レビュー
「リアニマル」レビュー
ホラーが苦手でも踏み出せた“闇の冒険譚”。「リトルナイトメア」のスタジオが贈る新たなホラー・アドベンチャー!
2026年2月17日 00:00
- 【REANIMAL】
- 2月13日発売
- 通常版:5,720円
- デジタルデラックスエディション:8,470円
THQ Nordicは、PlayStation 5/Xbox Series X|S/Nintendo Switch 2/Steam用ホラー・アドベンチャーゲーム「REANIMAL(リアニマル)」を2月13日に発売した。価格は通常版が5,720円。デジタルデラックスエディションが8,470円。
本作は、名作サスペンスアドベンチャー「リトルナイトメア」、「リトルナイトメア2」を開発するTarsier Studiosによる新作タイトルだ。ゲームではとある姉弟が行方不明になってしまった友人たちを助けながら、故郷である島からの脱出を目指していく。
今回はゲーム本編をプレイした上での所感やホラー要素の手触り感についてお届けしていきたい。なお、物語のネタバレには配慮しているが、それでも気になる方は先にゲームプレイすることを推奨する。
「恐怖」の中で際立つ、美しき闇の世界に魅入られて。横軸探索から空間を活かしたフィールドデザインに進化
「リアニマル」は、とある姉弟が手元のランタンと1隻のボートだけを頼りに、どこかで生き延びている友人たちを助け出しながら、故郷の島からの脱出を目指していくゲームだ。「姉弟」と触れている通り、ゲーム中は弟と姉のバディ行動が基本となる。
本稿ではシングルプレイによる体験でプレイを進めたが、ゲームは最大2人での協力プレイにも対応している。なお、シングルプレイ時の操作キャラクターは“弟”に固定。作中での高い行動力を見ても、事実上の主人公キャラクターと言って良さそうだ。
「リトルナイトメア」シリーズが持つ“恐ろしい空間の中に映え渡る美しさ”にかつて魅了されたユーザーなら、「リアニマル」にも期待を寄せていいだろう。悪夢のような幻想世界をわずかに照らし出す蝋燭の灯りは当時心強く思えたろうし、そんな中での光と闇のコントラストの美しさは、恐怖を忘れるような魅力があった。
本作「リアニマル」では暗い夜が長々と続くものの、手元のランタンと寂れた街の街頭、そして窓からたまに差し込む月光が、相変わらずアーティスティックな恐怖空間を演出する。今回のプレイ中、恐怖を忘れて思わず世界の色遣いに見入ってしまったものだ。
ちなみに、筆者はホラーゲームが苦手な方である。しかしながら、この先に何が待ち受けているのかわからない「展開の読めない恐怖」と、荒廃した世界の有り様を「光によってどう美しく描写されるのかへの興味」が混在し、“先に進みたくはないけどもっとこの世界を知りたい”という、矛盾した欲求に駆られてのゲームプレイになったのが印象的だった。もちろん、プレイの動機を後押ししてくれた理由はほかにもまだまだある。
本作の開発元、Tarsier Studiosが手掛けてきた「リトルナイトメア」シリーズは、これまで基本的に横スクロールのようなステージ進行が主流だった。横軸でのフィールド探索が中心でありながら、各フロア内に僅かな奥行きがあって、アイテムを使った簡単な謎解きギミックを解き明かしたり、追っ手から身を隠したりすることができた。
「リアニマル」からは、そんな横軸中心のフィールド探索からほぼ脱却した形となる。かつての2.5D的な見せ方だけに囚われず、3Dの立体空間を意識したフィールド構造が探索の手応えを強化する。さらに、意味ありげなオブジェクトや反響する物音の不気味さは、これまで以上に空間の広がりを持たせたからこそ、感じ得るリアリティに昇華されている。
補足すると「リトルナイトメア2」でも、3Dの奥行きを強調したフィールド探索の片鱗は既にあった。だが、過去作以上に3次元的なフィールドデザインのアプローチを試みているのは、遊んでみても明らかだ。一方、カメラ位置は過去作同様に固定で、周囲を見回すために遊びが多少効く程度。それでも不自由は感じないし、切り替えのタイミングや映し方もよく考えられている。固定カメラであることによって、Tarsier Studiosらしい独特の空気を感じることができるだろう。
「ホラー」が苦手でも向き合えた。ドッキリに頼らないジワジワと来る恐怖
ホラーゲームが苦手な筆者ではあるが、過去作「リトルナイトメア」シリーズはまだギリギリプレイすることができるタイトルだ。というのも、このシリーズはプレーヤーを驚かすようなドッキリ演出が強い作風ではないから。「リアニマル」もまた「ホラーゲーム」としての在り方は過去作に近いものと言えた。
