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「ファイナルファンタジーXV」プレスカンファレンスで新情報続々
ワールドワイドで1,000万本を目指す! ユニバースの全体像は? 空を飛ぶ車は?
(2016/4/1 14:26)
スクウェア・エニックスは、現地時間の3月30日に開催された「UNCOVERED FINAL FANTASY XV」の取材のためにロサンゼルスに集まったプレス関係者を対象としたカンファレンスを31日に開催した。
カンファレンスは記者陣の質問に答えていくという内容だったが、興味深い新情報が続々と明らかになった。今回は各項目についてそれぞれ整理してまとめてお伝えする。なお、出席したのは田畑 端氏、野末武志氏、大藤昭夫氏、本橋大輔氏、下村陽子氏の5名。
作品の全体像「『ファイナルファンタジーXV』ユニバース」について。
まず「今回の1番大きなチャレンジは?」の問いに田畑氏は「グローバルモデルに切り替えること」を挙げた。これまでは日本で制作して世界展開を行なっていたが、今回は最初から世界展開も含めて制作が行なわれており、この違いが1番大きいのだという。
また、「制作にかなり投資してるのでは? それに見合う成功とは?」の問いに田畑氏は「自分としては、ワールドワイドで1,000万本を目標としている」とキッパリ。
発表から一夜明けての反応を聞かれ「ユーザーのリアクションをネットでゆっくり見ながらだらだら過ごしていたい」と笑いながらコメント。だがまだそれが叶わないということで、会場とアフターディナーでの反応については「『UNCOVERED FINAL FANTASY XV』は、ビジネスでは無く、ユーザーにダイレクトに伝えるエンターテイメントの場とした」と意義を説明し「ファンにダイレクトに伝わったという感触がある。もし伝わっていなければ、僕の勘が鈍いと言うことなので修正したい(笑)」と続けた。
一方で関係者のパーティでの反応については「パーティで『イベントに呼んでくれてありがとう。一緒にがんばろう!』と言ってもらえた。ゲーム業界に対する取り組みとして良い感触を得られたし、手応えを感じた」のだという。
「ファイナルファンタジー」シリーズの中では「Fabulous Nova Crystallis」というコンセプトで展開されたことがあったが、今回の「ユニバース」はどう違うのかに質問が及んだ。この点について田畑氏は「『ユニバース』において最も大事なポイントは、すべてが『ファイナルファンタジーXV』を最大化するために『ユニバース』作品があるという点です。『KINGSGLAIVE』や『BROTHERHOOD』などそれぞれが独立した作品ですが、すべては『ファイナルファンタジーXV』への導線」と語り、「新しいユーザーの入り口であったり、既存ユーザーがより深く作品を楽しめるためのコンテンツであったり。そういった意味では完全に異なるコンテンツが複数あった『Fabulous Nova Crystallis』とは大きく異なります」とその違いを説明した。
プラットフォームの固有の要素について導入されるのかについて(PS4コントローラーのタッチパッドやライトバーについて)問われた田畑氏は「プラットフォーム固有の特別な施策については、計画はあるがまだ実装していない」という。またちょうど発売が重なるPlayStation VRについては「開発メンバー全員興味はあるし、1年以上前からいろいろテストはしています。何らかのかたちにたどりつければやりたいです。ただ限定的なわかりきった体験ではなく、“ニューエクスペリエンス”になるものを考えている」と若干慎重な姿勢を見せた。
現状はPS4とXbox Oneの2つのプラットフォームでの発売が公表されているが、「PC版の発売はあるか?」についても質問が飛んだ。「PC版を出す計画であれば、PS4とXbox Oneの発売に近い時期に出さなければダメ。現状はコンソール版に近いタイミングでは出ない。DirectX 11でやってきたことはすべて『ファイナルファンタジーXV』に盛り込んでいる。その仕様をロックしたら、より高機能なPCのスペックで作ることをそこから考える」と基本的には1度コンシューマー版を完成させ、それ以降にプロジェクトが進行する可能性を示唆した。
またカンファレンス最後に「『ファイナルファンタジーXV』ユニバース」の世界観をベースに、今後も新作を展開していく可能性はあるか? たとえば『ファイナルファンタジーXVI(16)』とか?」という質問には、キッパリと「ないです。あくまでも『ファイナルファンタジーXV』のみです」と田畑氏。ただし、シリーズのナンバリングタイトルである「ファイナルファンタジーXV」をより多くの人に届けるために、その方針と一致するようであれば、違った形でコンテンツをリリースする可能性はあるという。
オープンワールド、ゲームシステムなどについて
