2017年7月27日 07:00
PlayStation Plus(以下、PS Plus)に加入していれば、毎月無料でセレクトされたゲームソフトを追加料金なしでプレイできるフリープレイ。今月のフリープレイのラインナップはユーザー投票で選ばれた名作ばかりだ! PS4「GRAVITY DAZE 重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動」をプレイしていきたいと思う。
本作のテーマであり、最大の特徴は、他のゲームでは味わえない新感覚の“重力を操るアクションゲーム”というところ。プレーヤーは重力を操り、空間を無重力状態にすることで、街中やダンジョンの中を自由自在に飛び回ることができる。さらに、重力操作で壁や天井を地面にするなんてこともできてしまうのだ。
重力アクションによる自由度や爽快感。どっちが空で、どっちが床なのかがわからなくなるような重力的眩暈を覚える中毒性など、本作の魅力をここから語っていこう。
重力という概念に囚われない、かつてない感覚を体験できる!
ゲームの導入シーン。主人公の少女「キトゥン」は見覚えのない街の路地裏で目を覚ます。くすんだ色合いの景色はスチームパンクのスラム街のようにも見える。この“ヘキサヴィル”という街は場所によって見え方が様々で、先にもいったようにスラム街のような面もあれば、ヨーロッパの古い街並みのような場所もある。そして驚くことに、なんとこの街は空に浮上している空中都市なのだ。ファンタジーな要素も加わって、まさます不思議な世界観だ。
そんな街の一角でキトゥンは自分の記憶が無いことに気づく。辺りを見回すと自分の傍にいたのは重力を操る猫「ダスティ」。本作はこの1人の少女と1匹の重力猫の冒険を描いていく。
ゲームはチャプター形式で進行する。箱庭型のフィールドでキトゥンを自由に動かし、街で起こる様々なミッションをクリアしていくことで物語が進んでいくのだ。最初のミッションは子供の救出。重力嵐と呼ばれるブラックホールのようなものが突如空に発生し、街を破壊しながら吸い込んでいる。街の人たちはすぐさま安全なところに避難をするが、重力嵐の近くに逃げ遅れた子供の姿があった。
子供は建物にしがみついてなんとか吸い込まれないよう耐えているが、それも長くはもたないのは見るからに明らかだ。そんな状況に直面し狼狽するキトゥンに、子供の父親はダスティを指し「その猫もどきと一緒なら、カラス女と同じように飛べるだろう!?」と言うのだ。
キトゥンも筆者も、カラス女とは? となっていると、突然ダスティの体が輝き出す。するとキトゥンの体が赤くなりフワリと宙に浮かぶ。ダスティの力でキトゥンの周辺の空間が無重力状態になったのだ。壁に足をつけると、視点がグルリと回り、そこがなんと地面になったのだ。
重力を操ることで、宇宙空間を遊泳するがごとく360度どこへでも飛び回れ、壁や天井などのどんな場所でも地に足を付けて移動することができるのだ。このゲームでしか表現できない“空へ落ちていく”という不思議な感覚はクセになる。
無重力空間での操作はコントローラのジャイロセンサーかRスティックで飛びたい方向を決めて飛び回るのだが、これが最初はなかなか難しい。飛行の軌道がズレて壁や天井に触れてしまうと強制的にその場に着地してしまうので、時間を焦る局面ではタイムロスとなってしまう。
そしてこの無重力空間を作れる時間は限られており、無重力中は重力エナジーゲージが常に消費していき、0になると無重力が解除されそのまま地面に落下。地面がない場所でゲージが切れてしまうとそのまま奈落へと真っ逆さまになってしまう。なので飛び回る際はゲージの配分を考える必要があるのだ。
慣れない操作に苦戦しつつもなんとか子供のところまでたどり着くことができ、重力嵐の危機から救出することに成功した。だが、親子の家は重力嵐に飲み込まれてしまう。「なんで家を守ってくれなかった!? どうしてくれるんだ!?」と、助けたお礼の1つもなくキトゥンに心無い罵声を浴びせる親子。悲しみの表情を浮かべながら、その場から逃げるように立ち去るキトゥンの姿に、筆者はなんともやりきれない気持ちになった。
物語が進むと、全身真っ黒の生命体「ネヴィ」が突如街に現われる。どこからやってきて何が目的なのかは全てが謎。ただ唯一わかる事は、街の人を無差別に襲う人類の敵ということだ。このネヴィの体のどこかには赤く光るコアが存在し、こいつを倒すにはそれを破壊しなければならない。
戦闘に突入するとキトゥンに格闘アクションの蹴り技が追加される。戦闘でも重力アクションは重要。無重力状態からの落下加速を利用した、強力な「重力キック」が攻撃の軸となる。この重力キック、威力は強力なのだが軌道がズレるとキックがスカってしまう。直撃させるなら画面の中心にターゲットをしっかり捉えて蹴りを放つのがコツだ。
