Electronic Entertainment Expo 2009現地レポート

「Nintendo Media Briefing」レポート ソフトウェア編

「マリオ」新作2本、Team Ninjaとの「メトロイド」コラボを発表


6月2日 開催(現地時間)

会場:NOKIA Plaza



 Nintendo of Americaは6月2日(現地時間)、E3 2009の開催に合わせたカンファレンス「Nintendo Media Briefing」を、NOKIA Plazaにて開催した。

 今年も、任天堂株式会社代表取締役社長の岩田聡氏を始め、Nintendo of AmericaのPresident Chief Operationg OfficeのReggie Fils-Aime氏や、Executive Vice President Sales & MarketingのCammie Dunaway氏などが登壇し、2009年から2010年に発売予定の新作を発表した。


President Chief Operationg OfficeのReggie Fils-Aime氏Executive Vice President Sales & MarketingのCammie Dunaway氏Product Marketing Senior ManagerのBill Trinen氏



■ Wiiで「マリオ」2作と「メトロイド」の新作を発表

 まず最初に発表されたのが、「スーパーマリオ」シリーズの新作となる「New Super Mario Bros. Wii」。北米での発売時期は2009年ホリデーシーズンの予定で、価格は未定。おなじみのサイドビューによる横スクロール形式を採用した本作の最大の注目点は、最大で4人同時プレイが可能なこと。もちろん1人プレイも可能だ。

 会場では実際に4人でのデモプレイが行なわれた。画面は分割ではなく、1つの画面に4人が収まるよう、うまくズームを使っている。基本的には4人が力を合わせてゲームを進めていくわけだが、必ずしも他のプレーヤーを助ける必要はない。ステージクリア後にはスコアのランキングが表示されるため、自分が高いスコアを狙うと同時に、他のプレーヤーに得点を取らせない妨害行動も、場合によっては許容されるというわけだ。「大乱闘スマッシュブラザーズ」シリーズほど直接的ではなく、ファミコン用「マリオブラザーズ」で対戦したような感覚で遊べそうだ。

 ゲーム内容としては、頭に“竹とんぼ”のようなものがつき、高いジャンプとゆっくりした下降が可能になる「プロペラスーツ」など、新たな能力を持ったスーツが登場する。またステージの最後には、シリーズ伝統のクリアボーナスが得られるフラッグがある。このフラッグに誰かが最初に触れてから3秒以内に触れられた人はボーナスが得られるが、遅れた人は無得点となる。

シリーズ初の4人同時プレイのデモプレイが行なわれた。キャラクターが近寄るとズームされ、離れると自然にワイドになっていく

 さらに今回「スーパーマリオ」シリーズの2本目の新作として、「Super Mario Galaxy 2」が発表された。こちらの発売は2010年予定とやや先になっている。前作「スーパーマリオギャラクシー」に続き、3Dグラフィックスのマリオを操作するもの。3Dの「スーパーマリオ」が1つのプラットフォームで2本以上出るのは初めてだという。

 こちらはゲーム映像を収めたムービーが上映された。前作と同様に、大小の星の上でマリオが駆け回るとともに、ヨッシーが大きく膨らんで飛んだり、小さな星を覆わんばかりの巨大な敵が現われたりと、新たなギミックも用意されていた。

グラフィックスは前作と大きく変わっていないものの、ヨッシーが登場するなど多彩な要素が追加されている

 そしてイベントの最後に発表されたのが、「メトロイド」シリーズの新作となる「Metroid: Other M」。こちらも2010年発売予定となっている。テクモの開発チームであるTeam NINJAとのコラボレーションで制作されている3Dアクションとなっている。

 「メトロイド」シリーズといえば、2Dグラフィックスでアドベンチャー要素の高いアクションゲームか、あるいは「メトロイドプライム」シリーズのようなFPSスタイルを想像する。しかし会場で上映された本作の映像を見る限りでは、「DEAD OR ALIVE」や「NINJA GAIDEN」などのアクションシリーズを手がけたTeam NINJAらしいアクション性を重視した印象で、多数の敵を素早い身のこなしで倒していく主人公サムスの姿が見られた。

3D空間を華麗に動き回るサムスは、ビジュアル的にとても新鮮。それもTeam NINJAという名前を聞けば、なるほどと思える

 ニンテンドーDS関連では、6年ぶりとなる「黄金の太陽」の新作「Golden Sun DS」が発表された。北米では2010年発売予定と発表されている。日本での発売については未定で、邦題も未発表となっている。

「Golden Sun DS」のゲーム内容は詳しく語られていないが、映像では上下の画面をフルに使った派手な演出が目立っていた

 DSiウェアの新作では、「Mario vs. Donkey Kong: Minis March Again!」が登場。さまざまな仕掛けを突破していくパズル要素の強いアクションゲームの続編で、今回はステージエディット機能も搭載された。こちらは6月8日から配信予定で、価格は800ニンテンドーDSiポイント。