ゲームのシステムとしてオープンワールドを採用したことについても質問があった。世界観はどれほどの大きさなのか? の問いには「ゲームの規模はいろいろあって(定量的に話すのは)難しい。『UNCOVERED FINAL FANTASY XV』で公開した『Environment Footage』でいろいろなロケーションが公開したが、あのほかにもいくつかロケーションは用意している」とかなり広大な世界となっているようだ。
「オープンワールドのゲームを制作するにあたってインスピレーションを得たタイトルは?」の問いに田畑氏は「ウェスタン系のすべてのAAA級タイトルからインスピレーションを受けています。ただ、世界をシームレスに描くという点では、ニンテンドウ64の『ゼルダの伝説 時のオカリナ』ですね」とコメント。
また、「UNCOVERED FINAL FANTASY XV」のラストで空を飛んだレガリアについては、「ゲームをかなり進めた上でカスタマイズできるもので、ゲームの位置づけとしてはやりこみ要素にあたります。レガリアのフライングモデルは、ストーリーを進める上で必要なものではありません」と、ゲームを進めた上でのご褒美的な意味合いとした。もちろん、このフライングモデルでなければ行けない場所もあると言うことで、そういった意味でもやりこみ要素となっている。
ただ、離陸は簡単だが着陸がかなり難しいと言い「気をつけないとすぐに“ドカン!”となる」らしい。田畑氏は「本物の飛行機のおりるときのスリリングな雰囲気をゲームに取り込むため」と説明した。
バトルシステムについて、難易度調整について質問が及んだ。「世界観のトーン、ファーストインプレッションの難解さをなくす、そして触ってみた時にすんなり入れることというのは、これまでのシリーズのファンとこれから新しくファンになってもらわなければいけない人たちに向けてどちらの層に対しても外せないものだと思いました。そういった意味では重要な要素の1つでした」と認識しつつ、「アクションベースのバトルシーンについては、RPGを好むユーザーが遊びやすくなる一方で、アクションが好きなコアゲーマーも満足させたいという想いがあるので、そういったメカニズムを導入しているし、そういったユーザーが満足するようなエリアややりこみ要素も用意しています」と誰もが満足するよう多彩なコンテンツが用意されているようだ。
「PLATINUM DEMO FINAL FANTASY XV」について
すでに配信が開始となった「PLATINUM DEMO FINAL FANTASY XV」に関する質問は若干厳しいものとなった。記者からは「『PLATINUM DEMO』の全体的な雰囲気が本編とは違っており、子供っぽく感じた。このデモ版で『ファイナルファンタジーXV』の良さが伝わるか不安では?」との問いが寄せられた。これについて田畑氏は「特に問題は感じていない。『PLATINUM DEMO』も本編への導線の1つです。なるべく多くのユーザー層にプレイして欲しくて、敷居の低い方向性のユーザーにアピールするのが『PLATINUM DEMO』」とユーザー層を考えた上で制作したことを明かした。
一方で「KINGSGLAIVE」は、「ファイナルファンタジー」シリーズを好きだけど、はなれてしまったユーザーに向けた作品であり、「BROTHERHOOD」ではこれまでとは違った形で友情を扱っているという。田畑氏は「『PLATINUM DEMO』をプレイしただけで、それが『ファイナルファンタジーXV』のすべての方向性と捉えられると、それは違う」と答えた。たくさんのコンテンツが用意され、それぞれが違うのは「いろんな入り口があった方が良いし、選択肢があったほうがいいとおもう(田畑氏)」ということからだ。ちなみに本編についての情報は「これから開催される大きなイベントなどでどんどん出ていくので、それで伝わると思う」と心配していないとした。
一方で、「『PLATINUM DEMO』のフレームレートが期待値より低く感じた」といった意見については、「まず最初に、最終版に向けて最適化させていきます」と、田畑氏は発売に向けて調整が入ることを示した。その上で今回は、上限はフルHDでありながら実験的に動的なフレームレートを導入しているのだという。これは「PLATINUM DEMO」のゲーム性がフレームレートをそれほど必要としないもので、世界観を体験してもらう事に重きを置いているためだと説明。このため、フレームレートに関してはこれから最適化していくということだが、今回の『PLATINUM DEMO』ではPS4版とXbox One版で区別を付けたくないという意向から、全く同じものと同じになったという。つまり今後は各マシンに対してチューニングが行なわれるため「(両機種で)全く同じになるかは決まっていない」のだという。
比較的厳しい質問が出た「PLATINUM DEMO」関連の話題だが、「『ファイナルファンタジー』のワクワクした雰囲気が出ていて面白いと感じた」という意見も出た。その上で「『PLATINUM DEMO』のテイストや遊び心は、『ファイナルファンタジーXV』でも盛り込まれるのか?」という質問に田畑氏は「『PLATINUM DEMO』はあくまでもノクトの子供の頃の夢の中ということで、大人になったシリアスな展開と全く同じというわけにはいかない」と答えながら、「ただ、若い男の友情の物語なので、そういった意味では前向きなトーンは本編にもある」と説明。遊び心については田畑氏も「私も本編に盛り込んでいきたいと思う」としている。
