。

 本作のコンセプトは非常に面白いと思う。まず時間の概念が導入された。RPGでは決して新しい要素ではないが、スクウェア・エニックスによると、それが密接にゲーム性に関係し、多くの可能性を実現させることになるという。

 例えば、4つの地域から成る世界はモノレールを用いて移動する。ただし、指定の時刻に駅に行かないと、モノレールに乗り遅れてしまうというサラリーマンの現実を思わせる場面もあるようだ。時間の制限による緊張感が面白さに繋がるのではないだろうか。

 さらに時刻によって、住人達の行動が刻一刻と変わったり、扉が閉まったり、特別な建物に入れるようになったりするという。プレーヤーの観察力と記憶力が試される仕組みになっているのではないだろうか。

 しかし、目玉は別にある。それは世界が13日後に崩壊するということだ。画面に時計が常時表示されており、あらゆる行動をする毎に針は進んでいく。

 ライトニングは、特定の行動を取ることによって時間を過去に戻したり未来に進められるようだが、その詳細はまだ明かされていない。ライトニングの最後のストーリーというコンセプトだから、その13日が終わると主人公も永遠に死ぬという意味だろうか。それとも世界を救う方法も存在するのだろうか。その謎はこれからも注目を集めていくだろう。

 バトルシステムも大幅に変わったようだ。今回は、アクションゲームのようにライトニングを戦場で動かすことができるし、それと同時にこれまでのスキルや魔法のコマンドメニュも用意されているようだ。ターン制バトルとアクションの間の全く新しいスタイルの戦闘パートが生まれることにすごく期待している。

 装備システムに関しては、ライトニングに数多くの衣装を着せることができ、それによってパラメーターや使用できる技などが変わっていくようだ。過去に発売された「FINAL FANTASY X-2」を思わせるシステムではあるが、それの強化版に当たるのではないかと思う。

 RPGのスペシャリストであるスクウェア・エニックスのこだわりを感じさせる作品ではあるが、1つだけ理解できないことがある。なぜ、世界設定やゲームシステムが大幅に変わったのに、「FINAL FANTASY XIII」というタイトルを付けなければならないのか? という点だ。ライトニングが主人公ではなくてならないという必要不可欠さをあまり感じないというのは正直な印象だ。欧米人ユーザーも日本人ユーザーも、ある意見を共有しているようだ。

「もう『FFXIII』を引っ張る必要はないだろう。それよりも全く新しいキャラクターやストーリーを作ってください」
「昔『FINAL FANTASY』は5年毎に出るような大きなイベントだったが、今は毎年新作が出るようなシリーズになった。期待感が薄まっていくのは必然的だ」
「『FFXIII』のスピンオフ作品を作るよりも、『FFVII』のリメイクを作って欲しい」

 僕もはっきり言って、スクウェア・エニックスがライトニングというキャラクターにこだわっている理由がわからない。ライトニングがもう“有名人”だから、その名前だけでRPGが注目されると考えられるかもしれないが、一貫性に関しては少々違和感を覚える。

 “世界やゲームシステムのほとんどが一新されているのに、主人公だけが変わらない”という不思議な感覚がずっと頭を離れない。映画に例えると、バットマンをゴッサム・シティと違う別の都市で登場させるのと同じような状況なのではないだろうか。

 僕が思う本作の“問題”はそれだけだ。他の特徴に対して大きな魅力を感じたし、RPGとしてしっかりしていることも強く伝わってきた。もちろんキャラクターに関してのあの違和感が間違いであることを願っているが、果たして本当にそうなるのだろうか?


