東京ゲームショウ2009レポート

ユービーアイソフトブースレポート その2
ジェームズ・キャメロンの世界観をゲーム化した「アバター THE GAME」、Wii Motion Plus専用タイトル「レッドスティール2」など


9月24日~27日 開催(24日、25日はビジネスデイ)

会場:幕張メッセ

入場料:1,000円(一般/前売り)、1,200円(一般/当日)、小学生以下は入場無料


 

 ユービーアイソフトブースレポートその2では、「アバター THE GAME」、「レッドスティール2」、「ラビッツ・ゴー・ホーム」の3タイトルを中心に紹介していきたい。「アサシン クリードII」、「スプリンターセル コンヴィクション」の2タイトルについてはレポートその1で詳しく紹介しているのでそちらを参照いただきたい。




■ 映画とはパラレルで繋がるアクションゲーム「アバター THE GAME」

ナヴィのポーズをしているのは、「アバター THE GAME」のクリエイティブディレクター ブレント・ジョージ氏
ブースでは試遊台も用意。3D立体視でプレイできる試遊台も2台完備していた
ゲームの舞台となるメリハリの効いた美しい衛星パンドラの世界

 「アバター THE GAME」は、2009年12月18日に世界同時公開が予定されている映画「アバター」のゲームバージョン。映画の監督は映画「タイタニック」、「ターミネーター」などが代表作として知られるジェームズ・キャメロン氏。E3にも姿を現わし、映画のみならず、ゲームについても強い意欲と関心を示したことで、単なる映画ゲームに終わらない大作として話題となったアクションゲームである。

 「アバター THE GAME」の原題にも「James Cameron's Avatar: The Game」と、彼の名前が冠されているほどだが、彼の影響がもっとも強く表れている要素として挙げられるのが、ゲーム全編が3D立体視表示に対応しているところだ。これは映画が3D対応で制作されていることに対応したもので、ゲームでも映画と同じ感覚で立体映像で楽しめる。

 もちろん実際に家庭で立体映像を楽しむためには、HDMI端子を備えた120Hz表示が可能な液晶モニタと、いわゆる3Dグラス(メガネ)が必要となる。PCゲームの分野では、ハードウェアの増設が比較的簡単なことから、2009年2月にリリースされた「NVIDIA 3D Vision」を筆頭にいくつかの3D立体視ソリューションと対応タイトルが生まれつつあるが、コンシューマーゲームの分野では極めて珍しい存在である。

 遊び手側のハードルの高さ、制作者側の負担の大きさは無視できないものがあるが、それをあえてやってしまうところがジェームズ・キャメロン監修ゲームの凄さということになるだろうか。日本での発売時期は、映画の封切り翌月となる2010年1月7日を予定。発売プラットフォームはPS3、Xbox 360、DSの3機種となる。

 今回のデモで、3D立体映像で受けることができただけでなく、3D立体環境で試遊することもできた。3D立体映像は、開発初期から3Dを意識して開発が進められているためか、非常に良好な立体感が現出されていた。ゲームエンジンにはUbisoftの人気シリーズ「FarCry2」で採用されたDUNIAエンジンを改良したものを実装しており、もともとハイクオリティのグラフィックスがすべて立体表示となるため、自分が吹っ飛ばされたり、視点を素早く動かしたりすると、思わず頭が後ろに動いてしまうほどの迫力を得られる。

 実際にこの環境でプレイできる人がどれだけいるかというと疑問符が付くが、ゲーム開発に必要不可欠な技術的チャレンジと、夢のあるエンターテインメントを提供できている作品だと感じた。3D立体視のトレンドがこのまま続けば、「アバター THE GAME」が立体視ゲームのパイオニアとして長く記憶されることになるのは間違いない。

 気になるゲームのストーリーの詳細については、映画と完全にリンクしたタイトルだけにほとんど語られていない。わずかに、映画とまったく同じ世界観、時間軸を共有しているが、映画とは別のサイドストーリーが楽しめるということだけがわかっている。映画では元海兵隊員のジェイクを主人公としているが、ゲームではジェイクと同じ“人間”か、舞台となる衛星パンドラの住人“ナヴィ”のいずれかを選択でき、選択した人種によってストーリーは大きく変化していくという。

