【連載第73回】韓国最新オンラインゲームレポート

Blizzard、「『Starcraft II: Wing of Liberty』 MediaDay」を開催
「WoW」ユーザーは「SC2」無料宣言!! 大韓航空は「SC2」旅客機を就航!


6月24日開催

会場:金浦国際空港内大韓航空格納庫


今回の会場は大韓航空が実際に飛行機を置いておく格納庫で行なわれた。「大韓航空スターリーグ2010」の決勝戦もこの場所で行なわれた

 Blizzard Entertainment Koreaは6月24日、金浦国際空港内大韓航空格納庫において、「『Starcraft II: Wing of Liberty』 MediaDay」を開催した。

 今回の発表会では、「Starcraft II: Wing of Liberty」のイメージイラストがラッピングされた大韓航空の大型旅客機が初披露され、Blizzard Entertainmentが現在開発している「Starcraft II」(以下、SC2)の韓国市場におけるビジネスモデルとプロモーションプランの内容が公開された。「Stcraft II: Wing of Liberty」は、各種族ごとに全3タイトルのリリースが予定されている「Starcraft II」フランチャイズの最初のタイトルで7月27日に発売される。価格は69,000ウォン(約5,500円)。

 韓国では、韓国市場の特殊性に配慮して様々な独自企画が計画されている。その中でも最たるものが、BlizzardのMMORPG「World of Warcraft」ユーザーは「SC2」が無料でプレイできるというものだろう。本稿ではそれらの詳細を紹介していきたい。



■ 大韓航空から「SC2」仕様のB747-400が就航!!

「Starcraft II: Wing of Liberty」タイトルロゴ
「SC2」ラッピング飛行機のイメージ

 発表会の冒頭では、会場の目の前に鎮座している「SC2」でラッピングされたB747-400の就航を皮切りに、Blizzardと大韓航空の間で締結された数々のプロモーションプランが披露された。

 まず、韓国のフラッグシップキャリアである大韓航空と提携し、「SC2」のラッピングが施されたB747-400とB737-900の2機を運航するという。B747-400とB737-900はそれぞれ、6月24日、7月頭から6カ月間、韓国国内線とアメリカ、ヨーロッパ向けの国際線に就航する予定だ。また、「SC2」ラッピングの空港リムジンも4台運行される。大韓航空ではこのほかにもいくつか「SC2」関連のプロモーションも用意しているという。

 Blizzardは、大韓航空との提携以外にも、韓国大手ファーストフードチェーン「ロッテリア」と提携し、8月1日から9月30日までの2カ月間、“「Starcraft II」セット”の販売や、NVIDIAと提携して7月28日からソウル市江南区のCOEXにおいて、「SC2」体験ブースを運営することや、TVCMなどのプロモーション計画を発表した。

 ちなみに大韓航空は「Starcraft」(以下、SC)のプロリーグのメインスポンサーでもあり、Blizzardとは古くから親密な関係にある。実はこのプロモーションを担当する大韓航空の責任者は大韓航空会長の実の娘であるチョ・ヒョンミン氏で、「SC」の大ファンで有名である。旅客機に特定のゲームタイトルのラッピングを行なうプロモーションは韓国では初めてで、韓国における「SC」の人気の高さを裏付けるものだ。


【「Starcraft II」仕様B747-400】
「SC2」でラッピングされたB747-400。ラッピングには70時間かかったという



■ 韓国ではダウンロード販売のみ。「WoW」ユーザーは「SC2」無料配信!!