(C)SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. CHARACTER DESIGN: TETSUYA NOMURA

□関連情報
【2012年9月1日】スクエニ、「ライトニングリターンズ ファイナルファンタジーXIII」を発表
“世界崩壊までの13日”を生きるライトニング最後の物語
会場限定で公開された実機映像のレポートも掲載
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20120901_556803.html




■ 傑作の如く ~期待している新作TOP5~

僕が期待している発売前後の新作TOP5。さまざまな情報をもとに、各ゲームのシステムやグラフィックスといった要素の中で僕が魅力的に感じたところを紹介していく。必ずしもメジャーなタイトルではなくて、逆に注目して欲しいマイナーな作品をピックアップすることもある。

(C)2012 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
MAIN CHARACTER DESIGN: Akihiko Yoshida.
※画面は開発中のものです。

1位:ブレイブリーデフォルト
   プラットフォーム:3DS
   ジャンル:RPG
   発売元:スクウェア・エニックス
   発売日:10月11日
   価格:6,090円
   CEROレーティング:C
   プレイ人数:1人

 従来の「ファイナルファンタジー」が持つ、あの独特なフィーリングを約束する「ブレイブリーデフォルト」。全ての体験版で遊んで、洗練された世界設定やゲームシステムに魅了された。発売日が近づくにつれ、新たなジョブの存在が明らかになっていく。すれちがい通信などで他のプレーヤーを助けられるフレンド召還というコマンドも面白そうだ!

□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.com/jp/
□関連情報
【2012年9月10日】スクエニ、「ブレイブリーデフォルト」の体験版を配信決定
「Vol.1~Vol.4」の要素を収録した「BRAVELY DEFAULT 体験版」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20120910_558702.html





(C)CAPCOM CO., LTD. 2012 ALL RIGHTS RESERVED.

2位:バイオハザード6
   プラットフォーム:PS3/Xbox 360
   ジャンル:サバイバルホラー
   発売元:カプコン
   発売日:10月4日
   価格:各7,990円
   CEROレーティング:D
   プレイ人数:1~4人

 これまでのシリーズの集大成ともいえる「バイオハザード6」の発売日が迫ってきた。複数のキャラクター達の織りなすストーリーが交互に展開していき、それぞれ違うペースと雰囲気を持っているので、バラエティ豊かなゲーム性が実現したと思う。新たに導入された、敵になってエージェント達を襲う「AGENT HUNT」というモードが新鮮だと思う。

□カプコンのホームページ
http://www.capcom.co.jp/
□関連情報
【2012年9月4日】カプコン、「バイオハザード6」
PS3用の体験版を配信開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20120904_557324.html





(C)Imageepoch

3位:ソールトリガー
   プラットフォーム:PSP
   ジャンル:RPG
   発売元:イメージエポック
   発売日:10月4日
   価格:6,279円(UMD版)
   5,600円(DL版)

 「PSPの最後のRPG」というスローガンの本作は、数々の名作RPGを手がけてきた豪華なスタッフで制作された。そのクオリティが保証されているはずだ。ストーリーは「ゼノギアス」的な雰囲気を醸し出していると思う。戦闘パートもワンボタンで展開しており、とても快適そうだ。ソールを注入することで武器を強化できるシステムにも注目だ。

□イメージエポックのホームページ
http://imageepoch.co.jp/
□関連情報
【2012年5月17日】イメージエポック、PSP「ソールトリガー」発売を10月へと延期
無料体験版をPlaystation Storeにて配信決定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20120517_533554.html





(C)2012 NBGI

4位:時と永遠~トキトワ~
   プラットフォーム:PS3
   ジャンル:アニメーションRPG
   発売元:バンダイナムコゲームス
   発売日:10月11日
   価格:7,980円
   CEROレーティング:C

 アニメとRPGが融合した世界初のHDアニメーションRPG。日本のアニメを愛する欧州プレーヤーの間でも話題になっている。主人公の死亡を免れる為に過去にさかのぼるヒロインのトキ。彼女にはもう1人の人格、トワが潜んでいる。レベルアップする度に2人の人格が切り替わるというシステムは面白い。アニメのような戦闘の演出も必見!

