PS3ゲームレビュー
God of War: Ascension
怒りが無敵の強さをもたらす。コンボをつなげレイジゲージを溜めろ!
(2013/3/19 00:00)
怒りが無敵の強さをもたらす。コンボをつなげレイジゲージを溜めろ!
ゲームを進めていくとクレイトスは武器の「ブレイズ オブ カオス」に4つの属性を付与できるようになる。「アレスの炎」、「ポセイドンの氷」、「ゼウスの雷」、「ハデスの魂」で、これらは敵を倒すなどで入手できる「レッドオーブ」を注ぎ込むことでパワーアップできる。
パワーアップにより“魔法攻撃”が可能となる。それぞれド派手な攻撃で、特にハデスの魂は地中から何本もの手が出てきて周囲を叩くという不気味かつユニークなものだ。ゼウスの雷はボタン連打でヒット数が上がる。魔法にはマジックポイントが必要だが消費が大きいため連発はできない。どう使うかも攻略の大事な要素となっている。
また、時を進めたり戻したりできる「ウロボロスの宝石」は戦闘時にも使用できる。宝石の光を浴びせられた敵は空中に浮き上がり無防備になる。コンボ攻撃のチャンスだ。また、「オルコスの誓約の石」というアイテムを使うと分身を生み出すことができる。分身は敵を自動で攻撃してくれるので、 敵に囲まれた時に有効だ。
「God of War」シリーズはクレイトスの多彩な技が大きな魅力となっている。各属性やブレイズ オブ カオスそのものをパワーアップすることで技が増えていく。この中で強力なのが「カウンター」だ。敵の攻撃に合わせてL1と×を押すことで発動し、無敵となり強力な反撃ができるのだが、タイミングがシビアだ。
「God of War: Ascension」は特に攻撃をつなげていくのが難しい。敵は常に多く、しかも取り囲むように動いてくる。クレイトスはボタン連打で攻撃をつなげていくことで強力な攻撃を繰り出すのだが、このコンボを止めるようなタイミングで敵が攻撃を加えてくる。ダメージを受けるとレイジゲージが減少してしまうので、コンボ中も敵の攻撃に気をつけていなくてはいけないし、ダメージを受けるとレイジゲージが減少し、かなりやきもきさせられる。
だからこそ、“どううまく戦うか”に熱が入る。カウンターではじき飛ばす、ジャンプ攻撃を狙ってみる。回避を多用し距離を稼ぎ、こちらの攻撃範囲ぎりぎりで攻撃を当てていく……。ウロボロスの宝石を活用するなど色々なアイディアを試すのも有効だ。難易度そのものは高すぎるということはないのだが、後半にはいくつかの“壁”が用意されていて、ごり押しでは進めなくなる。様々な戦い方を試していくと、これまで秘められていたクレイトスの真の力を目覚めさせていくような気持ちになる。“ゲームの腕”がどんどん上がっていくのを自覚できる作品だ。
“時の流れ”をテーマに、地形が変わるパズルなど多彩なギミック
多彩なステージも魅力だ。クレイトスはどんな道も切り開き、前へ前へと進んでいく。ステージそのものがダイナミックに変化していく演出も多く、部屋ごと巨人に引っこ抜かれ、振り回されている中で戦うこともある。
斜面を滑り降りたり、崩れ落ちる場所を急いで通り抜けたりとスピードと正確な操作を求められる場所もある。足場がどんどん崩壊していく場面など、クレイトスの踏みしめている大地そのものが大きく変化していくダイナミックな演出が多用されており、プレイしていながら思わず驚きの声を上げてしまう。
ある場所では緑色の光に触れるとまるで遥か未来にタイムスリップしたように周りの風景が一変し、廃墟に変わる。壁などもボロボロになり通り抜けができるようになる。この風景の変化は一定時間で戻るので、この変化を使って前に進む道を探していく。このように本作ではリアルタイムで変化していくグラフィックスが、ゲーム性に直結している。
その地形の変化を最も効果的に使っているのがウロボロスの宝石だ。ウロボロスの宝石の力で、崩壊していた建物がみるみる再生し、想像もつかなかった建築物が目の前にできあがったりもする。再生を途中で止めることで足場として利用したり、ある機械をふさいでいた瓦礫を取り除いたりと、応用や組み合わせも求められていく。アイディアは多彩で、工夫しながら解き明かした時は爽快だ。
「God of War」シリーズ共通の要素であるが、遥か古代のギリシア神話時代を描く作品でありながら、巨大な歯車仕掛けの機械や電気で作動する仕掛けなどSF的なガジェットも多数盛り込まれている。今作では特に巨大な蛇型の機械が柱に電力を送り込んでいく仕掛けがインパクトが強い。
「God of War: Ascension」はステージの仕掛けやパズル要素もたっぷり楽しめる。謎解き要素については少し考えなくてはいけないところもあるが、解けた時には爽快だ。単純ながら巨大な機械があったり、スケールがやたら大きな所も面白いところ。エピソードとしては初期のものだが、アイディア、仕掛けのスケール感はこれまでの作品以上で、かつプレイしやすく洗練されている。ファンはもちろん、「最先端で、最も派手なゲームが楽しみたい」という人に、是非触ってもらいたい作品だ。