レビュー

ソニー「INZONE H6 Air」ゲーミングヘッドセットレビュー

モニターヘッドホン譲りの背面開放型。どこまでも広がる“空間表現”を体感せよ

【INZONE H6 Air】
4月24日 発売予定
市場推定価格:28,000円前後

 音楽制作からゲーミングまで、業界の雄として様々なオーディオ機器を手がけるソニー。ゲーマーの間では「INZONE」ブランドでお馴染みになりつつあり、“完全ワイヤレスゲーミングイヤホン”というジャンルを確立させた「INZONE Buds(2023年10月発売)」は愛用している方も多いだろう。

 そんなソニー「INZONE」が新たに送り込む「INZONE H6 Air」は、空間表現力に優れた“背面開放型”のゲーミングヘッドセット。音楽制作向けのモニターヘッドホン「MDR-MV1」をベースにしており、コアなゲーマーの声に応えた製品となっている。

 今回は発売前に1週間ほど試用する機会をいただいた。本稿では「INZONE H6 Air」のレビューをお届けしつつ、“Air”の名に相応しい装着感、どこまでも広がるようなサウンドなど、本製品の魅力を紹介していく。

【INZONE:H6 Air 商品紹介【ソニー公式】】
【「INZONE H6 Air」のスペック】
  • 形式:オープンバックダイナミック(背面開放型)
  • ドライバーユニット:40mm
  • 再生周波数帯域:5Hz〜80,000Hz(3.5mmオーディオケーブル接続)、10Hz〜20,000Hz(USBオーディオボックス接続)
  • ブームマイク:単一指向性
  • 重量:約199g(ケーブル、マイク含まず)
  • 付属品:USBオーディオボックス、ヘッドホンケーブル、着脱式ブームマイク、保証書、説明書類

付けていることを忘れるような装着感。「INZONE H6 Air」の外観をチェック

 まずは「INZONE H6 Air」をじっくり見ていこう。外観は非常にシンプルで、RGBライティングも搭載されておらず、いい意味でゲーミングヘッドセットらしくないデザインとなっている。カラーはブラックのみで、ホワイトはラインナップされていない。

 ハウジングはアルミニウム製で、軽量でありながらも耐久性を備えている。実際に持ってみるとヒンヤリと冷たさが伝わってきて、所有欲を引き立たせる高級感のある作りだ。

ゲーミングヘッドセットらしさを感じさせないシンプルな外観
「INZONE」ロゴも控えめで全体的にシックなデザインにまとまっている
ハウジング部分はスイーベルに対応。折り畳み機構は非搭載だが、持ち運ぶ時に便利だ
付属品として3.5mmオーディオケーブル、着脱式マイク、USBオーディオボックス、説明書、ステッカーが同梱されている

 重量は「INZONE」のゲーミングヘッドセット史上最軽量となる約199g(ケーブル、マイク含まず)。加えて、側圧は適度にホールドしつつ、締め付けすぎない絶妙な力加減となっており、付けていることを忘れるような「Air」の名に相応しい装着感を実現している。

 イヤーパッドはナイロン製で蒸れにくく、長時間のゲームプレイでも快適に楽しめる。また、ヘッドバンドはかなり柔軟に調整可能で、比較的頭が大きめの筆者でも全く問題なく装着できた。

重量は実測195g。側圧も絶妙な力加減で「Air」の名に相応しい軽い装着感だ
イヤーパッドはナイロン製。長時間のゲームプレイでも蒸れにくい
ヘッドバンドの長さは柔軟に調整可能。こちらの画像は一番短い状態
こちらの画像は一番長い状態。比較的頭が大きめの筆者でも全く問題なかった

 操作ボタンは左耳側に集中しており、上部にマイクミュートボタン、下部にボリュームダイヤルを搭載している。後述するが、本製品は有線接続のみのため、操作ボタンも少なくシンプルだ。

左耳側の上部にマイクミュートボタンを搭載
左耳側の下部にボリュームダイヤルがある
このほか左耳側にはケーブル接続部(画像右の穴)とマイク接続部(画像左の穴)がある

