Electronic Entertainment Expo 2009現地レポート
ゲームテックブースレポート
和風ゲームグッズ「和彩美」で欧米展開を狙う
株式会社ゲームテックは、福岡に本社を置くゲームグッズの開発・販売企業。今回、E3に初出展を果たしている。
ゲームテックのE3出展は、色々な意味で目新しい。E3に出展する企業というのは、ほとんどが米国の現地法人を置いているものだが、同社は国外に営業所を持っていない。またゲームグッズ関連のE3出展社というのも元来さほど多くはなく、出ていても最小コマで申し訳程度に製品を展示しているものがほとんどだが、同社ブースは4コマ分と広い。
そしてゲームグッズ関連のブースは大抵人も少なくスタッフも暇そうにしているのが通例なのだが、同社のブースは各国からの来場者が絶えず足を運び、熱心に商品を見ていくという、過去に見たことがないほどの人気を集めていた。一体ゲームテックはE3で何を仕掛けていたのか。
■ 和風ゲームグッズ「和彩美」だけを展示
同社はこれまでに多数のゲームグッズを制作・販売してきたが、今回のE3では、和風デザインのゲームグッズ「和彩美(WaSaBi)」シリーズの製品だけをE3に持ち込んた。浮世絵や桜などをデザインした各種ケースやデコレーションパーツ、着物を連想させる和柄の布製品などをブース全面に展示し、さらにブース全体の配色を漆塗りを思わせる朱色と黒で統一した。元々が目立つ色の上、欧米人に日本製品を想起させるのに成功していたのだと思う。
E3会場に来ている人というのは、ほぼ確実にゲーム業界関係者である。ゲーム業界関係者であれば、日本製品を見ずには通れないし、その文化にも自然と触れてきたはず。全員が日本好きとは限らないが、理解度の高い人が多いのは事実だろう。実際、通りがかりに足を止めてじっくりと製品を見ていく人が非常に多かった。欧米ではちょっと格好いいととらえられる漢字が、ブースのそこかしこに見えたことも大きかったかもしれない。考えてみれば、そんなブースは今までのE3にはなかった。
さらに来場者には、アンケートに答えるとニンテンドーDS Lite/DSiとPSPで使えるデコレーションシートがプレゼントされた。欧米では手に入らないデザインの製品がもらえるということも、次から次へと人を呼ぶ一因になっていたのは確かだ。
ブースの壁面をフルに使って製品を展示。遠くから見てもとても彩が鮮やかで、思わず近くに寄って1つ1つ見てみたいと思わされる | ||
ちなみに1番反響があったのは、Xbox 360の富岳三十六景デコレーションシートだったそうだ。日本人の筆者でもその気持ちはよくわかる |
■ 出展目的は販売店探しとマーケティング
ゲームテックの出展の目的は、まず第1に国外での販売店探しだという。代理店探しではないのかと尋ねると、「和彩美」の製品は少量多品種の生産スタイルのため、現在の体制では大量に製品を卸せないのだという。そのため、販売店レベルでの契約ができないかと模索しているようだ。販売店からの問い合わせは、取材した時点で既にいくつかあったそうだが、北米よりも欧州からのものが多かったという。
日本でも「和彩美」の製品は店頭販売を行なっておらず、自社通販でのみ販売し、少量多品種の体制で運営している。現在はE3の出展に間に合わせる形で海外向けの通販も始めているが、これも全て自社で行なっている。ちなみにE3会場では物販ができないことになっているそうで、展示された商品には価格を表示するのみで、欲しいという人にはWEBサイトを案内していた。
第2の目的として、欧米市場のマーケティングがある。日本文化がクールだという人は確かに多いようだが、富岳三十六景の描かれた製品を見て「ホクサイ!」という日本好きもいれば、よくわからない漢字が格好いいとか、相変わらず根強い忍者のファンも多い。そういったところで、どの分野が欧米人に最も響くのかを見定めるのが狙いだ。先程アンケートでプレゼントするといったデコレーションシートも、10種類のデザインから選べる形になっており、そこからもデータを取っているという。
今回の出展については、おそらくゲームテックとしては狙い通りの結果が得られただろう。こういう形で海外進出が成功するか否かは、ゲームグッズだけでなく、ゲームそのものやその他の製品にも活かせる貴重なデータになるだけに、今後どういった動きを見せるか注目される。
ショップでの陳列風景をイメージしたコーナーも用意された。いろいろな陳列形式が提示されており、販売店関係者も設置のイメージがしやすそうだ | ||
こちらは欧米をターゲットにデザインされた試作品。Wiiのクラシックコントローラに「侍」と書いてしまうセンスは、欧米ではどう評価されただろうか? |
(2009年 6月 7日)