□バンダイナムコゲームスのホームページ
http://www.bandainamcogames.co.jp/
□関連情報
【2012年8月23日】バンダイナムコ、PS3「時と永遠 ~トキトワ~」
トキの操る時間魔法と旅のパートナー「ドレイク」を紹介
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20120823_554609.html


(C)2012 NBGI

5位:PROJECT X ZONE
   プラットフォーム:3DS
   ジャンル:シミュレーションRPG
   発売元:バンダイナムコゲームス
   発売日:10月11日
   価格:6,280円
   CEROレーティング:B
   プレイ人数:1人

 バンダイナムコゲームス、セガ、カプコンの3社による究極のシミュレーションRPGが誕生! 格闘ゲームのような戦闘パートは新鮮。格闘ゲームが苦手な人も快適な操作方法のおかげで楽しめるというのも朗報だ。戦略性も高い。ユニットを組ませることで最大5人のキャラクターを戦闘に参加させることができる。

□バンダイナムコゲームスのホームページ
http://www.bandainamcogames.co.jp/
□関連情報
【2012年9月6日】バンダイナムコ、3DS「PROJECT X ZONE」
強力なライバルキャラクターたちを紹介
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20120906_557811.html





■ 過去の宝物 ~こよなく愛した過去の思い出の作品をピックアップ!~

ゲームは技術的に進化する。グラフィックスが綺麗になる。ポリゴンの数が増える。ゲーム内の景色が実写と見間違えるほどリアルになってきている。しかし、時代が変わっても必ずしも進化しないものがある。それはゲームの面白さだ。昔のゲームはグラフィックスはシンプルだが、面白さでは今のゲームに負けていない。いや、それに勝る特別な何かを持っている作品もある。秋葉原のゲームショップや家庭用ゲーム機のオンラインストアで安く購入できる過去の傑作は山ほどある。このコーナーでは、僕が愛した昔のゲームをピックアップしていきたいと思う。具体的なゲーム内容よりも、僕のその作品に対しての気持ちを伝えることができればと願っている。

【超魔界村】

プラットフォーム:スーパーファミコン
ジャンル:アクション
発売元:カプコン
発売年:2007年
価格:800Wiiポイント
プレイ人数:1人


 過去の記事でアーケード版の「魔界村」をピックアップした。僕は騎士アーサーの大ファンで、彼のおかげで男として恋人を守ることの大切さを学んだと言っても過言ではない。パンツ一丁になっても、勇気を失うことなく、ゾンビの群れや動きの予測不可能なレッドアリーマーと戦っていくその姿は、ヒーローそのものだった。続編の「大魔界村」のメガドライブへの移植が決まった時、最高の喜びを覚えた。無数のコインを使ってしまったファンはまさか家庭で追加でお金を使うことなくで遊べる未来が来るなんて、当時想像もしていなかっただろう。

 当時の家庭用ゲーム機のゲームはアーケード版の移植作が多かった。それだけでも嬉しかったが、スーパーファミコン用の完全新作「超魔界村」の情報を聞きつけた時、驚かずにはいられなかった。騎士アーサーの冒険はゲームセンターではなく、家庭用ゲームシステムで独占的な形で続くなんて、ゲームマーケットの常識が覆される重要な転換期だったといえるだろう。もちろん、欧州版を待つことはできず、ローマにある日本のゲームを扱う店で購入することにした。

 あれから20年以上が経過した。ドットグラフィックスは過去のもので、今のゲームは実写を思わせるようなグラフィックスを誇っている。しかし、ゲーマーは現実とは違う体験も永遠に求め続けていくだろうと思う。大人のゲーマーはなおさら当時のあの懐かしい気分に浸りたいはずだ。僕もWiiのバーチャルコンソールを起動させ、「超魔界村」を久しぶりにプレイすることにした。

 スタートボタンを押すと、まずイントロが流れる。騎士アーサーは最愛のプリンセスと会う為に、城に向かっている。次のカットは城の外、暗闇に包まれた森だ。突然、雷が轟き、稲光で恐ろしい魔物のシルエットが見える。プリンセスはまたに魔王によってさらわれてしまう。騎士アーサーは3度目の救出を決意する。何秒かのイントロでプレーヤーが完全に騎士アーサーモードに切り替わる。姫様、イコール、好きな女性を助けるためなら、命を捧げる覚悟で魔界の群れに挑むのだ!