コアゲーマーの声に応えた“背面開放型”。「INZONE H6 Air」のスペック

 続いては「INZONE H6 Air」のスペックを確認していこう。本製品は、ゲーミングヘッドセットでは珍しい“背面開放型”を採用していて、ハウジングをよく見ると無数の小さな穴が開いており、ドライバーユニットが透けて見える構造となっている。

 多くのゲーミングヘッドセットが採用している“密閉型”は、高い遮音性と豊かな低音が特徴で、迫力のあるゲームサウンドを楽しめる。一方の“背面開放型”は、どこまでも広がるような空間表現力とクリアな高音が特徴で、繊細なゲームサウンドが楽しめるのだ。

 密閉型と背面開放型は対極の存在であり、どちらがいいかはプレーヤーの好み、プレイするゲームによって異なる。筆者としては、FPSやシューティングといった臨場感が求められるゲームは密閉型、RPGやレースといった世界観に浸るゲームは“背面開放型”がオススメだ。

「INZONE H6 Air」は背面開放型を採用。ハウジングには無数の小さな穴が開いていて、ドライバーユニットが透けて見える
【「INZONE H6 Air」と「INZONE H9 II」の比較】
INZONE H6 AirINZONE H9 II
形式オープンバックダイナミック(背面開放型)密閉型ダイナミック
ドライバーユニット40mm30mm
再生周波数帯域5Hz〜80,000Hz(3.5mmオーディオケーブル接続)、10Hz〜20,000Hz(USBオーディオボックス接続)5Hz〜20,000Hz
ノイズキャンセリング非搭載搭載
接続有線(3.5mm/USB)無線(2.4GHz/Bluetooth)、有線(3.5mm/USB)
ブームマイク単一指向性単一指向性
重量約199g(ケーブル、マイク含まず)約260g(マイク含まず)

 40mmのドライバーユニットは、同社が手がける音楽制作向けの背面開放型モニターヘッドホン「MDR-MV1」と同じものを搭載。本製品向けに最適化を施しており、ユニット背面にダクトを備えることで空気の流れを制御し、背面開放型でありながら迫力のある低音を実現している。

 同社によると「MDR-MV1」購入者の4人に1人がゲーム用途で購入していたことがわかり、今回の「INZONE H6 Air」の製品化に至ったとのこと。実は筆者も「MDR-MV1」ユーザーで、音楽とゲームの両方で使っているのだが、聴き比べてみると、確かに「INZONE H6 Air」はより低音が鳴るようになっている。

 音楽制作では着色のないフラットな音が求められるのに対し、ゲームでは臨場感のある音が求められる。「INZONE H6 Air」はコアなゲーマーの声に応えた背面開放型ゲーミングヘッドセットなのだ。

筆者所有の「MDR-MV1(左)」と今回の「INZONE H6 Air(右)」
筐体は全く異なるものとなっている
一方でドライバーユニットは「MDR-MV1」と同じものを搭載。最適化を施し、よりゲームに特化させている(画像はINZONE H6 Airのユニット部をアップで撮影)

 接続は有線のみだが、3.5mmオーディオ接続または付属の「オーディオボックス」経由によるUSB Type-C接続を選択できる。使用するゲーム機や環境に応じて、最適な接続方法を選ぼう。

 今回のテストでは、PS5/Nintendo Switch 2/PCにおいて、3.5mmオーディオ接続およびUSB接続の両方を問題なく使用できた。Xbox Series XはUSBオーディオ非対応であるが、コントローラー経由の3.5mmオーディオ接続で使用できる。

3.5mmオーディオケーブルでPCや様々なゲーム機に接続可能
付属の「オーディオボックス」でUSB Type-C接続もできる
PS5を含め、多くのゲーム機で問題なく使用できた

 なお、PCにUSB接続するとソフトウェア「INZONE Hub」を利用でき、イコライザーや立体音響、マイクのボリュームなどを設定できる。さらに「INZONE H6 Air」では、PlayStation Studios所属のサウンドデザイナーと共同開発したサウンドプロファイル「RPG/Adventure」も利用可能だ。

 「RPG/Adventure」では、デフォルトの「Flat」からイコライザーはそのまま、空間表現に特化した音響処理を施し、より没入感のあるゲームサウンドに変化させる。実際の効果についてはこの後の使用感で紹介しよう。

PCにUSBで接続すると「INZONE Hub」を利用可能
「INZONE H6 Air」では空間表現に特化したサウンドプロファイル「RPG/Adventure」も選択できる

ヘッドセットの外から音が鳴っているような感覚を楽しめる!

