先行レビュー

「The Blood of Dawnwalker」先行プレイ&開発者インタビュー

昼は人間、夜は吸血鬼。家族を救う“選択重視”のオープンワールドRPG

【The Blood of Dawnwalker】
9月3日 発売予定
価格: 通常版 9,790円
Eclipse Edition 10,890円

 バンダイナムコエンターテインメントは、ポーランドのRebel Wolvesが開発したプレイステーション 5/Xbox Series X|S/PC用アクションRPG「The Blood of Dawnwalker」を9月3日に発売する。

 Rebel WolvesはCD Projekt REDから独立したクリエイターたちが立ち上げたゲーム開発スタジオ。CD Projekt REDで様々なヒット作を手掛けてきたメンバーを中心に構成されている。

 本作は、14世紀の中世ヨーロッパをイメージした架空の孤立した谷「ヴァレ サンゴラ」を舞台としたオープンワールド作品だ。プレイヤーは、「昼」に人間として生き、「夜」に吸血鬼として生きる青年・コーエンを操り、攫われた家族を救う“30日30夜”の旅に繰り出していく。

 「ナラティブサンドボックス」を掲げる本作は、オープンワールド作品でありながら、プレイヤーの行動選択が後の物語に大きな影響を与えるという、ストーリー分岐型のタイトルとなっている。本タイトルは壮大なサーガの幕開けにあたる第一章ともいうべき作品になっており、今後も世界観を共有する後継作が登場することが明らかとなっている。

 今回は、発売を控えた「The Blood of Dawnwalker」のメディア向け試遊会に参加してきた。ゲーム冒頭を試遊してきたので、早速実際に遊んでみての所感をお届けしていきたい。なお、試遊版は開発中のビルドではあるが、選択によってさまざまな分岐が行われる物語の性質上、メインクエストの核となるネタバレについては言及をあえて避けている。

 また、製品版では今後のアップデートにより内容が変更・修正される可能性がある。特に日本地域で発売予定のCERO Z版においては、流血表現や四肢欠損などの描写が調整・変更される可能性が高いということはご理解いただきたい。

 記事の後半では、本作のナラティブディレクターであり、CD PROJEKT REDで「ウィッチャー3 ワイルドハント」や「サイバーパンク2077」にも携わったクリエイターとして知られるJakob Schamawek(ヤコブ・シャマレク)氏への合同インタビューも掲載している。約1時間に渡って熱のこもった話が聞けたので、ぜひこちらにも目を通していただきたい。

圧政と家族の苦悩。中世ヨーロッパに息づく濃密な人間ドラマでゲームの世界にいざなう

 試遊会では、ゲーム開始のプロローグからゲームをプレイすることができた。本作はストーリー重視のタイトルであるため、物語導入部からプレイヤーを引き込む演出面がとりわけ巧みだ。ゲーム中は繊細な人間ドラマがプレイヤーの感情を揺さぶる見せ方を意識している。試遊開始前のプレゼンでは、グローバルコミュニティディレクターのミハウ・ヤンチェフスキ氏が、「ぜひプロローグを飛ばさずに遊んでほしい」と自信を持ってプレゼンを締め括っていた。その言葉通り、筆者も一気にゲームの世界へと引き込まれてしまった。

 さて、早速ゲームについて紹介していこう。本作の主人公・コーエンは、慢性的な悪夢にうなされるも、家族の長男であることから、その不安を堅物の父に打ち明けることしかできない好青年である。母はというと、あることを境に精神的にも身体的にも衰弱している状態が続き、食事すら全く受け付けない。おまけに碌な会話もできないという有様だ。

 当然、日々衰弱していく母の様子に、父は苛立ちを隠すことなどできず、家族間の関係性は何かと複雑な状況下に置かれている。そんな状態にあるため、悩みは相談先の父から「くだらない」と一蹴されてしまい、一抹の不安を日常生活の中に感じながら、長男として妹たち家族を支えていた。……しかし、プロローグではこうした彼の「悪夢」が形を変えて、現実のものとなってしまうのだ。

 本作の世界では、吸血鬼の種族「ヴラキール」が人間たちと、ほとんど対立している状態にある。コーエンが住む田舎村は、そんな吸血鬼の貴族ブレンシス公の圧政を受け、村人たちが日々怯えながら暮らしていた。人知を超えた吸血鬼たちの力を前に、武装した村人程度が敵うはずもないからだ。だが、村人の中には反旗を翻そうと考える者もいた。

 そんな村で行われるブレンシス公主催のミサでは、村人たちがヴラキールの血を啜り、忠誠心と生物としての強さを示さねばならない。しかし、食事すら口にしてくれない母が、果たしてこのミサを乗り越えられるのだろうか。コーエンと父の不安は、ミサを目前に増していくばかりである。プロローグでは、ミサを前日に控えて村中に伝播していく不安と恐怖をコーエンの視点からまざまざと描いている。せめて妹たちには、自分と父が抱える不安を見せまいと、体裁だけでも取り繕う。