グラフィックスが前作以上にカラフルで、スーパーファミコンならではの特殊効果でさらにリッチになっていたスプライトの拡大・縮小・回転を可能にした「モード7」による城を拡大する演出はすごかった!メガドライブだけを持っていた友達に見せて、自慢していたよく思えば、プリンセスをさらわれるという始まり方は日本のプラットフォームゲームの定番中の定番だ

 「魔界村」のトレードマークのひとつである、全ステージを見渡せるマップ画面。このマップ画面がなければ、「魔界村」と言えないかもしれない。どれだけゴールまで距離が残るか確認できるところが新鮮だった。最初のステージは森の中の墓場だ。前作でもそうだったし、この「超魔界村」も例外ではない。ただし、地面が揺れてフィールドの形が変わっていくという新要素が導入され、前作以上に周囲の変化に注意しながら、慎重に進まなければならない。

本作は7つのステージで構成。少なく感じられるかもしれないが、完璧に攻略するには長時間のプレイが必要になる最初のステージの主な敵はシリーズ定番のゾンビだ。挟み撃ちされないよう現われたらすぐ倒したい安全そうな上の道を進むか、洞窟に入って火を撃つ骸骨と対峙するか、ルートの選択はプレーヤーに委ねられている
ファーストステージをさらに進むと、奥から津波が襲ってきた! 飲み込まれないように、安全な高台を見つければならないファーストステージのボスは巨大な鳥だ。退治したら、次のステージへ進む為の鍵を獲得

 2作目の「大魔界村」では武器の上撃ち、下撃ちができるようになっていたが、3作目の「超魔界村」ではその機能は排除された。もちろんそれに伴い、難易度も上がったといえる。なぜなら、真上の敵を1作目のように狙えなくなったからだ。そのほうが、「魔界村」らしいと思う。ロックマンが屈めないのと同じように、騎士アーサーのアクションにも制限があるべきだ。

 新要素として2段ジャンプが導入された。最初は、踏み台がないのに騎士アーサーは空気の中でジャンプできるの? という素朴な疑問があったが、ゲームだからこそありえないアクションも可能になるだろうと最終的には納得した。その2段ジャンプの導入でステージの戦略の仕方も微妙に変わっていた。例えば間違えて敵に向かってジャンプしてしまった場合、反対方向を入れながら2回目のジャンプをすれば、そのピンチ状態から逃れることができるようになっていた。

 僕にとっての「超魔界村」の楽しみの1つはステージ中に隠された、見えない宝物を出現させる方法を見つけることだった。ジャンプする位置や方向によって、画面のどこかに宝箱が出ることがあった。青銅の鎧や強力な武器が隠されていることもあれば、騎士アーサーの姿を変える意地悪なマジシャンにも出くわすこともあった。

 宝箱の順番を記憶すればどこにアイテムが入っているか、どこにマジシャンが潜んでいるか、ある程度予測することができるが、当時、攻略本に頼ることなく、自分でその法則を見つけるようにしていた。自分で最高の攻略方法を見つけた時の喜びはとても格別だった。

宝箱からマジシャンが現われた! 早く逃げないと彼の呪文を受けてしまう呪文を受けた騎士アーサーは攻撃できない無防備な赤ん坊にされた。元の姿に戻るまで敵を避けるしかないのだステージ3では2段ジャンプの適切な使い方が本格的に問われる。ボタンを押すタイミングを少しでも間違えると、マグマの“気持ちいい”お風呂が騎士アーサーを待っている

 前作ももちろんそうだったが、「超魔界村」のそれまで見たことのない新しい場面の豊富さに圧倒された。特に、当時新鮮に思ったのは、ステージ2のゴーストに占領された海賊船だった。宝箱の中に偽宝箱があり、その中から騎士アーサーを執拗に追ってくるお化けが出現する。

 このステージはたぶんゲームの中で最も難しく感じた。昔、いくら命を落としても、ゲームをやめることなく、コンティニューしまくっていたことを鮮明に覚えている。その難易度こそが、プレーヤーにモチベーションを与えていたと思う。何度も挑んで自分がスキルアップしたことを実感してくると、「このゲームを遊べて本当によかった!」と、感謝の気持ちでいっぱいになっていた。

偽宝箱からモンスターが現れたら、連射で退治しよう。そうしなければ、プレーヤーを執拗に追ってくる左右に振る鎌や突然出現するゴーストなど、敵や障害物が密集されたとても危険なステージだイカダのパートは今でも最高に楽しい。左右にジャンプするとイカダも騎士アーサーの動きに合わせて左右に移動するところが面白い!

