スクウェア・エニックス、「2010年3月期 第2四半期決算説明会」を開催
和田氏「日本のユーザーにも海外タイトルを楽しんで欲しい。営業にはかなり発破をかけている」
決算説明会で今期の業績などの説明を行なった和田洋一代表取締役社長 |
株式会社スクウェア・エニックスは2010年3月期第2四半期決算を発表した。今期の連結経営成績は、売上高は前年同期比33.2%増の905億6,100万円、営業利益が130億9,100万円で39.3%増、経常利益は121億8,100万円で25.5%増、四半期純利益は26億8,300万円で55.7%減となっている。
決算の数値については、ヒットタイトルがリリースされ下期にも大作が目白押しの現状において、基本的には好調な数値が並んだ。ゲーム、オンラインゲームを取り扱うゲーム事業が、国内で「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」、海外でもEidosの「Batman: Arkham Asylum」、さらに国内外共に「キングダムハーツ 358/2 Days」が好調で、484億4,400万円の前年同期比117.5%増と目立っている。一方アミューズメント施設の運営、業務用ゲーム機・関連商品を取り扱うアミューズメント事業は低調で売上高で20.5%減の258億5,300万円、営業利益では58.4%減の11億600万円となった。この他では、コミックスのみならずビックタイトルの攻略本も好調だった出版部門が27.4%増の78億7,500万円、モバイル・コンテンツ事業が売上高3.2%減の51億7,900万円、2次著作物の企画・制作・販売などを行なうライツ・プロパティ事業の売上高が90%増の32億1,100万円となっている。
今回公開された上期における販売本数としては、日本で557万本、北米で347万本、欧州で302万本、アジアで1万本の計1,207万本となっている。ちなみに2009年3月期通期の販売本数は1,161万本ということで、すでに昨年1年の販売本数を超えていることとなる。同社としては下期にも話題作が控えていることから、2010年3月期通期で2,600万本の販売を見込んでいる。一方、所在地別の海外売上高を見ると、北米が113億1,900万円で12.5%、欧州は101億5,900万円で11.2%、アジアが7億3,700万円で0.8%。合計で海外売上高の割合は24.5%となる。
弊誌としても関連性の高いゲームタイトルの販売に関する話題については、まずは上期の販売に貢献した「ドラゴンクエストIX」は現在420万本程度で、年末年始に向けもうひと山に期待しているといった状況。12月17日に発売が予定されている「ファイナルファンタジーXIII」については、「『ハードの販売台数が少ないと販売本数も少ないのでは?』と率直に聞かれる」と切りだし、これには「ファイナルファンタジーX」などの販売本数などを示したグラフも用意し「ハードの立ち上げ時期でも頑張って販売してきた。『FFXIII』の受注状況も決して悪くない」と説明した。ただ、「ファイナルファンタジー」のブランドについて「活性化させるのは会社として大きな課題。(和田氏としては) シリアスに考えている」と課題としても感じていることは同時に明かしている。「FFXIII」の海外展開については「進捗状況は良い」とし、今期中に海外で投入することも可能な状況だという。もちろん開発状況だけで決められることではないので、海外展開については現在も未定としている。
スクウェア・エニックスとして販売に力を入れている分野としては海外タイトルがある。子会社となるEidosの「Batman: Arkham Asylum」の国内投入が控えているのはもちろんのこと、12月3日に発売される「アサシンクリードII」(Ubiタイトル。流通がスクウェア・エニックス)、その1週間後の12月10日に発売される「コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア2」について 「今年から海外のビッグタイトルを日本でもリリースできるようになってきた。売り上げに寄与できるだけでなく、ゲームのレベルも高い。ゲームのコアな層を呼び覚ます、力を入れて売っていく」と力を込めて語った。かなりの販売本数を見込める「GTA」クラスのタイトルを扱いたいという和田氏はそれでも海外タイトルについての懸念事項として「海外タイトルはまだ初速は厳しい。お客さんより流通が強気にならない」と、そもそもがお店に並ばないことを問題点としてあげた。「レベルとしてはミリオンもおかしくない。日本のユーザーにも楽しんで欲しい」とし、営業にはかなり発破をかけている状況だという。
相変わらず厳しい状況のアミューズメント部門については「厳しい状況を見ると、すぐに業界が無くなると言わずに状況を見て欲しい」としながらも、あと1年から1年半は淘汰が続くといった見通しを示した。理由としては家賃が未だ高いこと、大型機器を導入した事による償却が終っていないことなどを挙げ、同社としては「ただ店舗を閉鎖ばかりしているのではなく、条件さえ良ければ出せる時に出しておこうと言うことで13店舗は出店している。淘汰される側にならないようひたすら効率化を行なっている状況」と説明し、次に来るトレンドとして「カジュアル層の獲得を目指す新機軸タイトル」の開発を進めているとしている。
今回の決算説明会である意味話題が集中したのが、人員整理について。同社は2009年3月末のグループ人員数の3,805人から今期中に10%~15%の減員を見込んでいる。スクウェア・エニックス、Eidos、タイトーから同程度の人員整理を考えており、職種、地域、会社などの内訳については「開発が云々とかではなくグループとして行なうのであって、内訳は申し上げられない」と和田氏は冒頭に機先を制する形で語った。
理由については「体質強化、組織活性化」とし、部門閉鎖などによる消極的な意味合いでの人員削減ではないと強調。和田氏によれば、人員は多いがそれぞれの繋がりが弱くなり組織が硬直化する大企業病にスクウェア・エニックスが陥っているとし、「パフォーマンスが出ていない。少数精鋭が作り上げると言うことを信じている。組織が緩んできた」と語り。人員削減後は「生産性があると思っている」とコメントを残した。
□スクウェア・エニックスのホームページのホームページ
http://www.square-enix.com/jp/
□ニュースリリース (PDF形式)
http://www.square-enix.com/jpn/pdf/news/20091105_01.pdf
(2009年 11月 5日)