Blizzard Entertainment North Asia代表ハン・ジョンウォン氏。「WoW」ユーザーは「SC2」を無料でプレイできるのはBlizzardの売り上げ的にマイナスではないかという質問に対し、「短期的にはマイナスであるが、Blizzardはユーザーたちの忠誠度を期待しており、長期的にはこの方がプラスです」と答えた
「SC2」は3つのビジネスモデルが発表された。月額/日額型は韓国だけのもの。多くの地域では月額制のみになる見込みだ

 プロモーション計画に続いて、「SC2」の韓国独自のビジネスモデルが発表された。ビジネスモデルについて説明する前に、「SC2」そのもののビジネスモデルをおさらいしておきたい。

 「SC2」は、「Terran」、「Zerg」、「Protoss」の3種族ごとに、別々のパッケージとして発売される予定となっており、「Terran」のキャンペーンが盛り込まれた「Starcraft II:Wings of Liberty」は7月27日の発売が予定されている。「Starcraft II:Wings of Liberty」は2月18日からクローズドβテストが行なわれ、6月8日に終了したばかり。6月末からは最終テストが実施される予定になっている。

 「Starcraft II:Wings of Liberty」に続いて、「Zerg」のキャンペーンを盛り込んだ「Starcraft II:Heart of the Swarm」、「Protoss」のキャンペーンを盛り込んだ「Starcraft II:Legacy of the Void」が順次発売される予定になっている。2作品の発売日は未定のままとなっている。各パッケージには3種族いずれかのキャンペーンと3種族全部プレイ可能なマルチプレイが盛り込まれている。

 「Starcraft II:Wings of Liberty」は全世界で前作と同様にパッケージでの発売が予定されているが、韓国は通常の流通網を使わず、ダウンロードによる販売だけを行なうという。このため、韓国においては初回限定版や、スターターパッケージ等の取り扱いは一切無く、全てオンラインからダウンロード入手となる。一見横暴なプランなようだが、韓国ではPCパッケージ市場が壊滅状態にあるため、大きな問題にはならない。オンラインゲームが主流の韓国だからこそ採用可能なビジネスモデルである。

 肝心の利用料金については、売り切り型と月額/日額型の2通りの選択肢が用意されている。売り切り型については69,000ウォン(約5,500円)で、1度購入すれば無制限にプレイ可能になる。月額/日額型については、1カ月利用権は9,900ウォン(約790円)、1日利用券は2,000ウォン(約160円)となっている。キャンペーンだけプレイしたい人や、時々マルチプレイをやりたいという人は、従量タイプを選ぶことでより安くゲームをプレイすることが可能になるわけだ。韓国で利用者の多いネットカフェでのビジネスモデルについては今回は明らかにされなかった。

 また、ビッグサプライズとして、BlizzardのMMORPG「World of Warcraft」(以下、WoW)をプレイしているユーザーは、「SC2」のプレイ料金が無料になることが明らかにされた。「WoW」をプレイするユーザーには非常にお得な情報で、さらに「SC2」の無料プレイ狙いで、引退した「WoW」ユーザーの復帰も期待できる。

 なお、これらのビジネスモデルはあくまで韓国限定の話で、その他の地域に関しては未定だという。韓国では前作「SC」が600万本以上販売されており、「SC」によって発達したeスポーツ文化など、他の地域とは異なる特殊な市場だ。Blizzardはその韓国市場の特徴を把握し、こうしたユニークなビジネスモデルを提案したのだと思われる。

 なお、「SC2」の発表以降、活発な活動が行なわれてる韓国だが、それとは対象的に日本に関しては依然として発売すら未定のままだ。「SC2」は、韓国以外にも全世界が注目するタイトルであり、コミュニティーも活発だ。今後「SC2」を通じて世界を共有するeスポーツ大会といった様々なイベントが行なわれると予想される。日本でもいち早く発売が決まることを期待したいところだ。

新しくなった「Battle.net」のスクリーンショット。「SC2」はオンラインプレイ専用タイトルとなっており、シングルプレイキャンペーンをプレイする際も「Battle.net」に接続する必要がある。セーブデータも「Battle.net」サーバーに保存される

「Starcraft II」のスクリーンショット。ユニットの相性と戦術などがこのゲームの醍醐味だ。ユニットの相性が大事であるため、4カ月間行なわれたクローズドβテストで様々なバランス調整が行なわれた

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(2010年 6月 25日)

[Reported by DongSoo“Luie”Han]