 ゲームが進むと、さらに手強い敵たちが登場する。ステージ3で何もない地面を歩きつつ「あれ? 開発者は敵を配置するの忘れたの?」と思った瞬間に、やつが現われた。あの意外な安全地帯は、実は地獄の到来を示唆していたのだ。「魔界村」シリーズの中で最も憎い敵、レッドアリーマーが現れた! 相変わらず眠っているふりをしている。武器を投げてみると、ほら、攻撃をかわすために空高く飛び上がった! 悪夢の始まりだ。

 ジャンプしながら適当に攻撃ボタンを連射する。全く駄目だ。じっとして、相手が着地するのを待つ。それも駄目だ。ネットで攻略方法を調べようと思ったが、それはプレーヤーとしての負けだ。いろいろ試してみよう。努力すればきっと勝利を得る瞬間がやってくる! と自分の心に叫んでも駄目だった。

 残念ながら20年が経った今でも、レッドアリーマーの理想的な攻略方法はわからなかった。この敵は人工知能に従っているのではなく、本当に生きているかのようだ。その敵を作ったプログラマーに会ってみたい。そして「あなたは天才だ」と言ってみたい。これから「恐ろしい敵の職人たち」という新コーナーが始まるかもしれない(笑)。

 とりあえず、難易度が非常に高いから最初はEASYモードでプレイして、ライフストックを最大の9つにしたほうがいいだろう。これでもクリアするのは難しいのだ。そして、プレーヤーとして強くなったと思ったら、次のステップに進んで欲しい。

 本作をノーコンティニューでクリアできるようになったら、あなたはチャンピオンだ。僕もチャンピオンと名乗れるプレーヤーになるために、「超魔界村」の世界で戦い続けるのだ。

レッドアリーマーは眠っている。いや、眠っているふりをしているだけだ逆方向へ2段ジャンプしながらレッドアリーマーのほうに振り返って武器を投げる。攻略方法としてはこれも駄目なようだ結局、レッドアリーマーを退治せずに塔をぐるぐる回るステージの後半まで進んでみた。しかし、レッドアリーマーはまだ生きていたのだ!

(C)CAPCOM CO., LTD. 1991, 2007 ALL RIGHTS RESERVED.

□カプコンのホームページ
http://www.scei.co.jp/
□「超魔界村」のページ(カプコン)
http://dl.capcom-onlinegames.jp/details/game11.html
□「超魔界村」のページ(任天堂)
http://www.nintendo.co.jp/wii/vc/vc_sgg/




■ イタヲタのレトロなゲームライフ ~ハプニング満載のオタク人生~

僕のゲーマーとしての人生を懐かしさたっぷりで語っていきたい。毎回、特定の時代をセレクトして、自分の記憶への冒険をしたいと思う。最終的には1つのストーリーになる。僕というオタクのストーリー。僕という和ゲー好きゲーマーのストーリー。文章だけでなく、クライマックスのシーンをもっとダイレクトに伝えるために漫画も使うことにした。とにかく、日本ではありえないシチュエーションについてたっぷり語っていくぞ!

今回の時代設定:1997年
イベント:プレイステーション用の「悪魔城ドラキュラ」新作が発売!
ハプニング:イタリアのテレビで○○が出ない!マンマ ミーア!!

