先行レビュー

「AION2」先行プレイレポート。前作比36倍の大地などコンテンツ量が十分

ソロでも遊べ、パーティプレイはしっかり歯ごたえ。名作MMORPGの気合の入った続編

【AION2】
9月 配信予定

 NCは、PC用クロスワールドMMORPG「AION2」を9月にNCのクロスプラットフォームサービスである「PURPLE」とSteamにて配信開始する。

 本作は、日本では「タワー オブ アイオン(以下、AION)」としてサービスされてきたMMORPGの正統続編。Unreal Engine 5で描かれた美麗な世界、自由飛行による立体的な探索、従来のターゲット方式に加えて、ノンターゲット方式を取り入れたアクションバトルなど、進化した部分は多い。

 筆者は20年以上にわたって数々のMMORPGをプレイしてきた。そのうえで本作に触れた率直な印象を述べれば、“AIONの世界観を活かしつつも、現行MMOに求められる遊びやすさとアクション性、コンテンツボリュームなどを磨き上げた仕上がり”と言える。

 本稿では先行プレイで体験できた、細かすぎるキャラクター作成、前作の約36倍のフィールドで楽しめる移動と探索、ノンタゲをベースとしたアクション性の高いバトル、戦闘以外のコンテンツ体験という4つの軸でその実像を紹介していく。

【[AION2] ティザー映像】

キャラクターメイキングの細かさはダントツ。MMORPGのトップクラスの細かさを実現

 今回の試遊で最初に時間を奪われたのが、キャラクタークリエイトだ。

 プリセットでも多くのキャラクターが用意されている。サクッと冒険に出たい場合でも、魅力的で幅広い数々のキャラクターを選ぶのは十二分に魅力的だ。

プリセットキャラクターのデザインの幅は広く、この中から一体を選ぶだけでも楽しい

 自分でキャラメイクをしたりアレンジする際も、圧倒的に多くのカスタマイズ要素が用意されている。顔のパーツ単位の微調整はもちろん、髪型・髪色も自由度が高かった。

 髪は単色だけでなくツートーンカラーも設定可能で、地毛部分とハイライト・グラデーション部分の色を別々に指定できるため、キャラクターの個性付けに大きく寄与している。似ている色の組み合わせ、真逆の色の組み合わせなど、髪色だけでも多くの個性を出せる。もし、同じ髪型のプレーヤーがいたとしても、髪色だけで全く異なる印象を受けるだろう。

単色はもちろんツートーンカラーも選べる。同系統の色を入れるのも、真逆の色を入れるのも。自分ならではの特徴を出せる

 髪型や髪色ほど大きな差別化を生まないものの、細かいこだわりを感じるのが、筋肉の隆起、血管の浮き出し具合といった肉体表現だ、これらの要素にもスライダーが用意されている。正直な感想を言うなら「ここまでプレーヤーにこだわらせるのか」という印象だった。

筋肉の隆起や、血管の浮き出し具合などの肉体表現も調整できる。正直「ここまでできるのか」という印象だ

 さらに驚いたのは虹彩の作り込みの細かさだ。いわゆるオッドアイにも対応するうえ、虹彩の「内側」と「外側」の色を個別に指定できる。長年様々なタイトルでキャラクリエイターを触ってきたが、カスタマイズできる要素が細かいためかなりのこだわりを詰め込める。この自由度の高さは現行MMOでもトップクラスだ。

目の作り込みも細かい。両目で色が違うオッドアイの表現は当然、虹彩の色までカスタマイズできる

 筋肉の隆起など、細かなキャラクターメイクが実際のゲームプレイ時に他のプレーヤーから見て細かに感じられるかは悩ましいが、最低でも、自分の分身である自キャラクターでここまでこだわれるのは、他のタイトルにはそうそうない。細部の細部までこだわった自分のキャラクターメイクでこの世界に降り立てる。

どこまでも飛べるような感覚でフィールドを自由に翼で飛べる

 「AION2」の世界規模は、前作の約36倍に拡張されている。Unreal Engine 5の機能をフル活用したロケーションは、遠景の山岳から目の前の地面まで一貫したディテールで描き込まれており、眺めているだけでも、探索するだけでも楽しいフィールドだ。

 本作最大の象徴である「飛行」は、フィールドの大半でほぼ制限なく機能するようになっていた。前作のように特定エリアでしか翼を広げられない、ということがほとんどない。森の上空から平原へ、断崖から渓谷へと、文字通り立体的に世界を駆け抜けられる。