音楽について
音楽について聞かれた下村氏は、「(本編のほか、『KINGSGLAIVE』など)たくさんのコンテンツある中、私1人が楽曲担当していてちょっと不公平」と笑いながら答え、「1人で全曲は難しいので、他の素晴らしい作曲家や録音スタッフに支えられて作っています」と制作の裏側を披露。
メインとなる重要な場面について、どうしても下村氏が描いた方が良いところは、田畑氏や野末氏から直々の指名の元、楽曲制作を行なっているという。もちろんそういったシーンはディレクターの思い入れが深い場面で、曲も重い曲となっている。このため、意見のやり取りがかなり頻繁に行なわれ、「ディレクター陣は本当に厳しいので、(それだけ)いいものに仕上がっていると思う。精一杯良い物を作りたいと思ってがんばっています」と下村氏。まだ披露されていない曲も多いということで、「ファイナルファンタジー」シリーズの楽曲のファンは楽しみにしていただきたい。
また、「『ファイナルファンタジー』シリーズと言えば植松氏の印象が強い。植松氏の音楽との融合をどう考えているか?」といった意地悪な質問も飛んだ。これに下村氏は「音楽は抽象的なもので感情に左右されるものだと思う。私は植松さんを尊敬しているし、スクウェア・エニックスに入ったのも、一ユーザーとして育ってきたので、この場にいると思っています。その気持ちを忘れないで音楽を作っていけば、歩み寄るとか、どういった風に踏襲していこうとか意識しなくても、私が出す植松さんの尊敬している『ファイナルファンタジー』の音楽を出すことができると思っています」と答え最後に力強く「がんばります!」とコメントし締めくくった。
「KINGSGLAIVE」と「BROTHERHOOD」について
「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」を制作するにまでの経験と何かインスピレーションを受けた作品などはあるか?」との質問に、野末氏は「特にインスピレーションを受けた作品は無いのですが、「ファイナルファンタジーXV」の企画のコアな段階からチームに加わり、田畑さんやプランナーと話しをしてアイディアを練っていった」とコメント。
「KINGSGLAIVE」において実在する企業の看板が出ている点について、「KINGSGLAIVE」のコンセプトに言及。同作では現実世界から徐々にファンタジー世界に移っていくというコンセプトがありまして、その中で舞台となるインソムニアという首都なんですけれども、それを元々モデルを東京と考えていたので、コンセプトに賛同してもらった企業に看板を出していただいている」と説明。
「KINGSGLAIVE」に関しては、デジタルディストリビューションで有料配信が決定しているが、どれくらいの金額で配信されるかは未定。基本的に配給はソニーピクチャーズから行なわれるので、そちらから発表となるようだ。また劇場公開については、一部の国(日本)では決定しているが、それ以外の国については未定としている。
「BROTHERHOOD」に関しては、配信本数は5話を予定しており、発売日から逆算して1カ月に1本を配信する予定だが、今回「UNCOVERED FINAL FANTASY XV」があったため、先行で1本配信が開始された。今後は6月から1話ずつ配信される予定。「BROTHERHOOD」の目的はあくまでも「ファイナルファンタジーXV」を新規ユーザーに知ってもらうための1つの入り口と位置づけられている。このため、無料で見られることが大切としており、このため、ネットでの無料配信となっている。
各話10分程度を想定されており。各話の内容に変わってくるが、大まかな1話の長さは10分程度を考えているという。1話はすでに配信が開始されているが、それ以降の制作進捗については、脚本が完成している段階で、「絶賛制作中です(大藤氏)」といった状況だとか。
日本では「ファイナルファンタジーXV」の発売と同時期にディスクメディアとして販売が決定している。このディスクには配信バージョンに追加の映像が収録される模様だ。
「JUSTICE MONSTERS FIVE」について
Android/iOS/Windows 10用として発売される「JUSTICE MONSTERS FIVE」に関しては、Free to Playのタイトルと言うことだが、この点について本橋氏は「基本プレイ無料のアイテム課金制だが、課金の重圧が重いタイトルでは無いことはお約束できます」と説明。ゲームについては「ファイナルファンタジーXV」の世界で流行っているゲームということで、「ファイナルファンタジーXV」でプレイしている人は全く違和感なくプレイできるとしている。
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