 時代は16ビットゲーム機から32ビットゲーム機へと変わろうとしていた。ドットで構成されたキャラクター達は最新技術となっていたポリゴングラフィックスで忘れられかけていた。ローマのゲーマーは、購入するにはお金が足りなくても、店内に設置されたプレイステーションの映像を自分の目を疑うほど、驚いた顔で眺めていた。

 ゲームセンター版と見間違うほどの忠実な移植版、「リッジレーサー」の派手なポリゴングラフィックスが常時、その画面を占領していた。輸入された日本版が高すぎて、僕もエマちゃんも買うことができなかったが、何カ月かが経過すると、僕達も購入を検討するほどの値下げが実現した。

 しかし、何があっても、スーパーファミコンとメガドライブだけは売ってはダメだと強く感じていた。数々の素晴らしいゲームを生み出してきたこのハードだけは手放してはならないと。とはいえ、プレイステーションで遊びたかったら、購入に必要なお金を作らなければならない。選択肢はそんなになかった。大好きだったが、選ぶとしたら、PCエンジンとNEOGEO CDを売るしかないという決心がついた。

 時が流れた。僕の部屋の机には4つの対立するゲーム機が並んでいた。過去を代表していたスーパーファミコンとメガドライブ、そして、未来を象徴しているプレイステーションとセガサターン。ポリゴンゲームが独特な魅力を持ってはいたが、ドットキャラクターが見たくなる日もあった。どちらのゲームワールドを同じく大切にしていた。プレイステーションでドットグラフィックスの素晴らしいゲームがもう登場しないだろうと勝手に決め込んでいたら、ある日、その考えが間違いだったことを思い知らされた……。

 土曜日の15時。勉強を終え、ローマの中心に位置している日本ゲームの専門店「ゲームポイント」に行くことにした。そこでプレイステーションの全ての新作が、週ごとに、日本から届いていた。行く前に電話で新作の詳細を確認することも可能だったが、僕はサプライズを味わいたかったから、毎回電話せずに行くようにしていた。1時間バスの中で想像したあと、バスから降りてほぼ走りながら店に向かうその時間は絶妙な味を持っていた。それがあったからこそ、店ですごい新作を見つけた時の感動は大きかった。

 店の前に到着した。今日は1人で来た。エマちゃんは用事があって、一緒に来ることができなかった。いつも2人で何でも共有してきたから少し残念だったが、家に帰ってから、エマちゃんに何を見てきたか、詳しい報告をしようと思っていた。

 店に入った瞬間から新作が届いていたことがわかった。カウンターの上に設置されたテレビの画面には見たことのないゲームの映像が流れていた。しかも、ポリゴンではなく、僕の大好きなドットグラフィックスでできたゲームだった。カウンターには店員とそのゲームの情報を訊いている男性が1人いる。僕と同年代だろう。それより、このゲームの正体を分かる為に僕もカウンターに近づこうと思った。そのとき、耳にこの言葉が届いた。

「『悪魔城ドラキュラ』シリーズの新作ですよ」

 ちょっと待って! 今、「悪魔城ドラキュラ」と言わなかった? 僕の大好きな「悪魔城ドラキュラ」? スーパーファミコンの作品は何十回もクリアした。クリアすればするほど、クリアしたくなる。愛したそのゲームの続編が、今日、この店に届いたというのだ。走った勢いで、カウンターにぶつかる。その反動でカウンターは大きく揺れる。

「ジョン、おまえか!」

 店員のマックスとずっと親しい関係にいる。しかし、カウンターを揺らしてしまったことに対して、すこし怒ったようだ。

「ごめんなさい。つい、画面の映像に気をとられちゃって……。」

 僕は素直に謝る。そうすると、隣の同年代のお客さんが、こう言った。

「僕も『悪魔城ドラキュラ』が大好きで、今日、買う為にわざわざ、ローマの遠い郊外から来たよ」

 やっぱり、「悪魔城ドラキュラ」の新作だったのか。正確なタイトルは「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」だった。ドットグラフィックスは素晴らしく、主人公のアニメーションパターンは豊かでディズ二ー映画かのようだった。

「僕はルイージ。君は?」
「僕はジョン。よろしく!」

 好きなゲームが共通するだけで、一瞬で新しい友情が誕生した。店員のマックスも喜んでいるようだ。実はルイージはこの店の常連客だったそうだ。毎週来て、プレイステーションやセガサターン用のあらゆるアクションゲームやシューティングゲームを購入していた。

 彼もポリゴンよりもドットキャラクターが好みらしく、さらに、日本のゲーム作曲家も知り尽くしており、その音楽を聴くためだけに新作を買っていたというのだ。もちろん、「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」もCDクオリティのオーケストラによる音楽を持っており、限定版にはサウンドトラックCDも同梱されていた。結局、その日、ルイージだけでなく、僕もそのゲームを迷いなく購入した。