 “プレイヤー=コーエン”であることから、彼の不安や葛藤が、コントローラー越しに伝わってくるようである。この不幸の原因は、ほとんどブレンシス公にあると言っても良いのだろうが、大きな力と理不尽な仕打ちの前に、やり場のない感情をコーエンと父は捨てきれないでいるのだ。その様子は、見ているだけでもただただつらい。

食事を一向に摂らない母を前に、コーエンも父も疲弊していた
衰弱した母にミサを乗り越えさせるため、薬のおつかいを頼まれるコーエン
ブレンシスに蜂起しようとする村人たちからコーエンの父は声をかけられていた

 「The Blood of Dawnwalker」はオープンワールド作品であり、さらに物語の大きな起点となるミサを控えた時間軸からゲーム開始となる。チュートリアルを兼ねていることもあり、移動可能な範囲の制約はあるものの、村を中心としたフィールドの広がり自体は体験することができた。

 ただし、上述したように母の命運が分かれるミサ目前という非常に逼迫したタイミングである。つまり、ゲーム内時間がリアルタイム進行しがちなオープンワールド作品の場合、あっという間にミサを迎えてしまうのではないかという不安がよぎる。

 冒頭でもお伝えした通り、本作はプレイヤーの行動選択が物語に反映される、分岐構造型のRPG作品である。それを前提に遊ぶのだから、物語冒頭から自分の行動選択には注意を払いたくなるのがゲーマーの心理というヤツだ。広大なエリアを探索していたら、クエストが時間切れで取り返しのつかないことに……のようなことは正直望ましくない。

 結論、ここに関してはゲーム全編を通して安心してほしい。というのも、本作はユニークなことにオープンワールド作品でありながら、時間の概念がセグメント毎に区切られている。「クエストを進める」「会話イベントで時間が進行する選択肢を選ぶ」「時間消費するパークを取得する」など、プレイヤー側の特定の行動に対して、コストを消費するかの如くゲーム内時間が進むのだ。

 極端な話ではあるが、遊び方次第では夜時間を終わらせることなく、広大なオープンワールドをいくらでも探索できる。もちろん、実際にこうした遊び方をするとなると、かなりの制約を負うことになるワケで。こうしたことから、プロローグパートにおいて「次に何をするべきか」をゆっくりと考えるだけの時間的余裕はあった。……まあ、試遊時間だけは待ってくれなかったが。

村を中心にそれなりの自由度があるプロローグ

 そんなわけで、筆者は物語冒頭のプロローグをおよそ2時間近くみっちりと遊んだ。ミサが始まる夜までは、村の中で発生したクエストを自由に進行して時間を潰すことになる。筆者は農場を運営している兄弟からの依頼で、道草を食って一向に戻って来ないという弟探しを任された。村の少し外れた草地に放り出された仕事道具と血痕を見つけ、その先で野生の狼と戦闘になった。最悪の事態を想定したが、どうやら洞窟に逃げ込んで生き延びていたらしい。

 コーエンと遭難者は、出口を求めて松明を手に洞窟の最奥へと踏み入れていく。洞窟は遺跡に接続されていて、宝箱からは死者を弔うための装飾品などを回収できた。お宝に浮かれる筆者だが、遭難者は早く帰りたくてしょうがない様子だ。しかし、遺跡の奥からは不気味な唸り声が反響する。そこで待っていたのは、腐敗した肉体で現世を彷徨う死体の戦士。これを撃破して、無事に遺跡からの脱出を成功させる。

 ここでクエストも終わりかと思いきや、救助した弟とその場で分かれるか、農場まで見送ってやるかの選択肢が掲示される。せっかく助けたのに山賊に襲われでもしたら、夢見が悪そうなので、今回は農場まで見送ってやることにした。結果的にはハッピーな締め方だったと思う。無事に再会を果たした農場兄弟はコーエンに深く感謝し、相応の報酬を授けてくれたからだ。このように、ただクエストを引き受ける自由がある訳ではなく、プレイヤーの選んだ些細な選択がイベントの結末とクエスト報酬を変化させる。

 今回、メディア合同での試遊会ではあったが、それぞれ参加したメディアごとに、筆者とはまた異なる過程を経てミサを迎えたはずだ。仮に弟を農場まで送らなかったらどうなったのか。あるいは、そもそも依頼を引き受けていなかったら彼は1人で遺跡から出られたのか。さまざまな可能性が考えられる。ゲーム中では、こういった小さな選択が後の物語に影響してくることもあるというから興味深い。

プレイヤーの行動に対する答え合わせのように始まる運命のミサ……
ブレンシス公によるミサをコーエンの母は無事に乗り越えられるのか?

昼は人間、夜は吸血鬼。時間帯でゲームプレイが一変!