 その広さは十分で、どこまでも行けるように感じられるだろう。実際、飛行ポーションで飛行ゲージを維持すれば、空に浮かんでいる島までも行くことができる。

飛行はフィールドの殆どで機能するため、自由度も広さも十分だ

完全にノンターゲットに振り切らない、テンポの良いハイブリッドバトル

 戦闘システムは、ターゲット方式以外に、ノンターゲット方式を採用している。

 通常戦闘のテンポは速く、スキルの発動タイミング、立ち位置、向きといった要素を能動的にコントロールする必要がある。ボスや強敵の大技には予兆が表示され、回避アクションなどをタイミングよく差し込んでいく必要がある。

 雑魚敵相手ではマウスの左クリックをしながら、適宜マウスの右クリックや数字キーのショートカットでスキルを打ち込んでいくテンポの良さがある。ボス戦は個人のプレイスキルに加えて、パーティ全体でギミック処理をする力が問われるため、全員で役割を分担して攻略したほうが良い。

 雑魚戦はテンポ良く、ダンジョンはじっくりと攻略できるよう設計されていて、このメリハリは飽きにくいゲーム体験を提供してくれる。回復用のポーションの自動使用は確認できたが、昨今のMMORPGでよく見られる、完全自動で通常攻撃とスキルをクールタイム毎に使ってくれるようなシステムはない。古き良きMMORPG体験を思い出させてくれるような印象だった。

雑魚戦は爽快、ボス戦はやり応え。このギャップが飽きにくさを提供してくれる

 ペットや装備、スキル解放によって戦力を整えつつ、キャタクターをしっかり育ててから攻略に挑むことが本作でのセオリーとなるようだ。

スキルの解放で強さが明確に変わる

ソロでもパーティでも。「遊びの幅」が前作から確実に広がっている

 ここで前作経験者に向けて強く触れておきたいのが、ソロプレイの遊びごたえだ。

 「AION」はPvPに大きな比重を置いたタイトルとして知られている。それは魅力でもあった一方で、「PvPに本腰を入れないと面白さが半減する」という側面もあった。

 「AION2」はその点で、ゲームデザインがかなり変わっている。フィールドソロコンテンツや、ソロでも挑めるダンジョンが充実しており、自分のペースでコツコツ進めていくスタイルでも十二分に楽しめる作りになっていた。レンジャーやスピリットマスターのような「ソロでも安全に立ち回れるクラス」が用意されている点も含めて、ソロMMORPGファンへの心遣いも忘れていない。

 今回は体験できなかったが、もちろん、PvPコンテンツも用意されているという。アクション性が高い本作の戦闘システムは、PvPでもその面白さを引き出してくれるだろう。

 つまり「AION2」は、ソロでもパーティでも、そしてPvEでもPvPでも、どちらの遊び方を主軸に据えても成立するMMORPGに仕上がっているということだ。

ソロのPvEコンテンツも充分に楽しめる

 その一方で、パーティコンテンツの歯ごたえは強化されている。

 今回の試遊ではダンジョン攻略も体験できたのだが、印象的だったのは「道中の雑魚モンスターもしっかり手強い」点だった。というのも、フィールドにいるモンスターは攻撃ボタンとショートカットキーでスキルを連打すれば勝てるくらいだったが、ダンジョン内の敵は雑魚であっても攻撃力が高く、防御力もある。しっかり動きを見極めて、対処する必要がある。

 筆者のパーティにはヒーラーであるクレリックが入っていたため、HPの安定感に支えられて落ち着いて攻略を進められた。しかし、もし全員がアタッカーだけのパーティ編成だったら、相当苦しい展開になっていたはずだ。タンクが敵視を集め、ヒーラーが立て直し、DPSが火力を通す、こういった伝統的なロール分担が求められる。そういったMMORPGの王道的な遊び方が本作では用意されている。

 そのため、プレーヤー個々の操作スキル、パーティ全体のロール構成、そして息が合った連携。それら全てが攻略の鍵を握る。これは、MMORPGとしての骨太さを久しぶりに感じさせてくれた。

パーティで挑むダンジョンコンテンツはやはり楽しい

役割が明確な8つのクラス

 ローンチ時に実装されるのは8クラス。前作のクラス構成を踏襲しつつ、新たな戦闘システムに合わせて再設計されている。

 それぞれのクラスを簡単に紹介する。大剣を振り回す近接DPSである「グラディエーター」。片手剣+盾の伝統的なメインタンクである「テンプラー」。短剣の二刀流を活かし瞬間火力を出す近接DPSの「アサシン」。そして、弓による精密な遠距離攻撃と機動力で距離を保ちながら継続的にダメージを稼ぐ「レンジャー」。

 続いて、回復・支援・攻撃をバランスよくこなすハイブリッドサポートである「チャンター」。回復と支援に特化したヒーラーである「クレリック」。広範囲・高火力の魔法DPS「ソーサラー」。最後は、精霊を召喚して戦うクラス「スピリットマスター」だ。

