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「ガンプラビルダーズワールドカップ2015」、タイの“木彫り風”作品が世界一に!
ジュニアコース世界一はインドネシアの「ビルドファイターズ」ジオラマ
(2015/12/21 00:00)
バンダイは12月20日、お台場のガンダムフロント東京で、「ガンダム」のプラモデル・ガンプラ作りの世界コンテスト「ガンプラビルダーズワールドカップ2015」の世界大会決勝戦を開催した。
毎年恒例となった世界コンテスト「ガンプラビルダーズワールドカップ2015」今回もタイや台湾、中国、イタリアなど13の国と地域が参加し、各地域を勝ち抜いた力作が会場に集まった。14才以下の「ジュニアコース」が11作品、15才以上の「オープンコース」が13作品。その表現、テクニックは見事であり、様々な解釈も見られ、どの作品が優勝してもおかしくない作品ばかりだった。
今回は表彰式をガンダムフロント東京のステージで行ない、ニコニコ生放送で中継するという形になった。作品は別会場にたっぷりとしたスペースを取って展示されており、これまでの表彰式以上に作品を見ることができた。
出展作はあえて見る人の角度を限定するジオラマ作品も多いのだが、モビルスーツ単体の作品などは背部のバーニアや、台座部分の作り込みなど、360度全部を見渡すことで気が付く点などもあり見ているだけで飽きない。制作者の溢れんばかりの熱意を強く感じさせる作品ばかりだった。
今回、見事オープンコースで優勝を果たしたのはタイのヴィチャユス エイアム-オン選手の「アナザー レイト ナイト」。まるで1つの巨木から2体のガンダムを削りだしたように見える「ガンプラを使って芸術作品を表現する」という非常にユニークなアイディアだ。
ヴィチャユス エイアム-オン選手は、「この木から削りだしたかのように見える塗装表現を1番見て欲しいです。やはり“どう見せるか”を一番苦労しましたね。構図をどうするかに悩みました」とコメントした。
ジュニアコースの優勝者はインドネシアのコーネリアス シーザー ウィジャジャ選手の「ビルド ファイターズ シーズンスリー」。その名の通り、アニメ「ガンダム ビルドファイターズ」シリーズの3作品目をイメージした作品で、リングのように見えるステージで2体の“ガンプラ”がぶつかり合う様を描いている。
コーネリアス シーザー ウィジャジャ選手は、「『ビルドファイターズ』シリーズの3作目を想像して作りました。中のベースの配線は苦労しました」と語った。
他の作品も非常に見応えがあった。オープンコース2位の香港ンー ショー ワイ選手「ナイチンゲール(ロング ディスタンス サポートタイプ)」は作り込みが見事で情報量がすさまじい。3位だったマレーシアのホー イック イン選手の「ジ エンジェル」はガンダムに女性の顔をつけ、美しく神々しい天使に仕上げる発想が面白い。ジュニアコース3位のナチャ ワイビマイ選手の「オペレーション デザート ストーム」はかわいらしい「ベアッガイ3」をあえてミリタリーテイストで仕上げている。どの作品も感心させられる。
会場では来年、「ガンプラビルダーズワールドカップ2016」が開催されることも発表された。今回出展された各国の作品はガンダムフロント東京で1月6日まで展示されている。写真では伝わらない各選手の“想い”を作品を生で見ることで感じて欲しい。
今年一番のお気に入りは「MG 百式」! 濃いガンプラトークを繰り広げた市川さん
表彰式の前にはイベントでの司会を務めた声優の池澤春菜さんと、川口名人ことバンダイホビー事業部の川口克己氏、そしてモデルの市川紗椰さんのトークショーが行なわれた。
市川さんはアニメやガンプラの知識が非常に深いことでもファンから知られている。トークショーでは市川さんや池澤さんのガンプラへの強い想いが語られた。市川さんは初めてガンプラを作ったのは小学6年生の頃、「シャア専用ザク」を作ったという。市川さんはキュベレイカラーのクシャトリアをガンプラEXPOで出展したが、「ハマーン様の魂を成仏させてくれると願いを込めました」とのことだ。
市川さんはアニメシリーズでは「機動戦士Zガンダム」そしてガンプラなら「マスターグレード(MG)」が好きとのこと。作りごたえがあり、できたことの感動が違う、ウェザリングなど塗装もしやすく大きいMGが好き。今年買ったガンプラの中では「MG 百式」がお気に入りだという。池澤さんは「MG 百式」の光沢を「はがすわけにもいかないけど手も加えたい」という葛藤を語った。
「会場の作品を見ると、『これは無理だな』と感じるのではなく、『こんなやり方もあるんだ』と気づかされますよね」と池澤さんはモデラーならではの意見を語ると、市川さんはすごくうれしそうに頷いた。市川さんは、池澤さんや川口名人の濃いガンプラ談議の時、「その通り!」とでも言いたげに、思わず肩を叩きそうになる感じで手が動くのが印象的だった。こういう濃い話をずっとしていたい、という気持ちが伝わってきて、見ていても楽しかった。
イベントでは「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」の新作プラモデルの紹介もされた。市川さんは「鉄血のオルフェンズ」もかなりハマっていて、「バルバトス」のプラモデルも買ったし、毎週日曜が楽しみだという。川口名人はバンダイでは「鉄血のオルフェンズ」に関して、「テレビで活躍しているMSがすぐ買えるようにする」という目標で商品展開をしており、さらに海外でも同じようにテレビと同時に展開できるようにしていると語った。
さらに新しい試みとして、金属パーツを組み込んだ「ハイレゾリューションモデル(仮)ガンダムバルバトス」の紹介や、未来のガンプラとしてゲームとの連動なども語られた。池澤さんはこれからのガンプラとして「着色できるクリアパーツや、新しい塗料、新しい素材を使った面白さ」といった要素を期待したいと語った。「商品開発に関しては『こういうのあったらいいよね』というのは、声に出してこちらに届けて欲しいです。今後の開発の大きなヒントになります」と川口名人は答えた。
話は再びガンプラ作りへ。池澤さんは外での仕事の息抜きに他のことを考えなくなるガンプラ作りが好きだという。一方市川さんは「集中したいため、精神を研ぎ澄まさせるため」にガンプラ作りをしているという。市川さんは組み立てること、そして組み上げる「素組み」が1番好きだと語った。苦手なのは「ヤスリがけ」とのことだ。池澤さんはヤスリがけはかなり好きで、「理想のライン」を実現するため、あえて限界まで削っていく、そのぎりぎりを目指すとのこと。どちらもモデラーとしての方向性の違いがあって面白い。
市川さんは「今回皆さんの作品を見て、とても刺激を受けました。『こういうのを作りたい』とみんなが思ってくれる作品だと思います。ぜひ皆さんの作品を見てください」とガンプラファンに向けて語った。