 プロローグでの紆余曲折を経て、コーエンは半人半魔と言える、人間とも吸血鬼とも言い切れない曖昧な存在になってしまう。昼間は人間として生活し、夜は内に眠るヴラキールの力を覚醒させるのだ。ブレンシス公に誘拐されたコーエンの家族には、30日30夜のリミットが設けられており、この期間内に家族を助け出すことが当面の目標となっている。

 本作のゲームプレイでより特徴的に感じられる点と言えば、人間状態と吸血鬼状態でプレイスタイルが全く異なるといった点だろう。2つの形態を駆使するために、前項で述べたセグメント式の時間進行を上手く制御しながら、プレイヤーはクエストの達成を目指していく。たとえば、ブレンシスの私兵が駐在する野営地を襲撃するのなら、戦闘面で強力な力を行使できる吸血鬼形態で戦うために、夜間での襲撃が望ましい。

 逆に特定のクエストを進める上では、吸血鬼形態だと不都合が起きてしまう可能性もある。ヴラキールと人間の関係性は根深いからだ。しかも、吸血鬼形態の血に飢えた状態が続くと、敵・味方を問わず、人間の血を吸血することもあるという。このリスクを避けるのなら、やはり昼間にクエストを進めるのが良い。

 プロローグを終えた後は行動範囲が一気に広がった。試遊会では、ネタバレに配慮したいとのことから、メインクエストの進行に制限がかけられている。そのため、村を中心としたフィールド探索と、各所で発生するサブクエストなどを試遊した。一部サブクエストの進行も、昼と夜で異なるイベントが発生する。

 夜間、製粉場に行くと、ブレンシスの兵士が何やらコソコソ漁っている。声をかけてみたのは良いが、逆に兵士からこんな夜中に1人で何をしているのか、と怪しまれてしまった。ここの選択肢で揉め事を起こさず昼間に再度訪れても良いが、吸血鬼の力を使って強引に制圧してもいい。プロローグ以降クエストにおける行動選択の自由度は、昼と夜の切り替わりを交えてより複雑で多様な分岐を見せるようだ。筆者はなんとかその場をやり過ごした。

 夜間の吸血鬼形態は、戦闘面で秀でているだけではなく、短い距離を瞬時にワープしたり、壁歩き・天井歩きといった探索向けのアクションが使用できる。夜間にならないと、探索するのが難しいロケーションもあることだろう。また、吸血鬼形態では野生動物や人間相手に「吸血」を行い、体力を回復できる。その場に生き血さえあればほとんど枯渇しない体力リソースは、戦闘においてとりわけ強力だ。なにせ、戦闘中に体力が減っても、相手を吸血して回復すれば良いのだから。

 もちろん、「吸血」スキルの発動を待たねばならないが、昼間に人間形態で戦うときと比較しても、圧倒的に吸血鬼形態の方が強く感じられる。ゲームが進めば、吸血鬼形態だと難しい局面も登場する可能性はありそうだ。

高所への移動も吸血鬼ならラクラク

 では、人間形態ではどうか。吸血による体力回復は行えず、特殊な探索向けアクションもありそうにはない(少なくとも試遊版では)。その代わりに「魔法」が使える。攻撃系の魔法はもちろんのこと、クエスト進行に便利な魔法も存在する。

 プロローグでは、コーエンがブレンシスと家族の手がかりを得るために、死者と会話する魔法を使って手がかりを得ていた。己の肉体ひとつで強引に戦闘も探索も強行できる吸血鬼形態とは違い、魔法は、昼間の人間形態の進行においてカギを握っている要素なのだろう。とはいえ、試遊版の範囲内では魔法を使った具体的なクエスト進行をしっかり楽しめたわけではない。

 あくまでチュートリアル的に、死者と会話する魔法を行使した程度である。しかし、人間形態での昼間の戦闘においては、やはり魔法に頼らざるを得ない場面が多いと感じた。本作のバトルシステムはそれだけ歯応えたっぷりなのだ。

 バトルの基本は剣術を使ったいわゆる“チャンバラ”である。剣が振られてくる方向に対して、適切な方向のガード入力が求められる。これは戦っている敵も同様の条件。プレイヤーが剣を振るう方向に、しっかりガードを入れて防御してくる。剣を振るう方向と防ぐ方向は、全てスティック操作で制御を行う。

 テキストだけでは簡単そうに思えるが、アクションゲームの中では比較的シビアなバランス感に入るだろう。ガードの入力方向を見誤ると、ダメージもそこそこ痛い。敵の攻撃に合わせたジャストタイミングのスティック入力はパリィ扱いとなり、こちらの攻撃チャンスになる。バトルに慣れるとこれを狙いがちだが、複数人を相手にしている場合はミスのリスクが非常に高い。夜間の吸血鬼形態が恋しくなるほど、ボコボコにされてしまう。

 逆に、複数人を1人で相手取り、攻撃を裁きながらスキルを駆使して華麗に立ち回れると、気持ちが良い。自分好みのシステムなのかは、昨年の6月に公開された「フルゲームプレイトレーラー」を見ていただくのが良いだろう。

【『The Blood of Dawnwalker』フルゲームプレイトレーラー】