グラディエーター
テンプラー
アサシン
レンジャー
ソーサラー
スピリットマスター
クレリック
チャンター

 役割分担はかなり明確で、パーティ募集の流れも想像しやすい。「ソロで気ままに世界を旅したい」ならレンジャーやスピリットマスターが噛み合いそうだ、「パーティプレイで求められるキャラクターになりたい」ならチャンターやクレリックを選ぶと良いのが試遊での所感である。

 古き良きMMORPG体験ばかり語ってきたが、もちろん、最近のMMORPGに求められる利便機能もきちんと組み込まれている。HPが一定値を切ると自動でポーションを使う自動ポーション機能や、クエスト目的地までの自動移動機能は、長時間遊んでもプレーヤー本人の消耗が少ない。

 一方で、ボスの攻撃回避、スキルの向き調整などのアクション要素はしっかり残されている。「便利機能で省ける作業はしっかり省き、アクション部分は省略しない」という線引きが、現代のMMORPGとしてかなりまっとうな形で機能していた。

数百種類のペット、装備カスタマイズ、ミニゲーム。「戦闘以外」の遊びも広い

 本作は、戦闘以外の遊びも豊富に揃っている。特に印象に残ったのが、仲間として引き連れられる多種多様なペットだ。

 ペットの数は約200種類で用意されており、入手方法もいわゆるガチャではなく、一部を除いてフィールド各所に出現するモンスターを倒せば良い。ストーリーで通り過ぎたフィールドでも、ペット集めのために狩りをする楽しみが生まれ、それがワールド全体にプレーヤーが分散するというポジティブな影響を生み出すという。

 フィールドに存在する雑魚モンスターであれば比較的簡単に素材を入手できるが、数を倒しにくいボスモンスターの素材もある。ただし、デイリーで挑戦できるダンジョンなどでもペットの素材を入手できるため、入手手段は幅広い。この機能により、フィールドやダンジョンでの狩りだけでなく、自然と他のコンテンツにプレーヤーを誘導する。そういった仕組みも導入されているのだ。

雑魚モンスターから可愛らしい動物、サイバーな乗り物までペットの種類は200種類にも及ぶ

 さらに、装備のカスタマイズも自由度が高い。パーツ単位での色替えはもちろん、模様やメタリックなどの材質まで指定できるため、見た目のオリジナリティを追求することができる。

装備の見た目のカスタマイズも細かい。パーツ毎にカスタマイズできるのはもちろん材質を変えればそれだけでかなり印象は変わる。パターンも組み合わせれば別物になる

 さらに、フィールド狩りやダンジョンに挑戦するという遊び以外にも、ペットに乗ってレースをするミニゲームなど、他のプレーヤーと競い合う要素もある。これらは気分転換になるのはもちろん、ゲーム内で役立つアイテムが入手できる。好成績を残せば、より多くのアイテムが入手できるようになっており、こちらも白熱しそうだ。

ほかのプレーヤーを妨害しながら緑の玉を集めるコンテンツや、レースのようなコンテンツが楽しめる。プレイするだけでアイテムがもらえるし、好成績を残せばより多くのアイテムがもらえる

NCが送り出す令和のMMORPG

 総じて「AION2」は、AIONというIPの根幹である「翼を持つ世界」、「天族と魔族の対立」、「8つのクラス」を活かしつつ、現代のMMORPGに求められるアクション性・Unreal Engine 5を使った美しいグラフィックス・ソロでもパーティでも楽しめる遊びの幅、そういった要素を盛り込んだ作品だ。

 戦闘以外のミニゲームも用意されており、ミニゲームを代表とするサイドコンテンツがメインの遊び方にも影響を与えるため、どんな遊びをしてもキャラクターの成長に繋がる。「1つのオンラインゲームでこんなに遊び方があるのか」と思わせてくれる多様なコンテンツは、プレーヤーを飽きさせない。

 MMORPGに長く触れてきた人間の目線で言わせてもらえば、ポジティブな意味で懐かしさを感じさせてくれる作品だった。「AION」の正当続編のため前作経験者はより楽しめるが、前作未プレイでも、あの時夢中になったMMORPGの楽しさや醍醐味を現代の基準に引き上げてくれており、間違いなく楽しめる作品だ。「今流行しているMMORPGは変わってしまった」と考えるベテランプレーヤーの受け皿として、興奮と楽しさをもう一度感じられる作品だ。

 難しすぎないが手応えのあるバトル、広大だが翼で自由に移動できる世界など、様々なところでバランスの妙を感じる。MMORPGの老舗メーカーが送り出す、新たな“令和のMMORPG”と言えるだろう。