「ジョン、家に遊びに来ない? ついでに、僕のコレクションを見せるよ」
「是非!」

 ルイージの自宅はゲームショップからバスで1時間以上の場所にあった。彼はちょっとしたバイトをやりながら、大学で勉強している。ゲームからは、勉強する為のエネルギーをもらっているそうだ。

「これは僕の部屋だ!」

 自宅に招き入れたルイージはゲームがぎっしり並んだ棚が目立つ自分の部屋へと案内してくれた。壁には沢山のポスターが貼られており、その多くには僕の知らなかった爆乳キャラクターがあしらわれていた。

「このキャラクターは誰?」

 目を見開いたルイージは疑わしげに僕を眺めながら言った。

「えっ? 知らないの? 巫女のこよりだろう。彩京のシューティングゲームの名キャラクターだよ」
「爆乳の女性が、シューティングゲームなんかとどういう関係を持っているの?」

 諦めたように舌打ちしながらルイージは棚から1つの箱を取り出す。

「このゲームに登場しているよ!セガサターンの『戦国ブレード』」。すごく面白いよ!」

 ルイージは日本のシューティングゲームの収集家だった。全てのシリーズの秘密を知り尽くしていた。僕は彼の知識の豊富さに驚かずにはいられなかった。タイトーの「ダライアス」シリーズも大好きで、そのゲームの音楽を手がけていたZUNTATAの大ファンだった。ZUNTATAのCDアルバムもいくつも持っており、ゲームソフトと一緒に大切に保管していた。

「ルイージ、今度シューティングゲームもいっぱい見せてね。でも今日、“あれ”を早く遊んでみたい!」

 購入したばかりの「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」の箱を指しながら、僕は言った。

「了解!」

 そう言って、ルイージはテレビの前に座り、僕は隣のソファに腰を下ろした。CDを挿入し、スイッチオン。しばらくローディングを待つと、スタート画面が現われた。新たな「悪魔城ドラキュラ」の伝説が始まろうとしていた。

 キャラクターが違うし、アニメーションも前作と比較できないほどなめらかだった。RPG要素が入っており、拾った装備品でキャラクターを強化できる。ゲームが進むにつれ新しい技も獲得できるし、広大な城を探索するという奥深さも備わっている。謎めいたアイテムや秘密の部屋がいっぱいありそうだ。「これは最高の『悪魔城ドラキュラ』に違いない!」。その時、僕たちの頭で同じ台詞がこだました。

 画面に釘付けの2時間が、あっという間に過ぎていった。腕時計に目をやると、もう夕方の7時だった。家に帰らないとお母さんに怒られる!

「そろそろ帰らないと。今日は本当にありがとう、ルイージ!」
「こちらこそ、すごく楽しかったよ。また遊ぼうね!」

 日本のゲームのおかげで、今日も新しい友達を見つけた。今度会ったら、エマちゃんをルイージに紹介しようと思った。3人で遊んだほうがさらに盛り上がること、間違いなし! 最高に楽しい雰囲気を頭の中で描きながら、僕は自宅に向かうバスに乗って行った……。

【番外編】

 あれから15年が経過した。ルイージは何をしているのだろう。まだ日本のゲームで楽しく遊んでいるのだろうか。残念ながら彼と連絡を取ることはできなかった。

 まだ存在している「ゲームポイント」に足を運んでみたが、オーナーが変わったらしく、マックスなどの昔のスタッフはもういない。ほとんど欧米のゲームに飾られたショーウインドーを目の前にして、悲しい気分になった。昔このショーウインドーでは日本のゲームだけがあったのに、今は逆の状態になっているではないか。

 その時、目を閉じ、過去を呼び起こした。ルイージの声が聞こえてくる。マックスが挨拶してくる。「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」の素晴らしい音楽が店内で流れる。思い出はなんて素敵なのだろう。そして、思い出はなんて残酷なのだろう……。





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(2012年9月14日)

[Reported by ジョン・カミナリ ]