 デモは2種類を見ることができた。ひとつは、ボディアーマーに身を包んだ人間で、Stalker's Valleyと呼ばれるジャングル地帯を舞台に、巨大化した植物や、凶暴化した獣のようなモンスターらと銃撃戦を繰り広げながら奥へ奥へと進んでいくシューティングミッション。もうひとつはナヴィとして、彼らの街を散策するというシーン。前者は、いわゆるシューティングアクションであり、銃器を使った射撃に加えて、火炎放射器で地表を焼き払うという「FarCry2」と同じ戦術が可能だったが、それを立体映像で見ると炎に包み込まれるようで大迫力だった。後者はRPGのような雰囲気で、単なるステージクリア型のアクションシューティングではない深みのあるゲーム性を持った作品という印象を持った。

 ゲームに関しては、ストーリーの謎に加えて、マルチプレイの詳細が伏せられている。「サプライズを用意しているのでぜひ楽しみにしていて欲しい」とのことだったが、ストーリーの謎に絡む形で、映画を見た人が体験してみたいと思うようなモードを搭載していくのだろう。試遊はできたものの、実はまだ謎だらけという「アバター THE GAME」。映画共々完成が待ち遠しいタイトルだ。

【「アバター THE GAME」プロモーションムービー】

【アバター THE GAME】
ようやく情報が出始めてきた「アバター」だが、ストーリーやマルチプレイなど肝心なところは秘密のままだ。人間対ナヴィの争いが基本軸としてありそうだが、どうやらそれだけではなさそうだ。様々乗り物を使ったアクションが楽しみだ




■ サードパーティ初のWiiローンチタイトルの続編がWii Motion Plusになって登場! 「レッドスティール2」

「レッドスティール」クリエイティブディレクターのジェーソン・バンデンバーグ氏
前作同様にWiiリモコンは刀、ヌンチャクは銃というスタイル
手の動きが正確にインゲームの刀の動きに反映される。シンプルな話だが、これこそが「レッドスティール2」の最大の醍醐味だ

 「レッドスティール」は、Wiiのローンチタイトルのひとつとして2006年12月に発売されたチャンバラアクションゲームである。Wiiリモコンを刀に、ヌンチャクを銃に見立て、直感的な操作で剣戟アクションが楽しめるというコンセプトが明快な作品である。

 3年ぶりの新作となる「レッドスティール2」は、Wiiの新しいハードウェアであるWii Motion Plusにいち早く対応し、Wii Motion Plus専用タイトルとしてリリースされる。発売時期は欧米では2010年3月頃が予定されており、日本での発売時期もそれに準じたものになる見込み。

 前作から進化した要素は2つ。ひとつは繰り返しになるがWii Motion Plusに対応したことだ。これにより手の動きをより正確にインゲームの刀の動きに反映させることができるようになり、「レッドスティール」がこだわっている一人称の剣戟アクションがリアルに表現できるようになった。

 じっくりデモを見ることができたが、手のわずかな動きすら反映してくれるため、手元で刀が向きを変えるたびに、陽光が乱反射するなど、演出面でのリアリティが向上していた。その一方で、上段、中段、下段のような“斬り分け”や“峰打ち”は、計画にはあったもののゲームが複雑になりすぎるため実装しなかったとのこと。つまり、自分の手の動きは正確にインゲームの刀の動きに反映されるが、特定の部位を狙って斬り込むというゲーム性は残念ながらないということだ。Wii Motion Plus対応は基本的に見た目的な効果に留まるようだ。

 もうひとつは、トゥーンシェーダー採用による新しい雰囲気の世界観。前作はいわゆる“勘違いした日本”が舞台になってしまったことで、特に日本市場での評判が良くなかったが、今回は現実世界からすっぱり切り離し、アメリカネバダ州の砂漠地帯を舞台に、サムライカウボーイが活躍するという架空の世界の物語となっている。

 トゥーンシェーダー採用の理由については、「現実よりも創造性豊かな世界をプレーヤーに提供するため」としている。WiiのSD解像度の限界を巧く補って、自然で入り込みやすい世界観になっている印象だ。

 ゲームモードは、オンライン要素や、ミニゲーム等は一切なく、シングルプレイキャンペーンのみという非常に割り切った仕様となっている。やり込み要素としては、お金を集める要素があり、お金を集めることで武器のアップグレードなどが可能だという。チャンバラ好きには要チェックのタイトルといえそうだ。