得体の知れない“何か”が彷徨い追いかけてくる恐怖。暗がりの中を歩き続けて“何か”起こりそうな不安にジワジワなぶられる恐怖。大音量のSEとBGM、視覚効果を用いたドッキリを使用せず、「分からないもの、理解できないものは怖い」という、未知なるものを前にした根源的な恐怖感情が煽られる。怖いが、決して我慢できないほどの理不尽な怖さではない。ゆえに「リアニマル」では、内心ビクビクしながらも、なんだかんだホラー要素と向き合うことができていた。
本作をプレイできたもう1つの理由も大きい。それは“ホラー・アドベンチャー”と名を打つに相応しいゲームデザインだ。本作は、ただクリーチャーからの逃げ隠れに徹するだけのゲームではない。
確かにクリーチャーが一方的に襲ってくる展開は多いが、逆に少年少女たちが果敢に立ち向かう場面も訪れる。その様子でキャラクターの内面の勇ましさが伝わってくるし、プレーヤーにとっては「反撃」の機会となるので、恐怖心の中和には丁度良い。溜まったフラストレーションをスカッと発散できる構成で、1つのステージパートを終えると「怖かったけど良い冒険だった」と思えてくるのだ。
ホラーとアクションアドベンチャーを、名ばかりの融合ではなく、プレーヤーの体験に結びつける形で物語構成にも組み込む。こうした部分も「リトルナイトメア」シリーズのエッセンスを踏襲していると感じる魅力だ。
と、後から振り返るとそう思えるのだが、ゲームプレイ中はそんな余裕はない。一体何を食べたら思いつくのだろうか、絶妙に不快な造形のクリーチャーたちにビビり倒しながら、死とやり直しを繰り返しながら必死に試行錯誤していった。
姉弟の力が及ばないタイミングは、基本的にクリーチャーから逃げ隠れするしかない。筆者は(周りが呆れるほど)「隠れる」ステルスアクションが苦手なのだが、失敗しても直前からやり直せること、クリーチャーに見つかっても逃げ切ることさえできれば問題ないこと、特定の状況においては姉が隠れるべきポイントや逃げる方向をやんわり先導してくれることなど、ゲームの仕様に助けられていた点が多い。
言い換えれば、アクションが苦手な人や筆者のようにステルスが得意でないプレーヤーでも、比較的道が開けやすいゲームということにほかならないだろう。
恐怖から逃げても、生きることからは逃げない!意外と前向きに楽しめるホラー体験
本作では何もかもが狂ってしまった故郷から、子どもたちが逃避行している様子が描かれていく。故郷を蝕む底知れぬ狂気に支配されたのは大人(?)ばかりだ。生きるために必死に足掻き続ける子どもたち(姉弟と友人)に対して、異形の姿に変容した大人たちが襲うという対照的な構図が印象深い。一部のエリアでは、大人が少年たちを巻き込む形で自決しようとする場面まであり、現実社会の狡猾な大人たちを鏡で映しているかのようでもあった。
また、劇中で子どもたちを襲うのは大人だけとも限らない。得体の知れない巨大クリーチャーや、古い屋敷の中で縄張りを敷いている子どもの石膏像、ウミドリのような鳥など、冒険中の外敵は多い。彼らはどういった存在なのか。劇中ではっきりとは描かれないが、何らかのメッセージが込められている気がしてならない。そうした作品の意図をゲームプレイから読み取ったり、世界観それ自体を考察したりするのも一興だ。
たとえば、ゲームでは姉も友人たちも、自分の素顔を隠すように何らかの被り物(マスク)をしている。一方、弟はゲーム開始時点でフードをただ深く被っているだけだ。その弟の姿はどことなく「リトルナイトメア」1作目の主人公シックスに通じるものがある。あるいは、各地で拾えるマスクを被った姉弟の容姿に「リトルナイトメア2」を想起するかもしれない。精神的続編とも感じ取れる一種のファンサービスに思えてくるが、こうした小ネタに気づけるとやはり嬉しい。
本稿ではここに至るまで、光源がもたらす描写の美しさと、ゲームデザインの2つの観点から、怖いながらもプレイし続けられる意欲が働くことについて触れてきた。だが、もっとも大きいのは、作中を通して常に絶望的な状況が描かれるわけではないことに尽きる。
ゲーム冒頭から姉を救い出し、さらには友人の拒絶を押し切ってまで幾度も助け出そうとする弟の存在が、死が身近な闇の世界に対してのアンチテーゼになっているのだ。押し寄せる絶望に少年たちは冒険心と反抗心の2つを持って抵抗し続け、これがディスプレイ越しに「リアニマル」の世界を見ている我々プレーヤーに勇気を与えてくれる。
