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「ラタタン」試遊会レポート。TVTクリエイターと参加者が交流を深めながら魅力に迫るイベントが実施!

開発者の凄ウデ実機プレイも披露された「Ratatan Play Session!」の模様をお届け

【ラタタン(Ratatan)】
2025年 アーリーアクセス配信予定
発売日・価格:未定

 TVTは、東京都にあるnamco TOKYO内のMUSIC&PLAY LOUNGE「ASOBINOTES」にて、プレイステーション 5/プレイステーション 4/Xbox Series X|S/Nintendo Switch 2/Nintendo Switch/PC用ローグライクリズムアクション「RATATAN」(以下、「ラタタン」)のメディア&インフルエンサー向けの試遊会「Ratatan Play Session!」を実施した。なお、「ラタタン」の発売日および価格は未定。

 同作はソニー・コンピュータエンタテインメントが発売したPSP用リズムアクション「パタポン」を開発した小谷浩之氏によるタイトルだ。先日7月18日に開催されたインディーゲームイベント「BitSummit the 13th」にも出展され、アワード「VERMILLION GATE AWARD」を受賞したことでも話題となった注目作となっている。今回はメディアと関係者向けに行なわれた試遊会の様子を一挙にお届けしていきたい。

【Ratatan ラタタンRevealトレーラー | GSE】

「ラタタンはまた発展途上なんです」。ゲームはまだまだパワーアップ予定!

 「ラタタン」のゲーム性はこれまで過去数回にわたって紹介してきた。しかし、今回の試遊会で出展されたバージョンはつい先日の「BitSummit the 13th」から、さらに磨き上げられたものとなっていた。まず、プレイアブルキャラクターが4体から8体へと倍増している。これに伴い、武器もその分だけ増えている。

 加えてベータ版を経たフィードバックの中から、6月5日に配信された体験版に間に合わなかったものを新たに収録したとのこと。一例としては、チュートリアルの見直し機能や難易度バランスといった、プレーヤーの遊びやすさに寄与する旨のアップデートが実施されている。

 特にゲームの難易度については、少なくとも今年3月8日に開催された「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT」の頃から、本作における一つの課題となっているようで、当時のビルドをプレイした筆者もその難しさを痛感していた。本作のゲームデザイナー・小谷浩之氏はこの頃を振り返るように「エラい難しかったでしょう?」と苦笑い。

【Ratatan Early Access Trailer】

 ゲームディレクター・中舎健永氏も「反省しました……」と述べていた。こうしたことから、プレーヤーのフィードバックを得るたびにゲームのバランス調整には逐一手を入れている様子である。

 「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT」、「BitSummit the 13th」のようなリアルでの試遊機会がある場合には、プレーヤーのゲームプレイをその場でメモしながら、バランス調整に役立てているのだとか。得られた情報は翌日にでも開発チームに共有されるそうだ。中舎氏は「ゲームバランスは常に直しているかもしれません」と、ローグライクジャンルを開発する難しさについて語ってくれた。

 ゲームを実際にプレイしてみると、確かに「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT」のバージョンと比べても、全体的にゲームバランスがマイルドな方向に調整されたことを実感できた。被弾時のダメージ総量や、回復できる機会の増加など、ステージ最奥のボスエリアへと比較的到達しやすくなった感覚がある。また、「BitSummit the 13th」の時点ではすでにリズムコマンドのUIが画面に表示されていたが、この存在がとりわけ大きいだろう。確実に遊びやすくなってきている手応えがある。

 なお、ゲームの開発進捗については「やりたいことが無限に増えていく」と小谷氏がコメント。中舎氏も「パーセンテージで言うと半分にも満たないかもしれません」と正直に明かした。今後も新しいエネミー、ステージ、武器、育成要素にリズムコマンドといった要素が網羅的に加わるそうだ。本作はPCだけでなくPS5やSwitch2といった家庭用ゲーム機向けにもリリースされる。小谷氏はこれら複数プラットフォームへの展開についても踏まえて、発売まで待たせてしまうユーザーのことを念頭に起きつつ「ラタタンはまた発展途上なんです」としていた。

「ラタタン」大賞受賞に喜び。TVTクリエイター陣の本音トークも

 イベントではゲームの試遊だけではなく、TVTクリエイター陣によるトークセッションが実施された。冒頭では「ラタタン」が先日の「BitSummit the 13th」にて大賞を獲得したことを受け、プロデューサー・坂尻一人氏が「インディーゲームの祭典で大賞いただけたことが本当にありがたいです。発表してから約2年でここまで試遊できるようになったこと、我々のストーリーを評価していただいたようですごく感動しました」と、その胸中を語った。

 トークセッションでは“もし、開発をやり直せるとしたら?”というテーマを受けて、「Unityの最新バージョンでやり直したい笑」とリードプログラマーを担当する高橋氏。続けて中舎氏も「経験値を持った状態で2年前からやり直せるなら……笑」とそれぞれ開発者目線からの苦労を吐露していた。

プロデューサーの坂尻一人氏
「BitSummit the 13th」では大賞を獲得
リードプログラマーの高橋俊成氏

 作中におけるお気に入りのキャラクターについて聞かれた小谷氏は「ケロロンパ」を挙げている。その理由としては「強がっていて泣き虫。デカい声で気を張っている寂しがり屋というキャラクター性が僕の中で生きている」とコメント。また、「ラタタン」プレイ中におけるコブンたちとの掛け合いが、青森県名物「ねぶた祭」の掛け声“ラッセラー”と相似していることについて問われると、実際のところ小谷氏は全く意識していなかったようだが、その相似関係については自身でも共通点を挙げ、興味深く考察しているようだった。

 トークセッションでは坂尻氏から先日延期されたアーリーアクセスの新しい実施日についても発表。延期後の日程は日本時間9月19日0時からとなっている。アーリーアクセスの情報が発表されると、会場のファンからは拍手と歓声が巻き起こっていた。「今度は延期しません、絶対に」と自信を持って宣言する坂尻氏。9月に開催される“大きなイベント”の開催に合わせて「アーリーアクセスをプレイした上でブースにも来て欲しいです」ともしていた。

ゲームデザイナーの小谷浩之氏(右)

 トークセッションを終えると中舎氏による実演プレイがお披露目。体力を全く減らすことなく見事ステージをクリアするという開発者としての意地を見せつけ、会場を大いに沸かせた。その後はライブDJタイムとなり、「ラタタン」の新楽曲も披露されてイベントは盛り上がった。

 小谷氏は「これからもどんどん面白く育っていきますので、ぜひ応援してください!」と、ゲームを待ち侘びているユーザーたちに向けてメッセージを贈り、この日のイベントを締め括った。発表から約2年、ローグライクリズムアクションとしてさらに磨きがかかっていく「ラタタン」の今後に、引き続き注目していきたい。

ディレクターの中舎健永氏
イベントではライブDJも披露された