 ここからは実際に「INZONE H6 Air」を使っていく。今回はPS5 ProとゲーミングPCにて、オーディオボックス経由のUSB接続を中心に検証した。

 まずはPS5 Proで「グランツーリスモ7(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)」をプレイ。結果として「INZONE H6 Air」との相性は良く、車内に広がるエンジン音をしっかりと表現できており、まるで窓を開けてドライブしているような爽快なレースを楽しめた。

「グランツーリスモ7」では車内に広がるエンジン音をしっかりと表現
窓を開けてドライブしているような爽快な体験だった

 次にPCで「アークナイツ:エンドフィールド(GRYPHLINE)」をプレイ。こちらではサウンドプロファイルを「Flat」と「RPG/Adventure」に切り替えながら検証したのだが、確かに「RPG/Adventure」はより空間の広がりを感じることができ、ヘッドホンの外から音が鳴っているような感覚だった。

 特に自然豊かな武陵地域では、草木のなびく音が実際に森の中にいるように聞こえてきて、エンドフィールドの世界にいっそう没入できる。

「アークナイツ:エンドフィールド」ではサウンドプロファイル「RPG/Adventure」を使用
ヘッドホンの外から音が鳴っているように聞こえ、武陵では実際に森にいるような感覚を楽しめた

 続いては「Apex Legends(Electronic Arts)」をプレイ。「INZONE H6 Air」はRPGやアドベンチャーなど世界観に浸るゲーム向けのヘッドセットではあるが、FPSでも足音をしっかりと聞き取ることができ、グレネードの爆発音などで臨場感のある低音を楽しめる。

 だが、背面開放型は遮音性が皆無に等しいため、装着していてもPCのファンの音や扇風機、エアコンの風切り音などが聞こえてくる。BGMが流れているゲームであったり、ある程度ボリュームを上げれば気にならないのだが、BGMがなく細かい音が重要になってくるFPSでは、ある程度静かな環境を用意する必要があるので注意が必要だ。

「Apex Legends」でも臨場感のあるサウンドを楽しめるが、周囲の音が気になる場合もあるので、ある程度静かな環境を用意しよう

 最後に「INZONE H6 Air」のマイクについて簡単にチェックした。本製品は背面開放型でかなり音漏れしやすい構造となっており、ハウジングから漏れた音をマイクが拾ってしまう可能性も考えてしまうのだが、そこはしっかりと考慮した上で設計されている。

 今回は試用期間が限られていたため、長時間のボイスチャットはできなかったのだが、フレンドによると音漏れを含む雑音は拾っておらず、しっかりと声だけが届いていたようだ。音質は必要十分で、多少のこもりはあるが、ボイスチャット用途であれば全く問題ない。

ブームマイクは単一指向性で、ハウジングから漏れた音を拾いにくく、声だけにフォーカスした設計となっている
音質は多少のこもりがあるが、ボイスチャット用途であれば必要十分だ

いつもと一味違うサウンドを楽しめる「INZONE H6 Air」

 ここまで「INZONE H6 Air」のレビューをお届けしてきた。本製品は、空間表現力に優れた“背面開放型”を採用することで、一味違うサウンドを味わえるゲーミングヘッドセットだ。特にRPGやアドベンチャーゲームなど、没入感を求められるゲームとの相性は非常にいい。

 もちろん、背面開放型と密閉型にはそれぞれ長所と短所があり、サウンドの特性や相性の合うゲームジャンルも異なる。だが「INZONE」ブランドは、密閉型ゲーミングヘッドセット「INZONE H9 II」もラインナップされており、好きな方を選んだり、プレイするゲームに応じて使い分けることもできる。

 いつもと違ったゲーム体験を味わいたい方、ゲームに特化した背面開放型ゲーミングヘッドセットを探していたという方は、ぜひ「INZONE H6 Air」を検討してみてほしい。