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「Game Tools & Middleware Forum 2013」が東京で開催
SCE、Microsoftも参加。新技術「脈動検出」も登場
(2013/7/23 22:01)
ウェブテクノロジら4社が共催するゲーム開発者向けツール&ミドルウェア展示会「Game Tools & Middleware Forum 2013(GTMF 2013)」が7月23日、秋葉原UDXで開催された。参加費は無料。
GTMF 2013は、ゲーム開発者向けのツールやミドルウェアメーカーなどが一堂に会し、セッションやブース出展を通じて意見交換や情報収集ができる展示会。7月19日には大阪でも開催されており、東京と併せて2会場での実施となった。
ゲームファンとしてはあまり触れることのないミドルウェアやゲーム開発ツールではあるが、将来的にゲームに導入される新技術が披露される場でもあり、メーカーの狙いや技術を知れる機会でもある。
会場ではゲーム専用ヘッドマウントディスプレイ「Oculus RIFT(オキュラス リフト)」と技術を組み合わせた出展が会場のいくつかで見られ、開発者からの熱い視線が集まっていることを改めて感じさせていた。またオートデスクからは現実の物をそのままキャプチャーしてデータとして取り込む「リアリティキャプチャー」や、AMDからはクラウドゲーミングプラットフォーム「Radeon Sky」が登場するなど、新しい技術も見られた。
また参加メーカーにはSony Computer Entertainment(SCE)やMicrosftといったプラットフォーマーの名前もあった。ブースの様子と合わせて、これら講演の様子もお伝えしたい。
PS Vitaの新技術「脈動検出」も発表されたSCEセッション
SCEは、PlayStationにおける技術的な最新情報をお届けするという内容で講演を行なった。講演したのはSCEテクノロジープラットフォームの豊禎治氏。
新情報が期待される次世代機プレイステーション 4については具体的な言及はなかったものの、PS4は「基本的にPCで動いているものをほぼそのまま持ってくることができ、サポートのしやすいフォーマットだ」と、開発者に評価が高いという。様々なミドルウェアのサポートが受けられていることとあわせて、PCとの親和性が高いことをアピールした。
講演の中では、ゲームエンジン「Unity」がサポートする「Unity for PlayStation」について、「インディー系の人たちにもっと参加してもらいたい」と話した。豊氏は「いままでは大きなタイトルが主流だったが、少人数でも開発できる環境が揃ってきている。ダウンロード配信という環境が、少人数に適している」とし、プレイステーションを利用する利点としては、「タッチだけではないゲームに適したインターフェイス作り」があることを述べた。
また実際の例として、iOSやAndroidと比べてPlayStatoin Vitaの方がタイトル注目度が高かったことがあったという。ゲーム以外のアプリも大量にあるスマートフォン用のアプリストアに比べてゲームが埋もれず、結果として、そのタイトルはPS Vitaでの売り上げが1番良かったという。「デベロッパーからも支持されている」と紹介し、PS Vita用にインディーズゲームを作ることの優位性を強調した。
このほか、PS Vitaの新技術として「脈動検出」が紹介された。これはPS Vitaに搭載されているフロントカメラを使い、プレーヤーの脈動を読み取って心拍の様子を波線で表示させるというもの。
検出は顔か指によって可能で、脈動時に変化する顔や指の光の透過具合によって算出している。画面には光の3原色Red、Green、Blueがリアルタイムで算出されており、血流による微妙な透過光の揺らぎをRGBとして随時読み取っていくことで、逆算的に脈動を表示できるようになっている。
まだまだ開発段階ということでSDKも出ていないが、この技術を活かせばプレーヤー自身の緊張状態が検出され、その緊張がゲームに影響を及ぼす、というようなことが考えられる。なお脈動検出は、録画映像の再生によっても可能となっている。
環境を幅広くサポート。Windowsストアアプリへの展開を呼びかけるMicrosoft
Microsoftは、Windowsストア用のゲームアプリをもっと開発してもらいたいという狙いのもと、Windows 8のサポートなどの話を中心に講演を行なった。登壇したのはデベロッパー&プラットフォーム統括本部エマージングテクノロジー推進部部長エバンジェリストの砂金信一郎氏。
SCEのPS4と同様、次世代機Xbox Oneについての新たな情報はなかったが、「唯一言えること」としてXbox Oneは専用のOSとWindows 8とを切り替えるような作りになっており、Windows 8用に作られたタイトルは高い互換性を持ってXbox Oneでも動くようになることが紹介された。
また話の中心となったのは、ゲームエンジンの「Unity」。iOS用にアプリを制作するのとほぼ同じ手順で、Windwos 8ストアアプリに展開が可能となる。ただし、Windows 8でのユーザーエクスペリエンスやパフォーマンスの調整は必要になる。砂金氏は「マルチデバイス前提で開発する場合はUnityを利用し、iOS/Android向けのタイトルがあればWindowsにもぜひ展開を」と話した。
なおMicrosoftでは、起業者向けにクラウド環境を無償提供するBizSparkというサービスを実施している。原則創業5年以内で、未登記でも可。MSDN Ultimate(166万円相当)など3年間分が無償で利用できるということで、今後のWindwos向けのゲーム開発者を養成していきたい考えだ。