初めは盛大に空振りをしていたのだが、段々とコツがわかってくると重力キックが面白いほどに決まる。ネヴィにヒットした際のパリーン! というコアが弾ける破壊音がまた爽快感を引き立てる。
重力キックを敵に正確にヒットさせられるようになれば、もう無重力での操作は完全にマスターしたも同然。感覚を掴んでからは無重力での移動がまさに自由自在! 壁と壁の細い隙間だってスイスイ抜けられて、超高速で街の中を思い通りに飛び回るのは楽しくて楽しくて仕方がない。この重力を支配した爽快感こそが「GRAVITY DAZE」最大の魅力なのだ。
遺跡のようなダンジョンではボス戦が待っていた。通常のネヴィの3倍はあろう巨大な人型ネヴィ。ボスだけあって当然体力もザコ敵とは桁違いだが、こいつも弱点は同じくコアだ。
一見すると体力が多いだけで大した驚異は感じないのだが、こいつは体力が4割を切ってからが本番。人型からタコのような形状の第二形態に姿を変え、戦い方もさらに凶悪に変化する。
攻撃は激しさを増し、いつの間にか戦況は一変。優勢だったはずが気がついたら窮地に立たされ、そうこうしているうちに体力が0に。悔しくもコンティニュー画面を目の当たりにする……。
先のボス戦で気づいたことは自分の体力の少なさだ。ボスの攻撃を数発もらっただけで体力の4割は持っていかれている状態だった。今までのザコ戦ではあまり攻撃を食らわなかったので体力の少なさを全く気にしていなかった。
今更なのだが、ここで初めて能力を強化しようと思い立った。街中やダンジョンで落ちている宝石のようなアイテム「プレシャスジェム」を消費することによりキトゥンの能力を成長させることができるのだ。無重力状態の持続時間を伸ばしたり、飛行する速度、体力の最大値など、強化すれば有利になるものばかりだ。現状欲しい体力の最大値を強化。体力はかなり増加し、これだけでボス戦をかなり有利に進められる。
ボスとの再戦。体力が増えても先ほどと同じく猪突猛進に突っ込んでいくだけでは結果は同じだ。そこで目に付いたのがそこらに転がっている木箱だ。これを重力操作で宙に持ち上げ、コアに向かって投げつける。これで安全な距離にいながら結構なダメージを与えることができた。もちろんこの戦い方以外にも、プレーヤースキルが高ければ敵の攻撃を掻い潜り、懐まで潜り込んで接近戦を仕掛けるのも可能だ。一通りのパターンではなく、プレーヤーごとの攻略法が通用する自由度の高さが、戦闘をより面白くさせている。
突破口は見え、あとは木箱投げを繰り返すことでボスの体力はほぼ0。すると画面上に「フェイタルムーブ」と表示される。ナビに従ってコアにターゲットを合わせ、フェイタルムーブを発動させと、するとトドメの必殺技演出が入る。キトゥンとダスティの突撃がボスのコアを貫き、破壊する。コアの破壊で巨大ネヴィは砕け散った。
奪われた街を取り戻す戦い。それを防ごうとするもうひとりの重力使い「クロウ」
強敵との戦いが終わると、何も無かった空間に街が現われる。ボスを倒すことで重力嵐に飲まれて消えてしまった街や人を解放することができるのだ。離れ離れになっていた家族も再会でき、めでたしめでたし…となるハズだったのだが、そこでキトゥンの前に、カラスの女と呼ばれるもうひとりの重力使いの少女「クロウ」が姿を現せる。
キトゥンへ向けるクロウの目はまさに敵意剥き出し。重力の力でいきなりキトゥンを吹き飛ばす。倒れたキトゥンの頭を踏みつけながら「勝手な真似は許さない」と怒りをあらわにする。
“勝手な真似”とはキトゥンが街を解放したことだろう。どうやら彼女は、街を解放することを快く思っていないのだ。自分に向けられた敵意と圧倒的な力の前にキトゥンは恐怖し、その場から逃げ去った。
筆者がプレイして熱かったのはやはり、異次元空間で戦うライバルのクロウ戦だ。街や人を取り戻したいと思うキトゥンと、それを阻止しようとするクロウ。真っ向から対立するふたりの少女は戦う運命からは逃れられなかった。「私の為に、お前を殺す!」クロウはそう言い放ち、キトゥンに襲いかかる。
巨大ボスとの戦闘は経験してきたが人間サイズのボスはこの戦いが初めてだ。そしてなにより重力使い同士の戦いは今までとは全く異なる異次元レベルのバトルだった。
天地左右を縦横無尽に目まぐるしく飛び回る空中戦。互いに超スピードでぶつかり合う様は、DCやMARVELヒーローの最終決戦のような迫力だ。
戦いのクライマックスでは互いの必殺技同士がぶつかり合い、鍔競り合いの状態になる。力はクロウの方が上だった。キトゥンは吹き飛ばされながらも立ち上がり、クロウの方を向き直す。しかしそこに彼女の姿はなかった。