プレーヤーが操作する弟はとりわけ大胆で希望にも貪欲だ。少年たち一行の中では唯一マスクを外して行動でき、さらに手に入れたバールを使って小型のクリーチャーを殴り倒すことさえできる。これに姉も負けじと共闘するから微笑ましく思う。
しかし、弟のみがマスクを外して行動できる点に、過去作の件とは関係ない何らかの意図が込められている気がした。そもそも子どもたちが身に付けているマスクとは、人ならざる者が跋扈する恐ろしい故郷の様相を、物理的に視界を塞ぐことでなるべく見ないようにしたいという心理の表れ……そんな解釈が筆者の中では腑に落ちている。
だが、劇中では弟が“勇猛果敢”と言わざるを得ないほどの行動力を持ち合わせており、それこそが「マスクで恐怖を緩和したい」とするほかの子どもたちとも明確に異なるところである。実際にどのようなメッセージ性や意味が込められているのかは、もちろん遊ぶプレーヤー個々の解釈による。
ただ、クリーチャーに臆することなく、隙あらば反撃の機会を伺っている弟の勇猛さにあてられて、筆者も何だか頑張らないといけない気がしていたのは事実だ。クリーチャーからは逃げても生き続けることからは逃げない、そんな姿に希望を見出して、不思議とホラーゲームでありながらプレイすることができていたと思う。
本作は数あるホラー・アドベンチャー作品の中で、前向きな気持ちで楽しめる側面もある一作品ではないだろうかと思う。プレーヤーコミュニティでさまざまな考察が盛り上がった過去作の良さもしっかり受け継がれていて、発売後の話題性も楽しみだ。
なにせクリーチャーの目的やその正体、子どもたちが訪れる各ロケーションエリアの謎など、見どころは尽きない。この世界は狂気と冒険のスペクタクルで織りなされているが、同時に荒廃した世界観を読み解きたくなる好奇心も刺激されること請け合いだろう。
今回「リアニマル」をプレイしてみて、筆者は恐怖だけが充満する“純粋なホラーゲーム”だとは思わなかった。プレーヤーに訴えかけるメッセージ性のある描写、時にはクリーチャーに牙を立てる子どもたちの強さ、そして謎めく故郷。ゲームプレイの手応えなども、防衛手段を手に入れてからは「ホラー色の強いダークファンタジー」といった印象に変わった。
とはいえ、そんな防衛手段も一部のクリーチャーにしか通用せず、相手が子どもでも目の色を変えて凶行に走る大人たちは、コントローラーを握るプレーヤーからしても怖い。果たして子どもたちは、円満に故郷から脱出することができるのか? その結末をぜひご自身の目で見届けてほしいと思う。
(C)2026 TARSIER STUDIOS(R) AB. REANIMAL(R) is developed by TARSIER STUDIOS(R) AB and published by THQ Nordic(R) GmbH. THQ(R) and THQ Nordic(R) are registered trademarks of THQ Nordic(R) AB, Sweden. All related rights, titles, trademarks, logotypes, and copyrights used in REANIMAL(R) are the exclusive property of TARSIER STUDIOS(R) AB unless specifically stated otherwise. All rights reserved. Unreal Engine, Epic Games, Inc. Unreal, Unreal Technology, and the Powered by Unreal Technology and any respective logos are trademarks and/or registered trademarks of Epic Games, Inc. in the United States and elsewhere. All related other marks, trademarks, logos, and copyrights are the exclusive property of their respective owners. All rights reserved.






















































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