前作までのパッケージ販売ではなく、ダウンロード販売となった「マリオvs.ドンキーコング」シリーズ新作

 3月に開催されたGDC 2009の中で発表されたDS用「The Legend of Zelda: Spirit Tracks(邦題:ゼルダの伝説 大地の汽笛)」については、イベントの中では特に発表はなかったが、E3会場には出展しているという。こちらは後日、E3会場レポートにてお伝えする。

 このほか、DSiが北米で発売2カ月のうちに100万台を販売したことを発表。同時期にはDS Liteも40万台売り上げているとし、好調をアピールした。これに合わせてDSiの新サービスとして、撮影・加工した写真をSNSのfacebookにアップロードできるサービスも明らかにされた。

期待の新作「ゼルダの伝説 大地の汽笛」はタイトル紹介に留まったDSiで加工した写真をfacebookにアップロードできるサービスが追加される



■ 多彩なサードパーティ製タイトルもアピール

 任天堂の発表会というと、ファーストパーティ製タイトルが非常に目立つという印象が否めないが、今回は「サードパーティタイトルを最も多く売り上げているのは任天堂」という数字をアピールしつつ、サードパーティタイトルの紹介も行なった。

 「RPGファンにも訴求する」という話題でムービーが上映されたのは、スクウェア・エニックスのWii用ソフト「ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル クリスタルベアラー」。続いてミステリー作家のジェームス・パターソン氏を起用したTHQのDS用ミステリーアドベンチャー「James Patterson Women's Murder Club: Games of Passion」、Ubisoftのオープンワールドアクションアドベンチャー「C.O.P. The Recruit」の映像も流された。

 またWiiの独占タイトルの例として、セガのWii用FPS「The Conduit」、カプコンのガンシューティング「バイオハザード ダークサイド・クロニクルズ」、Electronic ArtsのFPS「Dead Space Extraction」がムービーで紹介され、いずれもE3会場でプレイアブル出展されていることを付け加えた。いずれも北米で人気のゲームジャンルであり、特に「Dead Space」という人気タイトルのシリーズがWiiで独占とあって、会場からはひときわ大きな歓声が上がっていた。


【ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル クリスタルベアラー】

【James Patterson Women's Murder Club: Games of Passion】

【C.O.P. The Recruit】

【The Conduit】

【バイオハザード ダークサイド・クロニクルズ】

【Dead Space Extraction】



■ 今回のタイトルは“みんなのゲーム”と語る岩田氏

「もしかしたらという人がゲームをやればプレイ人口は50%増える」と、さらなる新規プレーヤー開拓を進める岩田氏

 イベントの終盤に登壇した岩田氏は、新デバイスの「Wii Vitality Sensor」を発表したほか、今後の任天堂の開発方針についても語った。

 まず岩田氏は、顧客を3つに分類したという。順に「アクティブに遊ぶ人」、「絶対に遊ばない人」、「もしかしたら遊ぶかもしれない人」となっている。任天堂は以前から、ゲーム人口の拡大をテーマにしており、「ユーザーを増やすなら、もしかしたらという人から」と述べた。

 では、そんな人は何人いるかというと、任天堂の調べでは日米欧で1億4,900万人いると計算しているという。既にゲームをアクティブに遊んでいる人は2億9,500万人と見ており、「今よりプレイ人口が50%増える。我々のオーディエンスはまだまだ増える」と、さらにユーザーを拡大できるという強い意思を見せた。

 そして目下の目標は、「1つのゲームで全ての人を楽しませること」としている。「かつては最も高いゲームスキルを持つ人に向けて新しいゲームを提供していたが、これは危険。ハードルを上げるほど、新たに遊べる人が減っていく。しかしハードルを下げただけでは、高いスキルを持つ人に楽しんでもらえない」と、ゲームの抱えるジレンマを示した。

 この問題に対して岩田氏は、「誰でも最初は初心者だった。『スペースインベーダー』も『ポン』も『ドンキーコング』も、誰でも遊べた。『マリオカートWii』にハンドル同梱したことで、ノンゲーマーの人と遊んだ人も多くいるはず」と述べ、続けて「今回のタイトルで、さらにそこに近づきたい。ゲームを遊んだことがない人も、エキスパートにも気に入ってもらえると思うし、奥深さに驚くはず。これがみんなのゲームと言えるかもしれない」と答えを今回の出展タイトルにゆだねた。


イベント開始前にスクリーンに出ていたクイズやTips。任天堂プラットフォームのゲームについての普通のクイズの中に、販売数などの情報をさりげなく混ぜているところがなかなかうまい

(2009年 6月 3日)

[Reported by 石田賀津男]