相手の目的すらもわからない、理不尽な戦いに巻き込まれ、力の差を見せつけられたキトゥンは、ただそこに立ち尽くすのだった。
ストーリーの本筋ばかりを語っているとネタバレになってしまうので、寄り道的な部分にも少し触れていこう。
筆者はバトルものの漫画やアニメにある他愛もないエピソード、いわゆる日常回が結構好きだったりする。本作にもストーリー本編とは関連のない、サイドミッションが存在する。
そのサイドミッションの中でも「メイド編」が特に面白かった。本編冒頭で家を失ったろくでなし親子がこのミッションで再び登場する。
息子は風邪を引いているらしく、「野宿が続いたせいで体調を崩した」、「家さえあればこんなことにならなかった」と、キトゥンにわざと聞こえるようにイヤミを言う親子。本当に憎たらしいやつだ。
これにはキトゥンも怒り爆発。お金を稼いでくればいいんでしょ!? キトゥンのその言葉に、待ってましたといわんばかりにすぐさま仕事をキトゥンに押し付ける。その仕事とはお屋敷に仕えるメイドの仕事だった。
メイド服に身をまとうと、ヒステリー気味の奥様からさっそくゴミ出しの仕事を言い渡される。業者が回収に来る前に、制限時間内に不用品を屋敷裏に運ぶ、ちょっとしたミニゲームが始まる。
ゴミ出しを終えると、次の仕事は買い物だ。奥様お気に入りのアイスを買ってくる仕事なのだが、この買い物が予想以上に難しかった。ただアイスを買うだけではなく、指定されたアイス屋さんで特注のアイスを買い、次にいろいろな店に回りトッピングを買ってこなければならないのだ。
制限時間もあり、絶えずショートカットをして目的地を目指さなければならない。筆者が最初やられたのは、お店に着くと、まさか買うトッピングを4つの中から選ばなければいけないのだ。店に着けば勝手に買ってくれるのかと思いきや、まさかのここで選択肢が来ようとは夢にも思わなかった。
奥様の話は適当に読み飛ばしていたので、当然買う物の内容など覚えているはずもなかった。その後もう一度買う物を確認してなんとかミッションを達成することができた。
真面目なストーリーから、このサイドミッションの様なゆるいストーリーまで、いろんな面で楽しめるのが本作の良さである。最終的に親子とキトゥンの関係がどうなるのかは自分の目で確認してもらいたい。
今回初めてプレイして、この作品がここまで人気の理由がわかった。個人的に、アクションゲームをプレイして「こんな魅せ方や遊ばせ方があるのか」と驚かされたのは、PS2の「無双シリーズ」以来かもしれない。
重力を支配して、広大なフィールドを自由に飛び回れる爽快感は本作でしか体感できないものだと思う。プレイしていて細かいなぁと思ったのは、キトゥンが無重力状態になるとその周辺の物や人まで無重力になるところだ。そのまま空に飛んでいくと物や人までキトゥンに付いてくる。おじいさんやおばあさんが空中を飛びながらアワアワしてる姿は、このゲームで1番笑ったポイントだ。
注目するところはアクション性だけではなく、ストーリーもプレーヤーを引き込ませる力がある。クロウがそこまで街を解放させんとする理由、そしてキトゥンの失われた過去など、これからどのような展開が待っているのかなど、気になるところだらけである。
そして、本作はただ一直線にストーリーだけを追うのではもったいないということだけは言っておきたい。街ではストーリーの本筋以外のチャレンジミッションが膨大に存在する。クリアすれば成長に必要なプレシャスジェムが手に入り、キトゥンをどんどん成長させることができる。
先ほども紹介したサイドミッションだが、過去に発売されたPS Vita版では実はDLCだったのだが、PS4版では全て収録されている。これらのサブのミッションを遊びつくすだけでも相当なボリュームがあるのだ。
先の読めないストーリー、新感覚のアクションを堪能したい人にはうってつけの「GRAVITY DAZE 重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動」は8月1日までにPS Plus加入者すれば無料でプレイすることができるので、これを逃す手はない。
さらに、現在PS Storeでは続編の「GRAVITY DAZE 2/重力的眩暈完結編:上層への帰還の果て、彼女の内宇宙に収斂した選択」がセール中。8月2日までの期間限定で25%OFF。PS Plus会員なら50%OFFで購入できる。フリープレイで本作にハマったら、この機会にシリーズを立て続けにプレイして「GRAVITY DAZE」づくしの夏を堪能するのもアリではないだろうか。
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