【「レッドスティール2」プロモーションムービー】

【レッドスティール2】
トゥーンシェーダーの採用により、前作とはずいぶん雰囲気が異なっているが、基本的なゲーム性はまったく同じ。怪しい日本語は一種の“味”として今作でも取り入れているようだ



■ 子どもから大人まで楽しめるフランス発の優れたナンセンスゲーム 「ラビッツ・ゴー・ホーム」

「ラビッツ・ゴー・ホーム」ブランドマネージャーのルイック・ゴーノン氏(左)、ゲームデザイナーのクリストフ・ピック氏(右)
どこからどう見ても可愛くないラビッツたちだが、「ラビッツ・ゴー・ホーム」は彼らの可愛らしさではなく、悪童ぶりを楽しむゲームだ
キャラクターエディットを説明しているところ。よく見るとわかるが、Wiiリモコンの内部という設定になっており、Wiiリモコンを振るとその都度ラビッツが跳ね飛ぶ。ラビッツに悪戯ができるという寸法だが、こうした遊び心が嬉しい

 最後に紹介するのは、Wii向けに11月26日に発売を予定しているコメディーアクションゲーム「ラビッツ・ゴー・ホーム」。“ラビッツ”と聞いてピンと来る人は、相当のUbisoft通だと思われるが、もともとはUbisoft初期の有力IPのひとつである「Rayman」シリーズで敵役として登場したキャラクターのスピンオフ作品だ。特にUbisoftの本拠地であるヨーロッパでは、不格好でお馬鹿な彼らが色んな無茶をやる「ラビッツ」シリーズとして完全に独立を果たした感がある。

 その最新作となる「ラビッツ・ゴー・ホーム」は、地球に愛想を尽かしたラビッツ達が、月に帰るために、あらゆる場所からがらくたをかき集め月まで届く山を作ろうという、ナンセンスなゴミ集めゲーム。ナンセンスだから子供だましのゲームかというとまったくそういうことはなく、隅々までよく作られており、子どもだけでなく大人でも十分に楽しめる奥行きを備えている。

 最初に驚かされたのが、主人公であるラビッツをカスタマイズできる「エディットモード」。ラビッツのエディットを行なう画面はWiiリモコンの内部という設定になっており、Wiiリモコンを振ったりボタンを押したりするたびに、ラビッツが様々なリアクションを返してくれる。この仕様そのものに特に意味はなく、「見て楽しいから」実装したというナンセンスぶりが素晴らしい。

 エディットモードでは、シンプルなペイントツールを使って白ウサギ状態のラビッツに、 線を引いたり、絵を描いたり、好きな色で塗りつぶしたりして、自由にデザインすることができる。ヘッドフォンや帽子といったアクセサリーも用意されており、まさに自分だけのラビッツが作成できる。この自作したラビッツは80体まで保存できるという。ちなみにヨーロッパではWiiチャンネルを使ってラビッツのデザインコンテストも行なわれているというが、日本でどうなるかは不明だ。

 実際のゲームの内容は、ショッピングモールや倉庫、空港、オフィス、病院など様々なステージにショッピングカートを持ち込んで、「塊魂」のような感覚でどんどん“がらくた”をかき集めていく。ステージの最初に目標となるパーツと数量が示され、それを達すると次のゾーンに進める仕組みだ。カメラ視点は固定となっているため、プレーヤーはラビッツのカートの移動のみに集中すれば良く、簡単な操作でがらくた集めを楽しめる。

 なお、ラビッツ達は攻撃手段も有しており、ターゲットカーソルをWiiリモコンで操作して敵を撃退することができる。このターゲットカーソルは2つ出すことができ、2人で協力してプレイすることも可能だ。果たしてラビッツたちは月まで帰ることができるのだろうか!?


【「ラビッツ・ゴー・ホーム」プロモーションムービー】

【ラビッツ・ゴー・ホーム】
空港ステージでは旅客機のジェットエンジンを一基取り外して、それを乗り物代わりに使うなどやりたい放題。ラビッツ達のはちゃめちゃぶりをぜひ楽しみたい


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(2009年 9月 26日)

[Reported by 中村聖司 ]